16話

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くそっ……! どうしても振り切れねえ! 何とかならねえのか? とりあえず蒼樹たちに連絡だ。 …と携帯を取り出したとき、怪訝そうに俺たちを見ている何人もの通行人に気付いた。 ああもうっ!俺は悪くねえ! ……いや、 これ使えるんじゃないか? 「おい、先生」 「何だ」 「通行人が見てる。きっとあんた、俺のストーカーみたいに見えてるぜ」 「なっ……!」 咄嗟に顔を真っ赤にして立ち止まる真枝(先生)。 今だっ! スピードアップする俺。 「もう追いかけてくるんじゃねえぞー」 賭けてもいい。今奴は周囲の人にストーカー扱いされてる。 これならいくら特殊能力があろうと無駄だぜ! ざまあみ―― 目の前を横切る影。 それは瞬く間に人の姿――恵へと形を変えた。 「……逃げちゃだめ」 ……。 挟み撃ち、ね…… 小5体型のこいつにはさっきの手も使えねえし。 「観念しなさい」 いつの間にか立ち直った真枝も追いついてきた。 なんかもう……いいよ。うん。 俺は大人しく蒼樹の家まで引きずられていった。 「ここね」 結局そのまま着いてしまった。 横に立つ恵に耳打ちする。 「なんで逃がしてくれなかったんだよ」 「……貴方に着いていけば石居くんが釣れるから」 なるほどね… そりゃそうだよな。 「つかお前らあんなにおおっぴらに特殊能力使っていいの?」 「……記憶改変」 分かったよ。訊いた俺が悪い。 なすすべもなく、真枝がインターホンを押す。 「はーい…やっと来たねハヤト。両手に華じゃん…ってええ!?」 石居が後ずさる。 「ど…どういうことだよ!?」 「すまん。力不足だった…」 「石居大河。今日こそ貴方を八つ裂きに――」 手を振り上げた真枝を、 「……だめ」 恵が制する。 「……ここ、蒼樹さんの家だから」 「……」 手を下ろす真枝。 その時、後ろのドアが開いて、エプロン姿の蒼樹が出てきた。 「ほら皆上がって上がって。お茶入ってるよ」 ←[[15話]] [[17話]]→

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