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第十話」(2006/08/22 (火) 09:51:30) の最新版変更点

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―――暗い地獄へ案内をたのむ、金の羊に、鶯に♪――― 荒鷹は闇の中にいた。 何も見えない闇の中で歌が聴こえている。 ―――皮の嚢にやいくらほど入れよ、無間地獄の旅支度♪――― 聴いたことのある声。これは…私の声。 荒鷹の目の前に荒鷹が現れた。哀しげに歌を歌っている。 ―――春が来て候林に谿に、暗い地獄谷七曲り♪――― 「あなたは私?」 「ええ、私はあなた」 「じゃあ私は誰?」 「あなたは私」 ―――籠にや鶯、車にや羊、可愛いトミノの眼にや涙♪――― ―――啼けよ、鶯、林の雨に妹恋しと声かぎり♪――― 「私はあなた」 「あなたは私」 「私の世界とあなたの世界は果てしなく遠い」 「あなたの世界と私の世界は限りなく近い」 「…そういう、ことだったの」 ―――啼けば反響が地獄にひびき、狐牡丹の花がさく♪――― 「目を覚ましなさい。あなたを呼んでる人がいる」 「……荒鷹さん……!」 声が聴こえる。 聴いたことのある声。 ……ランダエタ君? 「私、行かなくちゃ」 「そう。それが正しいわ」 「私は私の世界で、やるべき事があるから」 「…じゃあ、また」 「うん、また」 バシッ! 荒鷹のあごをランダエタの鉄拳が跳ね上げ、ついにダウンを奪った。 ランダエタ「荒鷹さん、荒鷹さん!」 ……力を込めすぎたか? ランダエタは一瞬焦ったが、荒鷹はすぐに目を開けた。 死人のようなさっきまでの眼ではなく、澄みきった眼。 …戻った。 ランダエタ「荒鷹さん、大丈夫か?!」 荒鷹「ランダ…エタ…君?」 目を覚ました荒鷹の顔の数センチ先に、覗きこむようにしていたランダエタの顔があった。 荒鷹「!!ラ、ランダエタ君、近いよ…」 ランダエタ「あ…ご、ごめん!」 ランダエタはすぐに飛び退いた。 ランダエタ「…あのさ、教えてくれないか?何があったのか」 荒鷹「…え?なにって…」 ――ルルルルルゥ…!! ―――その頃、廊下 俺「はっ、はっ、はっ、はっ」 俺の口からは乱れた呼吸が漏れ続けている。 葬儀屋男…いや、悪魔から逃げ続けていたがついに追いつかれ――― 右足を爪でズタズタに裂かれた。 今は廊下の壁にもたれるように座り、ヒートと悪魔の死闘をただ見ることしかできない。 ヒート「…はあ…はあ…」 悪魔「ルルルルルゥ…!!」 ザシュ! ヒート「ぐっ…!」 すでにヒートも疲れきっていた。 しかし反撃の手は休めない。 ヒート「ばぁくねつ…!ゴッドフィンガ―…!!」 力を振り絞り、大技で決着を狙う。さもなくば勝利はない。 ヒート「石破ッ!天驚拳!!」 ズドーン!!! 眩しい光が悪魔を包み込んだ。 悪魔「ガアアア…アア…!!」 ヒートの大技が悪魔をまともに捉えた。 いかに悪魔が素早く動けても、狭い廊下では避けられない。 いかに悪魔が硬くても、理ンデレが酸を浴びた部分は脆くなっていた。 悪魔「…アアアアア!!」 しかし。それでも悪魔は死んではいなかった。 ヒートと闘うのは分が悪いとみたのか、背中を見せて駆け出したのだ。 ヒート「ま、待て…っ」 ボロボロの状態でヒートは悪魔を追おうとしたが、体が動かなかった。 俺「やったな、ヒート」 ヒート「はあ、まだ、やっていないっ!…く…」 怪我人二名は壁にもたれて座り、つかの間の休息を手にした。 熱い痛い熱い痛い熱い…! 悪魔は怒り狂っていた。 まだ殺したりない。 まだ血を見たりない。 逃走していた悪魔は人間の気配を感じた。 弱っている、相当に疲れている人間が二人。 そして悪魔が突撃したのは―― 放送室だった。 悪魔「ルルルルゥ…!!」 中に居たのはこちらに背を向けて座っている男と、茫然としている女――― 女から殺すことにするか。

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