『双月、最強、激突』
水文明の都市。
あの時のまま……変わらない。
彼女は出会ったあの場所に……
「早かったな……まぁいい」
彼女は刀、ムーンライトを抜いた。
「ルナさん、何で――」
「私と戦ってくれ」
彼女はただそう言った。
風を切り、ムーンライトの切っ先が目の前に向けられる。
戦わなきゃ、そう感じた。
ムーンも、ムーンライトを構える。
双月の戦いが始まった。
2人の実力は互角だった。
私は、ただひたすらに強くあろうとした。
でも、私にはもう、時間が無かった。
私は知りたかった。
私の、最期の時間に、私がどれほど強くあれたのか……
それを知るため、私の知る最強と戦いたかった。
本当に私は強くなれたのか?
互角だった戦いは、長くは無かった。
ムーンは激戦の末、ルナのムーンライトを弾き飛ばした。
あの時とは、違った。
「お前の勝ちか……」
「散るのならば、最期は戦場で散りたい」
ムーンは分かっていた。涙が止まらなかった。
彼女が思っていることは分かっていた。
「私を斬ってくれ」
もう覚悟はしていた。
「ルナさん――」
ムーンのムーンライトが彼女を貫いた。
「誇ってくれ……私と戦ったこと。私に勝ったこと…を」
ムーンは涙を流しながらも、決して彼女の死から目を逸らさなかった。
「ありが……と…う」
彼女は微笑んでいた。
この満月の夜。彼女は散った。
最終更新:2009年12月25日 22:59