空狐(防空支援生体)

AL-01 空狐(エーエルゼロワン くうこ)は、斑鳩封安が所持する制空支援生体
斑鳩の封立研究開発法人斑鳩産業技術総合研究所(斑鳩産技研)と斑鳩バイオ技術研究所(斑鳩バイオ技研)が中心となって開発した。
公式の日本語表記は一式 空狐(いちしき くうこ)。公式の英語表記はAL-01 Kuko
「空狐」は開発時のコードネームからそのまま採用された。

                AL-01 空狐
用途:防衛支援生体
分類:制空戦術支援生体
製造者:斑鳩産業技術総合研究所
斑鳩バイオ技術研究所
運用者:斑鳩封(封安)
初飛行
検証体:2014年7月3日
生産数:13体
運用開始:2021年4月30日
運用状況:現役(一部試験飛行中)
ユニットコスト:1億7000万日本円

概要

第二次国家防衛用人工生体計画(RADENプロジェクト)に基づいて開発された第一世代型に分類される制空戦術支援生体。
概念実証体のX-01は2014年に初の実証実験が行われた。
量産種のS-01の龍然封公安二部への納入は2021年4月から開始され、初期作戦能力獲得は同年7月の公安二部水群が初となった。
龍然政府は2021年内の一年間で26体を量産目標とし、2022年には運用試験を全て完了するとしている。

第二次RADENプロジェクトは、浮揚能力と超音速飛行能力を有し、現代の主力兵器を制圧可能な生物の実現という、
極めて野心的なプロジェクトであったが、本種は量産コスト、運用コスト、多用途性、機動力において想定目標値を上回る傑作となった。

龍然の公安二部は3,000体配備することを予定しており、さらに運用年数(個体の寿命)を考慮した予備数を含めると最終的な製造数は5,000体以上にのぼることも予測されている。
現在、龍然バイオ技研はさらに量産体制を整備し、政府からの要請に柔軟に応えられるよう努めるとしている。
運用期間については、2070年までの運用が計画されている。

特徴

本種は、軟体動物に相当する多細胞生物であり、生物学上はイカなどの頭足類の近似種にあたる。
通常は水中で浮遊生活をするが、大気中を浮揚して移動する能力が付加されている。

頭部に比べて足腕部が大きく発達しており、頭部下の左右側面と下部に計10本の腕を持つ。
頭部に近い4本の腕は触腕と呼ばれる細長く伸びた構造になっており、しなやかに伸縮する。
一方、下部に伸びる残りの6本の腕は短く、付随する外套膜を動かす際に用いられるのみである。

全身がクチクラ質の発達した巨大な殻(外套膜)で覆われている。
これらの殻はその複雑な空洞構造によって地磁気や電磁気を超高密度で収束させる効果を持つ。
また、体を覆う外套膜は強誘電体となっており、触手や体表に備わる発電器官によって強力な静電誘導を起こし、体外に電子線を放出する。
この電子線を自身の外套膜の空洞構造に通すことで周囲に高周波数電磁場を発生させ、収束させた地磁気や電磁気による磁場と反発させることにより、空中を浮揚する。
地上や海底に留まる際には、細胞を収縮させて外套膜を偏向することで磁気の収束作用を相殺し、触腕で周囲の構造物に絡みつくことで体を固定する。

活動には数十%の湿度とある程度の深度がある海などの水辺を必要とするが、陸海空全てにおいて一定時間の運用が可能であり、
龍然の公安二部陵群、水群、天群に加え、公安一部(警察に相当)でも正式採用されている。
一体当たりの量産コストは日本円で約1億7000万円と比較的安価で、成熟期間も短いため、現在1年間に1000体まで繁殖可能な体制が整えられている。

なお、深度1,000mを超える深海での能力は限定的であり、潜航用途に特化された次なる生体の開発が待たれる。

軟体部の表面には厚い鱗が並び、その上を硬質化した外套膜である外套殻が全身を装甲状に覆っている。
体重を支える外皮として発達した外套殻はタンパク質を主成分とするため、体の構成が速く、急速に成長する。
また、体内に鰓とは別に肺嚢を持ち、陸でも長時間の活動が可能になっている。
ただし、肺嚢による呼吸は酸素効率が悪く、定期的に海中へ戻る必要がある。

感覚器官

頭部は硬質化した外套殻にすっぽり覆われており、その下に眼と、眼側窩と呼ばれる発達した感覚器官が密集した箇所を持つ。
眼側窩では赤外線、電磁波、振動などを精密かつ広範囲に渡って感知することができ、戦闘機や戦艦の発する熱、電波、音を瞬時に察知することが出来る。

戦闘能力

量産効率を優先した体躯の小ささから、効果範囲が小さくなってはいるものの、粒子制御器官による防御能力及び攻撃能力はすさまじく、
単独の兵器としては世界最高水準の戦闘能力を有するとされる。
セハ-01をはじめとするダイオウヨロイトビガイが持つ粒子制御器官は、周辺の粒子に電磁的な負荷をかけることで、その動きを制御したり、
内部崩壊を促すことのできる極めて特殊な器官であり、筋肉の細胞が粒子加電板とよばれる細胞に変化したものである。数千個の粒子加電板が一斉に発電し、
電気負荷を発生させることで粒子制御が可能となる。祓-零式の場合、4本の上腕の根元から先端までのほとんどが粒子制御器官である。
ダイオウヨロイトビガイは、上腕の動きを調節し、自身の周囲に電気的な力場を形成する。この力場により周辺大気中の粒子や水中の水分子の動きを制御して
気圧や水圧を急速に高め、外的への防御とする。一方、これを攻撃に転じると限定空間的な強い衝撃波となる。
2012年に龍然で行われた「南海実弾演習」においては、戦艦の発射するMk 45 5インチ砲5発と90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)2発、
ファランクスの20mmガトリング砲M61A1の攻撃全弾を着弾前に空中で防御、用意された標的の貨物船を遠隔衝撃波2発で撃沈した。
この演習により、粒子制御による防御力が、現代の火器による攻撃のほとんどを無力化可能であることを証明し、セハ-01の戦闘力を知らしめることとなった。

一方で、軟体動物であるために無制限に陸上で活動することはできず、非戦闘時には全身が隠れる水中空間が必要となる。
そのため、島国などの周辺が海に囲まれた地域であれば問題は少ないが、砂漠などの高温乾燥地帯では生命活動の維持も困難となるため、
運用可能な地域や空中航続距離はある程度限定されてしまう。逆に言えば、専守防衛を基本とする島国である龍然封や日本においては
極めて優れた防衛兵器であると言える。

仕様

諸元
全長: 約38.92m (触腕含む)
全高: 平均約5.41m
全幅: 平均約5.28m
重量: 約900kg

能力
最大速度:(航空)M2.57, 3145km/h (高々度)
     (潜航)最大0.19 ノット, 0.36 km/h
航続距離:(航空) 最大3,680km
     (潜航) 36km
実用上昇限度:機密 (非公開)
実用潜航深度:機密 (非公開)
磁場形成範囲:0.6km
連続陸上活動時間:1.2時間
最終更新:2022年05月13日 13:26