《問題点1》 手術適応となる児の顔貌や頭蓋骨の変形があまりにも軽度のため、三角頭蓋の診断でいいのか。
⇒ 頭蓋縫合早期癒合症(狭頭症)の基本的な診断は縫合部の骨の盛り上がり(ridge)を触れることである。ここで取り上げている三角頭蓋も触診(理学的所見)でridgeを触れることから始める。 ridgeが無いと三角頭蓋と診断(※)してはいない。 その中でもごく軽度という症例は、診断にためらってしまう場合もあるが、ridgeや前頭葉の多少の狭小化などがあることは否めず、結果として軽度三角頭蓋の診断に至っている。 ※診断には、理学的所見・3D-CT・神経放射線学的な検査などを用いる。
《問題点2》 これまでの基準で臨床症状を引き起こすとは考え難いというのがコンセンサスであるから、このような軽度の症例には手術適応になるかどうかという点。
⇒ 経験的に軽度三角頭蓋が発達障害と関係があるとしたことから始まった。未だ何処の施設でもやっているという手術ではない為、コンセンサスを得るには時期尚早。
《問題点3》 手術後の改善は、自然発達によるものに過ぎないのではないかという点。
⇒ 我々(下地医師ら)は、手術による効果だと確信しているが、学問的に言うと「EBM(evidenced based medicine)※」の領域にない。今後、十分な数の非手術群との比較や、発達障害における症状の改善の度合いを明確な基準をもって評価をしていく必要がある。 ※EBMとは、証拠に基づいた医療