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俺たちのバーチャル村

NNNドキュメント'05(制作・高知放送)
2005.10.09(25:25~25:55)

テレビのドキュメンタリーをよく観るので,今日はそこから。

高知県本川村(ほんがわむら)。四国の「てっぺん」に位置し,人口は759人,高齢者比率40.3%(平成12年)。この小村が,市町村合併によって昨年(2004年)10月に閉村・消滅した(近隣一町・一村と合併,「いの町」に)。

近年の市町村合併によって,ずいぶん多くの自治体が地図からその姿を消した。それによって市民生活がどう変わったかということは今後,注意深く見ていく必要がある。しかしそれとは別に,慣れ親しんだ名が消えるというのは淋しいことでもある。名前が変わるというのは,一つの終わりでもあるからだ。それは文化が変わるということでもある。

本川村の魅力を残そう,と高知市内の出版会社の社長が「バーチャル本川村」なるものを立ち上げた。これは村に住まない「本川村ファン」の集うサイトである。
  • 村民になる条件:本川村が好きなこと,村が気になること
  • 村民の義務:本川村へ行くこと,また本川村に対し意見・提言を行うこと

バーチャル村民は既に国内外で950人以上を数え(実際の人口を超えているではないか),それぞれがそれぞれの仕方で村の活性化に取り組んでいる。バーチャル村民はネットを飛び出し,村民たちに積極的に関わって行く。交流会や間伐,民家を改築しての「バーチャル村役場」の設置など…。
だがそれは村の村民にとってみれば「侵入」でしかなかった。これは新しいものと出会ったときの態度としては当然のことで,バーチャル村民に対して「村が乗っ取られる」と感じても不思議はない。バーチャル村民は,村民の立場に立って,粘り強く対話をつづけていくよりほかはない。
番組では,バーチャル村民のある青年が,門外不出の村の伝統芸能行事「本川神楽」を舞うようになったのを通じて,その過程を伝えていた(この本川神楽,面白そうだったので実際に見てみたいと思った)。青年の熱意と,「中途半端な気持ちではやってもらいたくない」「村の外の者にはやらせない」あるいは「後継者がいない」といった村民のさまざまな思いが交錯し合い,やがて青年が神楽舞として村に受け容れられていく過程である。

大して変わった話ではないと思われるかもしれないが,考えてみると不思議な話である。実際の村は消滅したのに,仮想の村ができてそれが実際の村に働きかけて村が続いていくというのだから。ここでは「ヴァーチャル」はもはや単なる「ヴァーチャル」ではない。現(うつつ)と幻のあわいにある村といったら言い過ぎか。これは「ヴァーチャル」ということの意味を考えさせる一例であるとともに,紛れもなく,市民生活の新たな在り方を模索する一例でもあった。

ところで少し話は変わって自治体ではないが,僕の通う大学も今年の春に一つの終焉を迎えた。未曾有の大混乱のなか呆気なく瓦解してしまい(さまざまな立場からのそれぞれの戦いがあったのだろうが,ここではそれに触れない。関係者の尽力には敬意を表します),大学というのはかくも脆弱なものだったのかと思った。今や大学もそこに通う僕も実体をなくした亡霊のように思えるときが時々ある。このテレビを見て,本川村みたいに「ヴァーチャル大学」をつくるのもいいかもね,とふと思った。たとえ実体を亡くしたとしても,もしもヴァーチャルが現実に力を与えうるならば,ヴァーチャルのなかで生き延びるのもいいではないか。たとえ体が霧散したとしても,人々が培ってきた精神はそう容易く朽ち果てるものではない,そう信じたい。

しかし「ヴァーチャル」(virtual)というのは不思議な言葉ですね。どこから「仮想」という意味が出てきたのだろう。光学用語かな。知っている方がいたら教えてください。

  

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