【TRPG風】ジャンヌ・ダルク「聖杯戦争を開始します」【Fate】内検索 / 「四代目リプレイ5」で検索した結果
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七代目リプレイ5
――三日目、夜 郊外の森―― 遠坂は、確かケータイを持っていないはずだ。 というか、持っていたとしても私に番号は教えないだろう。彼女に連絡を取りたいのなら、魔術的手段しかない。 アサシンの刀を借りて指先を切り、血で使い魔を形成する。 触媒はないからたいしたモノは作れないけれど、片道切符で言葉を届けるには十分。 バーサーカーは倒した。 彼女との同盟は、もう解消されているといってもいい。 私が遠坂を頼るのは筋違いで、加えて言えば、本当なら互いに天敵のはずなのに。 『遠坂を頼ると良い…あそこなら、事情も知ってる』 私だけじゃ、何も出来ない。何も出来なかった。 何をすればいいか、誰も教えてくれなかった。 ただ我武者羅に拳を振るうだけで解決することなんて、世の中には数えるほどしかないのに。 唇を噛みちぎる...
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五代目リプレイ5
――五日目、朝―― 布団から出るのが、少しだけ億劫だった。 恐らく昨日、宝具を使った反動だろう。 ただ体の気だるさとは逆に、心は跳ねる。 想定外の威力だった。 あれほどの規模、あれほどの破壊力、あれぞ対軍宝具。 恐らくランサーは、過去の英雄と言うよりは、神や概念のような超越的な存在だったのだろう。 それをも倒して見せた、あの『騎英の手綱』の威力。 よくぞ呼び声に応えてくれた、と、ライダーへの感謝を思いつつ、身支度を整える。 「おはよう、今日はちょっと遅かったな」 「おはようございます、五鈴」 「……、ええ、おはよう」 居間では、セイバーがスーツ姿のまま、湯呑に注がれたお茶を飲んでいた。 まあ、そりゃ鎧姿よりは良いだろうが、違和感バリバリである。 「今日は藤姉も桜も来ないってさ」 士郎が告げる...
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四代目リプレイ1
序章 導きは天照らす星の鏡より 「ああ、今日は良い月だなぁ……」 夜の街を歩いている。満月の光が、街灯などなくとも行く先を示してくれる。 寒さも堪えるほどではなく、足を動かしている内に自然と呼吸は弾んでいた。 (夜風が心地いいな) そろそろこの周辺の地形には慣れてきた。 今日は少し何時ものルートから外れ、足を伸ばしてみようか。 ――確かこっちに行ったことはなかったっけ。 橋近くの十字路で暫し逡巡。確かこの先には寺があっただろう。 名前は確か、柳洞寺。夜に一人で神聖な雰囲気に触れてみるのも一興だ。 決めて、目前に続く坂道に足を踏み出す。 その選択が、俺に訪れた運命の夜へと踏み出した、最初の一歩だった。 * * * 俺――卯月京四郎にとって、人生とは、この平坦でなだらかな上り坂のような...
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四代目リプレイ2
「起きてください、ご主人様」 目覚めは聞き慣れない少女の声によって齎された。 (ああ、そうか……) 僅かに目を開き、現状を思い出す。少女の名はキャスター。 俺は彼女と契約し、得体の知れない殺し合いに参加した。 聖杯戦争に巻き込まれて二日目の朝が来たのだ。 「起きないと食べちゃいますよ?……肉食的な意味で」 「それは、困る……分かった、分かったよ」 ぽんぽんと肩を叩くキャスターに告げ、上体を起こす。 昨日より幾分楽にはなったものの、気だるさはとれていない。 (コレは多分キャスターがいる限り戻らないな) 慣れるしかないだろう。 「さあ、ご主人様、今日は何をしましょうか?」 「うーん」 自分が元々此処を訪れたのは観光の為だ。だが当然、彼女は何処に遊びに行こうかなんて意図で言っているのではない...
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五代目リプレイ9
――????―― 士郎が勝つべきだ、と、心のどこかで思ってしまったのだ。 最後に勝ってこそ、『正義の味方』だ。 『正義の味方』の味方なんて、物語の主人公にはなりえない。 本当に勝とうとするなら、宝具を使えば良かった。 だらだらと勝負を長引かせても、勝機を見出せる相手じゃなかったのに。 そうしなかったのは、そうしたくなかったから。 つまり私は、彼に倒されたいと思っていたのだろう。 聖杯に望むほどですらない、ささやかな願望。 光の波に呑まれて消えていくライダーは、あまり悔しそうじゃなかった。 きっと私が最初から勝つ気が無かったのだと、彼女は気づいていた。 ああ、どうして、こんな結末になってしまったのか。 胸から鮮血と共に飛び出す、黒い刃。 「…勝ったのは息子の方か」 『正義の味方』の味...
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七代目リプレイ9
――六日目、朝 自宅―― 「…現状をどう思う? アサシン」 動かす度に悲鳴をあげる両腕を手持無沙汰に、私は尋ねた。 五日目を経て、私にとっての聖杯戦争は大きな転機を迎えた。 雁夜の約束を果たし、遠坂との同盟を終える。 それら全てをまっさらにして、ようやく出発地点に戻ってこれたような心地。 それでも、いつまでも感傷に浸っている暇はない。 次の一歩を踏み出すために、最善の体勢を整えなければならない、のだが。 「い、っつぅ……!」 「難儀だな、髪を結うのも儘ならぬとは。どれ、拙者に貸し給え」 「…ダメ、触んな」 女の髪は、魔術的にも最後の切り札。 だからこそそれを結う時も、男に気安く触れさせていいモノじゃない。 「これは…失敬した」 なんて強がっては見たものの、昨日の反動で両腕がボロボロだった。 ...
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五代目リプレイ1
――回想―― 十年以上も昔にこの世を去った母の顔は、覚えていない。 一番記憶に残っているのは、玩具代わりに、と拳銃を与えられたこと。 その背丈も、瞳や髪の色も、声すらも定かではない。 今に思えば、私はそれでも、母に愛されていたのだと思う。 背丈を忘れたが、その温かい背中に負ぶわれたことは覚えている。 瞳の色を忘れたが、幾度もその眼差しに晒されたことは覚えている。 声を忘れたが、何度も彼女が私の名前を呼んだのを覚えている。 ――衛宮五鈴。 私の名前。 母の愛情に気付き始めたのは、彼と出会ってからだった。 父がどこからか拾ってきた、赤毛の少年。 彼は驚くほど早く、まるでそう在るのが当然かのように、衛宮家に溶け込んでいった。 不器用な私と父に代わって炊事を覚え、口数の少ない私たちの代わりによく喋った。 私を...
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七代目リプレイ3
――二日目、夜 学校―― 帰宅後、買いだした食糧と学校の鞄を放り投げる。 服を着替え、それぞれに強化の魔術。刃物くらいは防いでくれるだろうけれど、それも気休めだ。 魔力を通しやすい生地で拵えたレザーグローブを装着。気が引き締まる。 夜は長い、先に夜飯を済ませようか、と、買い物袋を漁っていた所で、 「昨日と同じ場所で、戦闘が始まっているな」 アサシンはそんなことを呟いた。 「…本当?」 「おそらく」 使い魔を飛ばして…いや、そんな暇はない。 アサシンが本当だというからには、恐らく本当なのだろう。 彼の気配遮断は、言うなれば武の修練からなるものだ。 同じ理屈で、魔力の衝突とはまた別の戦闘の気配を感じ取っているのだろう。 脱ぎかけていたコートを翻し、玄関から飛び出す。 昨日と同じ場所、すなわ...
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七代目リプレイ6
――四日目、朝 自宅―― 花、鳥、風、月。 この世のものとは思えないほどに美しい夜景を見ている。 山紫水明、往く川の流れは絶えずして、千紫万紅、ただ春の夜の夢の如し。 景色は決まった形を持たず、ただ美しいという在り方だけを変えずに、変わり続けた。 ――夢だ 誰が見たともつかぬ情景は、この世にあり得るはずもないもの。 そうだと理解した瞬間。 「……つ、ぅ」 目覚めは、左腕の筋肉痛から。 夢はどれほど続きを見たいと望んでも、夢だと理解した瞬間に覚めてしまう。 「は、……っ」 意識の覚醒と同時に、肺から息が零れる。 首から走るようにして、肩甲骨、肘、手首。腰を回って、太もも、ふくらはぎ。 体中の筋が、まるで針で刺したかのように、鋭い悲鳴を上げていた。 緊張状態での魔術の連続行使は、普段のそ...
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五代目リプレイ6
――六日目、朝―― 激動の夜だった。 セイバーは宝具を開放したのち、その場に崩れ落ちた。 放心状態のイリヤをライダーが、セイバーを士郎が抱え、衛宮邸に辿り着く頃には空が白澄んでいた。 そのままベッドに潜り込み、私も泥のように眠った。 失った魔力より、削られた精神を回復するために。 続けざまに出会うマスター、血の繋がらない姉妹との殺し合い、そして和解。 心は疲れ切っていて、それでも体は、いつも通りの時間に目を覚ます。 ベッドから出るのが酷く億劫で、寝返りを打つ。 士郎の朝ご飯が出来るまで、まだ余裕はあるだろう。 今後の方針を立てつつ、もう少しだけ、休もう。 そんな静かな朝を、 「士郎の周りに、女の子が増えてるぅー!!」 虎の咆哮が、起き抜けの頭ごと貫いた。 連戦で疲れの抜けない体に鞭...
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七代目リプレイ7
――五日目、朝 自宅―― 「む…」 左腕を軽く伸ばしてみる。 昨日のような、目が覚めるほどの痛みはない。 ただ、肘の可動に違和感が残る。動かす度に軋むので、思い切り曲げるのは少し怖い。 バーサーカーとの戦いで腕にかかった負担は、まだ尾を引いている。 万全の状態とは言えないだろう。 遠坂の言った通り、こんな状態で間桐に攻め込むのは無謀かもしれない。 間桐攻略の要素は三つだ。 一、情報を出来るだけ集め、万全の対策を練ること。 二、正面突破を出来るだけの戦力を整えること。 三、もしくは攻め込まない方法を考えること。 一に関しては、遠坂に丸投げしている。 昨日の新都の魔術師の件でもわかったけれど、私よりも彼女の方が何倍も適任だ。 アサシンのサーヴァントを引いたのだから、それは本来は此方の役目でもあるのかもしれない。...
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五代目リプレイ8
――八日目、朝―― 作戦会議と称して食卓を囲むのも、もはや恒例となった。 「残るサーヴァントは、アーチャーとキャスターでしたか」 切り出したセイバーに、頷いて返す。 「加えて、残りのマスターも判明しているわ。遠坂凛とルヴィアゼリッタ…どちらも優秀な魔術師のはず」 「なるほど。何か策はあるのですか?」 「…一体ずつ、確実に」 地味だけれど、堅実な作戦だ。 セイバーとライダー、二人の直接的な戦闘力が、残りのサーヴァントに劣っているとは思えない。 しかし、侮ってはいけない。 此方が優位に立っている時こそ、より冷静に、容赦なく攻めるべきだ。 「だったら、どっちを先に攻めるんだ?」 「サーヴァントの話でいうなら、先に消しておきたい不安要素はアーチャーね」 セイバーとライダーは、両者とも高い対魔力を有している。 ...
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五代目リプレイ2
――二日目、朝―― 昨日の今日だが、学校には変わらず通う。 士郎が決めたルールの一つがそれだった。 聖杯戦争に参加するにあたっても、日常生活を犠牲にしないこと。 彼らしいと言えば、彼らしい。 「おはよう、五鈴」 「ええ、おはよう。ごはん、何?」 寝巻から制服に着替えて居間に降りれば、当たり前のように朝食が用意されていた。 士郎曰く数少ない趣味らしいので、特に手を出す事はしない。 出来るのはせいぜい、皿や箸を並べるくらいだ。 しばらくして、玄関の方で戸を引く音がした。 出迎えようと椅子を引けば、それよりも早く駆け足が近づいてくる。 「おはようございます、先輩、五鈴さん。すみません、準備手伝えなくて…」 藤色の髪の少女が、ふわりとした笑顔で居間に入ってきた。 走ってきたのだろうか、少しだけ髪が乱れ...
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七代目リプレイ4
――三日目、朝 自宅―― 「ん、ぅ……」 目が覚めると同時に、倦怠感を覚える。 腕は軽い筋肉痛だった。けれど、肉体よりも精神の疲労の方が大きい。 このまま意識を温かいベッドに静めてしまいたい。 「…目覚めたか。随分とゆっくりしているな、当代の人間は」 目を開いて、顔だけを動かす。 アサシンは相変わらず、窓の外を見つめていた。 此方を見たわけでもないのに、私が起きたのに気づいたらしい。 「時に、昨日のバーサーカーだが」 「……二度と相手したくない」 言い放って、私は頭ごと布団に潜り込む。 遠坂の説教も当然だった。人間が身一つで英霊に立ち向かうだなんて、馬鹿のすることだ。 まあ、そうは言っても結局私にはこれしかないのだから、繰り返すだけなのだけれど。 アサシンは、人の悪そうな笑みを浮かべている。 ...
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七代目リプレイ2
――二日目、朝 自宅―― 体調は悪くない。 昨日は魔術を行使したと言っても、小規模のもの。 それに、もともと強化の魔術は私の得意とするところ。負担は皆無。 それでも、寝覚めは良くはなかった。 「随分と遅いのだな」 これでも一応は女だ。 自分の召喚した英霊だと、頭では理解している。 それでも起き抜けに自分の部屋に男がいるという状況は、あまり心落ち着くものじゃない。 暴漢に襲われる心配はしていないし、返り討ちにする自信だってあるけれど、これはそういうのとはまた別のものだ。 「…窓の外を見ていたの?」 出来るだけ心模様を声に乗せず、淡々と尋ねる。 それでもアサシンは、お見通しだとでもいうように、此方を見て意地の悪い笑みを浮かべた。 「少し前までは、マスターの寝顔を見ていたさ」 「…趣味、悪」 いや...
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七代目リプレイ8
――五日目、夜 間桐邸―― 遠坂邸にて、日が沈むのを待った。 一刻の猶予もないとは言ったものの、夜を待たなければ魔術の秘匿は行使できないのだ。 それに、あくまで間桐を討つ口実は、聖杯戦争の一環でなければならない。 何の理由も無しに攻め込むなんて道理を、協会が見逃してくれるかどうかは怪しいものだし。 いずれ戦う相手だから、互いに手の内は伏せるとして。 それぞれが出来ることの最低限を確認し合い、間桐桜救出戦線の大まかな筋を練る。 とはいっても、やることは最初から決まっている。 間桐を潰す。 そして、遠坂の知り合いに、間桐桜を救ってもらうのだ。 「にしても、妙なのよね…アイツが何の対価も要求せずに、私を助けるなんて」 「…信頼がないのね」 「アンタも見りゃわかるわよ。間桐に攻め込むよりも、アイツを信頼しろって方が難しい...
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五代目リプレイ3
――三日目、朝―― 日常を犠牲にしない。 士郎の決意は固いものだったらしく、居間に降りていけば既に朝食は完成していた。 仄かに鼻孔をくすぐる、香ばしい焦がし味噌の匂い。 今朝は、士郎の和食のようだ。 「おはよう、五鈴」 「おはようございます」 「ええ、おはよう」 皿を並べる桜、料理を盛る士郎に挨拶して、席に着く。 二人を手伝いたいが、生憎そこまで手際が良い方じゃない。 「「「いただきます」」」 味噌汁を喉に流し込む、五臓六腑が歓声を上げる。 魚を一口、口の中でほろりと解れる、最高の焼き加減。 これだけ美味しい食事を毎朝食べられる自分は、相当幸せ者だ。 「…唯一困るのは、舌が肥えてしまうことね」 割と本気で悩んでいたのに、士郎と桜は顔を見合わせて吹き出した。 ――三日目、昼―― ...
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五代目リプレイ4
――四日目、朝―― 居間に伏している士郎の顔色から、珍しく彼が疲れきっていることを理解した。 「…セイバーが此処まで頑固者だとは思わなかった」 「こちらの台詞です、シロウ」 居間では、鎧姿のまま、セイバーが緑茶を啜っている。 こちらに気付いたセイバーは、恭しく頭を下げる。 「おはようございます、五鈴」 「ええ、おはよう…セイバー、霊体化しないの?」 とりあえず、真っ先に感じた違和感を口に出してみる。 士郎が疲れているというのなら、それが原因じゃないだろうか。 英霊の現界は、常に魔力を消費する。 基本的にはそれは、マスターの負担にならない程度に留まるはずだ。 それでも、もしセイバーが、存在するだけで膨大な魔力を食い散らかすような凄まじい英霊なら、得心も着くのだが。 「霊体化は、出来ません」 出来ない...
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七代目リプレイ1
――回想、『心の鎧』―― 笑わない子どもだ、と、そう呼ばれていた。 『文月夏奈』は、誰にも心を開かない。 彼女は誰の心も理解しようとしない、だから誰も彼女を理解できない。 感情が無い、というわけじゃなかった。 嬉しいとか、悲しいとか、人並みに感じる心はあった。 ただ、それを表に出すのが酷く下手で、 だから、友達なんて一人もいたことが無い。 小学校では、当然のように虐められていた。 どれだけ虐められても泣くことも怒ることもしない私を、同級生たちは面白がり、同時に気味悪がった。 無邪気さというのは残酷なもので、抵抗しない私は容赦なく嬲られた。 誰も味方をしてくれないから、私は独りぼっち。 それでも、まだ心は壊れなかった。 中学生になって、初めての夏。 笑わない少女の噂は、学園中に広まっていた。...
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五代目リプレイ7
――七日目、朝―― 風呂から上がり、日課でもある銃の解体と整備を終えて、昨日はそのまま眠りに着いた。 交戦したとはいっても、前の二つ…ランサー戦とバーサーカー戦に比べて、負担は明らかに少なかった。 士郎はあの後、慎二に教会による保護を勧めたらしい。 これで残るマスターは四人、それも全て判明している。 私と士郎、遠坂凛、そしてルヴィアゼリッタ。 もうそろそろ、この聖杯戦争の顛末を見定めても良い頃だろう。 「聖杯にかける望み、ですか?」 朝食に集まった際に、私は問いかけた。 この聖杯戦争、参加するには各々の理由があったはずだ。 私と士郎は、聖杯戦争を止めるという共通の目的があるとして。 「…私は特に」 最初にライダーに振ってみるものの、いつも通りの味気ない答えが返ってくる。 「無い?」 「ええ」 「...
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十三代目リプレイ2
【2日目、開始】 朝 目が覚めると、見慣れない天井がそこにはあった どうやら拠点である城の寝室らしい 徐々に意識が覚醒していくと同時に、頭に鈍い痛みが走る …ッ! 魔術を限界まで行使した時に出る後遺症の様なものだ ついでに、精気が抜けたような気だるさもある 少しベッドの上で微睡んでいると、控えめなノックが聞こえた セラ「失礼します、お水をお持ちしました」 いつもながらの几帳面な声色、そんな声と共にセラがドアを開ける 「ありがとう」 俺は一言伝えて、水差しからグラスに少量の水を注ぐと一気にそれを煽った 乾いた体と意識に冷たい水が行き渡る 視界と意識が透き通っていく セラ「昨晩は激戦だと聞いております、もう少し休まれては?」 俺はセラに事の顛末を伝...
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十三代目リプレイ1
1日目 朝、目を覚ました俺が迎えたのは知らない天井だった 本家の城とは違う、この国にあるアインツベルンの拠点 俺は聖杯戦争の為に、この日本の冬木という都市に来たのだ 時差惚けだろうか…少しの間とは言え、意識が混濁していたようだ 俺は、ベッドのそばにある机から無造作に手を伸ばして眼鏡を手に取る カーテンを開くと、太陽の日差しが刺さる 自国とは違う温かさがある しばらく光を浴びていると、コンコンと控えめにドアを叩く音が聞こえる 叩き方から察するに、セラであろう 俺は、『セイバー』だけでなく、 イリヤと、その付き人としてセラ、リズを連れてきている セラ「お食事の準備が整いました」 相変わらず、真面目な奴だ 俺は苦笑しながらも、生返事を返すと リズ「美味しいごはん、できた」 ...
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五代目リプレイ10
――数年後―― 「…士郎の髪、すっかり白くなったわね」 体質か、魔術の反動か、それとも少し早く老化が始まったのか。 記憶の脳裏に宿る誰かの面影に酷く似ていて、けれど私はそれを思い出せない。 「これはこれで、結構気に入ってるんだ」 「…似合わない、とは言わないけど」 「ほら、イリヤともお揃いだろ」 遊んでいたイリヤが、こちらを振り向く。 「イリヤの髪みたいな綺麗な銀髪じゃないけど、これなら兄妹に見えないか…って、見えないよな」 「お揃い、お揃い!」 今度は縁側で読書していたライダーが、くすり、と可笑しそうに笑った。 「五鈴と私は兄妹に見えない、と、士郎は言いたいようですね」 「…へえ。そうなの、士郎?」 「い、いや、そういう意味じゃなくてさ」 「ちょっと、士郎を虐めないでよ。お兄ちゃんはイリヤだけのお兄ちゃん...
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十三代目リプレイ3
【3日目開始】 夢を見た アイツが消えた日 それは、イリヤから初めて笑顔が消えた日 セラもリズも、イリヤを心配していた 見るに耐えられなかった まだ幼いイリヤに突き付けられた『現実』が だから、俺は誓ったんだ あの子を―――と だが、それはいつしか――― 目が覚めた。さすがに3日もすれば、この天井にも見慣れてくる 俺は大きく伸びをすると、体の状態を確認した 魔力回復量――正常 魔力許容量――前日より減少 肉体による負担――異常無し やはり、魔力不足か… 1日目は『アーチャー』『ランサー』との連戦 2日目は『バーサーカー』との戦闘 それに加えて、『セイバー』を運用する際に伴う魔力消費量 霊化ができない、と言うのも消費の理...
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十三代目リプレイ0
そう遠くない昔の話 俺には何もなかった いや、あるにはあった でもそれは、落ちこぼれの烙印だったと思う 「アインツベルン」 錬金術の名門、又は聖杯戦争始まりの御三家、魔法使いを有していた家系 魔術特性をあげるならば、力の流動、転移 そんなの名門中の名門で、直系に生まれた俺を祝福してくれたのは最初だけ 俺に魔術の才能が無いと知るや否や、 親父も、お袋も誰も彼もが落胆し、貶し、俺を生んだ事を後悔する 「お前なんて生まれてこなければ…!」 「どうして…どうして…貴方は生まれて来たの…?」 そんな、怨嗟の声を子守唄にしながら育った俺は 自身に才能が無い事を解っていながらも、魔術の鍛錬を欠かすことはしなかった 努力をすれば、いつかは成就する 努力をすれば、いつかは才能が開花す...
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十三代目リプレイ4
【4日目開始】 瞼を開ければ見えるのは広い天井 さすがに、4日目ならこの天井も見慣れてくる 今なら、天井のシミさえ覚えられる 時間は、朝も遅い 別に今起きたわけでない 2時間ほど前から目は覚ましているのだが、俺は起き上がる事が出来ない 全身が気だるい、なのに意識ははっきりとしている まるで、体と精神が別々で稼働している状態 理由は簡単だ 連日の戦闘による魔力不足だろう 三日間で四体のサーヴァントを撃破したのだ 戦績は上々だが、体が付いてきてくれない 俺の魔術回路の本数は平均以下 魔力生成量もそれに依存している 魔力貯蔵量に至っても平均以下でしかない。 代を重ねて来た家系ではありえないほどに低い 自身の魔力の行使は、身体強化、形質操作、刻印銃、錬金弾に使っている 『セイバー』の戦闘中は貯蔵した魔力量の2割方持...
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四代目
代理AA / . ./レ 7/{ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .\_ / . . . ./ 〃/ . . . . . . . ..| . .∨~^^´\- . . . .∑ ___, ノイ . . /イ/V . ./ . . | . . . |ハ . | V≠=寸 / . . . . ./ . . . .| ./lV . |、 . . | l | ____ W / / ィ . . . .l . . 孑| |廾| 代、 . | '~|´_- ` | | /´ / . . . .| . . .|! |/_ 二ヘ! ヽ | ´イ升テ=、 z. |...
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初代リプレイ5
何処とも何時とも分からない空間で、三名の男女が向かい合っていた。 俺はそれを取り巻く観客のように眺めている。隣にも誰かいる気配がするが、視線が固定されているので確認できない。 「今回の聖杯戦争にて、不正が発覚しました」 三人の内の一人は、ジャンヌダルク。 救世の英雄、聖なる乙女――そして我がランサーと同じ、神の信奉者。 聖杯戦争の審判者は、眼前にて萎縮する二名のマスターを冷徹な瞳で眺めている。 「一名のマスターにおける、多重召喚。並びにマキリの技術により、サーヴァントを他人に授与」 御三家の権限を不当に使い、ルールの根幹を脅かした違法者。 これは、その裁定を決める断罪の場であった。 「その後再度英霊を召喚、という手順で間違いはないでしょうか?」 女は、小さく頷く。震えながらも、その表情は己の所業を認めたかのように冷静だ...
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四代目1日目
206 名前:1 ◆8NYroe5tmA[saga] 投稿日:2011/11/06(日) 20 26 50.21 ID qm2+xuvXo ジャンヌ「初めまして、私はこの聖杯戦争のルーラーを努めさせて頂きます、ジャンヌ・ダルク」 ジャンヌ「これより開始するのは、再現された聖杯戦争、冬木の聖杯の劣化複製であり上位存在」 ジャンヌ「永遠に繰り返される聖杯戦争、偽りの聖杯戦争、外典の聖杯戦争」 ジャンヌ「まずは参加者の分身となるプレイヤーの設定を制作いたします」 ジャンヌ「クイックスタートを使用されますか?」 1.YES 2.NO 安価 下3 209 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都)[sage] 投稿日:2011/11/06(日) 20 27 13.12 ID ypc1+GQXo 2 ...
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十代目まとめ
※ このページはあなたの楽しみをスポイルする可能性があります 本編未読の方は先に本編を読むことをおすすめします。 手っ取り早く情報を得たい方は↓ (ED後の戦闘は撃破数・死亡回数などにカウントしないものとします) +第十次聖杯戦争 第十次聖杯戦争 サーヴァント&マスター 一日目 一日目´ 剣 -- vs『キャスター』→勝利vs『ライダー』(二回死亡)→敗退 -- ネロ・クラウディウス 十代目 槍 -- -- -- -- 弓 エミヤ vs『アサシン』vs『バーサーカー』→敗退 アイリスフィール・フォン・アインツベルン -- -- 騎 -- vs『キャスター』vs『セイバー』→勝利 -- イスカンダル アイリスフィール・フォン・アインツベル...
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四代目2日目
【一日目終了時の状況】 【貴方】 貴方は、今は絶えた魔術師の家に生まれ(家系『4』) 一般人にすら劣る魔術の才を持つ(素質『1』) 現在聖杯戦争に参加中 『キャスター』と出会い契約 【死亡回数 0】 『安価判定』 1…ファンブル 2~3…失敗(大) 4~6…失敗 7~8…成功 9…クリティカル 0…特殊判定(クリティカル) (素質判定によって割合が変化します 素質『1』) キャスター 『奉仕』…奉仕されちゃうらしい 『サーヴァント』 【キャスター】狐耳の少女 真名:不明 宝具:不明 主人:【貴方】令呪使用回数:0 【ライダー】髪飾りをつけた少年騎士 真名:不明 宝具:不明 主人:【真面目そうな少年(ウェイバー)】令呪使用回数:0 【セイバー】【アーチャー】【ランサー】【アサシン】【バーサーカー...
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四代目3日目
【二日目終了時の状況】 【貴方】 貴方は、今は絶えた魔術師の家に生まれ(家系『4』) 一般人にすら劣る魔術の才を持つ(素質『1』) 現在聖杯戦争に参加中 『キャスター』と出会い契約 【死亡回数 0】 『安価判定』 1…ファンブル 2~3…失敗(大) 4~6…失敗 7~8…成功 9…クリティカル 0…特殊判定(クリティカル) (素質判定によって割合が変化します 素質『1』) キャスター 『奉仕』…良きアドバイザー 『サーヴァント』 【キャスター】狐耳の少女 真名:不明 宝具:不明 主人:【貴方】令呪使用回数:0 【ライダー】髪飾りをつけた少年騎士 真名:不明 宝具:不明 主人:【真面目そうな少年(ウェイバー)】令呪使用回数:0 【セイバー】絢爛豪華な赤の騎士 真名:不明 宝具:不明 主人:【衛...
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【登場人物まとめ】
※フルネームだと横幅が恐ろしいことになるので一部ファーストネームのみ、および略称を使用しています ※『◇◇(△△)』と表記されている場合は『表向きのマスター(召喚者)』です 【1st season】 【2nd season】 【虎聖杯戦争】 【1st season】 剣 槍 弓 騎 魔 暗 狂 第一次 ランスロット ヴラド三世 エミヤ ゲオルギウス ナーサリーライム ハサン(四次) ジャック ワカメ(桜) 初代 遠坂凛 ルヴィア ありす 衛宮切嗣 間桐桜 第二次 -- -- -- -- -- セミラミス -- -- -- -- -- -- ワカメ(桜) -- 第三次 ガウェイン クー・フーリン ギルガメッシュ アストルフォ メディア ハサン(四次) ランスロット レオ 遠坂凛 イリヤ 言峰綺礼 間桐雁夜 三代目 ワカメ(桜...
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四代目4日目
【三日目終了時の状況】 【貴方】 貴方は、今は絶えた魔術師の家に生まれ(家系『4』) 一般人にすら劣る魔術の才を持つ(素質『1』) 現在聖杯戦争に参加中 『キャスター』と出会い契約 【死亡回数 0】 『安価判定』 1…ファンブル 2~3…失敗(大) 4~6…失敗 7~8…成功 9…クリティカル 0…特殊判定(クリティカル) (素質判定によって割合が変化します 素質『1』) キャスター 『奉仕』…良きアドバイザー 『サーヴァント』 【キャスター】狐耳の少女 真名:不明 宝具:不明 主人:【貴方】令呪使用回数:0 【ライダー】髪飾りをつけた少年騎士 真名:不明 宝具:不明 主人:【真面目そうな少年(ウェイバー)】令呪使用回数:0 【セイバー】絢爛豪華な赤の騎士 真名:不明 宝具:不明 主人:【衛...
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四代目8日目
【七日目終了時の状況】 【貴方】 貴方は、今は絶えた魔術師の家に生まれ(家系『4』) 一般人にすら劣る魔術の才を持つ(素質『1』) 現在聖杯戦争に参加中 『キャスター』と出会い契約 【死亡回数 3】 『安価判定』 1…ファンブル 2~3…失敗(大) 4~6…失敗 7~8…成功 9…クリティカル 0…特殊判定(クリティカル) (素質判定によって割合が変化します 素質『1』) キャスター 『愛情』…愛すべきサーヴァント 衛宮 士郎 『友好』…同盟相手、お人よしな少年 セイバー 『友好』…セイバー曰く「そなたのサーヴァントの方が露出強」 『サーヴァント』 【キャスター】狐耳の少女 真名:玉藻の前 宝具:水天日光天照八野鎮石 主人:【貴方】令呪使用回数:― 【セイバー】絢爛豪華な赤の騎士 真名:ネロ・クラウディ...
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四代目5日目
【四日目終了時の状況】 【貴方】 貴方は、今は絶えた魔術師の家に生まれ(家系『4』) 一般人にすら劣る魔術の才を持つ(素質『1』) 現在聖杯戦争に参加中 『キャスター』と出会い契約 【死亡回数 0】 『安価判定』 1…ファンブル 2~3…失敗(大) 4~6…失敗 7~8…成功 9…クリティカル 0…特殊判定(クリティカル) (素質判定によって割合が変化します 素質『1』) キャスター 『献身』…良きアドバイザー 衛宮 士郎 『友好』…同盟相手、お人よしな少年 セイバー 『友好』…露出高くないかい? 『サーヴァント』 【キャスター】狐耳の少女 真名:不明 宝具:不明 主人:【貴方】令呪使用回数:0 【ライダー】髪飾りをつけた少年騎士 真名:不明 宝具:不明 主人:【真面目そうな少年(ウェイバー)】令呪使...
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四代目数年後
【数年後】 712 名前:1 ◆8NYroe5tmA[saga] 投稿日:2011/11/10(木) 01 06 12.97 ID KOC2awk3o 貴方は、とある儀式を見学するために、衛宮家の庭へ向う イリヤ「遅い!待たせないでよね?」 貴方は、イリヤに謝罪をした アイツが中々起きなくてさ、などと言い訳 士郎「…ふぅ、じゃやるか?」 イリヤ「大丈夫よ、シロウ」 イリヤ「シロウはすごく成長したんだから、大丈夫よ」 イリヤの頭を撫で、士郎が魔方陣の上に立つ 赤い絢爛豪華な光が、士郎を包み込む セイバー「…待たせたな、シロウ」 士郎「ああ、待たせちゃったな『セイバー』」 士郎が『セイバー』を抱き寄せる キャスター「あらあら、昼間からお熱いことで」 貴方「…お前が言うな」 ...
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四代目7日目
【六日目終了時の状況】 【貴方】 貴方は、今は絶えた魔術師の家に生まれ(家系『4』) 一般人にすら劣る魔術の才を持つ(素質『1』) 現在聖杯戦争に参加中 『キャスター』と出会い契約 【死亡回数 2】 『安価判定』 1…ファンブル 2~3…失敗(大) 4~6…失敗 7~8…成功 9…クリティカル 0…特殊判定(クリティカル) (素質判定によって割合が変化します 素質『1』) キャスター 『恋慕』…可愛らしいサーヴァント 衛宮 士郎 『友好』…同盟相手、お人よしな少年 セイバー 『友好』…セイバー曰く「そなたのサーヴァントの方が露出狂」 『サーヴァント』 【キャスター】狐耳の少女 真名:不明 宝具:不明 主人:【貴方】令呪使用回数:― 【ライダー】髪飾りをつけた少年騎士 真名:不明 宝具:不明 主人:【真...
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四代目6日目
【五日目終了時の状況】 【貴方】 貴方は、今は絶えた魔術師の家に生まれ(家系『4』) 一般人にすら劣る魔術の才を持つ(素質『1』) 現在聖杯戦争に参加中 『キャスター』と出会い契約 【死亡回数 1】 『安価判定』 1…ファンブル 2~3…失敗(大) 4~6…失敗 7~8…成功 9…クリティカル 0…特殊判定(クリティカル) (素質判定によって割合が変化します 素質『1』) キャスター 『献身』…良きアドバイザー 衛宮 士郎 『友好』…同盟相手、お人よしな少年 セイバー 『友好』…露出高くないかい? 『サーヴァント』 【キャスター】狐耳の少女 真名:不明 宝具:不明 主人:【貴方】令呪使用回数:― 【ライダー】髪飾りをつけた少年騎士 真名:不明 宝具:不明 主人:【真面目そうな少年(ウェイバー)】令呪使...
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【製作キャラ】
この聖杯戦争に参加する貴方自身の分身 この戦争をどのように戦うかは、貴方が選択し決断しなければならない 第一期 【初代】 【初代】 高名な魔術師の一族に生を享ける (家系『7』) 自身も優れた才能を持つ (素質『8』) 聖杯戦争に参加し 『ランサー』と共に聖杯を得る 【死亡回数 2】 遠坂 凛 『愛情』…戦友 背中を預けられる存在 衛宮 士郎 『絆』…魔術の弟子であり親友 間桐 桜 『愛情』…世界を敵に回しても ランサー 『最愛の妻』…我が真の英雄 ルヴィア 『興味』…友人でありライバル ありす 『信頼』…妹分とお兄ちゃん Name:一条 基(イチジョウ ハジメ) Style:秩序 善 Status 筋力:D(20) 魔力:B(40) 耐久:C(30) 幸運:A(50) 俊敏:C(30) スキル:...
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初代リプレイ6
俺が立っているのは戦場だった。 残酷で、熾烈で、腐臭漂う戦場だった。 自国を守る為、愛する人を守る為。 それが、串刺しの林だった。 ……その中心で、天を仰ぐ彼を見る。 一本立てれば愛する人を。 十本立てれば手が届く者を。 百本立てれば眼に入る者を。 一万本立てれば――愛する国を、守る事ができた。 だが、終わりはその愛する者より与えられる。 配下による、暗殺だった。 愛故に、ただ神への、国への、隣人への愛故に。 それをどうして否定できるだろうか? 誰が否定できるだろうか? 少なくともその行動は決して狂気からではなく、真摯なる想いによって成されたはずだった。 ……だが、創作が現実をねじ曲げる。 大衆の無邪気で無責任な認識が、英雄を悪魔へと変貌させる。 世界で最も有名な怪物の一つ。そう在れと押し...
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初代リプレイ3
聖杯戦争が開始して、もう三日目の朝が来た。 拠点にて朝食を食べながらテレビを眺める。 どうやら、冬木の街では連続殺人事件が起きているらしい。 このタイミングで、この様な事件。魔術……否、聖杯戦争に縁のあるものなら嫌でもピンと来る。 だが一つ不可解な事実もあった。この連続殺人事件には、ある法則があるらしい。 「被害者は全て若い女性、か」 順当に考えれば魂喰いか、戦闘の余波。だが、或いは狂気の産物か。 英雄色を好む。中には若い女性を求める者も居るのかも知れない。 そこで殺人に発展するなど正気の沙汰ではなかろうが……あの不義を負った騎士然り、どうにもこの戦争、真っ当な英霊だけが呼ばれる訳ではなそうだ。 もしかすれば、全く関係ないかも知れない可能性も、ないではないが。 (昨日、そんな判断で痛い目にあったところだ) 俺はこの事件がどう...
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初代リプレイ9
高校を卒業した俺は、適当にでっち上げた理由を周囲に告げて倫敦に留学した。 生活自体には直ぐに慣れた。 食べ物のマズさには驚愕したものの、とある理由でそれらはほぼ解消されているからだ 勿論留学先は時計塔。現代の魔術師の中でも、才能あるものだけが門を叩くことを許される栄光の地。 の、筈だったが。 「ちょっと買い物に付き合って欲しいんだけど」 「待ちなさい、ミス・トオサカ」 「何よルヴィア、また私に突っかかって来るわけ?」 背後でアレやコレやと騒ぎ出す女共を尻目に、俺はさっさと歩き出す。 「何でコイツらが合格できたんだろうな……」 いや、コイツらが超絶優秀なのは分かってる。 一条とか端にも掛からない、名門名家の淑女たちなのも分かってる。 にしてもこの……そこら辺のむさい男が裸足で逃げ出す、フリーダムさ加減はなんとかならん...
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初代リプレイ8
八日目の朝。もう、聖杯戦争が始まって一週間を越えた。 予感がある。この戦争は、もう間もなく終わるという予感が。 ランサーと二人で始めたこの戦争が、いつの間にか大所帯になったものだ。 感慨深い。聖杯戦争が始める前の俺と、今の俺。それは果たして同一の存在だろうか。 そんな疑問を思うほど、俺は変わった。 狂気の伝承、勇猛さだけ望んで召喚した筈のランサー。俺は彼を、何時しか一人の人間として尊敬し始めた。 会話が成り立たなくても、血に塗れていても、決して穢れぬ白木の杭。 それは、吸血鬼伝承の小道具ではなく、竜の子が生涯かけて守り通した気高さの証だったと知った。 得たものはそれだけではない。 例えば、目前には、何時の間にか当たり前となった朝食の風景。 「先輩、お茶です」 桜の和やかな声も、 「衛宮くん、醤油とって」 ...
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初代リプレイ1
* * * 夢を見ていた。何故だか身体が重い。思考が空転、自分の名前すらも思い出せない。 **は誰で、ここは何処だ? まるで今この瞬間、唐突にこの場に生まれたかのような錯覚に、言い知れぬ怖気を感じた。 焦りにも似た感情に突き動かされ、身体を起こす。 「**は一体……痛っ」 鋭い頭痛が走り顔を顰める。だが、それで混濁していた意識がクリアになった。 『俺』の名前は一条基。寝ていたのは自分の工房。 床に描いてある陣や実験室を思わせる機具の数々は、俺が高名な魔術師の家系に連なる者の証……大丈夫だ、記憶の何処にも不備は無い。 俺は十七年前からずっとイチジョウハジメのまま、今日この召喚の時を迎えて……少し気を失っていただけの話。 「そうだ、召喚――」 「呼び声に応じ馳せ参じた――おお、我が妻よ!」 視線の先には、異質の塊のような気...
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初代リプレイ7
聖杯戦争も一週間を迎えた七日目、朝。 俺は不意に違和感を覚えて目が覚めた。 澄んだ冷たい空気に、まだ早朝だろうと当たりをつける。 「……ぐっ」 身体が軋むような痛み。特に全身の神経を苛む倦怠を伴った鈍痛は、過剰な魔術行使の後遺症だ。 間違いなく、昨日の戦闘のせいだろう。正直、我ながら無茶をしたものだと感心する。 更にズキズキと脈打つよな頭痛、身体のあちらこちらが燃えるような熱さを感じている。中々に重症だった。 それにしても……目覚めたキッカケは痛みじゃない。自分の体とは無関係の重さと、熱。 (両腕に何か乗っているのか?) 重い瞼をこじ開け、左を見、 「……」 次いで、目撃したものが幻であることを確認する為に、右を見、 「……なんでだよ」 ……無性に、このまま意識を失ってしまいたい衝動に駆られ...
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初代リプレイ4
そして四日目の朝。俺は拠点ではなく士郎の屋敷で目を覚ました。 時間は学校が始まる一時間ほど前。普通の学生ならば、起きるには丁度いい、そんな時間だ。 戦争中の魔術師とすれば遅いぐらいだろうが、ランサーに見張りを頼んでいるため、問題はないだろう。 台所に向かえば、朝食の良い匂いがする。 どうやら、士郎はもう起きているらしい。 欠伸を噛み殺しながら台所にたどり着く。予想通り、そこに居たのは士郎だった。 等間隔のリズムを刻み、動く包丁。ほのかに香る味噌の匂い。 「おはよう、朝飯食べるだろ?」 「ああおはよう、ありがとう、そうする」 ぶつ切りで答える俺。朝に弱い性質ではないはずだが、流石に昨日の今日では疲れが残っているらしい。 遠慮なく席に着くと、朝食を作る士郎の背中をボーっと眺めた。 「すみません、遅くなってしまって…」 「…...
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初代リプレイ2
慌ただしい、聖杯戦争の初日が過ぎ去った。 そして迎えた二日目の朝。それは従僕が己を呼び起こす声によって始まりを告げる。 「起きよ、我が愛すべきものよ、今日はどうするのだ?」 「む……今日はどうする、か」 寝起きだからといって思考が鈍るようでは、魔術師とは言えない。 思考を意識的にクリアし、僅かな思案する。選択肢はいくつかあるが。 「学校へ行く」 昼間から他のサーヴァントを捜し歩くのも旨くはないし、学校には凛や士郎がいる。その後の経過が気になる。 それに、聖杯戦争だろうと、自身のリズムを乱す必要はないはないだろう。昼間、戦闘起こすような馬鹿がいるなら別だが。 霊化させたランサーと共に連れておけば十分だ。 そして登校の途中、士郎とすれ違った。 「よう、おはよう士郎」 「ああ一条か、おはよう」 ……が、軽く挨拶を交...
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【家系、素質一覧】
ジャンヌ「それでは貴方は魔術の心得を持ち聖杯戦争に参加されるのでしょうか?」 ジャンヌ「その素質を問いたい」 -旧システム 旧システム 【素質】 1 一般人にも劣る魔術の才 2 一般人並みの才覚 3 一般人よりはマシな才能を持つ 4 魔術師としては少し劣る才能を持つ 5 平均的な魔術の才を持つ 6 魔術師としてやや優れた才能を持つ 7 優秀な魔術の才を持つ 8 非常に優秀な魔術の才能を持つ 9 現代における最高クラスの才能を持つ 0 生まれながらに特殊な素質を持つ 【家系】 1 孤児院で育った天涯孤独の身 2 一般的な家系に生まれる 3 魔術に近しい一般的な家系に生まれる 4 今は絶えた魔術師の家に生まれる 5 先代が魔術師の家系に生まれる 6 数代続いた魔術の家系に生まれる 7 高名な魔術師の一族に生まれる 8 なんらかの偉業をなした魔術師の家系に生まれる 9 貴...
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