イザヨイに案内されて図書館に案内されたデギア。
「これは…」
デギアがまず驚いたのはその蔵書量。
昨今、水文明において情報の管理などはすべて電子データを使う。
いまどき紙を使っている文明など、他文明にもいるのかすら怪しかった。
イザヨイに促されノーレッジの向かいに座るデギア。
一方、ノーレッジは相変わらず本を読んでいる。
「…私は」
自己紹介をしかけたところでノーレッジが制止の合図。そして口を開いた。
「サイバー・XD・デギア。未来を見据えた戦術眼の噂はかねがね聞いてるわ」
ノーレッジは読んでいた本を閉じ、デギアのほうを向く。
「ここを訪れたということは、あなたにも見えたのね。超次元から訪れる、新たなる脅威がもたらす暗黒の未来を」
「…あなたにも?」
「そう」
ここでノーレッジは椅子から立ち上がり、暗がりに向かって歩き出す。
「エミリアにはすべてが見えていた。でも、自分にはどうする事も出来なかった。だからあなたが来るのを待っていたのよ。これを託せる、あなたが来るのを」
そういってノーレッジが暗がりの一部をつかみ、一気に引っ張る。
「!!なんと!!?」
布の下から現れたのは、図書館を占拠しそうなくらい、巨大なクロスギア。
搭乗して使うと思しきこのギアには、たくさんの兵器が搭載されていた。
「魔兵装ディメンジョン・クラッシャー。エミリアがみた敵の特徴を可能な限り調べ、この館の技術で可能な限り弱点となる兵装を開発、クロスギアとしたわ。デギア、このクロスギアは、使い方を間違えば搭乗者を殺しかねない。それでも、使う?」
デギアはその禍々しいクロスギアを見つめていたが、
「…ああ、使う。私の命でこの星が救えるなら、安いものだ」
「なら、たのんだわよデギア。この星の未来を…」
そして魔兵装を受け取ったデギアは、スカーレット・マンションを後にした。
「…お嬢様、これでよろしかったですか?」
「ええ、上出来よ。…ノーレッジがちょっといらないことまで喋ったのが誤算だけど」
最終更新:2011年02月23日 14:45