大東竹

ダイトウチク大東竹 )は、生物学者の日向時雨が開発した人工植物。
真竹の遺伝子をベースに、高効率で炭化水素を産出するように作られた人工のイネ科タケ亜科多年生常緑。別名は 黒油竹明奉竹 など。

開発

海底の隆起によって形成された龍然封本島は、島の形成直後から、塩害による劣悪な土壌環境のために植物が生育できず、降雨によって起伏の激しい地形の土壌流出が問題となることが想定されていた。
日向は問題の即時解決へ向けて、人工植物の開発チームを知人らと結成し、龍然封の緑化と産業確立を目的とした人工植物の開発に着手した。

遺伝子モデルには、元来強い成長力を持つマダケ(真竹)が選定され、高い耐塩性や、緑藻類などが持つ炭化水素の生成能力を持たせた遺伝子デザインが採用された。
設計された遺伝子デザイン情報は、日向が開発したゲノムコードによってプログラム化され、マダケの細胞核に注入された。
これにより、強い成長力を持つ竹に、高い耐塩性と炭化水素を高効率で産生する能力を付与することに成功した。

この竹は、日向のノーベル賞受賞のきっかけとなった人工多細胞生物誕生の地である「南大東島」の島名から、大東竹(ダイトウチク)と名づけられた。

生態

他のタケ類と同じく、太く長い地下茎を地面に張り巡らし、地中からタケノコを生やすことで生育範囲を拡張する。
有性生殖能力は失われており、開花はせず、実が実ることもない。
稈の高さは、条件が良ければ10m〜20mにも成長し、太さは10cm近くに達する。2本の隆起線がある節を持ち、節からは枝が2本伸びる。
また竹林は地下茎が地面を広く覆うため、地震・崖崩れに強い。稈鞘は大きく濃い黒色の斑点があり無毛。葉は10〜12cm、幅2〜2.5cm程になる。
驚異的な生命力を持ち、稈は1日に1m以上伸び、わずか2ヶ月足らずで最大まで成長する。また、地下茎によって爆発的に増殖し、竹林面積は1年ほどで約50倍ほどに拡大する。

稈はある程度まで育つと成長を止め、光合成による余剰エネルギーによって炭化水素を産生するようになる。
産生された炭化水素は地下茎の油送管と呼ばれる管によって、竹林外縁部の地下茎まで運ばれ、そこで蓄積される。
本来、この炭化水素は開花後の実に送られ、川などに落下した際の浮力確保に使われるものであるが、
大東竹の有性生殖能力は人為的な要因によって失われているため、炭化水素は消費されること無く、外縁部の地下茎に蓄積され続ける。

やがて炭化水素の蓄積が飽和状態になると稈は枯死し、これが繰り返されることによって竹林は外縁部から徐々に縮小していくことになる。
そのため、大東竹の竹林は人間が炭化水素を常に抽出し、蓄積量を管理しなければ数十年で全滅してしまう。


この特性を利用し、竹林外縁部の低地の地下茎を切断することで炭化水素を回収することが可能である。

利用

マダケと同じく稈は肉が厚く弾力性があり、曲げや圧力に対する抵抗性が強いことから、弓、定規、笊、籠、扇子、茶道具などの細工物・工芸品などに利用できる。
青竹は容易に入手できるが、耐久性に問題があり、晒し竹や炭化竹に加工する事でその問題点は改善する。
タケノコは収穫後時間を経過するとエグみが生じ、あく抜きが必要なるが美味とされる。
掘りたてのものにはエグみがほとんど存在せず、そのままさしみにして食しても美味しい。

炭化水素の生産

成長を止めた稈は高効率で炭化水素を生成し、油送管を通して炭化水素を地下茎へ、そして竹林の外縁部へと送る。
そのため、山の斜面などに竹林を拡大させ、麓の地下茎を切断すれば、自重によって油送管から流れ落ちてきた炭化水素を回収することができる。

仮に竹林全てが成熟稈と仮定した場合、面積1ヘクタールあたり年間最大約4万トンの炭化水素を作り出すことができ、
低地の地下茎を切断すれば、低コストで炭化水素を採集することができる。