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軽度三角頭蓋の歴史

 1994年に沖縄県立那覇病院の脳外科医 下地武義医師(*)は典型例に近い三角頭蓋(※)の患児【2歳男児】について形成目的で手術を行った。すると手術後しばらくして、同患児が持っていた発達障害(有意語が無く多動)が改善したとの報告を母親から受けた。また、経過観察をしていたその弟も同様に2歳時に手術を受けたところ、同じように症状の改善が見られた。しかし、その時点では、下地医師は軽度三角頭蓋と発達障害の関係について半信半疑だった。

※典型的な三角頭蓋とは、生まれつき前頭縫合がくっついていて、額が突出した形状になっている。通常生後間もなく確認され、脳の成長を考えて遅くとも生後一年以内には頭蓋骨の形成手術を行う。もし手術をしなかった場合、脳の発達が阻まれて精神発達遅滞などの症状が現れてくると言われている。それに対し、見た目にわかりにくい三角頭蓋(軽度三角頭蓋)については、放置しても脳の発達には影響が無いと一般的には言われている。

 その後も下地医師は年1・2例のペースで手術を行い続けた。そしてある時、軽度の 三角頭蓋を有する3歳女児の手術を行った後に、言語遅滞・自閉傾向・歩行ができないなどの症状の改善を見た。そこで下地医師は、軽度の三角頭蓋であっても発達障害が起こること、また頭蓋形成手術によりその症状が改善することを確信した。

 1999年には沖縄県内での講演会や小児発達センターからの紹介により、手術症例を飛躍的に伸ばし、2000年6月末までには70例の手術を実施した。

 軽度三角頭蓋が注目を集めるようになってしばらくの2000年5月のこと、鹿児島県の小児科医・伊地知 信二医師より、「治療目的が不明確」「インフォームドコンセントが不足」「コンセンサスの得られていない研究である」との指摘を受け、下地医師はこれまで通りに手術を継続することが困難となった。そして、同年5月下旬には手術を中止した。

 2000年7月、手術の続行を目指し沖縄県立那覇病院では院内倫理委員会が開かれ、術前後の子どもの様子を記録したビデオや資料を元に手術の有効性が検討された。その結果、今後は手術を望む保護者に対する十分な説明を、文書によるインフォームド・コンセントにて行い、同意を得ることを条件に手術が再開された。

 その後、伊地知医師の指摘する問題点は解決しないまま手術症例は2002年4月迄に130例にまで増える。2002年9月にLancet誌上において伊地知医師がヘルシンキ宣言(※)の無視を指摘。その後も数々の問題点を下地医師に対して指摘しており、ホームページでその内容は公開されている。

※ヘルシンキ宣言・・・厳密な研究の対象となったことが無い新しい治療は厳密な研究の対象とすべきとしている。

 伊地知医師が指摘する問題点(2002年4月時点)については、このHP内の「軽度三角頭蓋を取り巻く環境」に記載してありますので、ご参照ください。http://www4.atwiki.jp/mt-project/pages/8.html

 2003年8月に下地医師の論文(英文)は日本小児神経外科学会から最優秀論文として表彰される。 

                                                                                          

軽度三角頭蓋の現在

                                                                      

 2004年6月、ひとりの手術を受けた子の親が、発達障害関連のメーリングリスト上において、この手術に関する情報を伝えた。

これをきっかけに発達障害児を持つ親の間でこの手術が広く知られることになり、   下地医師の元に患児が殺到した。そのことにより、一時は手術まで1年半待ちという事態にまでなった。手術を受けた症例は、2005年5月時点で230例以上、現在手術までは約1年待ちの状況。                                                                                

                                                                        

沖縄以外で手術が行なわれるようになったきっかけ

                                                                                                    

 手術までの時間を待てなかったり、地元での入院治療を望む全国の親たちは、     沖縄・下地医師以外にも手術を行ってくれる病院・医師を模索した。その結果、関西にある大学病院では、2004年11月から手術が行われるようになった。対象は、脳圧検査後に脳圧が高いと判断された患児のみ。診断名や手術の方法は下地医師とは違う。             

また、それ以外にも患者のニーズから関西・東海・関東地方の数箇所の病院で、発達障害児を対象にした頭蓋形成手術が不定期に行われた。ただし、手術の方法は必ずしも沖縄と同じになるとは限らない。また、診断名は必ずしも「軽度三角頭蓋」ではない。                                                                           

                                    

手術の効果を検証する研究の始まり

                                                                                         

 手術を望む多くの親の存在から、国立成育医療センター(東京都世田谷区)(*)では2004年11月に「発達障害を伴った軽症三角頭蓋に対する頭蓋拡大形成術」として同病院脳神経外科・師田 信人 医師(*)の申請による倫理委員会が発足した。審議の結果、条件付承認が降りたのは2005年2月末の事だった。

予定手術件数は20例と限定されている。また手術後5年間は非手術群との比較発達評価などを行う為、綿密な研究成果が発表されるのは少なくとも5年以上先になると思われる。

この件の詳細については、以下の関連リンクを参照。

http://www4.atwiki.jp/mt-project/pages/35.html

                                                                                                                                                                            

(*)医師個人名・病院名につきましては、許可を得た上で掲載をさせて頂いております。                             

なお、手術が実施された時期については個人から「個人情報に抵触する。」と指摘を受けた為、削除しました。