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9月8日


 熊野に行ったときに買って,余ってしまった「青春18きっぷ」を何故か僕が引き受けることになり,それを消化するために京都・大阪へと行ってきました。
 日程を決めたのが直前だったため,御用達の「ムーンライトながら」指定席がとれず,1日かけて東海道線で行くことに。7:17品川発の電車に乗れば,大阪は16:14着です。意外と近いなあ。前々日に衆院選と最高裁国民審査の期日前投票を予め済ませて,いざ出発です。

能登川町立図書館

とは言っても,9時間もずっと電車に乗り続けるのは気が滅入るし,せっかくの18きっぷなのだから,と途中下車をしたいと思いました。石山寺とか関ヶ原とか幾つか候補が思いつきましたが,前日に図書館で偶然立ち読みした『世界』(岩波書店)8月号のなかで取り上げられていた図書館に行ってみることにしました。虫賀宗博さんの「自殺したくなったら,図書館に行こう―いのちを育てる図書館員の群像」という記事です。誤解を招かないように言っておけば,別に自殺をしたくなったわけじゃありません。「いのちを育む図書館」ってどんなんかな,と思って行ってみたくなっただけです。それにしても「行こう」と言われて,次の日本当に行ってしまうなんて,自分でもバカ正直だと思います…。
 新快速で米原から13分,京都からなら40分弱。能登川町は人口23000人,琵琶湖東岸に位置する静かな町です。能登川駅に着いたのは15時過ぎ。図書館は18時までやっているので,まずは駅の東側を散策です。とりあえず善勝寺と北向岩屋十一面観音というのを見に行こうと思いました。しかし,地図をあまり見ず勘を頼りに歩いていたら,目的の寺がなかなか見つからず30分のロス。ようやく「→善勝寺」の看板を見つけ,小道を入り急な坂を登ると善勝寺がありましたが,なんだか普通のお家みたい。ちょっと予想とちがうなあ。
 岩屋十一面観音は善勝寺の裏山を登ったところにあるようです。熊野・那智で,もはや無闇に石段は登るまいと心に決めたにもかかわらず,今日はひとりでも急な石段を登っています,これは業なのでしょうか。「急坂を息を切らして登りきて 観音さまに会うぞ嬉しき」という,人の心を見透かして励ましているのか嘲笑っているのか分からぬ歌碑を横目に坂を登りきると,山の頂上に岩屋十一面観音がありました。この観音は,伝えによると,坂上田村麻呂が鈴鹿の鬼賊討伐を祈願した際に安置したものということです。観音は小さくてあまりよく見えなかったけど,山頂からは能登川町と琵琶湖が一望でき絶景でした。
 山を下って,今度は駅の西側にある図書館へ向かいます。図書館は「総合文化情報センター」といって町立博物館も併設された施設にあります。駅からまっすぐ徒歩で20分くらいでしょうか。田園と家々とが広がるのどかな風景のなかに,図書館はありました。
 図書館のなかは,虫賀さんの文章にもありましたが,書架が全て低く,開放的な印象を受けます。キッズルームや畳の部屋(!)もあり。観葉植物の鉢植えが置かれ,織物が飾られています。かすかなピアノ音楽(フジ子・ヘミングか?)に混じって,となりの博物館で飼育している鈴虫の鳴き声が聞こえてきます。
 各所に職員さんの工夫が凝らされています。特集コーナーはもちろん,関連する新聞記事の切り抜きがあちこちに置かれています。各新聞の書評欄はファイルされて閲覧できるようになっています。絵本・児童書は洋書も含め充実しています。さらに驚いたのは,○○文庫の多さ。さまざまな人から寄贈された本があちこちの書架を占め,独特の空間を創りだしています。
 そう,本の一冊一冊が一つの世界だとしたら,図書館というものは,それら諸世界から構成された生ける宇宙なのです。ここでは,ボルヘスなどを引き合いに出さなくとも,それが実感できるような気がします。それ故,それ自身が豊かな生命を持つようになった図書館は,疲弊した魂に,押し付けがましくなく静かに,手を差し伸べているのです。新たな本との邂逅は,閉塞した魂に風穴を開け,生命のつながりの中へと人を連れ戻すでしょう。
 しかし全体として,「変わっている」「すごい」という印象は受けませんでした。どの工夫も大がかりなものではなく,自然体のものです。恐らく他の図書館でもできることなのでしょう。しかしこの細やかな配慮が,ともすれば役所然とした威圧感を与えがちな図書館に,生の息吹を吹き込んでいるのだとも言えましょう。
 ところでいま,図書館行政には今いろいろな課題が山積しているといいます。あまり詳しくは知りませんが,東京都立の図書館も岐路に立たされているようです。能登川でも一例を挙げれば,能登川町は平成18年に東近江市と合併するとのことですが,それに伴い,これまで行われていた安土町民への貸出が停止になるそうです。些細なことかもしれませんが,合併後の図書館サービスに変化があるか否かは,気になるところです。

9月9日


烏相撲(上賀茂神社)

 今回の関西行の目的の半分が,この烏相撲です。烏相撲は毎年9月9日の重陽の日に京都は上賀茂神社(賀茂別雷神社)で行われる神事です(京都市登録無形民俗文化財)。他の節句に比べて明らかに影の薄い重陽の節句ですが,晴天に恵まれてのお祭りは,とても朗らかなものでした。
 上賀茂神社の祭神は賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)は,神武天皇東征の際に八咫烏になって先導を務めたと云われる神です。この八咫烏伝説と,不作をもたらす悪霊退治の行事である相撲(そうだったのか!),宮中の相撲の節会などが結びついて行われるようになった歴史の古い行事だということです。
 10時過ぎから本殿祭が行われ,その後に斎王代(平安時代は斎王がこの相撲神事を見ていたという)が細殿にやって来て着座し,行司や刀祢や子どもたちが細殿南庭に移って烏相撲が始まる。
 相撲は禰宜方と祝(ほうり)方との二手に分かれます。相撲の前に双方の神職が各々の勝利を祈念する儀礼を行うのですが,これが面白いのです。
 ①地取り。土俵の上に8の字を描いて,その跡を歩いて辿る。
 ②相撲をとる者の名簿を読んで,斎王代に渡し,斎王代はこれを確認する。
 ③刀祢が,東西の帳から,弓矢・太刀と扇・円座の順にそれぞれ持って出て,ピョンピョンと横に跳んできて立砂に立てかけ,円座に座って扇を使いながら,交互にカーカーカーと烏の鳴きまねを三回ずつする。終わったら今度はまた持ってきたものをピョンピョンと跳びながら持って帰る。
 ④双方の行司がそれぞれの子どもたちを引率して,立砂の周りを三回廻る。
 ⑤相撲の始まり。
 言い忘れましたが,相撲をとるのは,地域に住む氏子の小学生たち。生で相撲を観るのは初めてでしたが,なかなか白熱して面白かったです。子どもが加わる祭りは,明るくていいですね。予想以上に楽しかったです。
 相撲の後は,菊酒が振舞われました。
(※上賀茂神社・烏相撲については,「からす相撲略記」(100円)を参考にしました)

ピースおおさか

 帰りは至成堂書店に行くため,上賀茂から烏丸北大路まで歩きました。京都って何回か行ったけど,ゆっくり歩いたためしがなかったので(いつも慌しい),どれくらいの大きさの街か知りませんでした。歩いたらけっこう遠かった…。至成堂書店は,人文科学系洋書のお店です。誘惑に負け2冊購入。今回の往復旅費に匹敵するお金が財布から飛んでいく…。
 大阪に戻り,森之宮駅から徒歩でちょっと行ったところ,大阪城公園の端っこにある「ピースおおさか」に行きました。ピースおおさかは,大阪府と大阪市が共同で1991年に開設した「大阪国際平和センター」の愛称です。主に戦争資料の展示があります。
 ピースおおさかは不幸なことに,さまざまな政治的・思想的立場から議論の的になってきたという過去があるようですが(恥ずかしながら,あまり詳しく知りませんでした),ここではそのことには触れません。その後に待合わせをしていたので,駆け足でしか展示を観ることができませんでした。また今度来て,ゆっくり見なければな,と思いました。その時にまた,この資料館を巡ることも含めて考えてみたいと思います。

9月10日


イメージと解釈

京都大学大学院文学研究科21世紀COEプログラム
『グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成』
「規範性と多元性の歴史的諸相」研究会

 今回の目的の残り半分がこれです。専門的な話はここではできないし,僕にはその能力もありませんが,一つだけ言うならば,「想像力」(imaginatio)の話でしょうか。これについては後で少し考えたいと思います(僕の能力でできる範囲ですが)。

 京大に向かう前に,修学院離宮の近くにある赤山禅院や狸谷山不動尊へ行きました。赤山禅院は,御所の北東(鬼門)に位置する比叡山延暦寺の塔頭です。仁和4年(888年)天台座主・安慧の創建。祀られているのは天台守護神である赤山明神,これは陰陽道の祖神である泰山府君でもあるという(帰ってきてから初めて知った…)。商人の信仰厚く,どことなく俗っぽさも残るような気色もありながら,こじんまりと,ひっそりと,山の裾野の木々に抱かれた小寺院は,なかなか心が落ち着きます。

9月11日


衆院選

 11日も引き続き,京大でシンポジウムがありました。
 この日は,途中で東福寺に寄りました。

 京大から出町柳,そして鴨川沿いに三条京阪の駅までぶらぶら歩いて,お土産を買い,大阪に戻ると,もう衆院選の開票が始まっていました。選挙の結果はご存知のとおりで,それについては色々と言いたいことが山ほどあるけれど,ここでそれを書くのは適切ではないでしょう。


  

屑屋(管理人)

得意分野:エログロナンセンス
一言:トカトントンがきこえてくるよ。

狗蔵(居候)

得意分野:擬似社会学
一言:○○即仏道って便利な言葉ですよね。

menocchio

得意分野:カーニヴァル
一言:いまは一刻も早い燈籠大臣のお出ましを願うのみ。

カメ(首伸ばし)

得意分野:有職故実
一言:ラッキーと混沌が好きです

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