アリスの日常:前編


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「あぁ~よく寝た。」

目を擦りながらあくびとともに言う。私の名前は針井遊(はりいゆう)。ギリシャに留学中の女子中学2年生、ある一つの点さえ除けば普通の女の子だ。

「ほら、アリス、起きて。」
「うぅ~。」

ベットから降りて下に寝ているアリスを起こす。アリスとは同じ部屋で寮生活をしている。

「あと…五時間。」
「ほら、そんなこと言ってないで、遅刻…は絶対しないけど、学校行こ。」
「寒い~。」

アリスは基本的にきっちりしたいい子なのだが、朝だけはすごく弱い。夜は十時に寝ているのになぜこんなに起きられないのか、いつも二時過ぎに寝る私にはわからない。

「ユウ~。」

可愛いやつだ。時々、女なのにときめいてしまうことがある。

「…早く起きなさい!」
「うぎゃっ!」

体に巻きつけていた布団をひっぺ返して、アリスをベットの外に落とす。

「ほら、早く行こう。」
「…わかった。」

こうしてまたアリスとの一日が始まる。



「ユウ、今度の休日どっかで遊ばない?」
「今度って…明明後日か。いいよ。」
「どうせなら乱も誘おうよ。」
「じゃあ前日に話し合おうか。」
「うん。」

登校途中…と言っても寮から校舎までの数百メートルの道を話しながら歩いた。
すぐに校舎、教室に着く。

「乱、次の休日空いてる?」
「え?う~ん。多分大丈夫じゃないかな?」
「よし、じゃあ遊ばない?前日に行く場所とか決めて。」
「わかった。また言ってね。」

彼女は数江乱(かぞえらん)。つい最近留学してきた女の子だ。彼女もまた私達と同じくある一つの点さえ除けば普通の女の子である。ただ彼女に関しては…。

「こら、ユウ!」
「痛ぁ!酷くない、回し蹴りって!」
「私の前で迂闊に変なこと考えるからいけない。」
「朝から能力使う!?」
「昨日ちゃんと早めに寝たから体力あるんだよ。アリスを見習いなよ。アリスは心を無にして私と喋ってたんだよ。」
「それはそれでおかしくない!?」

アリスはニコニコしている。…あざとい。もしかしなくても能力使っていたのに気づいていたんだろう。
能力というのはよくわからないが、生まれつきあるいは後天的に謎の力、例えば未来予知とか心を読むとか…物理的なものはないけど第六感的なもののこと。乱は心を読むことができる。日本の妖怪で言えばさとりだ。

「ユウは何で脳内が説明口調になってるんだよ…。」
「だから読まないでってばー。」

ちなみに私は精神を混乱させることができる。具体的な操作は無理でも快不快を操ったりはできる。ただ色々使うには制約がある。

「ユウ、乱、授業始まるよ。」
「アリスはずるい、アリスも読まれるべきだ!」
「雑念が多いユウは読まれやすいんじゃないかな?」
「うぅ…。」

アリスはこういうときひどい。でも可愛い。アリスの能力は私も知らない。何でも未来予知の親戚みたいな能力らしいけど詳しいことは教えてくれないし、乱にも読めないらしい。

「授業の前に一ノ瀬、国際電話だ。職員室行ってこい。」
「え?あ…はい。」
「何か心当たりある?」
「何だろう…とりあえず行かなきゃ。」

アリスが教室から出ていく。

「では授業を始める。昨日の…。」
「何だろうね、国際電話って。」
「さあ…?お兄さんに何かあったのかも。」
「ああ…そうかもね。でもそれだとあんまり良くはないね…。」
「まあね…。お父さんから連絡とかないの?」
「…ちょっと前から音信不通。」
「え…そうだったの?」
「まあ…大丈夫だと思うんだけど…。」

アリスには高校生のお兄さんがいる。奇妙な偶然で、私のお父さんはアリスのお兄さんの担任をしているのだ。それのお陰でアリスとは一番に仲良くなった。

「おい針井。前向け。」
「あ、は~い。」

ちなみにこの学校は能力を持つ人の専門学校。能力実習の授業や、他には能力を持つ人向けの就職に有利な制度があったりする。能力を持つ人の交流用でもあるらしい。

(お父さんも心配だけど、アリス大丈夫かな…。)

普通学校向けに国際電話など来ない。公的な連絡かよっぽどの時だ。実際私も親の死を知らす連絡用で呼ばれた人を二人知ってるだけだ。
そして私の心配は残念ながら的中してしまうのだ。


中編