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あの丘へ」(2006/09/09 (土) 15:00:28) の最新版変更点

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・現在 PM:20:40 中庭 鯨 「ほれ・・・見えて来たのぅ・・・あそこでいいんじゃろ?」 中庭から校舎横を歩いていくうちに木が見えてくる 鮫子 「ええ・・・あそこまで」 鯨 「ここからは二人で行けぃ」 そう呟くと鯨は三人を肩から下ろす 鮫子 「え?あそこまで一緒に」 鯨 「駄目じゃ、小僧・・・どこまで覚えておる?」 彼 「あ・・・くうっ・・・く・・くじら」 既に胴回りから胸までも消えかかってる彼は苦しげに呟く 鯨 「ほぅれ、用は新しい情報が入ると、それと一緒に古い記憶も消えて行くんじゃ」 鯱 「・・・いっしょにいると・・・だめ、いらないちちきはいっちゃう」 鮫子「でも!彼はお父さんや鯱子の事も今は」 鯨 「鮫子・・・」 鮫子「え」 ぐわしぐわしと鮫子の頭を撫でる ・現在 PM:20:42 中庭~体育館横 鮫子「な・・・何よ」 鯨 「夕飯はキムチ鍋じゃ、どうせ食わないじゃろ?ワシが食っておく」 鮫子「はぁ?」 鯨 「ゆっくりしてこい」 そう言うと鯨は背中を向け、歩きだす 鯱子「・・・おにいちゃむ」 鯱子は彼の袖口を引っ張る、少し泣きそうに、そして微笑みながら 鯱子「あちしのこと、わすれていいから。おねえちゃむのこと」 彼は無表情で呟く 彼 「絶対に忘れないよ。鮫子の事も鯱子ちゃんの事も・・・くじ」 ぱかーん 彼の顔面にバケツが直撃する 鯨 「さっさと行かんかぁ!このへたれええええ!!!」 彼は泣きそうに、そして無表情に口を妙に歪ませながら 彼 「ごめんね、鯱子ちゃん、お兄ちゃん本当はもう笑い方も忘れちゃったんだ    でも今、鯱子ちゃんに教えてもらったぜ」 鯱子「・・・ぶちゃいく・・・・・・ばいばい」 ・現在 PM:20:45 中庭~体育館横 鯨 「やっと行きおったか・・・まったくあの二人は」 鯱子「・・・」 鯨 「・・・鯱子、えらかったぞ」 鯱子「ぐしゅ」 大きな鯨の手が優しく鯱子の頭を撫でる 鯨 「あ、そういえば・・・二人どうしても彼氏に話がしたいとかいう学生がおったな」 鯱子「・・・いってない」 鯨 「がっはっはっは!忘れておったわい!!」 すると後ろからまた黒い闇がぞわぞわ近づいてくる 鯨は振り向きまっすぐ見据える 鯨 「さて、終わらせて母さんの夕飯の時間じゃあああ!!」 鯱子「おう」  -------------------- 鮫子はまた彼を背負い、長い丘のまでの道を走り出す 少し休憩を取ったとはいえ、やはり疲労はある、足取りは重い その時、横の茂みからがさりと音がする 鮫子「・・・何・・・来るの!?」 ツンバカ「ち・・・違うよ!!噛まないで!!」 友 「・・・」 無言で立ちすくむ友は鮫子と目が合った瞬間 急にかがみ込み、土下座したのだった ・現在 PM:20:47 体育館横階段踊り場 鮫子「ど・・・どうしたのよ?」 友 「頼む・・・最後に彼と話をさせてくれ・・・親友なんだ」 ツンバカ「わ・・・私は!その・・・一言言いたくって・・」 鮫子の背中の彼が呟く、視力も失い聴力も弱まってるようだった 友 「事情は重々承知している!!だけど・・・一言でもいいんだ」 初めて見る友の真剣な眼差し。鮫子は肩口の彼の耳元で呟く 鮫子「・・・友くん。覚えてる?」 彼 「・・・友・・・か?」 友 「覚えてるのか!!」 彼 「・・・声が遠い・・・でも覚えてるぞ」 友 「この、馬鹿野郎・・・なんで逝きやがるんだ!もっと色々遊びたかったんだぞ!!」 彼 「すまない」 友 「謝るな!この馬鹿!!絶交だ!お前みたいな野郎とは!忘れちまえ!」 彼 「友・・・」 友 「お前のような野郎は知らん!知らん!・・・ざっざといっぢま”え”!」 ・現在 PM:20:48 体育館横階段踊り場 階段を飛ぶように走り去る友 それを悲しげに見送る彼 彼 「悲しいって感情もまだ無くなってないや、はは。良い奴だよ」 鮫子「そうね、いい人よ」 ツンバカ「・・・やい馬鹿彼氏」 ツンバカが彼氏の胸ぐらを掴む 鮫子「ちょっと・・・ツンバカ」 ツンバカ「鮫子は黙ってるの!!えっと・・・言いたいことは山のようよ!」 彼 「へ?」 ツンバカ「・・・鮫子を一杯泣かした・・・それだけでアンタみたいな男は大嫌いよ!」 鮫子「ツンバカ・・・」 ツンバカ「・・・いい人だったよ、彼氏さん。だからお願い」 彼 「・・・」 ツンバカ「鮫子の事、笑わせられるのも彼氏だけだったんだよ」 鮫子「・・・」 ツンバカ「お願い・・・鮫子忘れないでね・・・」 そう呟くとツンバカは俯いたまま振り向き走り去った ・現在 PM:20:50 体育館横階段踊り場 鮫子「・・・行くわよ」 彼氏「ああ・・・」 彼の姿がまた消えていく、残り後10分程度か 鮫子はおもむろに彼の制服の襟足に噛みつく 彼氏「ちょ・・・何を」 鮫子「うひゅひゃい!ひゃまっへなひゃい!!」 目の前に広がる新たな闇 もはや背負いながら抜けられないであろう故に、最後の賭けだった  -------------- 丘の上 古風「はい♪」 ぎゅるるるる 古風の麻縄が闇の中を縦横無尽に走り回る。「浅草の縛り牡丹」ここに有り 武士デレ「はぁっ!!」 ずばっ!武士の剣が闇を切り裂く 狂う「きゃははは♪素敵な世界・・・」しゅんしゅんしゅん 狂うの刃が踊るように世界を切っていく 殺人「消す消す消す消すっ!!!」 ざばざばざば 殺人の包丁もまた踊っていた 想いは一つ、鮫子の道を創る事だった 完結編----現在 PM:20:51 丘への階段 鮫子「ふあっ!!!」 鮫子の蹴りが闇を貫く、口元に彼氏の魂をくわえながら 掻きむしるように掌と爪でまた道を創っていく 鮫子「・・・」 彼氏「うわ・・・徐々にキレ始めてる・・・またアレか」 鮫子「・・・」 ぐしゃどびちゅべしゃぐしゃ 鮫子の着ているメイド服ももはやあちこち切れている そして袖口には泥が付き、腹部も既に土まみれだった 鮫子「ぬふうううううう!!!!」 闇を抜け、又その向こうの闇に向かって走り続ける ??『ガガっ・・・ピー』 その時、体育館から大きな声、マイクを伝って声が聞こえた ・現在 PM:20:52 体育館~丘への階段 日下『ごめんなさい!!鮫子さん!私何も出来ないけど!!応援してるから!!    そして彼氏さん!!鮫子さんを忘れないで!!』 日和『さめこー!がんばれー!かれしー!がんばれー!』 ツン『やい!この鮫子の男!鮫子忘れるんじゃないわよ!!』 渡辺『あれれ~電源入ってる?わわ、彼氏さん~!さめこちゃんみつめてないとだめだよ~』 優 『かれしさんーさめこさん忘れちゃ駄目だよー』 アホ『やい!この!根暗女!帰ってこないと・・・お前の分のアイス・・・くっちまうぞ    んで根暗の彼氏!鮫子みたいな女忘れられないに決まってる!ふふん!』 ドロ『忘れたら!私が鮫子ちゃん!盗んじゃうから!忘れるなーー!!』 荒鷹『荒ぶる!鮫子への!想い!!』 プロ『その想いは・・・プライスレス!!』 軍師『鮫子!もはや考えるな!!彼氏もだ!!道はまっすぐだ!』  -------------------------------- 彼氏「さ・・・めこ・・・」 鮫子(皆・・・) 体育館のマイクを伝って聞こえてくる仲間の想い 丘が見えてくる、もはや時間が無い 完結編----現在 PM:20:55 丘へ 闇の壁を越える 鮫子の爪も割れ、上着はズタボロにされ スカートは既に切り裂かれたかのようにズタズタだった 彼氏の制服の襟足を噛みしめる口元は、口元からの血で真っ赤だった 丘の上 ここに闇は居ない 目の前に広がる草原の真ん中に立つ一本の木 足を引きずるように鮫子は歩きだした 彼氏「さめ・・・」 記憶は徐々に蝕まれている、既に彼氏の肩にまで崩壊は来ている 鮫子(走れ・・・走れ・・・私のあし・・・) ・現在 PM:20:56 丘へ 何時もはこんなに遠くないのに 鮫子は足を引きずりながら思う 彼氏「さ・・・め・・・こ」 鮫子はくわえていた襟足を離し、少なくなった彼の魂を抱きしめる 鮫子「ごめん・・・ね。ずっとあたしは素直じゃなかった・・・よね」 彼氏「は・・・あ・・・さめ」 鮫子「忘れないから、ずっと忘れないから!!お願い!!動いてぇ・・・あたしの体」 ずり・・・ずり・・・ 膝から流れる血が止まらない 目眩がする吐き気もする 体のバランスが崩れ、前のめりに倒れるが鮫子は彼をかばい肩を思い切りぶつける 鮫子「くうっ!!・・・大丈夫?」 彼氏「あ・・・あ」 もはや言葉の認識すら無いのだろうか ふと空を見ると、ヴァル姐がもの凄い早さでこちらへ向かってくる ・現在 PM:20:58 丘 鮫子「ヴァル・・・」 ヴァル「鮫子!!!立て!!!」 こちらへ空を翔ながらヴァル姐が叫ぶ 鮫子は歯を食いしばり、膝を立て口から血を流しながら立ち上がる 鮫子「ヴァルねぇーーー!!!」 ヴァル「鮫子ーーー!!!片方の手を伸ばせーーーーー!!!」 鮫子が宙に彼を抱きしめる手と反対の手を宙に捧げる その瞬間ヴァルは鮫子の手を掴みそのまま空を走った 鮫子「ヴァル・・・これなら間に合」 ヴァル「駄目だ!!もう間に合わない!!天に帰す時間も無いのだ!!」 鮫子「そんな・・・じゃあ!じゃあ・・・彼は」 ヴァル「最後の手段だ・・・彼は・・・」 鮫子「彼は・・・?」 鮫子の長い髪の毛がばさばさと広がる ヴァル「あの木と同化させる!!!」 ・現在 PM:20:59 丘 鮫子「どういう事よ・・・それじゃ彼は!!!」 ヴァル「もうこれしか無いんだ!!彼が・・・今までの想いと魂を維持するには!」 彼の体は既に首まで崩壊は浸食しようとしている もはや言葉すら理解してないようだ ヴァル「今既に・・・彼が君の事を覚えているか・・・それすら判らない」 鮫子「そんな・・・」 ヴァル「だが・・・少なくとも無じゃない!ゼロじゃないんだ!!」 鮫子「・・・どうすれば・・・いい」 もの凄い低空飛行で木にどんどん近づく ヴァル「このまま突っ込む、あの木までな!!!」 鮫子「・・・かまわないわ!行きなさい!!」 鮫子は残り少ない彼の魂をぎゅっと握りしめる 怖い、でももう 離さない。絶対に ・現在 PM:20:59:30 丘 ヴァル「・・・いいのか?!」 鮫子「かまわない!!私を途中で離して!!」 ヴァル「・・・叩きつけられるぞ!!」 速度はどんどん上がって行く 鮫子「さっさとしなさい!!この年増!!」 ヴァル「も!もう知らんぞ!!」 ヴァルが鮫子の体ごと思い切り木に向かい投げつける 鮫子は壊さぬよう離さぬように彼の魂をひしと抱きしめる 鮫子「素直に・・・ねぇ・・・」 彼氏「・・・」 木に叩きつけられるその一瞬の間際、鮫子は彼の耳元で囁く 鮫子「愛してるわ」 彼の口がかすかに動いた  ・現在 PM:21:30 丘の上の木の下 ??「おい!!さめこ!!おい!!」 鮫子「あ・・・ああ」 全身が痛い、どこもかしこも壊れてしまったかのように ??「しかし・・・鮫子様、胸が大きいです。縛ればさぞかし」 ??「状況を考えるでござる!!」 ??「うふ・・・今は見逃してあげるけど・・・次こんな無防備なら」 ??「殺っちゃう!!」 鮫子「う・・・あ・・・うるさいわよ」 ヴァル「無事か!!鮫子!!」 変古「あら♪目覚めました」 武士「良かった・・・」  -------------- 鮫子が木に叩きつけられるその間際 変古と武士、狂うと殺が身を挺して鮫子を守った そして魂が木に叩きつけられ、木が思い切り光り、丘全体が揺れ 鮫子は既に意識を失っていた、との事 鮫子「ま!間に合ったの!!」 ヴァル「記憶のほうはわからん、だが・・・彼はここにいる」 鮫子「記憶は・・・あるわ、最後に呼んでくれたから・・・さめこって」 丘の上の木は優しく揺れている、涼しい風と共に

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