アーキテクトとは何者か。何を身につける必要があるのか。
アーキテクトとは何者か?
- 「職業としてのソフトウェアアーキテクト」
- クライアントとビルダーを結びつける者。
- 職責として「設計」を持つ。(ビルダーの職責は「構築」のみであり、「設計」はもたない。ただし、アーキテクトにまかされた部分の設計を行うことはありうる。)
- ↑では、ビジネス要求開発やシステム要求開発までアーキテクトの責務になってしまうため、もう少し幅を狭める必要があると思われる。
現状のソフトウェア業界が持つ問題点との関連
- 職責(役割)が明確にされていないため、ビルダーやエンジニアが設計の領域に踏み込み、場当たり的な設計/構築を繰り返している。
- ビルダーやエンジニアの専門分野は技術的な部分に偏っているため、クライアントの立場を考慮した成果物を生み出しづらい。
- ビルダーがエンジニアリングや設計を、エンジニアがビルダーや設計の領域も受け持とうとしているため、職責が重くなりすぎる傾向がある。
- 現在のソフトウェア業界は、精神病患者が精神病院を運営している状態(=エンジニア・ビルダーが技術の世界に閉じてシステムを構築している状態)
具体的なアーキテクトの職責は?
設計
設計の三要素を満たすこと。
- ニーズ
- 構造
- デザイン
設計上の問題解決
構築計画の策定
ニーズ
- クライアントの要望を聞き取る
- 独創的な解決策を生み出す
- 構造に反映させる
構造
デザイン
ITSSによるITアーキテクト
職種共通スキル項目
アーキテクチャ構築
- ソリューションアーキテクチャ構築
- ビジネス要件分析、定義
- ソリューション構造の検討、作成
- 代替ソリューション分析
- ビジネス要件分析、定義
- 代替ソリューションの識別、比較
- 代替ソリューション構造の検討、作成
- 要件分析
- ビジネスゴール、ビジネス目標の把握
- ビジネス要件分析、定義、優先順位付け
デザイン
- モデリングテクニック活用
- プロトタイピング活用と実践
- ベンチマーキング活用と実践
- パフォーマンスモデリング活用と実践
- 再利用手法
- ソフトウェア部品の利用
- 先行プロジェクトの成果物利用
- 技術検証
- 規模見積
- IT 標準の適用
- データモデリンク、プロセスモデリンクの適用
テクニカル
- 技術動向
- アプリケーションに関する技術動向の把握と提言
- データサービス技術動向の基本的把握と提言
- ネットワーク技術動向の基本的把握と提言
- セキュリティ技術動向の基本的把握と提言
- システムサービス技術動向の基本的把握と提言
- プラットフォームとソリューションコンポーネントの比較
- 複数のプラットフォームとコンポーネント間の比較と最適解の決定
- システム運用技術の検証
- 技術問題解決
メソドロジ
- メソドロジの選択と適用
- 比較
- 分析
- 選定
- 適用
- 適用業務開発プロセス
- ウォーターフォール型、スパイラル型、RAD 型等の最適開発プロセスの検討と適用
コンサルティング
- コンサルティング技術
- データ収集
- データ分析
- 仮説設定
- 検証
プロジェクトマネジメント
- プロジェクト計画策定
- プロジェクト計画メソドロジの活用、実践
- プロジェクト計画の実施
- 一般的な管理スキルの活用、実践
- 製品スキルと知識の修得と活用
- 承認プロセスの把握
- 進捗管理会議運営
- 組織プロシージャの把握
- 統合変更管理
- 変更管理
- 構成管理
- プロジェクト進捗評価基準の活用、実践
- ソフトウェアエンジニアリング
- アプリケーション開発手法の活用、実践
インダストリ
- インダストリアプリケーション
- 共通アプリケーション
- インダストリ固有アプリケーション
- インダストリビジネス動向、技術動向、競業状況の把握
- インダストリ用語、関連法規の把握と活用
リーダーシップ
- 技術的方向性の設定
- リーダーシップの基本や原則の把握、実践
- リーダーシップ (一般)
- リーダーシップの基本や原則の把握、実践
- チームワークとコミュニケーションの実践
- リーダーシップ (技術チーム内)
- 目標の設定
- IT アーキテクト業務の推進
- IT アーキテクト業務の実行
- IT アーキテクト業務管理
- チームメンバとの連携
- チームメンバの動機付けと達成感共有
- リーダーシップ (技術チーム以外)
- 目標の共有
- IT アーキテクト業務の推進
- IT アーキテクト業務の実行
- 協業
コミュニケーション
- コミュニケーション (2way)
- 対話、インタビューの実施
- 意思疎通
- コミュニケーション手法の活用、実践
- 効果的な話し方、聞き方の活用、実践
- コミュニケーション (情報伝達)
- プレゼンテーション技術の活用、実践
- 公式、非公式文書の作成
- 文書表現、表現技法の活用、実践
- メディア選択
- 説得技法の活用、実践
- コミュニケーション (情報の処理)
- 状況対応能力の育成、実践
- 状況理解力の活用、実践
- ミーティング運営技術の活用、実践
ネゴシエーション
- ネゴシエーション
- 交渉プロセスの把握、実践
- 効果的な交渉技法の活用、実践
- 信頼関係の確立
- 目標の設定
- 共通利益
- 論理的思考の実施
- 問題解決手法の活用、実践
専門分野固有スキル項目
アプリケーション機能デザイン
- アプリケーション開発メソドロジ
- 最適メソドロジ選択と活用
- 適用ガイダンスの作成
- 標準化の実施
- アプリケーションデザイン
- 機能、入出力、新業務フローデザイン
- ツールの選択と活用
- 開発言語ツールの選択と活用
- アプリケーション開発ツールの選択と活用
- ライブラリ管理ツールの選択と活用
- テストの計画と実施
- テスト計画の策定
- テスト技法の選択
- テスト技法ガイダンスの作成
- テスト環境ツール選択
- インダストリ環境
- 業界別事業環境の把握と活用
- 業界別規制状況/慣習の把握と活用
- インダストリ業務内容
- 業界別固有業務内容/特性の把握と活用
- インダストリ最新動向
- 業界別最新動向の把握と活用
- 業界別システム導入事例の把握と活用
- インダストリアプリケーション設計
- 最適プラットフォーム選定
- インダストリアプリケーションデザインの実践
データ構成要素デザイン
- データ構造設計手法
- データモデリング
- データモデリング技術の適用
- データモデリングツールの選択と活用
- データの物理環境設計
- データキャパシティプランの作成
- ストレジ管理
- データベースパフォーマンス管理
ネットワークデザイン
- ネットワークストラテジの検証と策定
- ネットワークアーキテクチャの検証と策定
- ネットワーク環境の検証
- ネットワーク要件の検証と策定
- ネットワークデザイン
- トポロジ選択
- コンポーネント選択
- ネットワーク標準選択
- ネットワークデザインメソドロジの活用
セキュリティデザイン
- セキュリティ要件の把握
- セキュリティ機能、プロトコル、運用の定義
- セキュリティデザイン
- 耐監査性設計
- 機密性設計
- 可用性設計
- 完全性設計
- 識別と認証設計
- PKI
- 暗号化技術の適用
- ネットワークセキュリティ技術の適用
- その他
システム運用管理デザイン
- 情報システム運用要件の把握
- システム運用管理デザイン
- キャパシティ管理の適用
- 問題管理の適用
- 変更管理の適用
- 回復管理の適用
- 災害対策の適用
- 構成管理の適用
- インフラ設計
- エンドユーザ支援設計
- 資産管理の適用
- その他
参考文献
- 職業としてのソフトウェアアーキテクト
参考リンク
- ITアーキテクトの道