初代リプレイ5


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 何処とも何時とも分からない空間で、三名の男女が向かい合っていた。
 俺はそれを取り巻く観客のように眺めている。隣にも誰かいる気配がするが、視線が固定されているので確認できない。

「今回の聖杯戦争にて、不正が発覚しました」

 三人の内の一人は、ジャンヌダルク。
 救世の英雄、聖なる乙女――そして我がランサーと同じ、神の信奉者。
 聖杯戦争の審判者は、眼前にて萎縮する二名のマスターを冷徹な瞳で眺めている。

「一名のマスターにおける、多重召喚。並びにマキリの技術により、サーヴァントを他人に授与」

 御三家の権限を不当に使い、ルールの根幹を脅かした違法者。
 これは、その裁定を決める断罪の場であった。

「その後再度英霊を召喚、という手順で間違いはないでしょうか?」

 女は、小さく頷く。震えながらも、その表情は己の所業を認めたかのように冷静だ。
 怯えた様子で、男も続いた。しかし、彼は何故自分がこんな場所にいるのか、と未だに諦めきれずにいるようだ。
 似ている様で対照的な両者。だが聖女は二人を等しい目で見つめながら、告げる。

「宜しい、不正が発覚した場合、監督役の判断にてペナルティを貸すことができます」

 相変わらず、その声音に情の色は見られない。表情の冷たさもまた同様。

「ですが、貴方方はそのサーヴァントを失った」

 だが、

「……そうですね、令呪及びこのゲームにおいての、貴方方の魔術師としての素質の没収」

 課されたそれは、実質何の罰則にもならぬ退場宣言。

「この辺りが、妥当でしょうか」

 実際は温情で見逃されたに等しい。
 なのに何故だろう、相変わらず、彼女の表情が変わらないのは。

「聖杯を得る資格までは奪いません、望むならば、唯の人として戦いなさい」

 それは自分が下さなくとも、この先もっと重い罰が降りることを、まるで既に知っているかのような――。


 * * *


 不思議な、夢を見た。
 慎二、桜、ジャンヌダルク……ただの夢とは思えない内容だったが、さて。

(そんなことよりも)

 薄っすら目を開けば、見知らぬ天井が見えた。 
 生きているということは勝利したのだろうが、腹の傷が酷く痛む。サーヴァントにやられたのだから当然か。
 俺は、戦闘中に意識を失った筈だ。だが、何故が今は布団の中にいる……和室のようだが、拠点のそれとは雰囲気が違う。

「ここは……何処だ?」
「……っ!先輩、良かった」

 気付かなかった……隣にいたのは、今にも泣き出しそうな表情の桜。
 きっと看病してくれたのだろう。そのぐらいの判断は、重症で寝込んでいてもできる。

 戦闘中の、桜の顔が忘れられない。
 きっと、彼女にとって聖杯戦争は望んだものではなかったのだろう。
 そう、そんなことは分かっている。分かっていて……それでも俺は、あの時殺す気で戦った。

(俺は……)

 忸怩たる思いが胸に広がる。極限だったとはいえ、昔からの馴染みをあれほど深く憎んだ己が恐ろしい。

(もしランサーのあの言葉がなければ、俺は)

 きっと、瞋恚の焔で永劫に糾弾し続けたことだろう。

「桜、無事で良かった」

 そのような、秩序の権化にならなくて良かった。
 その道の悲しさを、俺は誰よりも知っている。
 胸を撫で下ろし告げると、自然と笑みが浮かんだ。

「……先輩、先輩……私、ごめんなさい」

 桜は、崩れ落ちるように俺の胸に縋り付き、、涙を流す。
 少しの間桜に胸を貸すことにした。

(今は、今だけは)

 ただ、己を嘆く時間があっても良いと思うから。

 しかし、思ったより早くその時間は終わりを告げる。

「……えっと、ごめん、いや邪魔する気はなかったんだ、遠坂が呼んで来いって言うから」
「え、いや、先輩、ごめんなさい! 私ったら……」

 突然、和室のドアが開いたかと思えば、そこには士郎がいた。
 何故か、士郎は焦っているようだし、桜は状況を把握したのか、慌ててこちらに謝罪した。

(女に抱きつかれて怒る男はいないだろうが)

 桜もとりえあえず冷静に戻ったようだし、第三者が来たならば場面を動かそう。

「とりあえず遠坂に会いたいんだが」

 状況を上手く説明しているのはアイツだ。
 しかし、動くのも億劫である。こっちは怪我人だ、ぶっちゃけ起きてるのすら辛い。

「酷く体がだるい、魔力も足りていない……出来る事なら、このまま寝てしまいたいなー」

 遠坂の方から来ないかなー。チラリと見ながらそう告げると、士郎は苦笑しながら頷いた。

「ああ、わかった、今遠坂を連れ来る」

 士郎は、慌てた様子でパタパタと走っていった。
 そう焦らなくても良いのだが。

 * * *

「……アンタ、随分偉くなったのね」

 不機嫌そうな凛の視線が、顔に突き刺さる。痛い。
 呼び付けられるなんて学校の教師からも経験したことはあるまい。
 この反応、案外俺が人生初かもなHAHAHA。

「まあ、いいわ……昨日は貴方のおかげで助かったわけだし」

 凛は見た目ほど、機嫌が悪いわけではないらしい。
 基本的に(変なところ以外)は広い女だし、ここは素直に喜んでおこう。

「昨日はお疲れ」

 とりあえず、本題に入る前に周りを労うことにした。
 こうやって生きて会話ができるのも、皆のおかげだろう。

「はいはい、どうせ一番アンタが活躍してたわよ」

 なんだか刺々しいが、一応評価してくれているらしい。
 むしろ、凛が素直に貴方のお陰よ、なんて言って来たら警戒するが。
 場が落ち着いたところで、しかし、と士郎が小さく零した。
 その表情には、数秒前の笑顔の気配は微塵も無い。

「……アレが魔術師の戦いなのか」
「そうよ、衛宮君も踏み込むなら覚悟しなさい」

 記憶を消した手前か、棘棘しさを増す凛。
 もしかしたら他に理由でもあるのか、彼女は士郎を魔術師にしたくはないらしい。
 だが俺はそこで口を挟む。

「踏み込むつもりならば、俺が魔術について教える」

 もともとしようと思っていたのに、延び延びになっていたことを告げた。
 凛は呆れ、桜は顔を強張らせた。
 だが、士郎はそのどちらの顔も見ず、只俺だけを見て数秒の沈黙。

「……頼めるか?」
「ああ、むしろ嫌といっても押しかけるぜ」

 こちらから言い出したことだ、俺は快く了承した。
 時間が空き次第、士郎の修行に付き合おう。
 可能なら、聖杯戦争中でもあの無茶で無意味な修行だけは止めさせたい。

(だがそれも飽くまで時間に空白が出来ればの話だ)

 まずは状況の把握、そして俺が動けるようにならねばどうにもならん。

「俺が寝ていた時の情報が欲しい」
「……ああ、そう言えばその話がまだだったわね」

 予想通り、説明は凛がしてくれるらしい。
 セイバー、バーサーカーの敗退。
 間桐の家が行った反則行為、そしてその行為に対するペナルティがあった事。

(やはり、あの夢は現実か)

 どういう手法かはしらないが、監督役から事の次第を各マスターに通達した、ということだろう。

「……本当に、すみませんでした先輩」

 また俯き、謝る桜。

「桜、貴方は悪くない、悪いのは間桐よ」
「それでも、私は取り返しの付かない事を……」

 桜は己に内罰を下し続ける。罪もない人々の命を奪ったのは許されないと。
 それは、確かにその通りだ。決して、許されるものはない。
 だからこそ、俺は桜に告げることがある。

「間桐、ランサーの宝具を覚えいてるか」
「……杭、ですか?」
「カズィクル・ベイ。ある種の正義を体現する概念武装だ」
「はい、私たちには、ぴったりの宝具だったと、思います」

 沈みながらも答える桜に、そうだな、と肯定する。
 凛が殺意を篭めた目で俺を見た。それでも、彼女はまだ何も言わない。有難い。

「だが、なら何故バーサーカーは生き長らえた?」
「え?」
「――あ」

 良く分からないという顔をする桜と、分かったと声を上げる士郎。何も言わずに頷く凛。

「アーチャーが止めを刺したがな、普通宝具をまともに喰らえばそこで死んでないとおかしいんだよ」

 実際、今回の最優だった黒き騎士は、何一つ言い残すことも許されずエーテルの塵に還った。

「そうならなかったのは、ランサーのソレが糾弾であるが故に、かしら?」

 そうだ、憎むべきは人ではなく、罪だ。
 不義を咎める断罪の一撃を受けて生き永らえたなら、それには必ず理由がある。
 だから、惨劇を起こしたバーサーカーが、一瞬でも生き残ったのは――。

「間桐、お前には許される理由があるからだと、何より神がそう告げた結果のように思う」

 そして、その理由を他人が問う必要は無い。
 俺はランサーを信じる。その信仰の正しさこそを信じる。
 彼女には、そしてバーサーカーにもやむを得ぬ事情があった。逆らえぬ何かが、殺人を犯させた……それを、神は許した。
 だからその信奉者たるジャンヌダルクは、罪を問うことをしなかった。
 ならば、

「ただの人間である俺達が、その結果を受け止めないのは筋が違うと思わないか?」
「――せん、ぱい」

 恐らく桜は、それでも自罰を止められない。誰が許そうとも、加害者自身を許さない。
 ……決して許されない、とはそういうこと。人に宿った当たり前の善性故に、その苦しみは永劫続く。
 だがせめて、それに押し潰されなくても良いのだと、抱えて生きるくらいは許されるのだと――他人が教えてやっても良いじゃないか。

「だから俺は、許すよ」

 俯く桜の頭に手を伸ばし、優しく撫でた。
 ピクリと小さく身を揺らすが、桜はソレを受け入れた。

「良く耐えた、桜」
「……ごめんなさい、ごめんなさい」

 俺は名前も知らない大勢よりも、桜を選んだ。
 心の中で、告げる。

(すまない)

「皆、俺はそう思うよ。だから、」

 言葉が出ない。
 その先は、俺が言っていいものではない。
 他人に言われて、了承するようなことでもない。
 後は只、凛と士郎が出す答えを待つだけだ。

「……ありがとう」

 凛はそう小さく呟いた。

「………」

 士郎は何も言わず、目を瞑る。罪を問うことはない。でも、その逆も言えない。
 それが、士郎にとっての限界だったのだろう。

(願わくは、何時か彼にも、心から許せるときが来れば良い)

「そう言えばアーチャー、貴方宝具使ってたわよね?」

 凛のやけに明るい声が部屋に響く
 話題をかけようとしたのだろうか。
 士郎の反応に焦ったのかもしれない。

「……凛、此処で話す話でもあるまい?」
「うっさい! アンタ記憶喪失で宝具は使えないんじゃなかったの!?」

 それまで無言だったのに、突然矛先を向けられたアーチャーは心底嫌そうな顔をした。
 いきなり個人情報を暴露されたのだから無理も無いが。

「そう言った情報は、他のマスターに聞かせるべきではないだろう?」
「同盟相手よ、問題ないでしょ」

(確か、同盟はセイバーを倒すまで、だった筈だが)

 反射的に凛に尋ね掛けたが、今はやめておくことにする。
 前にそれを忠告した彼女が、まさか忘れている筈はないだろう。ならば、せめて彼女が許す限りはこのままで。

(それにこっちの情報は殆ど知られたし、少しくらいは良いだろう)

「結局、アンタ記憶は戻ったの?」
「……記憶はほぼ戻った、と言って良いだろう」

 気のせいかも知れないが、

「……?」

 アーチャーが、懐かしむような顔でこちらを見た。

「凛、分かっていると思うが」
「わかってるわよ、それだけ分かれば充分だから」

 凛は満足そうに頷いた。アーチャーも、もう何時もの表情に戻っている。

(わざわざ問うことでもない、か)

 ただ、このアーチャーは何者なのだろう。緒戦で感じた違和感が、此処まで来ても薄まらないどころか、どんどんと濃厚になっていく。
 弓兵にて双剣を使い、宝具はカラドボルグ?
 彼の有名なあの件の担い手には見えない、東洋風の風貌だが……。

(そもそも本当に担い手なら、宝具を使い捨てにするなんてありえない)
「……何か用か、ランサーのマスター?」

 無意識に睨んでいたのだろうか、見咎めたアーチャーが問うてくる。

「いや、特に用はない」

 聞いて答えるとも思えない。追求して凛と溝を作るのも得策じゃない。

「そうか、では私は見張りに戻る」

 そっけなく告げると、彼は霊化して消えた。
 こちらと同様の結論に至ったのかもしれない。

(今はまだ、敵対する時じゃない……今は)


 * * *

 唐突に、ぐーと腹の鳴る音がした。場の空気が一気に吹き飛ぶ。
 同盟とはいえ他人のサーヴァントが消えて、意識が弛緩したのだろうか。

「……」
「……」
「……」

 視線が集中する。
 俺の腹からだった。

「――メシにしよう」

 人間なんだから当たり前だ。怪我人ならば尚更そうだ。
 何を恥じることがあると、俺は臆面もなく言い切った。人が作ったのを喰うだけのクセに、とか気にしたら負けた。
 すると、士郎と桜がほぼ同時に立ち上がった。突然の勢いに、隣で座っていた俺はビビる。

「おいおい、いきなりどうした」
「衛宮先輩、今日は私にやらせてもらえませんか?」
「いや、桜は疲れているだろ? 俺がやるよ」

 いえいえ、いやいや。いいから俺に、いいえ私が。
 そんな会話をしながら、二人は我先にと台所に向かった。
 押し合ってまで取り合うものでもないだろうに。

「はは、愛が痛いな」

 俺の軽口に、ほんとにね、と凛が相槌を打つ。

「アンタ、覚悟しといた方が良いわよ」
「は?」

 一体、いきなりコイツは何を言い出すのだろう。
 どういう流れで俺が覚悟しなければならないのか、てんで意味が分からない。

「桜って惚れたら一途だから、これからのアンタは士郎と同じくらいには危ないってこと」
「おいおい、よせよ」

 なんで俺が友人の妻を奪わねばにゃらんのだ。
 そう告げるも、凛は何処吹く風で立ち上がり、士郎たちを追う。
 部屋を出るときに振り向いて、言った。
 口調に反して、その笑みは、

「――私の可愛い妹。投げ出したら、絶対に許さないんだから」

 俺が今まで見た、どの顔よりも美しかった。 

「……ははは、参ったな」

 本当に、愛が痛い。……胸が、痛い。

「俺は、お前と戦いたくないよ、凛」

 何れ必ず訪れる何時かを見据え、自分の性根を思い知って嗤った。
 その時が来たら、きっと俺は躊躇わない事を知っているから。

 * * *

 食事が終わり昼過ぎ、治癒の魔術をかけ続けてようやく体が動くようになった。
 といってもお陰で魔力不足は変わらない。
 ランサーは負担回避の為に、朝からずっと霊体化したまま。こんな様で索敵など不可能だ。

 折り良く訪れた休息の時。丁度良い、士郎に魔術を教えよう。
 こんな空白、後何度許されるかは分からない。

「士郎、来い。お前の魔術を改善する」
「お、おう! すぐ行くぞ!」

 前回、士郎の魔術を見た時、気付いていた。
 士郎の魔術の成功率の低さ。その原因は魔術回路の使用法だ。
 毎回命を懸けて不安定な即席回路なんて使っていれば、魔力の操作は上手く行かない。
 俺のように放出するような術ならいざ知らず。

(物質に通すなんて精密作業は、本来成功する方がおかしいんだ)

 士郎を誘い、土蔵に行くと何故か凛も付いてくることになった。

「感謝してよね、衛宮くん。私とアイツ、二人で教えるなんて在り得ないことよ?」

 最初渋っていたくせに、いざやると決めると途端やる気になるのが凛らしい。

(ま、当たり前か)

 凛に士郎の状態を説明した反応を思い出す。
 驚きが呆れを通り越し、次第に怒りに変わっていく……分かるさ、その気持ちは。魔術師なら誰だって同じだ。

「あまり、爺さんを悪く言わないでくれ、俺が無理やり教えて貰ったんだ」

 俺や凛からすれば、そんなことは魔術師の義務を放棄する理由にならない。ならば最初から一貫して拒否しろと思うからだ。
 だが、士郎は師に対して特別な感情があるらしい。それを無碍にする必要もないだろう。
 取り敢えず、魔術回路については凛に任せてることにする。術の多彩さと繊細さに於いては凛が何枚も上を行く。
 だから俺は、前回は務めて見ない様にしていた工房を見渡した。途端、目に入ってくるのはいくつものガラクタの数々。
 ほんの僅かながら、魔力を感じる。

「……おいおい」

 待てよ、ちょっと待て。
 俺の記憶が確かなら、これらは前に来た時も――そこら中に転がっていたはずだ。

「……このガラクタ、まさか士郎が作ったのか?」

 目眩がした。
 魔力不足のせいでも、怪我のせいでもない。
 手に取ったソレの異常性に気付いてしまったから。

「ああ、それは」

 強化の合間に息抜きで作った投影だと士郎は告げる。
 あまりに軽く言い放った言葉に、その無頓着さに、殺意さえ覚えた。

「投影? これがそうだって言うのか?」

「ああ、まあそう呼べるものですらないのかもな。中身がカラッポで失敗してるだろ?」

 中身など、問題ではない、
 『投影』で製造したものが、前回に此処に来てから今まで『存在し続けている』という異常。

「……嘘」

 凛も気付いたらしい、その異質さ。
 魔術を根底から否定しかねない、存在レベルでの大間違い。

(馬鹿げている)

 だが、これが士郎の才能なのかも知れない。
 振り返れば、思い当たる節はないこともない。

「士郎、強化はもういい。たぶん回路が出来上がれば訓練の必要がなくなる」

 成功する筈のない強化が稀にでも上手く行ったのは、それほど精密な術を可能にするほどの――その為に作られたといって良いほどの、魔術回路を持っていたから。
 たまたま似た工程を踏む魔術だったから、偶々再現できているに過ぎない。そんなものは、本来術者にとっては副産物でしかない。

「伸ばすべきは、『投影』だ」
「……え? いや、爺さんは効率の悪い魔術だって」

(効率か)

 確かにそうだ。見られただけで殺されるようなモノは、そりゃ効率で言えば悪いだろう。

「当然ね、死にたくないならこんなもの使うべきじゃないわ」

 今まで誰にも見つからなかったのは不幸中の幸いだ。
 発見の仕方によっては、俺ですら士郎をどうしたか分からない。

「真っ当な連中に見つかったら速殺されてホルマリン漬けだ」
「でも、衛宮くんが魔術師として成功する道は……これしか無いのかも」

 これほど異常な現象は、普通の魔術師では起こせない。
 つまり士郎は、逆説的にだが、普通の魔術を習得できない可能性がある。士郎が魔術師を志すのなら、選択肢はない。

「……とりあえず、魔術回路の方を何とかしなくっちゃ」

 思考を落ち着ける為か、凛は問題を先送りにすることで時間を作った。

「今晩、試してみるわ、アンタは少しでも寝て怪我を治しなさい」
「ああ、悪いが頼む。どっと疲れた」

 今は凛の言葉に甘え、眠ることにする。
 いろんな事があったせいだろうか。布団に潜り込むと、一瞬で眠りにつくことができた。


【五日目、終了】


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