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 2004年5月27日付けではてなに書いたもの。それまで特に反響もなく細々やっていたのにこれに対してはいきなり万単位のアクセスが来ていろんな意味でうんざりした。書いた理由自体はジャーナルとPWの記事がおもしろかったからでそれ以上の意味はなかったのだが。

マンガブームがやってきた

 『The Comics Journal』#259(Fantagraphics刊)のマイケル・ディーンの手になるニュース記事「2004 - A good year to get out of the manga business」に触発されて、いろいろとアメリカでのマンガ出版の現状に関する資料を漁る。どうやらアメリカでのマンガ出版は東京ポップの成功と03年の日本ブームに乗ってそれ自体が完全に「ブーム」といえる状況にあるらしい。
 この点は出版点数の異様な増加から予測はしていたのだが、その実態は想像以上のものだ。個人的に注目すべきだと思うのはこれが完全に単行本ベースのビジネスになっていることで(アメリカでも「tankoubon」という言葉が使われはじめている)、出版点数の増加にもかかわらずコミックブックフォーマットでの日本マンガ出版はむしろ消滅しつつある(ジャンプも「雑誌」というより「アンソロジー」と捉えられている部分があるようだ)。おそらくこれは背景としてコミックス(グラフィックノベル)の書店流通が完全に一般化したことが大きく、その新しい流通経路の整備にマンガがタイミングよくのっかった格好なのだろう。しかもちょうどマンガが躍進している時期には大手の書店流通倒産に巻き込まれたダークホース、クロスジェン、ファンタグラフィックス、オルタナティブコミックスなどの書店流通でのコミック販売を拡大してきたアメリカのコミックパブリッシャーはそれぞれ大打撃を受けていた。偶然なのだろうが、出来すぎという感じもする。現象だけ見るなら、アメリカではなく東南アジアの話みたいでもある。
 ただまあ、この現象自体はあきらかにバブリーな要素が大きいので、おそらく現状の日本ブームが沈静化したら反動でまた猛烈な日本マンガバッシングがやってくると思う。問題はそうやってブームとしては終息したあと、どのような形で安定したビジネスとして着地するかだろう。
 表面的にみれば、この決断は反動的なものに思える。誰が見てもアメリカのマンガ市場は2003年の一年間におおよそ2倍にはなっている、その売り上げ増の大半は書店で起きたものである。書店は数年前まで「マンガ」などという言葉は聞いたこともなかった、それがいまや店頭にはグラフィックノベルよりはるかに広いマンガ関連の売り場が置かれている。東京ポップ一社で年400タイトル以上のコミックスを出荷しており、これはアメリカの書店で売られるコミックスとしてはマーベル、DCのどちらよりも大きな量だ。東京ポップの拡大路線は止まるところを知らず、パブリッシャーは週に10タイトルまで出版点数を増加させようとしている。マンガアンソロジー雑誌『少年ジャンプ』は発行部数三十万部と発表し、ランダムハウスも2004年春からマンガグラフィックノベルラインの開始を予定している。アニメディストリビューター、ADVは2003年末にマンガ出版を開始し、1000以上のプロパティーのアメリカ版出版のライセンス契約を取得しているという。大手のマンガパブリッシャーはほとんどが個人経営であるため正確な売り上げはわからないが、ICV2.comのコメンテーターであり、前キャピタルシティディストリビューション共同経営者のミルトン・グレップ(Milton Griepp)は2003年の小売レベルでのマンガ市場を六千万ドルから一億ドルのあいだになるだろうと指摘する。
(『The Comics Journal』#259、「2004 - A Good year to get out of the manga business?」、Michael Dean、Fantagraphics刊)

 この記事自体は『無限の住人』や『攻殻機動隊』、『ああ、女神さま』などの作品の紹介者であり、アメリカでのマンガ翻訳のパイオニアであるスタジオ・プロテウス主催者のトーレン・スミスがそれまで彼のプロパティーの出版元であったダークホースコミックスといかに袂を分かったかをレポートしたもの。「この決断」とはスミスとダークホースの分裂のこと。
グラフィックノベルのディスプレイと販売

 土曜日におこなわれたグラフィックノベル(昔ながらのコミックブックのより多様化した最新モデル)のダイナミックな世界の専門家たちの調査報告に基づくこのパネルは、急成長しているこの領域に関してもっと知りたいと熱望する知識豊富な聴衆を多数集めた。
「現在のコミックスは本当にあらゆる読者に向けたコンテンツを含んでいます」と語るカリフォルニア州バークレーのコミック専門店「コミックリリーフ(Comic Relief)」のベテラン経営者ロリー・ルート(Rory Root)はこのジャンルの本流がコミックブック形態を離れブックフォーマットへ移行したと見ている。「市場は完全に多様化しています。ノンフィクション、歴史もの、ロマンス、ウェスタン、アクションアドヴェンチャー……」
 この新しいコミックスのフォーマット全体の中でも大きな位置を占めるジャンルが「マンガ」、英語版出版のためライセンスを受けた日本のコミックである。「マンガは市場全体でセールスを牽引している」このパネルの司会者であり、『パブリッシャーズウィークリー』誌のグラフィックノベルレビュー担当ニュースエディターであるカルビン・リードは言う。
 しかし、この「グラフィックノベル」のジャンル名はアート・スピーゲルマンの『マウス(Maus』のような文学的なタイトルをも含むものである。このメディアの存在と美術的な可能性について書籍出版関係者に広く知らしめた、ピュリッツアー受賞作は現在1億ドル市場に成長したマーケットで再び注目されている。
 そして、低年齢の子供向けのコミックからヤングアダルト向けのもの、完全な成人向けのものまで非常に多様な作品がそこに含まれていることを書店員が知らないと致命的なことになる、との指摘もあった。「(書店の店頭で)しばしばこれらはすべていっしょくたにされている」コミックパブリッシャー、ドロウン・アンドクォータリー(Drawn & Quarterly)の経営者、クリス・オリヴェロス(Chris Oliveros)は語る。彼は一般書店(コミックブックショップに対するそれ以外の小売り)での彼の会社の販売実績は過去五年でまったくの0から全体の50パーセントにまで増加したという。「小売りの現場において個々のグラフィックノベルにそれぞれ異なった読者がいるのだということが理解されることが重要なのです」
 三年前書店「エリオットベイ・ブックス(Elliott Bay Books)」で「グラフィカ(graphica)」セクションをはじめたポール・コンスタンはこのときグラフィックノベルの棚づくりをする際の特殊で複雑な事情を学んだという。「私たちはヤングアダルト向けの本の売り場とマンガの売り場は別になっています。そしてヤングアダルト向けのマンガはヤングアダルトセクションのほうにいれることにしています。そのどちらにも入らない『マウス』のような本の場合、 一般の売り場とは別に作家別、ジャンル別のグラフィックノベルの売り場をつくりました。こうした書棚づくりは販売に驚くべき効果を生んでいます」そうコンスタンは語る。
 英語版日本マンガのパブリッシャー、ヴィズコミックス(Viz Comics)のセールズマネージャー、マイク・ロバーソン(Mike Roberson)は、書店側ががポピュラーなシリーズの場合、在庫が確保できるよう発注段階で特別の注意を払う必要があることを示唆する。「我々の本はシリーズが基本です」とロバーソンは語り、ヴィズは過去3年のあいだにほぼ3桁の販売成長を達成したと見積もる。「どうやって20数巻のコミックスを棚に並べればいいのでしょうか? シリーズの最初の数冊と最新巻は必ず棚に置かれなければなりません。新しい読者がはじめて新刊を読んだら、彼らは逆上って最初から作品を読みたいはずなのですから」
 グラフィックノベルの急激な成功に対し「はじめが肝心なのです」とルートはクギを刺す。その読者は十代の少年、少女から大学生、彼らの親の世代までに及ぶ。「たしかにむずかしいことですが、それぞれの本の中味を知っている人材を育てなければなりません――すべての本について。自分がなにを売っているか知ること、それがみなさんの仕事なのです」
(『Book Selling This Week』、「Live from BEA -- Day Three」、http://news.bookweb.org/news/1489.html

 2003年5月におこなわれた「ブックエキスポ・アメリカ」におけるパネル企画のレポートから。

 四冊のコミックストリップのリプリントとDCコミックスの二冊を除けば、トップ25のうち他はすべてマンガである。ダークホースのデジタルマンガ(Digital Manga)社と組んだ新しいマンガラインは好評を以て迎えられている。最初のシリーズ『ヘルシング』は過去三週に渡って8位に止まり、『トライガン』一巻は二ヵ月間の長きに渡ってトップ10圏内をキープしていた。現在もトップ10からは落ちたものの14位の高成績をキープしている。二冊目の『トライガン』は初登場22位、まだ書店への出荷が始まったばかりなので、トップ10入りは来週だろう。
 トップ100圏内でのタイトル数を比較すると東京ポップは40タイトル、ヴィズは25タイトルだが、ヴィズには2004年以降のトップベストセラーマンガタイトルとなることが確実視されている二冊が含まれている。『るろうに剣心』の一巻と二巻がそれだ。ICv2による『the new Retailers Guide To Anime and Manga』誌でのインタビューによれば、コミックブックショップの店頭では『るろうに剣心』はまたマンガによるダイレクトマーケット市場制覇の象徴のように見られているという。渡瀬悠宇の『ありす19th』二巻は少女マンガタイトルとしては最高位の5位を獲得している――このシリーズはブックストア市場ではっきりと女性読者をの支持を得ている。ヴィズの『遊戯王』三巻は今年に入って4100部以上のヒットとなっており、『犬夜叉』はトップ100位圏内に7冊が入っている。
(『ICv2.com』、「Strip Reprints, Manga Dominate Bookstore Sales Of 'Graphic Novels」、http://www.icv2.com/articles/news/4160.html

 コミックショップを中心としたコミックス、キャラクターマーケットの動向を分析するサイト『ICv2.com』の2004年1月26日付け週間マーケットレポート。なおこれはコミックブックではなく、トレードペーパーバックやグラフィックノベルなどのブックスタイルのプロダクトのセールスに関する分析。コミックブックに関してはマンガはベスト100にも入らない。『遊戯王』が発売約一ヵ月で4100部で「ヒット」と形容されているのを奇異に感じるかもしれないが、現実的には個々の部数はそんなもんである。

「私に言わせれば現在起こっていることはマンガの商業主義路線への転向だ」スミスはジャーナルに対し語った。「書店の連中はみんなそれがどんなフォーマットで、いくらなのかにしか関心がない。オレたち(ダークホースとスタジオプロテウス)が書店により大版で価格帯の高い『攻殻機動隊』のような本を置く場所がない、と訴えても、彼らの返事は『いらない』の一言だ。そこには作品に対する敬意などなにもない。長い間アメリカは最良の日本マンガしか見てこなかった。しかし、いまやそこには多くのクズが転がっている。目はしの効く書店のバイヤーなら、その二つのあいだにはっきり線引きをするはずだろう、だが私はそんな人間には会ったことがない」
 このスミスの批判に従うなら、ブックストアは好ましいフォーマットと価格ので作品のクォリティーのマンガを買い付け続け、アメリカのパブリッシャーはより安く、売れもしないマンガを次から次へと出版することになる。「そうした作品の多くはアメリカに読者を見つけられないだろう」そう彼はいう。
 マンガ市場の成長のためには方法論が必要なのだとスミスはいう。日本での成長がそうであったように、広くすべての一般読者にアピールしていくことが必要なのだと。「これまで何年もかけて私たちは堅実なマンガ市場を築きあげてきた。広くバラエティに富んだ読者――コミックファン、ノンコミックファン、女性、子どもたち――に向けて本を売ってきた」彼はジャーナルに語る。「いまのブームは『ジャパニーズ・ポップカルチャー・ファン』とやらが弄んでいるだけのものだ」
(『The Comics Journal』#259、「2004 - A Good year to get out of the manga business?」、Michael Dean、Fantagraphics刊)

 現在の状況へのスミスの批判。

 コミックスとポップカルチャーの取り引き情報を扱うニュースサイト、ICv2.comのデータによればマンガ・グラフィックノベルのセールスが2003年、驚異的なぺースで延びを見せている。同サイトのエクゼクティブ・ディレクター、ミルトン・グレップはパブリッシャーズウィークリーの取材に対し「マンガのセールスは昨年一年間で爆発的な延びを見せた。その上昇率は75%から100%に達するもので、その大部分はブックストアマーケットでのものだ」と語る。この数値とマンガのセールス(及びそのアニメからの影響)の分析はICv2.comが出版した年次レポート『The Retailers Guide to Manga』と『the Retailers Guide to Anime』にも掲載されている。
 グレップはアメリカでの2003年一年間のマンガ売り上げを約一億ドルと見積もっており、この数値には「マンガではない」グラフィックノベルは含まれていない。一般書店とダイレクトマーケットの数値を合わせた最新のレポートはまだ発表されておらず、グラフィックノベルに関する独立したレポートとともに今年春のブック・エキスポ・アメリカで発表される予定だ。
 このセールス増加のもっとも大きな要因となっているのは大手ブックチェーンでの売り上げであり、これに独立系の書店、音楽、ビデオチェーンでの売り上げが続く、「すでにこれにマスマーケット(スーパー)チェーンが続こうとしている」グレップはいう。この市場を象徴する出版社が東京ポップであり、このマーケットリーダーはおよそ350万ドルの年収を記録したとみられる。その読者の割合は60%が女性、男性が40%。これほど大きな女性読者を獲得することはこれまでのアメリカンコミックスの市場においては考えられなかったことだ。
 グレップはマンガの売り上げ増は2003年に書店の書棚スペースの増加傾向をもたらし、これが2004年の「劇的なタイトル数の増加」につながっていると強調する。東京ポップは前年比で30%のタイトル数増加を決めており、これで2004年には年500冊を出版することになる。2004年最初の四半期に既に200冊のマンガのリリーズが決まっており、ヴィズとダークホースもタイトルの増強を決め、またブックフォーマットを東京ポップと同じスタイルにすることを決めた。多数の新規参入の会社(これにはランダムハウスが含まれる)もまた多くのリリースタイトルを用意しており、また出版社たちはアジアンコミックスのバリエーションとして韓国、中国、香港へと触手を延ばしている。
 「この新タイトルの増加には懸念を抱かざるを得ないが」グレップは語る。「だが、書店の棚スペースと読者が増加を続ける限り、マンガのマーケットは健康であり、その売り上げは上昇し続けるだろう」
(『Publisher's Weekly』2/9/2004、「U.S. Manga Sales Pegged at $100 Million」、Calvin Reid、http://www.publishersweekly.com/article/CA380125.html?pubdate=2%2F9%2F2004&display=archive

 『パブリッシャーズウィークリー』の分析。ちなみに韓国や香港のコミックスと日本マンガの混同、混在はすでに起こっており、いくつかのパブリッシャーでは同一フォーマットで日本とこれらのアジア諸国のマンガを出版している。




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