国家防衛支援生体

国家防衛支援生体 (こっかぼうえいしえんせいたい)とは、日本の島津バイオ技研(現セオ技研工業)が開発した人工多細胞生物。
通称は開発時の名称である「 R einforcement A life for DE fending N ation(国家防衛用強化人工生命体)」の略称、 RADENラデン )。
体内の固有振動制御器官によって、触れずに物を移動させることできる。また、翼等の筋力に依らずとも浮上し、空中を自在に飛行することが出来る。
生物としての和名は、ダイオウヨロイトビガイ。

概要

世界初の軍用人工生物として、「 国家防衛用人工生体計画 」に基づき、島津バイオ技研によって極秘に開発された。

全長約45m、全高約7m、質量は13t程度。固有振動制御による超音速飛行能力や、ミサイルや砲弾などの封じ込めによる高い防衛能力を特徴とする。
固有振動制御は、体内に備わる制御器官によるもので、任意の粒子に対して電磁波を送ることで行われる。
飛行や浮遊の他、静止した物体を持ち上げたり、飛来した物体を任意の方向へ逸らすことも出来る。
この器官によって、浮遊・飛行する様子が幾つかの動画共有サイトに掲載され、まるで地球外生命体の様な異質な容姿が話題を呼んだ。

開発の経緯

世界初の人工多細胞生物の開発者である日向時雨(旧名:海部時雨)は、ノーベル医学生理学賞受賞した時点で、国産生体兵器の開発を開始していたという。
国家防衛支援生体(RADEN)の構想は、日向がアメリカのマサチューセッツ工科大学生の学生であった際に、たまたま見たSF映画の生体兵器から着想を得たという。
この計画の目的は、世界初の人工生体兵器の開発のみならず、コスト面や技術面の問題で困難とされる日本の国産戦闘機を代替し、
生物の繁殖力を利用することによって費用対効果で現存主力戦闘機を上回るといった、軍事的側面の大きい、野心的なプロジェクトであった。
とはいえ、日向や島津バイオ技研においても、人工脊椎動物の短期開発は非常に困難であり、計画時点で生物の最終形態は「水陸両生の軟体動物」とされていた。
上層部で計画が承認されると、同社とスカウトメンバーで構成された特別開発チームが発足し、極秘に開発が開始された。

形態

生物学的には軟体動物に属し、形状的にも遺伝子構造的にも頭足類や腹足網に類似した特徴を持つ。
現在挙がっている生物としての和名の候補は「ダイオウヨロイトビガイ」。

非常に巨大で、ダイオウイカ、ダイオウホオズキイカと並ぶ世界最大級の無脊椎動物である。
体の下部には3対6本の「足腕」と呼ばれる発達した腕を持ち、発達した筋肉と硬い外套膜で陸上や海底に直立する。
体の上部(胴体)両側面には、触手状に発達した2対の「上腕」と呼ばれる鰭を持ち、しなやかに伸縮する。
上腕の根元には付け根の部分から足先まで伸長した2対の巨大な外套膜を発達しており、これらは上腕根元の筋肉によってある程度稼動させることができる。
対して先述の足腕は、体重を支えるための硬い外套膜に覆われているため、ほとんど伸縮せず、歩行することもできない。

体は軟体部と呼ばれ、殻軸筋と呼ばれる筋肉が体表の殻部を固定している。体表が厚い鱗と複雑に発達した外套膜に覆われているため、
他の頭足類や腹足類と異なり乾燥に強く、長時間陸上で活動することができる。

「大背殻」、「大胸甲」と呼ばれる楯状構造の殻が、背と胸を挟むようにして発達しており、外敵に対する防御や直立時の姿勢バランスを取る上で重要な役割を担っている。

触覚は持たないが、頭部によく発達した眼が1対ある。この眼は脊椎動物と同様の構造を持つ、いわゆるカメラ眼で、視神経が網膜の外側を通っており、
視力にすぐれ盲点も存在しない。目は体の前方と後方にそれぞれ1つずつ向いている。また、眼球の後ろ側面に「眼側窩」と呼ばれる様々な感覚器官が集まった箇所があり、
ヘビのピット器官やサメのローレンツ器官のように赤外線や微弱な電流、電波までもを感知することができる。
こうした複雑な器官を外界から保護するため、頭部はその全体が複雑な形状の鱗や外套膜に覆われている。
眼球など器官は普段はこうした構造の内部に収納されており、外部から見ることはできなくなっている。

下肢部の中心には口があるが、皮膚や全身の外套膜の組織に渦鞭毛藻類の褐虫藻を共生させ、生活に必要な栄養素の多くを褐虫藻の光合成に依存しているため、
摂食の必要がほとんどなく、口は外見からその位置が確認できないほどに退化している。口は食道から胃へとつながり、下肢部の中央にある肛門へとつながっているが
消化器官も退化しているため、固形物を摂食することはできない。

胸部にはふさ状に発達した2対の鰓ふさがあり、水中での呼吸に用いる。陸上では有肺類と同じく、外套腔が肺の役割を果たすため、
鰓ふさは胸部の皮膚と大胸甲との隙間にある「ポケット」に収納される。

血中に銅タンパク質であるヘモシアニンを含むため、血液が青色に発色する(ほとんどの脊椎動物血液中に含まれる鉄タンパク質のヘモグロビンは赤色)。


  • 頭部外套膜
  • 後頭外套膜
  • 肩甲外套膜
  • 上腕
  • 大胸甲
  • 鰓房
  • 大背殻
  • 触腕
  • 腹部外套膜
  • 背面外套膜
  • 下肢外套膜
  • 足腕
  • 肛門

生態

皮膚や全身の外套膜の組織に渦鞭毛藻類の褐虫藻が共生しており、生活に必要な栄養素の多くを褐虫藻の光合成に依存しているため、
摂食の必要がほとんどない。消化器官も萎縮してしまっており、固形物を摂取することはできなくなっている。
また、外部刺激が無い限り、日中・夜間問わず殆ど活動せず、大型ながら極めて少食で飢餓に強い性質を持つ。

カイコなどと同じく、野生回帰能力を失っているため、人間による管理なしでは繁殖はおろか、移動することもほとんどない。
軍用生物としての運用は、遠隔で操作可能な電極端子を体内に埋め込み、脳神経節に直接電気信号を送ることで行う。
数百にも及ぶ電気信号パターンにより、些細な移動から繁殖まで全て人の手で管理を行っている。

生育過程

同一個体が卵子と精子を持つ雌雄同体であり、他の個体と相互に交尾することで受精し産卵する。
自発的に繁殖行動を行うことがないため、現在は電極装置を用いて脳神経系を刺激し、人為的に繁殖を行わせている。

受精すると海底に着底し、下肢の下にマメの鞘のような寒天質の卵鞘を産卵して死亡する。卵は直径約1cmほどで、卵鞘には5000個以上もの卵が入っている。
卵鞘の中にはバクテリアがおり、魚が嫌がる物質を出しているため、産み付けられた卵が魚に食べられる事は無い。
幼生は卵の中で生まれると親の死体の養分を根こそぎ吸い尽くし、そのまま幼生期を卵の中で過ごす。多くは約1ヶ月ほどで孵化する。
約1年程で親と同じ形態となり、3年ほどで成体となる。寿命は4年前後。

種類と仕様


HAX-000 螺鈿/鼈甲

「天童」のシミュレーションに基づき試験体が開発された。試作1号は「螺鈿(らでん)」、2号は「鼈甲(べっこう)」の通称で呼ばれた。

HAX-000以前の生物実験から体組織を見直し、高い耐乾性能を備え、陸上活動時間の大幅な延長に成功した。

運用及び味方の識別は、外殻内部に取り付けた信号受信端末からの電気刺激によって行い、攻撃指令を受けた後、熱源を自動で追尾して威嚇行動に移行する。
命令は追尾・攻撃・帰還命令が可能で、攻撃は接近する外敵に対して重力加圧によって行われる。
重力偏向パターンは、移動、攻撃、防御の3パターンが可能で、防御は振動探知による全方位受動式を採用している。

性能諸元

全長 :32.13 m(触腕含む)
全高 :8.75m
胴体幅 :6.77m(肩甲外套膜含む)
体重 :14,600 kg
超過禁止速度
  (空中):M 2.47
  (水中):17 ノット
実用上昇高度 :2,0140 m
航続距離 :471km
上昇率 : 機密 (非公表)
偏向有効範囲 : 1592 m

祓-零式/HA-000「竜胆」



スメラ技研が「国家防衛用人工生体計画」に基づいて開発した、世界初の戦闘用人工生体。愛称は「竜胆」(りんどう)。
外殻と外套膜は鈍い光沢を持った淡紫色を帯びる。試験体HAX-000をベースに、高効率量産・低コスト運用・多用途性を目的として調整された量産型。
一体当たりの繁殖コストは1億2000万円。現在計画されている繁殖予定個体数は780。
重力偏向器官及び全体の小型化によって生育期間を大幅に短縮している他、繁殖力が高く、量産コストが抑えられている。

性能諸元

分類 :多用途支援生体
全長 :35.75 m(触腕含む)
全高 :10.07 m
胴体幅 :5.00m(突起部含む)
体重 : 17,100 kg
超過禁止速度
  (空中):M 27 .12
  (水中):78ノット
実用上昇高度 :2,0170 m
航続距離 :515 km
上昇率 : 機密 (非公表)
偏向有効範囲 : 1175 m


祓-一式/HA-001「漆」




零式をベースに、火器封じ込め範囲の拡張を目的として再設計された広域防空支援生体。愛称は「漆」(うるし)。

性能諸元

全長 :28.57 m(触腕含む)
全高 :7.13 m
胴体幅 :5.05m(突起部含む)
体重 : 13,500 kg
超過禁止速度
  (空中):M 23.08
  (水中):56 ノット
実用上昇高度 :2,0120 m
航続距離 :462 km
上昇率 : 機密 (非公表)
偏向有効範囲 : 4290 m

祓-二式/HA-102「蘇芳」

遺伝子デザインを従来のモデルから一新し、敵戦力の無力化を目的として設計された最新鋭戦略支援生体。愛称は「蘇芳」(すおう)。

性能諸元

分類 :多用途支援生体
全長 :36.86 m(触腕含む)
全高 :10.09 m
胴体幅 :5.00m(突起部含む)
体重 : 18,089 kg
超過禁止速度
  (空中):M 26 .96
  (水中):76ノット
実用上昇高度 :2,0180 m
航続距離 :518 km
上昇率 : 機密 (非公表)
偏向有効範囲 : 4206 m



試製 祓-五式/HAX-205「紫蘭」




配備数の削減を目的として、重力偏向有効範囲を拡張した最新鋭試験体。愛称は「紫蘭(しらん)」。
遺伝子デザインを従来のモデルから一新し、広域重力偏向器官を内蔵している。
一体で半径最大60km四方の物体に対し、重力の偏向が可能で、従来の50倍という驚異的な範囲を防空し得る。
一方、その複雑な体構造から、航続距離や最大速度はスペックダウンしている。


広域防空に伴い、重力偏向器官保護外套膜を
展開する「紫蘭」。

性能諸元

分類 :多用途支援生体
全長 :41.75 m(触腕含む)
全高 :15.07 m
胴体幅 :7.00m(突起部含む)
体重 : 21,730 kg
超過禁止速度
  (空中):M 5.17
  (水中):15ノット
実用上昇高度 :2,0170 m
航続距離 :507 km
上昇率 : 機密 (非公表)
偏向有効範囲 : 57175 m