シナリオ(途中)


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「っくしゅん…あ゛ー…さみぃな。」
しんしんと降る雪。俺はコンビニで買った夕飯のおでんを片手に家に向かって歩いていた。
…家っつっても、俺が経営しているメイド喫茶なんだがな。それでも俺がそこで寝泊りしている以上家なのだ。
ふと立ち止まり、空を見上げてため息をつくと息は白く煙のように舞って消えてしまう。
「…今夜は冷えるな。」
そう独り言を零すと俺はさっさと店に向かって歩き出した。

歩きながら考える。
…俺はこんな人生のままで終わるんだろうか。
飯はコンビニ、まともな家もない、金もない。…ついでに恋人もいない。
ほんとにこのままでいいのか俺…。
(こんなこと思っちまうのは、人肌恋しい季節だからかねー…)

*此処から店内に場面が変わって

プルルルル、プルルルル…
ちくわを箸でつまんで口に入れようとしたところで丁度電話の音が店に響く。
(…ったく、こっちは夕飯中だっつの。)
渋々ちくわをおでんの器に戻すと手を伸ばして受話器を取った。
「もしもし?」
「もしもし・・・久しぶりだね。私だよ、私。」
えーっと・・・この声は
「伯父さん?」
「そうだよ。元気にしてたかい?雅紀君。」
「ん…まぁ、それなりに。伯父さんは元気?」
「あぁ、私は元気だよ。そうそう、これから海外出張でアメリカに行くとこでね・・・。」
「へー・・・アメリカ。凄いなぁ・・・。」
伯父さんはアメリカに行くっつーのに俺はこんな生活で…なんていうことが頭によぎった時だった。
「うむ。そうそう、私の息子を覚えているかい?」
「あぁ、覚えてますよ。元気ですか?」
伯父さんの息子って言ったらあの3兄弟だよな…最後に会ったのいつだったかな。
もうしばらく会ってない気がする。
「もちろん元気さ。そこでちょっと雅紀君に頼みたいことがあるんだ。」
「はい、何ですか?」
「私が海外出張に行ってる間息子たちを預かってくれないかい?」
「…え?」
「息子を一緒に連れていきたいのは山々なんだけど、どうしても無理でね・・・。」
オイオイオイ、冗談じゃないっつぅの。
こっちは貧乏で自分ひとり暮らしていくのも精一杯なのに・・・。
ここは伯父さんには悪いが言えきっぱり断らないと。俺はため息をひとつつくと口を開いた。
「伯父さん、俺にも色々事情があって・・・もうしわけ「あ、そろそろ着くと思うよ。」
伯父さんが俺の言葉を遮る。まるでお前に断る権利はないとでも言うように。
「着く…って」
「ん?私の息子だよ。いやぁ、よろしく頼むね。」
ちょっと待て、今なんつった?
そろそろ着く?息子が?
「ちょ、ちょっと待って、俺預かるなんてまだ一言も言ってないし・・・!」
「ははは、大丈夫。みんな私の素直で可愛い息子さ。・・・っと、私もそろそろ行かなくては。飛行機の時間に間に合わなくなってしまうからね。」
伯父さんは俺の言葉が聞こえてないのか・・・。しかも、今からアメリカに行くのかよっ!
こう、せめて1週間前とかに普通連絡するモンだろ!?
「伯父さん、だから俺は無理だって、「じゃ、お土産はちゃーんと買ってくるからね!雅紀君っ。See you again!」

ガチャッ。ツー、ツー、ツー・・・

俺の耳に虚しくもツー、ツーという機械音が響く。
・・・っちょ、俺に断る権利どころか言う権利も無しかよっ!
俺が受話器を電話に戻したときだった。
まさにこのタイミングを狙ったかのようにチャイム音が鳴る。

ぴんぽーん・・・

・・・これは、やっぱりアレだよな・・・。

ぴんぽーん・・・ぴんぽーん・・

・・・・・・来たんだよな・・・・・・。

ぴんぽんぽんぽーん

・・・・・・・・・・・。

「・・・っだあぁ、畜生!」
俺は顔をガバっと上げて大きく息を吐くと覚悟したように玄関に向かってドスドスと歩き出した。

・・・このときは俺はまだ知らなかった。
このドアを開けることで、大きく俺の運命が変わることなど―――


ドアを開けると大きな荷物を抱えた3人の少年が立っている。どう考えても伯父さんの息子たちだ。
「あ、こんばんは。お久しぶりです、雅紀さん。」
「あぁ・・・。」
小さくお辞儀をすると、少年はニコリと柔らかく笑みを零す。
確か、長男の純だよな・・・。
「・・・よっす。」
「・・・まさき。」
純の斜め後ろに立ってチラッと見てくるのは直。
純の腕の袖を掴んでぼんやりを俺を見つめるコイツは泉。
うん、思い出した。
3人は寒さのせいか鼻先が赤くなっていた。
・・・このまま寒い外に追い返すほどさすがの俺もそこまで鬼じゃない。
「ホラ、入れよ・・・寒いだろ?」
ドアを大きく開けると3人に入るように促した。
「はい、お邪魔します。」
「・・・します。」
「・・・。」
純が中に入るために歩き出すと直も後ろついて歩き出す。
泉は、久々に会った俺が珍しいのかまだ立ったままじーっと見つめてくる。
「・・・ホラ、風邪ひいちまうぞ。」
泉は反応遅れて何秒かしたあとコクン、と小さく頷いて中に入った。
泉が中に入るのとほぼ同時にゆっくりドアを閉める。後ろを振り向けば3人は物珍しそうに俺の家・・・もとい店内を見つめていた。
まぁ、珍しがるのも当たり前か。メイド喫茶だもんな。
可愛いぬいぐるみやレースのカーテン、ひらひらのメイド服が壁にかけてある・・・とりあえず、良く言えば乙女チックと言うべきか。
「あー・・・なんて言うかよ、その・・・」
「ふふ、気に入ったの?いっくん。」
俺が情けなくも言い訳をしようと思った矢先、純が泉の頭を撫でながらニコニコしている。
泉は無表情でどっちかっていうと引いてるように見えたのだがあれでも気に入ったらしく小さく頷いた。
まぁ、そりゃよかったと言うべきかなんと言うか・・・。と思った矢先だった。
「きっしょく悪っ!何この変態な店。」
・・・・・・・・・・ん?
「直、・・・今なんつった?」
「気色悪いって言ったんだよ。久々に会ったら変態になっちゃったんだな・・・オッサン。」
直が軽蔑するような目で見つめてくる。
久々に会ってまともな最初の一言がそれかよ!!
・・・・・っていやいや、俺は大人だ。こんな餓鬼に本気でキレてどうする。
「ははは、変態はないだろう。直。」
俺は精一杯の笑顔を浮かべながら棒読み気味に言う。
「いーや、変態だね。こんな女みてーなモンばっかのとこに男が住むなんてヘン。オカマなの?」
あははは、直・・・なかなか言うじゃないか。
「直、俺は好きで此処に住んでるわけじゃないんだぞ?仕方なく店に寝泊りしてるんだ。」
「フーン・・・父さんから色々話を聞いてたけど、メイド喫茶っていうおたくが集まる店なんだろ?そんな店をやるなんてやっぱ変態だよ。」
・・・っさすがの俺もキレた。俺は皮肉たっぷりに口端をあげてひきつった笑いを作る。
「・・・暫く見ないうちに随分と言うようになったなぁ?直・・・。そんな文句言うならなぁ、出て行ってくれても構わないんだぞー?」
「・・・言われなくても、こんな店出てってやるよ!変態のオッサンといたらどんな風にされるかわかんないもんな!!」
大きく息を吸って怒鳴ろうとした時だった、
「こらっ!なーくんダメでしょ!雅紀さんにちゃんと謝りなさい!!」
純が腰に手を当てて頬を膨らませた。直は純に怒られると思っていなかったのか目を丸くして純を見つめる。
「だ、だって・・・ほんとのことだもん!」
「めっ!」
めっ、という言葉がまるで何かの合図になったかのように直はシュン、とうな垂れた。
「・・・・・、ご、ごめんなさい。」
俺はひとつ大きくため息を漏らすと腰に両手を当てた。
(どうしたものかね・・・。)
純がふと俺にのところに近づいてくると一瞬切なげな瞳をした後頭を深く下げる。