17話

なぜだ…なぜこんなことになっているというんだ…
俺達同盟と恵と真枝……
敵同士の俺達が今、卓を囲んでお茶をしているなんて…!!
やばい、真枝めっちゃこっち睨んでるよ。やばいやばい、マジおっかない。

なぜこんな状況で俺と石居が生きているかというと、つまるところ蒼樹のおかげだ。

どうやら真枝は俺達「3人」が同盟ということを知らず、そんな一般人の家で「格闘」になれば、記憶は消せても家に痕跡が残ってしまうと考えているようだ。

それを真枝に教えたのは恵…。恵は多分蒼樹もグルだと知ってるはず。
恵だって石居を捉えるチャンスだというのに、どうして後手に回るような真似を…?

それが気にかかってずっと恵を観察していると、それに気づいた恵はコップを下ろし、蒼樹に向かって言った。
「……お茶、おいしいですね。…あなたが淹れたの?」
はあぁあ!?この状況の第一声それかよ!?なんてエアーブレイカーやコイツ…!
「え、、えぇえ、そ、そうだけど?」
不意を突かれた蒼樹の対応も空々しすぎる!…ん?今テーブルの下で何かいじってなかったか?

「…………」
恵は何も言わないのかよ!

場をつなぐために蒼樹は真枝に言った。
「え、ええと、真枝先生はどうしてこちらに?」
「一ノ瀬の家に家庭訪問に行ったんだがなあ。コイツが逃げ出して。それを追い掛けていただけさ。」
「な、なるほど…」

また沈黙が続く…
と、思いきや、次にその沈黙を破ったのは…俺だった。
「うおわっ!?」
情けない悲鳴で。
全員からの注目を浴びる。ハズい…

「なんだ、ケータイか…。」
メール。…!送信者は蒼樹!さっきのか…。

「あ…アリスからメールがきました。ちょっと失礼しますね。」
そう言って携帯を開く。

「妹さんか。急に飛び出していったから心配してるんだな。早く帰ってやったらどうだ?なんならわたしが送ってやるぞ?」
コイツ…俺と石居を一網打尽にする計画から各個撃破に切り替えてきやがったな!
「いやあ、結構です…。」

本文を確認する。この状況で蒼樹は何を…?

『何らかによって直接通達出来なかったときのためにこのメールを作成しておくね。
私が考えたいい案ってのは…』

その先を読んで俺は彼女の頭の良さを思い知らされることとなる。


最終更新:2012年04月22日 13:28