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遠い遠い昔。

古代の赤い太陽が輝いている。

青空の下、広大な海洋に囲まれた中央五大陸はもう四半世紀もの長い間、戦いの狼煙は上がり、死と炎が連鎖して止むことを知らない。
そして、光文明開発宮殿《アールスヴェリ・クリスタル》内部では、「終末の聖霊王」と呼ばれる兵器が作られていた。
それがどんな結果を起こすのかも分からずに。


黄昏の黄色い太陽が輝いている。

終末の聖霊王の力は全てを飲み込んだ。光文明すらも。
その原因は……だった。
腕が一振つ振られるだけで、夜空の星に匹敵するほどの生命が、死んだ。
脚が一歩進むだけで、五文明はの技術が喪われていく。
かくして、三日三晩で全ての生命は死に絶え、その偉大な建築物も大陸と共に海に沈んだ。
その後に続いて、終末の聖霊王も、力尽き、海に堕ちていった。

数万年、時は流れ続けた。

その混乱期に幾つもの帝国が興っては覇権と権力とを捲って争いが起き、敗国は統合されて滅び、統合した国は大帝国となった。
だが、その大帝国も時との長い戦いに敗れては崩壊した。
海から突き出た幾つもの、先史を伝える尖塔もまた時と共に老朽して、ある塔は折れ、またある塔は遥かな風雨の間に消え去った。

西の大陸では、大陸の沈没から逃げ切れた生命が新たに文明を起こし、平和な時代を迎えている。
間も無く、争いの時代が来ると知らずに。

一方、北方大陸では内地の奥にて、選ばれた生命が閉鎖空間の外へ出た。
初めて見る太陽を眩しそうに眺め、外界の樹海を見渡す。
時は満ちた。彼らは開拓者として、始祖として過酷な外界に生きなければいけない。
北方大陸の歴史は始まったばかりである。


今、太陽は赤く輝いている。

その光は、光文明中高度天空要塞「ロイヤリティー」の滑らかな表面を照らし出す。
「神祈! あれは予想外じゃった! 資産もない我々に、何が出来ると! 何が黎明の神羅だ!!」
遥か遠くの地では、《黎明の神羅》が蘇り、その力で世界は永遠の暁を見ていた。
東の空を動かない太陽―蒼くならない空―黄色く照らされる世界。
そんな異様な景色に、老師は気が狂いそうだった。
「老師! お言葉ですが、これも運命の思し召しでございます!」
「運命だと! そんなものは信用せん! 正義が全てだ! よって、神祈は悪だ!」
外を指差し、檄を飛ばしていた老師の脳裏に、ある考えが浮かんだ。

「終末…だ」
「…? まぁ、この景色は確かに終末的というか、そうですけど…」
「馬鹿者! そっちの終末では無い! X-FILE000aの方だ!」
「あれは老師! あれは封印されたはずだ! 貴方も見ただろう! 終劇の精霊の暴走を!」
―終劇の精霊グランド・フィナーレ。
光文明の最終兵器の一つで、《アンノウン・エンジェル計画》により、X-FILE000aに記されている数多の《終末兵器》コードの一つから生み出された。
その力はリミッターを外した状態で一月暴れられれば、この世界の全てを無に帰すことが出来るとも言われていた。
だが、突然の暴走により、それによる多くの命が失われた後、ナイトとサムライの連合軍の攻撃によって行動を停止、今は遥か北西の、極西砂漠の砂の中に永遠に埋もれている。
しかし、この暴走により、火は大要塞を、自然は世界樹を、光自身は天空都市を、水は遺跡、闇は地上都市を失った。

その悲惨な暴走に、光文明が出した答えは、「アンノウン・エンジェル計画の停止と破棄、及びX-FILE000aの封印」だった。
その後、光文明は火と闇文明から怒りと復讐の報復を受ける事となる。

「ふん! 終劇の精霊が暴走したからと言って、他の精霊も暴走すると決めつけるのか?
あの計画は停止・破棄されはしたものの、途中まで作られていた他の精霊を破壊することは無かった! そして、その精霊を眠りから覚ますかは、我々の手に委ねられている!」
「…? 意味が分かりません、老師。破壊されなかったのは知っていますが、眠りから覚ますって…」
「忘れたか? あの計画が頓挫したあと、その管理は我々ジャスティスに移されたことを!」
「! …まさか老師…貴方は…!」
ニヤリと笑うその眼の奥には、笑みなど無い。あるのはただ、狂気のみだった
「あの計画は、我々の中で極秘裏に進められていたのだ。完全に忘れておったぞ…はっはっはっはっは、ひゃっはっはっはっは!
そして精霊を動かすかどうかが、ジャスティスの長たる我にあることも忘れておったぞ!」
「何だって!? やめてください! 終劇の精霊の悲劇を見たでしょう! 貴方も!」
「うるさい! この事態を前に悲劇も喜劇もへったくれもないわ! 《管理プログラム》を始動!」
声に反応してコントロール・ルームの画面が緑色に変わり、《ジャスティス管理プログラム》の文字が画面を覆い尽くす。
「やめください老師! こんなの正義じゃありませ…」
次の瞬間、閃光が走ってその肉体を包み、黒焦げになって、瞬く間に塵埃となって消えていった。
「世界の正義を管理するジャスティスで一番偉い我は、即ち世界の正義なのだ! 故に我に意見する者は悪なのだよ! 《アンノウン・エンジェル計画管理システム》へ進み《精霊起動プログラム》を出せ!」
画面は赤く染まり《注意》と《極秘》の文字が数回点滅したあと、画面に《精霊起動プログラム》の字が現れる
「全精霊を《起動》せよ!」

『精霊起動 精霊起動 既ニ起動シテイル「終劇」コードト欠番コード「仮称:K」ヲ除ク、 「薄暮」「神威」「啓示」「月光」「剣滅」「興亡」「宿命」「三叉路」「順応」「追憶」「天衝」「崩壊」「咆哮」「魔核」「末代」15コードヲ起動シマス。』

その頃、ロイヤリティー下部のあるフロア。
暗い闇の中、石の如く鎮座する15のカプセル。
その中の一つ「崩壊」と書かれたカプセルの棺のような扉が動き、ゆっくりと開き始めた。
開いたカプセルから赤黒い生物が出てゆく。
「っち…ここは? 俺様は誰だ?」
その時、強い憎しみに襲われた。
それは、眼前にある6つのカプセル。
「《啓示》《月光》《宿命》《順応》《追憶》《天衝》…… イラつく文字だな。
目障りだ。壊れろ」

「崩壊」が手を向けた瞬間、ロイヤリティー下部のあるフロアの半分が一瞬の内に吹っ飛んだ。
だが、その力が完全に発揮出来なかったこと、そしてカプセルに予想以上の強度があった為、6つのカプセルは壊れず、世界の各地に散らばっていった……。

【続く】