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必要なものは、なんでしょう♪ 笑っているのは、何故でしょう♪ 大切なものは、どこでしょう♪ 泣いているのは、誰でしょう♪    ―――――ワタシ? ……… …… … 目を覚ます 朝日の眩しさに、目を細める カーテンから差し込む光 かすかに響く鳥のさえずり 私は今日も、朝を迎えた 私以外誰もいない 「ぎぜん」と書かれたネームプレート 私だけのアパートの一室 ふとんを畳んで立ち上がる 棚に置かれた写真をとりあげ いつものように一言告げる 「おはよう」 おかしいだろうか そうなのだろうか それでもいいよね 私は微笑んで、登校の準備をした 「いってきます」 返事のない部屋へ いつもの言葉を口にする そして私は、玄関をくぐる ――――― 「おは」 「おはよっ♪」 「おっす」 「おはようございます」 朝の挨拶 十人十色 私は今日もここにいる いつものように返事を返して 自分の席に腰を下ろす 「おっは!」 急に後ろから抱き締められる 「おはよう」 クラスメートのがっちゃん(がしっ子)だ 「ぎんちゃん、なんか、心なしかいつもより暗くないかい?」 「え?」 いきなりかけられた言葉 そんなつもりはぜんぜんないのに 「大丈夫かい?」 この人は意外と鋭いかもね 言われて初めて気がついた 確かに今日は暗いかもしれない 理由を少し考えた そして少し落ち込んじゃった 「そっか、今日は…………あの日だっけ、ごめんね」 がっちゃんが私を抱きしめてる腕を離す 「気にしないで、私は平気だから」 「そう?」 嘘 ホントは怖い とっても恐い だけど、迷惑はかけたくないから 「じゃ、またあとでねっ」 そう言って自分の席に戻る彼女 それがちょっと寂しくて でも、そんなこと言えないからね そして始まる朝のホームルーム 日常が始まってゆく 一時間目…… 二時間目…… ……… …… … ―――エーン、エーン 誰? ―――エーン、エーン 女の子? 暗闇に突如として光が差し込む それは、真っ赤に燃える家だった どこか、見覚えのある家 そうか、これは私の記憶だ 泣いているのは、幼い私だ 燃える家 泣き叫ぶ私 数多くのヤジウマ 懸命に消火する赤い服の大人 そして、焼け崩れる家 やだ! まだ!まだママとパパがなかにいるのに! やだ! あした、どうぶつえんいくっていったのに! やだ! 「ママ!パパ!死んじゃやだ!」 急に世界が変わった 違う、目が覚めたのだ 今は三時間目の国語の時間だ 私はいつのまにか寝てしまってた 騒然となる教室 その視線の中心に私がいた 「あ、ごめん、なさい」 寝言を叫んでしまったのだろう 恥ずかしい いつまでも過去にひきずられる私 私は顔を真っ赤にして、うつむいた 先生はそのまま授業に戻る 実際そうしてもらえるとありがたかった ―――放課後 私は少し早めに教室を出ようとした 「ぎんちゃん!」 私のあだ名を呼ぶ声がした がっちゃん? 「今日、一緒に帰ろうかい?」 「なんで?」 「だめかい?」 優しく声をかけてくれたがっちゃん なのに、わたしは…… 「同情なんてしないで」 あれ? 「迷惑なの」 私は何を言って? 「私は平気だから」 「ぎんちゃん?」 「友達面しないで」 「ぎ…」 次の言葉を待たずに 堪えきれなくなって、私は駆け出した 逃げだしてしまった 私はなんてことを…… 恥ずかしい 私はいやな人間だ やだやだやだやだ 私は走り回った ずっと ずっと 何かから逃げるように そして気がついたら、誰もいない土手に立っていた 夕陽が綺麗だった でも、その色はまるであの時の…… 私はなぜかアパートに帰ろうともせずに その場に腰を降ろした 十年前 私は全てを失った 原因は私の火遊び 私はそれ以降、誰かを失うのが怖かった だから偽善者になった なのに、私は今日、また…… 悲しい 私はまた大切なものを失った しかもまた私の手で…… なんで 「やっと見つけた!」 周りはもう暗くなっていた もう帰ろうかなと立ち上がった私に声がかかる がっちゃん? 「ぎんちゃん足早いよ」 「なん、で?」 私、ひどいこと言ったのに 嫌いにならないの? 「そんなわけないじゃない」 だって…… 「ぎんちゃん、私はぎんちゃんの思った以上に頑丈だから」 へ? 「私は、ずっと一緒にいるから」 「……」 私は気がついたらがっちゃんに抱きついていた 「だから、いかないで?」 「うん」 「私のそばで泣いて?」 「うん」 「ぎんちゃん、いつも皆を励ましてるけど」 「うん」 「私の前では、遠慮なんてしないで」 「――――うん」 ごめんね?ごめんね? 「もう大丈夫大丈夫」 ひどいこと言ったよね? 「お互いさまだよ」       ずっと、ずっと一緒だよ?      「当たり前じゃない」 ‐END‐

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