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一石仙人

新作能・多田富雄(作)
2005.07.04 新宿文化センター

今年は終戦60周年を記念するべき年ですが,さらに,アインシュタインが3つの理論(光電効果の理論,ブラウン運動の理論,特殊相対性理論)を発表した1905年から100年という年でもあります。さらに言えば,同じアインシュタインが死の直前にラッセルらとともに核兵器開発に懸念を表明した「ラッセル・アインシュタイン宣言」から50年という年でもあるというのです。そこで国際連合の総会において2005年は「世界物理年」と定められたそうです。

本公演は,世界物理年日本委員会が実施した関連イベントのひとつで,免疫学者の多田富雄が2003年に書いた新作能「一石仙人」を上演するものでした。お気づきかもしれませんが,「一石仙人」とは「一」(Ein)と「石」(Stein)で,すなわちアインシュタイン(Einstein)がシテの能です。あらすじをパンフレットから引用すれば…

「舞台はユーラシア大陸の果ての沙漠。日蝕のにわかの闇の中を往く旅の女大学(女学者)が,どこからともなく現れた羊飼の老人に呼び止められる。女は老人とともに,時間と空間がゆがみ,光が重力でねじ曲げられるという奇怪な現象を目の当たりにする。いつのまにか,老人は日蝕を晴らし,砂嵐に乗って飛び去ってゆく。
アイ狂言が現れ語り聞かせる不思議な物語は有名な相対性理論の時間の伸び縮み現象の話。双子の片方が天狗にさらわれ宙を飛んで帰ってきたときには,不思議にも,双子のもう片方は年上になっていたという。
やがて,容貌魁偉な「茗荷悪尉」の面を着けた一石仙人(アインシュタイン)が現れ,膨張する宇宙の神秘を物語り,ついにはあたりに核子を解き放ち…
アインシュタインが今,時空を超えて人類に語りかけるメッセージとは?」

新作能は初めてでしたが,とても面白かったです。演出もふつうの能とは違う大胆なところがあったけど(照明とか),それ以上にアインシュタイン物理学の世界が能の形式とよく合致していた気が…。しかしドイツ語の地謡にはびっくりですな。
パンフレットに載せられた詞章に,数式や物理学的な注が付されていたのがちょっとおもしろい。

「戦,争い,破壊には/原子の力よも使ふまじ/忘るなよ,人間」
という一石仙人の言葉が重い一作です。

同じ多田富雄さんの新作能「原爆忌」が8月に東京と京都で上演されました(行けなかったけど)。そして11月23日には「長崎の聖母」が浦上天主堂で上演されます。長崎,行きたいけど遠いなぁ…。都合つく方は是非行ってみて下さい。

追記:来る10月16日(日)には船橋市民ホールで「一石仙人」が再演されます。お近くの方,是非行ってみて下さい。S6000,A4500,学生2000。チケット・問合わせは船橋市民ホール(047-434-5555)。

  

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