小説:ちっちゃなお姉ちゃん(第2話)

    

ちっちゃなお姉ちゃん 第2話

  当たり前のことだが、つい最近授業がスタートした。最初はウキウキしてたものの、
正直、中学校とあんまり変わらない。って変わっても困るけど。
  そして今は昼休み。姉ちゃんが「学食の厳しさを教えてあげるわ」とか言ってたので、いざ学食に来てみたが、肝心の姉ちゃんが見つからない。
  「それにしても、すごい人ごみだな」
何か物でも落としたらすぐになくなりそうな、そんな場所。バーゲン会場のおばはん軍団にも引けをとらないであろう。学食は比較的広い方だが、すでに満員だ。
  「仕方ないな」
  オレはケータイを取り出し、姉ちゃんに電話をかける。
  「もしもし」
  「あ、祐樹、今どこよ?」
  「もう学食にいるけど」
  「私のいる位置、分かる?」
  「全然」
  「今、手振ってるんだけど!」
  「いや全ッ然見えないんだけど」
手振ってても、ちっちゃかったら意味ないしな。
  「って、あ!」
人ごみのなか、必死に手を振って電話している姉ちゃんを見つけた。
  「今、姉ちゃん発見できたから、そのままそこにいて」
  「え? あ・そう、分かった」
そう言って電話を切る。そしてオレは姉ちゃんのいる位置まで、歩を進める。
かなりの量の人がいるので、歩きづらい。ヘタしたら別の方向へ行ってしまいそうだ。
そんな中、やっと姉ちゃんのいる位置までたどり着いた。
  「姉ちゃん」
  「うわ、びっくりしたぁ~・・・」
なぜか呼んだだけなのにびっくりされる。今さっき連絡もいれたのに、なんで?
  「もう、あんた身長高いのよ!」
  「いやそんなこと言われても・・・・・・」
身長が高いのはしょうがない。逆に、姉ちゃんが低いのもしょうがないのだろうけど。
やっぱり、ちっちゃいと色々と不便なんだろうなぁ。
  「それより祐樹、まず定食系は無理だから、適当にパンでも買いましょ」
  「パンかよ・・・・・・」
パンでは腹いっぱいにはならない。しかも高校初めての昼メシが、パンだとは。

・・・・・・

  パンを買い、学食内で食べるのは困難だ・と、中庭にあるベンチで食べることに。
学食とは違い、こちらは結構空いている。何人か座ってはいるが、それでも余裕だ。
  ていうか、みんなこっちで食べればいいんじゃないのか?
なんで無理して学食で食べる必要があるのだろうか? って、そうか、定食だもんな。
  「祐樹、ここに座るわよ」
と、姉ちゃんはそう言ってベンチへ腰掛ける。うあ、足が地面に届いてない・・・・・・。
必死で笑いをこらえなければならない。機嫌を損ねたら、後が大変だ。
  姉ちゃん、牛乳飲みなよ、と言いたい。だが言えない。言ったらまずいことになる。
  「あ、ユッコ~!」
言うか言うまいか迷ってた最中、突然そんな声がする。てか「ユッコ」ってなに?
  「トモミー!」
その声に姉ちゃんが反応する。どうやらユッコとは、姉ちゃんのあだ名らしい。
  「あれ? ユッコ・・・」
トモミとかいう人が何かに疑問を抱いてるよう。まさかとは思うが・・・・・・
  「お兄さんいたんだぁ~」
デジャヴ? しかも今度は「オレが兄貴」バージョン。前にも同じようなことが・・・・・・。
  ふと隣に座ってる姉ちゃんを見る。やっぱり友達でも怒るものなのかな?
  「トモミ・・・・・・」
淡々とした表情で言い放つ。内に秘めた恐ろしさが、今にも湧き出しそうだ・・・。
  「もう、怒んないでよ! 弟さんでしょ?」
  「・・・・・・そうよ」
姉ちゃんが必死に言いたいことを抑えてるようだ。言っちゃうと、自分がちっちゃいのを
おもックソ肯定することになるからなぁ。かわいそうに。
  ていうかトモミさん、分かってるのなら言わないで・・・。いや、言わないであげて・・・・・・。


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