「「好色一代男」」(2005/10/02 (日) 21:37:55) の最新版変更点
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**オペラ「好色一代男」
オペラシアター・こんにゃく座
2005.09.23 世田谷パブリックシアター
原作:井原西鶴
台本・演出:山元清多
作曲:萩京子
知人のいる劇団で,周囲でも何人かファンがいるので,気になっていましたが初めて観に行きました。そもそも音楽劇とかオペラ自体が初めてだったのですが(能は除く),とっても楽しかったです。シロウト目からですが,セットもすごかったし,音楽も良かったなあ。劇のつくりも面白かったです。誰か一人の役者が主人公(世之介)を演じるのではなく,世之介の羽織を次々と手渡しながら,何人もの役者さんが世之介を演じるというのが,新鮮に見えました(劇の構造上そうなっているのか…?)。しかし演劇というのはエネルギーの要るものなのですね…。
桟敷席というので,世田谷パブリックシアターのどこに桟敷席が…と思って行ってみたらビックリ,客席の最前列,舞台からすぐそこのところにちょこんと設けられていました。あまりにも近くて,役者さんが歩くと身体に響きました。
こんにゃく座。宮沢賢治などで有名ですが,今年~来年はシェイクスピアや「ガリバー」などの公演もあるようです。異界会としても注目です。去年は「ドン・キホーテ」やったのか…。観たかったなぁ…。
さてここからは「好色一代男」。
学校で習うことなどすぐに忘れてしまうもので,井原西鶴と近松門左衛門の違いさえ怪しい僕は,「好色一代男」って何だっけ…でしたが,予備知識ゼロで充分に分かったし楽しかった。しかし凄い話なのだな。学校教育ではサラリと流され,色褪せた印象しかなかったけど…。僕のような人のために,岩波文庫(黄204-1,横山重・校訂)の表紙から解説・あらすじを引けば:
>世之介は7歳にして性に目覚め,漁色の生活をはじめ,19歳にて勘当。35歳にして父の莫大な遺産を受け,これより諸国遊里の好色世界に遊ぶ。現世にあきたらず60歳にして好色丸にうち乗り,女護島へと去ってゆく。西鶴(1642-93)の代表作であり,浮世草子の最初のものであり,好色本の開祖であり,また徳川文学の最高峰である。
岩波文庫,今日買ってきたばかりで未だ読んでないのですが,これはかなり面白そうですね(実際,劇は面白かったし)。しかし,「好色」と日本近世と言えば,まさに屑屋先生のご専門!いろいろ伺いました。
-巻八 六十歳「床のせめ道具 女護の嶋わたりの事」
劇でも圧巻だったラストのシーン。元のテキストも圧巻…
>…それより世之介は。ひとつこゝろの友を。七人誘引あはせ。難波江の小嶋にて。新しき舟つくらせて。好色丸(よしいろまる)と名を記し。緋縮緬の吹貫。是はむかしの太夫。吉野が名残の脚布也。幔幕は過にし女郎より。念記の着物をぬい継せて。懸ならべ。床敷のうちには。太夫品定のこしばり。大綱に。女の髪すぢをよりまぜ。さて臺所には。生舟に鯲(どじょう)をはなち。牛房。薯蕷(やまのいも)。卵を。いけさせ。櫓床の下には。地黄丸五十壺。女喜丹弐十箱。りんの玉三」百五十。阿蘭陀(オランダ)糸七千すぢ。生海鼠輪(なまこわ)六百懸。水牛の姿二千五百。錫の姿三千五百。革の袋八百。枕絵弐百札。伊勢物がたり弐百部。犢鼻褌(ふんどし)百筋。のべ鼻紙九百丸。まだ忘れたと。丁子の油を弐百樽。山椒薬を四百袋。ゑのこづちの根を千本。水銀。綿貫。唐がらしの粉。牛膠百斤。其外,色々。品々の。責道具をとゝのえ。さて又。男のたしなみ衣装。産衣も。数をこしらえ。これぞ二度。都へ帰るべくもしれがたし。いざ途首(かどいで)の酒よと申せば。六人の者おどろき。爰(ここ)へもどらぬとは。何國へ。御供申上る事」ぞといふ。されば浮世の。遊君。白拍子。戯女。見のこせし事もなし。我をはじめて。此男共。こゝろに懸る。山もなければ。是より女護の嶋に渡りて。抓(つかみ)どりの女を見せんといへば。いづれも歓び。譬ば。腎虚して。そこの土と成べき事。たまたま。一代男に生れての。それこそ願ひの道なれと。戀風にまかせ。伊豆の國より。日和見すまし。天和二年。神無月の末に。行方しれず成にけり」
今夏に訪ねてきた那智の補陀洛渡海とイメージがダブるのは気のせいでしょうか…?
しかし女護島って!?
一体これはどういうものだったのでしょうか。屑屋先生が[[こちら>http://www4.atwiki.jp/ikaikai/pages/55.html]]で,とても詳しく教えてくれました。たいへん興味深くおもしろいお話です。
そして,もう一つの女護ヶ島。僕もインターネット検索で見つけてビックリしました。日本って広いのですね…。
[[menocchioの部屋>http://www4.atwiki.jp/ikaikai/pages/43.html]]へ戻る
**オペラ「好色一代男」
オペラシアター・こんにゃく座
2005.09.23 世田谷パブリックシアター
原作:井原西鶴
台本・演出:山元清多
作曲:萩京子
知人のいる劇団で,周囲でも何人かファンがいるので,気になっていましたが初めて観に行きました。そもそも音楽劇とかオペラ自体が初めてだったのですが(能は除く),とっても楽しかったです。シロウト目からですが,セットもすごかったし,音楽も良かったなあ。劇のつくりも面白かったです。誰か一人の役者が主人公(世之介)を演じるのではなく,世之介の羽織を次々と手渡しながら,何人もの役者さんが世之介を演じるというのが,新鮮に見えました(劇の構造上そうなっているのか…?)。しかし演劇というのはエネルギーの要るものなのですね…。
桟敷席というので,世田谷パブリックシアターのどこに桟敷席が…と思って行ってみたらビックリ,客席の最前列,舞台からすぐそこのところにちょこんと設けられていました。あまりにも近くて,役者さんが歩くと身体に響きました。
こんにゃく座。宮沢賢治などで有名ですが,今年~来年はシェイクスピアや「ガリバー」などの公演もあるようです。異界会としても注目です。去年は「ドン・キホーテ」やったのか…。観たかったなぁ…。
さてここからは「好色一代男」。
学校で習うことなどすぐに忘れてしまうもので,井原西鶴と近松門左衛門の違いさえ怪しい僕は,「好色一代男」って何だっけ…でしたが,予備知識ゼロで充分に分かったし楽しかった。しかし凄い話なのだな。学校教育ではサラリと流され,色褪せた印象しかなかったけど…。僕のような人のために,岩波文庫(黄204-1,横山重・校訂)の表紙から解説・あらすじを引けば:
>世之介は7歳にして性に目覚め,漁色の生活をはじめ,19歳にて勘当。35歳にして父の莫大な遺産を受け,これより諸国遊里の好色世界に遊ぶ。現世にあきたらず60歳にして好色丸にうち乗り,女護島へと去ってゆく。西鶴(1642-93)の代表作であり,浮世草子の最初のものであり,好色本の開祖であり,また徳川文学の最高峰である。
岩波文庫,今日買ってきたばかりで未だ読んでないのですが,これはかなり面白そうですね(実際,劇は面白かったし)。しかし,「好色」と日本近世と言えば,まさに屑屋先生のご専門!いろいろ伺いました。
-巻八 六十歳「床のせめ道具 女護の嶋わたりの事」
劇でも圧巻だったラストのシーン。元のテキストも圧巻…
>…それより世之介は。ひとつこゝろの友を。七人誘引あはせ。難波江の小嶋にて。新しき舟つくらせて。好色丸(よしいろまる)と名を記し。緋縮緬の吹貫。是はむかしの太夫。吉野が名残の脚布也。幔幕は過にし女郎より。念記の着物をぬい継せて。懸ならべ。床敷のうちには。太夫品定のこしばり。大綱に。女の髪すぢをよりまぜ。さて臺所には。生舟に鯲(どじょう)をはなち。牛房。薯蕷(やまのいも)。卵を。いけさせ。櫓床の下には。地黄丸五十壺。女喜丹弐十箱。りんの玉三」百五十。阿蘭陀(オランダ)糸七千すぢ。生海鼠輪(なまこわ)六百懸。水牛の姿二千五百。錫の姿三千五百。革の袋八百。枕絵弐百札。伊勢物がたり弐百部。犢鼻褌(ふんどし)百筋。のべ鼻紙九百丸。まだ忘れたと。丁子の油を弐百樽。山椒薬を四百袋。ゑのこづちの根を千本。水銀。綿貫。唐がらしの粉。牛膠百斤。其外,色々。品々の。責道具をとゝのえ。さて又。男のたしなみ衣装。産衣も。数をこしらえ。これぞ二度。都へ帰るべくもしれがたし。いざ途首(かどいで)の酒よと申せば。六人の者おどろき。爰(ここ)へもどらぬとは。何國へ。御供申上る事」ぞといふ。されば浮世の。遊君。白拍子。戯女。見のこせし事もなし。我をはじめて。此男共。こゝろに懸る。山もなければ。是より女護の嶋に渡りて。抓(つかみ)どりの女を見せんといへば。いづれも歓び。譬ば。腎虚して。そこの土と成べき事。たまたま。一代男に生れての。それこそ願ひの道なれと。戀風にまかせ。伊豆の國より。日和見すまし。天和二年。神無月の末に。行方しれず成にけり」
今夏に訪ねてきた那智の補陀洛渡海とイメージがダブるのは気のせいでしょうか…?
しかし女護島って!?
一体これはどういうものだったのでしょうか。屑屋先生が[[こちら>http://www4.atwiki.jp/ikaikai/pages/55.html]]で,とても詳しく教えてくれました。たいへん興味深く面白いお話です。
そして,もう一つの女護ヶ島。僕もインターネット検索で見つけてビックリしました。日本って広いのですね…。
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