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アメリカンMANGA
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「アメリカンマンガ」の背景
フレッド・ギャラガー(Fred Gallagher)の『Megatokyo』Vol.2#3(Dark Horse Comics刊)が2月20日付けの「Bookscan」の週間書店売り上げリスト「Graphic Novels」部門で第三位を獲得した。これはアメリカで制作されたマンガタイトルの売り上げとしては最高のものである。
(「'Megatokyo' Reaches Number 3」、『ICv2.com』、http://www.icv2.com/articles/home/6520.html)
アメリカにおけるいわゆる「マンガスタイル」のコミックスはじつは80年代からインディペンデントでは延々と出版され続けてきた。その先駆であり、中心的な存在といえるのがベン・ダン(Ben Dunn)のAntarctic Pressである。
Antarctic Pressは84年に創立したテキサスを本拠とする企業である。以後我々はアメリカ最大のコミックス出版社のひとつへと成長を遂げてきた。何年もの年月をかけて我々は850タイトルに及ぶ作品を出版し、その累計部数は500万部に及ぶ。我々の作品は今日のコミックスにおいてもっとも敬意を払われ、もっとも長く発行され続けているインディペンデントシリーズのひとつである。創業以来我々の目標は自分たちが出版するタイトルをユニークでかつ楽しめる、またその質と収益性の両面で高い品質を誇るものにすることである。現在出版されているタイトル群はいずれもこれらの特性を備え、また幅広い読者層にアピールしている。現在我々は自分たちのタイトルを一貫してサポートしてくれる忠実な読者によって支えられており、新たな異なるマーケットへと活動を広げる時期だと感じている。
(「About AP」、『Antarctic Press』、http://www.antarctic-press.com/html/aboutus.htm)
この会社は、その中心タイトルであるダンの『Ninja High
School』自体が『プロジェクトA子』や『うる星やつら』あるいは『Robotech』(実際に一時版権を取得して『Robotech』のコミックスの出版もしている)といった80年代の西海岸でのアニメブームで流行ったものをごった煮にしたような作品で、出版される作品が全体に日本のアニメ、マンガの模倣という色彩が強く、自分の趣味に合わないので個人的にはたいした興味を持ってこなかった。なので長いこと勝手に西海岸の会社なんだろうと思い込んでいたのだが、上の会社概要を見てもらえばわかるように実際には「ブッシュのお膝元」テキサスの会社でちょっとびっくりした。
じつは例のリヴカちゃんもテキサス在住で「なんだこりゃ」と思っていたのだが、どうもテキサスには なんかあるようだ。
その辺はとりあえずなんだかよくわからないので放り出しておくが、Antarctic Pressは割りと早い時期から『How to Draw MANGA』なんて本を出していてアメリカでの「スタイルとしてのマンガ(アニメ)絵」の普及に熱心だった。まあ、これがどの程度の影響を持ったのかはよくわからないが、90年代にはあきらかに「スタイルとしてのマンガ絵」を意識的に消化したアダム・ウォーレンや、アダム・ヒューズ、ジェイソン・ピアソン、ブライアン・ステルフリーズなどの「Gaijin Studio」組(この辺の作家はエピックやダークホース辺りで翻訳された士郎正宗や大友克広の影響が大きい)、もともと日本マンガの影響を受けている香港、台湾、韓国などの東アジア圏からのアーティスト、たとえばパット・リーやケヴィン・ラウなどがパラレルに登場してきてアメリカの「マンガスタイル」のコミックスは急激に洗練されたものになっていく。
で、おもにメインストリームのスーパーヒーローコミックスで活動していくこうした「マンガスタイル」のアーティストたちの存在とは「ほぼ無関係に」VizやTokyoPopからの翻訳は続いていて、セーラームーンやポケモンや遊戯王のヒットに呼応して部数を伸ばしてきた。おそらく『Saburina』のタニア・デル・リオやリヴカちゃんみたいなTokyoPopの女性作家たちは、年齢的に考えてもこのセーラームーン以降の「マンガブーム」環境から出てきた作家であり、ベン・ダンやアダム・ウォーレンなどとは無関係とはいえないが、流れとしてはちょっと違うところから出てきているように思う。
その「ちょっと違うところ」とはたぶんインターネットのアニメファン系のフォーラムなどに代表されるネットワークだと思うのだが、その辺はたぶん2ちゃんねるのアニメサロン辺りに私より詳しい人間がごろごろしていそうな気がする(どうでもいいが、最近1年ぶりくらいに2ちゃんねるに行って規約が変わっているのを見て、みんなよくあんなでたらめな利用規約のところに書き込む気になるなと思った)し、基本的にあんまり興味もないのでそれほど突っ込んで調べようとは思っていない。
ただ、ちょっとおもしろいなと思ったのはおそらくその辺の「アニメ・マンガファンダム」的な流れからのものだと思うのだが、「マンガの描き方」をレクチャーするサイトがいくつか出来上がり、そこからオンラインで自作のマンガを配信する流れが出来上がっていることを発見したことだ。
じつは例のリヴカちゃんもテキサス在住で「なんだこりゃ」と思っていたのだが、どうもテキサスには なんかあるようだ。
その辺はとりあえずなんだかよくわからないので放り出しておくが、Antarctic Pressは割りと早い時期から『How to Draw MANGA』なんて本を出していてアメリカでの「スタイルとしてのマンガ(アニメ)絵」の普及に熱心だった。まあ、これがどの程度の影響を持ったのかはよくわからないが、90年代にはあきらかに「スタイルとしてのマンガ絵」を意識的に消化したアダム・ウォーレンや、アダム・ヒューズ、ジェイソン・ピアソン、ブライアン・ステルフリーズなどの「Gaijin Studio」組(この辺の作家はエピックやダークホース辺りで翻訳された士郎正宗や大友克広の影響が大きい)、もともと日本マンガの影響を受けている香港、台湾、韓国などの東アジア圏からのアーティスト、たとえばパット・リーやケヴィン・ラウなどがパラレルに登場してきてアメリカの「マンガスタイル」のコミックスは急激に洗練されたものになっていく。
で、おもにメインストリームのスーパーヒーローコミックスで活動していくこうした「マンガスタイル」のアーティストたちの存在とは「ほぼ無関係に」VizやTokyoPopからの翻訳は続いていて、セーラームーンやポケモンや遊戯王のヒットに呼応して部数を伸ばしてきた。おそらく『Saburina』のタニア・デル・リオやリヴカちゃんみたいなTokyoPopの女性作家たちは、年齢的に考えてもこのセーラームーン以降の「マンガブーム」環境から出てきた作家であり、ベン・ダンやアダム・ウォーレンなどとは無関係とはいえないが、流れとしてはちょっと違うところから出てきているように思う。
その「ちょっと違うところ」とはたぶんインターネットのアニメファン系のフォーラムなどに代表されるネットワークだと思うのだが、その辺はたぶん2ちゃんねるのアニメサロン辺りに私より詳しい人間がごろごろしていそうな気がする(どうでもいいが、最近1年ぶりくらいに2ちゃんねるに行って規約が変わっているのを見て、みんなよくあんなでたらめな利用規約のところに書き込む気になるなと思った)し、基本的にあんまり興味もないのでそれほど突っ込んで調べようとは思っていない。
ただ、ちょっとおもしろいなと思ったのはおそらくその辺の「アニメ・マンガファンダム」的な流れからのものだと思うのだが、「マンガの描き方」をレクチャーするサイトがいくつか出来上がり、そこからオンラインで自作のマンガを配信する流れが出来上がっていることを発見したことだ。
ウェブを彷徨っていてそこにはマンガに関するチュートリアルサイトがないことを発見したこのサイトの創設者リオは1998年自分の『スレイヤーズ』ファンサイト『Forever Dramata』にちょっとしたチュートリアルコーナーを設けてみた。時が経つにつれ熱心な参加者たちの手によりこのアートフォームを学ぶためのチュートリアルはより使いやすくなり、2002年にリオは求めに応じて喜んで小規模なチュートリアルサイトをウェブスペースに開放した。2003年にはこのサイトは独自のウェブホスティングを求められるようになり、リオは「Eclipse Unleashed」にすべてのコンテンツをまとめ、チュートリアルを中心としたサイトをつくるのがベストだと判断した。そして以後、『MangaTutorials.com』が運営されることになった。
(「MANGATUTORIALS.COM MINI-HISTORY」、『MangaTutorials.com』、http://www.mangatutorials.com/about.htm)
この『MangaTutorial.com』は個人運営のチュートリアルサイトだが、2004年にGolden
Web Awardsを受賞しているなかなか立派なサイト。資料ページも充実していて、もちろん『サルまん』も紹介されている。
ここを見ていてちょっとおもしろいのはアメリカでグラフィック社の『マンガの描き方』シリーズが英訳されていて、しかもかなり丁寧に読み込まれていることがわかること。全体にアメリカ人にとって「マンガ絵」の表層的な模倣それ自体がひとつのハードルになっていることがわかる。
もうひとつ、リヴカちゃんも講師として参加している会員制のチュートリアルサイトが『Manga Academy』なのだが、こちらはファンサイトからのスピンオフである『MangaTutorials.com』よりはっきりいってその成り立ちがわかりにくい。どうやら『Anime News Service』</a>を制作している『Akadot』が運営しているサイトのようなのだが、この『Akadot』自体が『Digital Manga, Inc.』</a>の子会社なのである。
ここを見ていてちょっとおもしろいのはアメリカでグラフィック社の『マンガの描き方』シリーズが英訳されていて、しかもかなり丁寧に読み込まれていることがわかること。全体にアメリカ人にとって「マンガ絵」の表層的な模倣それ自体がひとつのハードルになっていることがわかる。
もうひとつ、リヴカちゃんも講師として参加している会員制のチュートリアルサイトが『Manga Academy』なのだが、こちらはファンサイトからのスピンオフである『MangaTutorials.com』よりはっきりいってその成り立ちがわかりにくい。どうやら『Anime News Service』</a>を制作している『Akadot』が運営しているサイトのようなのだが、この『Akadot』自体が『Digital Manga, Inc.』</a>の子会社なのである。
Digital Manga, Inc.(DMI)は日本と西洋の文化的な架け橋、特にanime(日本のアニメーション)、manga(日本のコミックス)およびこれらに関連したマーチャンダイズを北米のメインストリームとサブカルチャーマーケットに輸入、ライセンス、情報提供することを目的として創立された企業である。この点に関し、DMIは日本のポップカルチャーを世界市場に広げる触媒の役割を果たしていく。
(「About Us」、『Digital Manga, Inc.』、http://www.emanga.com/aboutus)
Akadotはロサンジェルスに本拠を置くアメリカと世界の観客にアニメの魅力を伝えることを目的としたエンターテインメントカンパニーDigital Manga, Inc.(DMI)によって創設された。その東京オフィスと新たなパートナーであるAnimeNewsService.comとともに、Akadotは日本から直接世界中のファンに向けて最新の情報を伝えていく。その目的は信頼が置け、まっとうで公平なかたちでアニメコミュニティーで起こったことすべてをファンに対してレポートすることだ。もっとも重要なことはAkadotがファンとアニメについてより多くのことを学びたいと考えるすべてのひとたちのための場所であることだ。そのためにもし私たちがあなたを傷つけたり、誤った情報を流していたり、おかしなことをしていた場合、どうか私たちにその旨を報せてほしい。
(「About Akadot」、『Akadot』、http://www.akadot.com/aboutus.php)
Digi Manga, Inc.傘下には他にDVDや書籍(英語版の他に日本から輸入したものを含む)、CD(これも北米でライセンスされたものと日本からの輸入盤の両方)、Tシャツやトイなどのグッズ類の販売をおこなう「Akadot
Retail」、輸入と翻訳書籍のディストリビューションをおこなう「Digital Manga
Distribution」、文芸出版大手のペンギンブックスの「MANGA」部門である「Digital Manga Publishing」の他、日本行きの「オタクツアー」をオーガナイズする旅行代理店「Pop Japan Travel」なんてものまであり(サイトでは「PJT The
Manga」というなかなか衝撃的な「マンガで描かれたツアー説明」が読める)、アニメ、マンガに関連した日本でいうオタクビジネスに関してのミニコングロマリットとでもいうべきものを形成している。
このDigi Manga/Akadotの業態を見てもわかると思うが、すでにアメリカにおけるマンガ、アニメ市場はその周辺のファンコミュニティーが収益を生み出すところまで成熟してきている。要するにどうも『Manga Academy』もこうしたファンコミュニティーのインフラ整備のために企業側によってつくられたもののようなのだ。
もちろんだからといってそこにファニッシュな情熱がないとはいえないし、企業側が提供しているサービスとしても「Anime News Service」なんか過剰としか思えないんだが(『ライトノベルめった斬り』の出版とかアメリカで紹介してどうすんだろうと思う)、私がここで指摘しておきたいのは単にアメリカでのファンのコミュニティーに対しても規模は小さいにせよ資本が動くようになってきている、ということだ。
たとえばDigi Mangaに関していえばすでに彼らはアメリカ最大の出版社のひとつであるPenguinグループと提携しているわけで</a>コミックスパブリッシャーとしては現状たいした規模ではないにしろ、総合的なビジネスとしては一段上の規模に上りつつあるとはいえる。
このDigi Manga/Akadotの業態を見てもわかると思うが、すでにアメリカにおけるマンガ、アニメ市場はその周辺のファンコミュニティーが収益を生み出すところまで成熟してきている。要するにどうも『Manga Academy』もこうしたファンコミュニティーのインフラ整備のために企業側によってつくられたもののようなのだ。
もちろんだからといってそこにファニッシュな情熱がないとはいえないし、企業側が提供しているサービスとしても「Anime News Service」なんか過剰としか思えないんだが(『ライトノベルめった斬り』の出版とかアメリカで紹介してどうすんだろうと思う)、私がここで指摘しておきたいのは単にアメリカでのファンのコミュニティーに対しても規模は小さいにせよ資本が動くようになってきている、ということだ。
たとえばDigi Mangaに関していえばすでに彼らはアメリカ最大の出版社のひとつであるPenguinグループと提携しているわけで</a>コミックスパブリッシャーとしては現状たいした規模ではないにしろ、総合的なビジネスとしては一段上の規模に上りつつあるとはいえる。
この契約は3年間の合同出版ベンチャーの立ち上げで、Penguin Group USAは最初の1年間に8から10タイトルの出版にかかわり、以後年間15から20タイトルを出版する。Digital Manga Publishingの最初のラインは2005年春に出版され、レザービル(Razorbill、ペンギンの若年層向け出版部門)が子供とヤングアダルト向けのタイトルを、大人向けタイトルをレスリー・ゲルブマン(Leslie Gelbman)が責任者をつとめるBerkley Publishing Groupが出版する。
(「Penguin Group USA Inks Deal with Digital Manga Inc. to Publish Manga for Children and Adults Penguin Group joins the manga scene by partnering with Digital Manga, Inc.」、『Akabot』、http://www.akadot.com/article.php?a=192)
TokyoPopなんかもじつはソフトバンクをはじめとする日本のベンチャーキャピタルから相当な融資を受けている「ベンチャー企業」であり(ちなみにちょっと前の「Ask John」でジョン氏が「TokyoPopは日本企業に買収されている」とかいう意味のことをいっていたのはおそらくこのVCからの融資のことを誤解しているのだろうと思う)、これはたぶんまたべつにエントリを立てると思うが、Studio IronCatやCentral Park Mediaといった旧来型のファンパブリッシャー的な経営をしてきたパブリッシャーがおかしくなっていく中で、Digi MangaやTokyoPopが「企業として」伸びていっているのはなにか象徴的な気がしなくもない。
要するに「投資の対象になる」ほど成長しているアメリカのマンガ市場では逆に「企業として」ビジネスをおこなうことが求められ始めているのではないか? ということだ。ま、この辺はっきりいって経済の話とか暗いうえにTokyoPopは決算情報まったく公開してないのでよくわからない要素てんこ盛りなのだが、現実にVCから金引っ張ってこれている以上、「アメリカでのマンガ出版は儲からない」という話自体がもう過去のものだとはいえると思う。
要するに「投資の対象になる」ほど成長しているアメリカのマンガ市場では逆に「企業として」ビジネスをおこなうことが求められ始めているのではないか? ということだ。ま、この辺はっきりいって経済の話とか暗いうえにTokyoPopは決算情報まったく公開してないのでよくわからない要素てんこ盛りなのだが、現実にVCから金引っ張ってこれている以上、「アメリカでのマンガ出版は儲からない」という話自体がもう過去のものだとはいえると思う。
「LiveJournal」に見るアニメ、マンガコミュニティー
これから書くことはおそらくうまくまとまらないだろうと思う。
正直いって私の手には余るからだ。
最近のいくつかのエントリでいちおうアメリカで「マンガ」の描き手が商業的に必要とされ始めてきた経済というよりビジネス的な背景と新たな流通としてのウェブコミックスの存在について、不完全もいいところのたどたどしい書き方で書いてみたわけだが、そのさらに背後にあるアニメ、マンガファンのコミュニティーについてもちょっと書いておこうと思う。
といっても日頃から注目して向こうのアニメ系のフォーラムを読んだりはしていないし、そもそもアメリカのBBSフォーラムはインターフェースが最悪に使いにくくて大嫌いなのでコミックス系のフォーラムすらろくに行っておらず(『Millarworld』すらリンク経由でしか覗かない)、おそらくきちんとリアルタイムで読んでいてその手の情報に詳しいひとから見るとかなりしようもない話に終始するだろうと思う。申し訳ないが、あらかじめお断りしておく。
そもそも私がこの手のものが「これはえらいことになっている」と本気で関心を持ったのはリヴカちゃん経由で『LiveJournal.com』内のコミュニティーに触れたからである。
LiveJournalはブログホスティングを中核に据えた一種のSNSで、mixiなどと違ってユーザーがオープンにしているものであればアカウントユーザー以外もブログ自体は読むことができるが、コメントやユーザーが非公開にしているエントリは該当ユーザーと「friend」にならないと書いたり読んだりすることができない。また、LiveJournalユーザーは自身のブログとはべつに自分の好きなテーマについての「community」を立ち上げることができ、既存のコミュニティーのメンバーとなることでそれらに投稿できるようになる。
システム上はいちおう中途半端な日本語対応はなされていてHelpや解説の一部を日本語で読むことはできるが、それは飽くまでもごく一部に過ぎず、基本的には英語のサービスである。
で、まず一驚したのはこの「community」がえらいことになっていたからだ。
たとえば「コスプレ」をテーマにした「cosplay* cgs」、やおいテーマの「yaoi's Journal」どころか男性向けやおいコミュニティー「Yaoi For Guys」なんてものまであり、他にも「Yuri Community」、「Hentai Bliss」など百花繚乱、まったくなんだかわからないものを含め「anime」に関連するcommunityだけでこんなにある(「manga」はこちら)。
はじめてこれを見たときの私自身の率直な感想は「なんだこりゃ?」である。
おそらく「LiveJournal」がこういう状況を呈した理由はなにかあるんだろうが、前述したようにフォーラム系の情報は詳しくないのでその辺はまるでわからないし、ちょっと私の能力ではその辺の経緯について調べがつくとも思えない。ただもう、結果としてのアニメ・マンガコミュニティーの群れを見て唖然としているだけだ。
さらに驚いたのはこの『LiveJournal.com』ではじつに多くのコミックスアーティストやパブリッシャー、編集者が「実名で」ブログを運営していたことだ。特にそのSNSとしての性格からか「マンガ」系のアーティストが非常に多く。LJユーザーだけでちょっとした「アメリカンマンガアーティストWho's Who」の様相を呈している。
以下いくつかアメリカンマンガ系のLJ注目ブログとその書き手を紹介してみる。飽くまで私が目を通した範囲、興味を持ったものの中からのチョイスなので、たぶんもっととんでもないものがいくつも埋もれているだろうと思う。
正直いって私の手には余るからだ。
最近のいくつかのエントリでいちおうアメリカで「マンガ」の描き手が商業的に必要とされ始めてきた経済というよりビジネス的な背景と新たな流通としてのウェブコミックスの存在について、不完全もいいところのたどたどしい書き方で書いてみたわけだが、そのさらに背後にあるアニメ、マンガファンのコミュニティーについてもちょっと書いておこうと思う。
といっても日頃から注目して向こうのアニメ系のフォーラムを読んだりはしていないし、そもそもアメリカのBBSフォーラムはインターフェースが最悪に使いにくくて大嫌いなのでコミックス系のフォーラムすらろくに行っておらず(『Millarworld』すらリンク経由でしか覗かない)、おそらくきちんとリアルタイムで読んでいてその手の情報に詳しいひとから見るとかなりしようもない話に終始するだろうと思う。申し訳ないが、あらかじめお断りしておく。
そもそも私がこの手のものが「これはえらいことになっている」と本気で関心を持ったのはリヴカちゃん経由で『LiveJournal.com』内のコミュニティーに触れたからである。
LiveJournalはブログホスティングを中核に据えた一種のSNSで、mixiなどと違ってユーザーがオープンにしているものであればアカウントユーザー以外もブログ自体は読むことができるが、コメントやユーザーが非公開にしているエントリは該当ユーザーと「friend」にならないと書いたり読んだりすることができない。また、LiveJournalユーザーは自身のブログとはべつに自分の好きなテーマについての「community」を立ち上げることができ、既存のコミュニティーのメンバーとなることでそれらに投稿できるようになる。
システム上はいちおう中途半端な日本語対応はなされていてHelpや解説の一部を日本語で読むことはできるが、それは飽くまでもごく一部に過ぎず、基本的には英語のサービスである。
で、まず一驚したのはこの「community」がえらいことになっていたからだ。
たとえば「コスプレ」をテーマにした「cosplay* cgs」、やおいテーマの「yaoi's Journal」どころか男性向けやおいコミュニティー「Yaoi For Guys」なんてものまであり、他にも「Yuri Community」、「Hentai Bliss」など百花繚乱、まったくなんだかわからないものを含め「anime」に関連するcommunityだけでこんなにある(「manga」はこちら)。
はじめてこれを見たときの私自身の率直な感想は「なんだこりゃ?」である。
おそらく「LiveJournal」がこういう状況を呈した理由はなにかあるんだろうが、前述したようにフォーラム系の情報は詳しくないのでその辺はまるでわからないし、ちょっと私の能力ではその辺の経緯について調べがつくとも思えない。ただもう、結果としてのアニメ・マンガコミュニティーの群れを見て唖然としているだけだ。
さらに驚いたのはこの『LiveJournal.com』ではじつに多くのコミックスアーティストやパブリッシャー、編集者が「実名で」ブログを運営していたことだ。特にそのSNSとしての性格からか「マンガ」系のアーティストが非常に多く。LJユーザーだけでちょっとした「アメリカンマンガアーティストWho's Who」の様相を呈している。
以下いくつかアメリカンマンガ系のLJ注目ブログとその書き手を紹介してみる。飽くまで私が目を通した範囲、興味を持ったものの中からのチョイスなので、たぶんもっととんでもないものがいくつも埋もれているだろうと思う。
『Wirepop』でオールカラーのファンタジー作品「Fantasy
Realms」を連載中のアーティスト、ニコ・ゲイヤー(Niko Geyer)の日記。じつに達者な絵を描くひとで、この作品自体ImageかDevil's Due辺りで出版されていてもまったくおかしくない完成度の作品。他にもCafepress.comのサービスを使ってBUTSUというブランド名でオリジナルプリントのシャツを売ったりしていて、じつに積極的にネットワークを利用しているクリエイターである。「Fantasy Realms」のライター、クレイ・ガードナー(Clay Gardner)はTRPGを中心としたコンテンツ制作会社「Wise Turtle Publishing」の代表で、「Anime」をテーマにしたTRPG(……この時点でなんだかよくわかりませんが)『OVA』シリーズを発売していて、こちらのイラストもニコ・ゲイヤーが担当している。オフィシャルサイトは『nikogeyer.com』。
TokyoPopの第二回「Rising Star of Manga」コンテストでグランプリを受賞し、すでにデビュー作『Peach
Fuzz』第一巻がリリースされた作家リンゼイ・シボス(Lindsay Cibos)の日記。作者名はジャレッド・ホッジス(Jared Hodges)と連名だが、この相棒は主にトーンワークなどが担当らしく、実質的にライトとアートは彼女がやっているようだ。『Comic Book
Bin』のインタビューも彼女が単独で受けている。9歳の少女とそのペットのフェレットを主人公に彼女たちの日常のドラマを描くこの作品は完全に日本の少女マンガそのもので、TokyoPopから今年デビュー予定のアメリカ人少女マンガ家軍団のトップを飾るクリエイターである。実際にフェレットを飼っているらしい。公式サイト『The Art of Jared Hodges and
Lindsay Cibos』。
こちらもTokyoPopからデビュー作『Dramacon』を発表予定の新人アーティスト、スヴェトラナ・クマコヴァ(Svetlana Chmakova)の日記。彼女も『Wirepop』で「Night
Silver」という作品を連載中。サイトでは日記マンガも読める。カナダ国籍のロシア移民で、経歴を見るともとはアニメーターらしい。作品も達者なものだが、メガネっ娘でツインテールというルックスがすばらしい(w 公式サイトwww.svetlania.com。
日本の少女マンガ家氷栗優(すいませんよく知りません)と組んでオリジナルのファンタジーマンガ『The Almost
Legendary Shannon』(日本で先行発売予定らしい)を発表予定のライター、オードリー・テイラー(Audry Taylor)の日記。リヴカちゃんの日記のコメントで知った人物だが、非常に頭の明晰なお姉さんで、書いてることもとてもクレバー。ひそかにファンになった(w プロジェクトの都合でしょっちゅう日本に来ているらしく、日記にはコミティアやワンフェスのレポートが載っていたりする。マンガのプロジェクトに関する詳細はJade
Magazineのインタビューが詳しい。日本で報道されているかどうかは知らない。
とおるさんのブログ経由で知ったすげー特殊な(w タイトルばかり出してるコミックパブリッシャー『Radio Comix』のパブリッシャー兼エディター・イン・チーフのエリン・ウィンクラー(Elin Winkler)の日記。なんつーかコミックスどうこうというより、肝っ玉姉さんの日常って感じ。オレ、あんまRadioに愛ないしな(w
先日業務停止になった『花右京メイド隊』や『ふたばくん、チェンジ!』など微妙なラインのマンガの英訳版ばかり出していたコミックパブリッシャー『Studio Ironcat L.L.C.』の社長、スティーブン・ベネットの日記。ここはアメリカ産マンガでは一番人気の『MegaTokyo』のもともとの出版元であった会社でもある(現在の版元はDark Horse)。とりあえず業務停止決定前後の赤裸々過ぎてヤケクソ気味の日記が非常におもしろい。業務停止になった事情も漠然とわかる。
TokyoPopから出版予定のデビュー作準備中のオーストラリアン・チャイニーズの作家、クィーニー・チャン(QueenieChan)の日記。このひともリヴカちゃんとこのコメントで知ったのだが、おもしろいのはこのひと、実作者であると同時に研究者もやっている点で、メルボルンでおこなわれたマンガシンポジウムで「Adopting Manga: From
Hong Kong to America」というスピーチをおこなっている。彼女も『WirePop』組で「Block6」というホラーコミックスを連載。アニメや少女マンガからの影響の強い他の作家とはちょっと毛色の違う劇画っぽいタッチが印象に残る描き手である。公式サイト『QueenieChan.com - Online
Manga and Comics』
見てわかるように基本的にリヴカちゃんの日記から『Wirepop』辺りを経由していろいろ見つけていった感じなのだが、実際には順番はおそらく逆だったのだろうと思う。見ている感じでは住んでる場所もバラバラな女性を中心としたアメリカンマンガの作家たちが互いにLJでブログをやってることによって現在進行形で横のつながりをつくりつつある、という印象だ。その意味でも今後LiveJournalというメディアは注目すべき存在だと思う。
私自身、これを「ムーブメント」といえるほどはっきりした感覚はまだつかめないのだが(まあ、作品自体が出始めたばっかというのもあるし、ちょっと対称が膨大すぎて現状持て余しているのもある)、ちょっとこれはおもしろいかもしれないと思っている。
なお、TokyoPopの「Rising Star of Manga」コンテストの受賞者に対してはかなりの数を『Comic Book Bin』でインタビューしているので、キチンと読めばまたいろんなことがわかるだろうと思う(ということはつまりきちんと読んでないわけだが)。
ついでに、これはLiveJournalとは関係ないが『Wirepop』で見つけたアメリカで活動する日本人作家のサイトを紹介しておく。
私自身、これを「ムーブメント」といえるほどはっきりした感覚はまだつかめないのだが(まあ、作品自体が出始めたばっかというのもあるし、ちょっと対称が膨大すぎて現状持て余しているのもある)、ちょっとこれはおもしろいかもしれないと思っている。
なお、TokyoPopの「Rising Star of Manga」コンテストの受賞者に対してはかなりの数を『Comic Book Bin』でインタビューしているので、キチンと読めばまたいろんなことがわかるだろうと思う(ということはつまりきちんと読んでないわけだが)。
ついでに、これはLiveJournalとは関係ないが『Wirepop』で見つけたアメリカで活動する日本人作家のサイトを紹介しておく。
『Wirepop』で「Risuko's American
Nikki」を連載中のchihiroこと喜多川あゆこさんのサイト。日本語サイト『CH2I2rO
COMICS』もある。「日本に帰りたい」みたいなことがプロフィールに書いてあったりしますが、よくわかんないけど、こういうひとは応援したいのでめげずにがんばってください。