小説:Real animation

    

※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

  「ヒマだぞこの野郎」
  オレの名前は橘 瑩(たちばな あきら)、成績が崖っぷち的な高校2年生だ。さらに最近独り言が多くなってきている気がする。
  放課後、特にすることもなく帰宅したのだが、さらにすることがない。帰りに本屋でも寄っていけばよかったと、今でも後悔してるよ。
  「・・・ってちょっと深刻に考えすぎか。やれやれ」
  とりあえず今回も、義妹の雪音(ゆきね)はなんとか委員会とかいうので帰りが遅くなるそうなので、しばらくこの家はオレの空間と化す。
  しかし、いくら自由でもすることがなければ意味がない。頭の中に一瞬「宿題」の2文字が浮かぶが、1秒もしないうちに却下だ。そんなことをしてしまっては、オレがオレじゃなくなってしまう。
  「無難に、テレビでも見るかな」
  オレはそう思い、リビングへと降りていった。

・・・・・・
  新聞を探すのが面倒なので、適当にチャンネルをいじる。この時間帯、オバハン軍団に人気がありそうなワイドショーばかりだ。
  「つまんね・・・・・・」
  とリモコンを連打していると、なにやら特撮アニメらしきモノが映る。ちょうど始まったタイミングらしく、OPが流れている。タイトルは「ブルトラマン・リアル」
  「なんとまぁ、子供が嫌がりそうなタイトル・・・」
  これは本来、オレのような年齢のヤツが見るべきものではないのだろうが、気になったのでそのチャンネルに固定した。
  「にしても、このオープニング・・・ひでぇ」
  歌はまだしも(むしろカッコイイ)、画面に映っているのがなぜか、ウルトラマッシブなムキムキのボディビルダーばかりだ。これ、一応子供向けアニメだろ? なんでこんな一部の人にしか受けないような人間が出てるんだ?
  「あ、OP終わった」
  終始ボディビルダー三昧だった。そしてサブタイトル表示。
  『第329話 すいません、はしゃぎすぎました』
・・・・・・・・・
  あのぉ、これ子供向けアニメですよね? サブタイトル、ドッ引きモンですよ? しかもさりげに長く続いてるし。というか続きすぎだ。何年やる気だよ。そんなに人気なのか、このアニメ。
  ・・・などなど、いろいろツッコミどころ満載だが、とりあえず本編が始まったようなので見てみるとしよう。

状況は、ボスが部下に招集をかけているいるようなシーンだ。
  『部下Fよ、今日こそブルトラマンを殺害するのだ』
  『すいません、ボス・・・今日は弟の結婚式でして・・・』
  『なに?』
  『なので、本当にすいませんが、今日のところは・・・』
  『ふむ・・・仕方ないな。ならば部下K!』

  いやぁ、すでにツッコみたいところが何箇所も。とりあえずボス、名前くらい呼んでやれよ・・・ってもしかして名前ないのか!?
  そして、あえて結婚式の件についてはツッコまないことにする。

その後、部下Kにもなにかと理由をつけられ断られる、かわいそうなボス。
  『なんか正直かったるいなぁ。今日はやめとこうかなぁ』
と、カップ麺のフタを開け始めるボス。しかしポットの湯がないことに気付く。
  『ボス、わたくし、部下Mめにおまかせを』
  『あ、マジで? あ、いや・・・・・・うむ、まかせたぞ!』
  『は! つきましては給料のアップなどを!』
  『ふむ・・・だが断る』
  『そんなこと言わんで下さいよ・・・』
  『ネコと犬なら、オレは犬派かな』
  『関係ないじゃないっすか!』
そして、延々と言い続けた挙句、なんの利益もなしに出勤させられる部下Mであった。

  「リアルだなぁ・・・」
オレの感想は、今のところこの一言に尽きる。

一方、地球防衛隊側では、「地球を守る会議」と銘打った、宴会が開かれていた。
  『いやぁ、マチコくん、番号教えてくれないかなぁ~?』
  『もう、困りますよ部長・・・』
  『よいではないか、よいではないかぁ~』
酔った部長に襲われているマチコ隊員。残念なことに他の全隊員が見てみぬふりをしている。この部隊、結束力皆無だ。
――どぉーん。
  『な、なんだ!?』
部長が今の地味な轟音に慌てふためく。他の隊員は早急に原因を解明している。
  『部長! 半径70~480km以内に、怪獣が出現しました!』
  『かなりアバウトなこと言うなぁ、お前・・・・・・』

・・・オレのツッコみたいところを的確にツッコんでくれる、ある意味天才的な部長。

  『マチコ君、出撃を頼む!』
いつのまにシラフに戻ったのか、部長らしく指令を出している。
  『了解!』
そしてマチコ隊員は、最寄の駅へと向かっていった。タクシーで。しかも自腹。

命令どおりにせっせと動くマチコ隊員が、なにかと素敵です。
そしてただ命令してるだけで、自分は何もしていない部長、見損ないました。

街を適度に破壊している怪獣。そこへ、新幹線のぞみ、つばさを乗り継いできたマチコ隊員が駆けつける!
  『もう許さないんだから! リリカル・マジカル~!』
そう叫ぶものの、なにも起こらない。怪獣も「?」というような顔をしている。
  『今のは言ってみただけよ。いわばフェイク!』

・・・・・・なんか主旨違わねぇ?

  『フン、その姿では話にならんだろう。さっさと変身するがいい』
怪獣がナメた口調でしゃべる。声は部下Mと同じだ。ていうか「変身するがいい」て、正体バレてんのかよブルトラマン。
  『ブルトライザー!』
マチコ隊員が、なにやら叫びだす。そして3分くらい経つと、謎の機関車が走ってきた!
  『レーッツ・ブールトラマーン!』
  またもや謎の言葉を発する。なぜか歌も流れ出してるし(OPと同様、カッコイイ)。歌の開始と同時に、機関車が変形し始める。後方部分が二つに分かれて足のような形になり、ちょうど腰らしき位置で180度回転。そして先程乗り継いできたであろう新幹線(のぞみ・つばさ)が突然現れ、なにやら腕のような形へと変形し始めた。

  「ってこれ、ロボットアニメだったの!?」
オレの会心のツッコミが、孤独を感じるリビングに響き渡る。なんかむなしい・・・。

  変形したのぞみ・つばさは、それぞれ機関車の左腕・右腕部分に合体していく。だんだん人体の形になってきた。合体後、いきなり操縦席らしきシーンが映る。
  『ブルトラマン、起動!』
座席の左右から出てきたレバーを握り締め、マチコ隊員がそう言う。いつのまに操縦席へ来たのかは謎だ。
  起動を叫んだと共に、それぞれの腕から手首が出てくる。そして機関車の先端が折れ曲がり、胸の部分になる。その後、頭が起き上がり、フェイスガードがスライドし、目が光る。合体完了のようだ。同時に流れていた合体ソング(?)も終わった。

・・・・・・やべ、合体シーンに夢中になってしまった。高校生なのに。

合体も済み、これから戦闘に移るであろう時に、マチコはさらに叫ぶ!
  『地味なつばさと、のぞみに乗って、やってきました怪獣狩りに! 戦闘隊員ブルトラマン、定刻通りにただいま到着!』
そしてここで謎のナレーションも流れる!
  『隊員マチコは、謎の呪文を唱えることで、ブルトラマンへと変態するのだ!』
  いろんなことをハショってる気がするが、あながち間違ったことは言ってない。
  『フン・・・いつも通りの登場というわけか・・・』
怪獣(部下M)がそう言う。どうやら昔から変わってないらしい。
  と、ここでコマーシャルが入る。
  『ブルトラマーン・リッアール!』
またもやボディビルダーの画面、声も異様に渋い。そしてCMに。

・・・・・・
  「いろんな意味で、最高に面白いアニメだなぁ、コレ」
  このアニメが300回以上も放送されている理由は、それなのかもしれない。ただ、本当に子供に人気があるのかどうかは定かではないな。オレのような年齢のヤツが見るから面白いのかもしれないし、子供とは笑いのツボが違うだろうし。
  ま、なんにしても面白いし、学校で広めよう。
  「お、CM終わった」
アニメは後半へと入っていった。

  『ブルトラマンよ、今日こそ貴様を殺害する!』
威嚇する怪獣の前に、全身銀色のスーツを身にまとった謎の巨人が立ちはだかる!
  『やれるものなら、やってみなぁ!』

・・・・・・あれ? さっきのロボットは? この銀色スーツ巨人はどこから?
  オレの数ある疑問をよそに、物語は強引に進んでいく。

  『ブルトラマンよ! これでも浴びろ!』
そう言って怪獣は口にエネルギーをためる。光線でも出す気か。定番だな。
  『カーッ、ペッ!!』
怪獣は口からタンを吐き捨てやがった。定番を軽く覆す攻撃方法だ。
  『ちょっ、おまっ・・・・・・いくらなんでもそれはどうよ?』
いきなり怪獣に指をさし、冷めた口調で淡々と文句を言う銀色スーツ巨人。さすがにこれにはムカついたのだろう。
  『あ、いや・・・その、すいません・・・・・・光線・・・出そうと思ったんですけど、調子悪くて・・・。子供も見てることですし、今度から気をつけます・・・』
本気で謝りだす怪獣。一応、子供向けアニメということを気にしているらしい。
  『だがしかし、そのシルバースーツを身にまとっていなかったら、今ので2週間ほどの入院だったな』

  とりあえずブルトラマンとは、先程のロボット=今の銀色スーツ巨人とみなしていいのだろう。ストーリーもそんな感じで進んでるし、なにより合体ロボットアニメでは変形前と後で形が変わることが頻繁にあるしな、うん。このアニメでは劇的に変わるようだな、うん。
  なんて一人で納得してみるオレ。

  『とりあえずその吐き捨てたタンを処理しなさい』
  『ホンマすんまへん・・・・・・』
  ブルトラマンに言われ、怪獣はいそいそとタンを片付ける。そしてブルトラマンは怪獣の背後で不敵にニヤリと笑い、
  『ヴァカめ!』
ブルトラマンはそう言い、ポケットから出したアーミーナイフを怪獣の背中に突き立てた! ズブリ、と鈍くリアルな音が響き渡る。
  『うぐっ! がはぁあっ!!』
ビチャビチャと飛び散っていく血しぶき。ズシーンと倒れこみ、ゴロゴロともがく怪獣。勢いで余計深く刺さるナイフ。さらに飛び散る血。
  『き、貴様ぁあ、卑怯な・・・・・・ゲヒュッ、それでもブルトラの戦士か!?』
  『フン、何が卑怯か。今のはテメェが油断したのが悪いんだよ!』

うーん、油断なのか卑怯なのか、どっちだろうか? 双方とも結構言ってる事に筋通ってる気もするし・・・・・・。

  『ぎうあがはあぁ、痛ぇ、痛ぇよおぉ! た、助けてぇ・・・・・・』
  ゴロゴロとのた打ち回らなければ、ナイフが深く刺さることは無かった愚かな怪獣が、ブルトラマンにSOSを要求。しかし予想通りに、
  『悲しいけど、これって戦争なのよね・・・』
慈愛のこもった言葉をほざいているが、要するにSOSを拒否する、ということだろう。
  『がふぅあっ! いてぇよぉ・・・いっそ殺してくれぇ・・・・・・』
  『うっせ! これでも食らえ!』
そう言ってブルトラマンはドスドスと蹴りのラッシュをハイスピードで叩き込み始める。
  『痛っ! ちょ、マジ痛いって! そんな蹴るなよ!』
役者のマジな声が小さくボソボソっと聞こえる。現実では普段できないことを一思いにやっているのだろう、ブルトラマン役の人。顔が終始ニヤけっぱなしだ。これじゃどっちが敵なのか分からない。ていうか漏れた小声くらい消せよ、スタッフ。
  そしてついに怪獣が力尽き始め、もがくのをやめ、静かになっていく。
  『我が生涯に、いっぺんの悔いなし!』

  思いっきり悔い残りまくりな雰囲気をかもし出してるが、まぁ気にしないでおこう。どうせこのセリフ言うためだけに登場した役だろうし(予想だが)。

  怪獣を暴力丸出しで殺害し、自分の勝利を確認後、
  『さ、みなさん、平和は守りましたよ!』
  戦闘を見物していた街の住人たちに向かって、ブルトラマンは爽やかかつ不気味な笑顔で告げる。しかし住人の反応はひたすら沈黙。
  『あれ? どうしたんですか、みなさん?』
望んだ反応が来ないブルトラマン。あつかましい口調で住人に問いかける。
  『貴様が暴れたせいで街はめちゃくちゃだ! この鬼! 悪魔! 修羅!』
敵を殺害するために暴れ、街を破壊してしまったのは紛れも無い事実。だが一応怪獣から街を救っている。しかし鬼・悪魔、あげく修羅呼ばわりまでされてしまったブルトラの戦士。さすがに黙っちゃいられないだろう。
  『なにを戯けた事をぬかすかボケどもめ! 私がいなければ街は壊滅し・・・・・・』
  『帰れ! 帰れ! 帰れ! 帰れ! 風邪引け! 帰れ! 帰れ!』
浴びせられる帰れコール+アルファ。若干涙目で徐々におとなしくなっていく戦士。
  『・・・・・・すいませんでした・・・・・・ちょっとはしゃぎすぎました・・・あの、親とかは関係ないんで・・・ハイ・・・あ・いや、ちょっ、親は勘弁して下さい・・・・・・ホントすいません』

  うわぁあ~、言っちゃったよコイツ! 戦士のプライドねえ! しかも会話に親とか一切出てきてないのに勝手に自爆してるし!

  ・・・そして自爆後、あまりのことに街の中心で土下座し始めるブルトラマン。しかし身体がデカいせいで余計街を破壊、それに気付かないブルトラマン、頭を地面に思いっきり振り下ろし、さらに市役所を破壊。
  『ブルトラマン、と言ったかな? 近く君を書類送検するから、そのつもりで』
  『ハイ・・・あの、調子乗ってホントすいませんでした・・・・・・』

  なにやらそっち方向へと話が展開されていく。もう子供向けという概念完全無視状態だ。って元から無視されてるっぽいけど。
  そしてエンディングテーマが流れ始める。「会社に行って来る」と言って公園で時間をつぶしていそうなサラリーマンを、嫌でも頭に思い浮かべてしまうような、寂しいメロディ。背景も二日酔いでダルそうなオッサンが延々と映ってるだけだ。
  エンディング後、次回予告が入る。これまた危険な匂いが・・・。

  『戦いはまだ終わらない。だけど、ここで逃げてはならない。それがオレにかせられた使命だから。次回 「僕とお姉ちゃんと影の母親」、お楽しみに!』

  とどめを刺すように強烈なインパクトを誇る次回予告。場合によっては本編を超えるだろう。というかアブない単語をポンポン吐きすぎだ。
  「まぁ、そこがおもしろいんだけどな」
ヒマさえあれば毎週チェックしてしまいそうだ。ていうか完全にハマッたな、オレ。
  「さぁて、もうすぐ雪音が帰ってくるし、寝ようかな」
  絶妙に意味が通らないようなことを言い、オレは眠りへと堕ちていった。

――――僕とお姉ちゃん、影の母親・・・か。


~あとがき~
この話は管理人の友人J・K殿(空条承○郎ではない)との会話中に偶然生まれた奇跡の産物。ある意味、彼は助監督的存在ですね。これからも彼との会話によってさらなる奇跡が生まれることを祈ります。ていうか実はすでに新しいのが一つ生まれています。出来次第更新しますので、よろしくです。

|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|
  

更新履歴

取得中です。