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書物という異界(番外)

菊池直恵
『鉄子の旅』(小学館)

鉄道好きの人から「こんどのダイヤ改正で寝台特急が4本もなくなっちゃうんですよ!!!」という話を聞いて,ふと前々から気になっていたこのマンガを買って読んでみた。

男の子は小さいころ自動車か電車かどちらかが好きだと言われるけれど,僕は電車が好きだった。今でも割合好きな方かもしれない。
しかしこの本の主役となるのは,並の鉄道好きではない。この本に出てくるのは,「一般の人よりも,かなり,相当,どっぷり深い愛情を持って鉄道に関わる」人たちであり,≪テツ(鉄)≫と呼ばれる。「鉄道にキョーミのない女性マンガ家が,究極の鉄道好き(テツ)に日本全国連れ回される」,その珍道中を描いたのがこのマンガである。

旅の案内人はライターの横見浩彦という方で,日本全国の駅9843駅すべてに下車したツワモノである。この横見氏が毎回,鉄道の旅を企画するのだが,その旅の異常さに素人は絶句する。たとえばローカル線の全駅を下車する旅では,一駅一駅降りて次の電車を待っていたら,本数が少ないために,時間が膨大にかかってしまう。それ故,そのタイムロスをなくすために3駅進んで今度は1駅戻るなど上下線をうまく組み合わせて全駅を効率よく回る計画をたてる。なんでそこまでして全駅下りなあかんの,と思うけど,その計画どおりに回れた時の達成感がたまらないらしい…。
「大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例」(JRの関東近郊区間内であれば,実際の経路に関わらず最も安くなる経路の運賃で乗車できるという特例)を利用して,関東1都6県を130円で大回りするという旅もあった。駅を一回も下りないで一日中電車に乗っているだけ。絶句…。

でもよくよく読んでいくと,なんだか見たことのある場面に遭遇する。鈍行で鹿児島に行ったり,大垣夜行に乗って和歌山に行ったり,鶴見線にただ乗ってみたり…。
快速荒尾行きってこの前乗ったなあ,「九州の電車ってなんかおしゃれ」って感想までいっしょだし…。御坊で紀州鉄道の車両にわざわざ行って写真とってたし…。朝は6時出発だとか,隣の駅まで歩いてみようだとか,知らず知らずのうちに異界会って≪テツ≫の旅だったのか…。
たしかに我々なぞは未だ≪テツ≫の足元にも及ばないのだろうが,何か同じような臭いを嗅ぎ取って,読んでいる間ニヤニヤ笑いが止まらなかった。
我が道を究めることの面白みが伝わってくるマンガ。

  

屑屋(管理人)

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