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俺鮫希譚00」(2006/10/24 (火) 15:00:18) の最新版変更点

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茹でるような青空 輝く白い雲 何処までも続く空の境界線 澄み渡るほど青く濃く、深く遠く 彼方へ届け―― 俺「夏い暑だ……」 友「それをいうなら夏い暑だろ……」 男「違うよ。夏い暑……あれ?」 バカが三人増えても誰も気付かないぐらい、暑い夏だった。 会長「……という訳で学園側が企画したんだが、何か質問はあるか?」 みーん、みんみん…… 蝉の鳴き声が虚しく、死屍累々と化した教室に木霊した 会長「質問が無いようだったら、俺は隣のクラスに……」 「あいつ、会長だったんだ……」 「初めて知った……」 「Zzz……」 誰かがぼそりと呟いた 会長「うわああああああぁぁぁん!」 サブキャラに愛を!もっと愛を! そんなここは三年D組 メインと呼ばれるキャラが多数いる教室 くだらない―― 誰が考え付いたか知らないが、学園も暇な事を考えるものだ 手元に配られたプリントを見ながら、彼女は考えた 「新ジャンル学園夏祭り」 名前もそのままの祭りである 「夏い暑だ……」 また、誰かが馬鹿な事を言っている この夏の学園で流行語となっている 誰が考えたか知らないが、くだらない 本当に、くだらない そんな彼女は青い空を見上げながら、こう考えるのだった ――暑い、夏だ 日も傾き始めた放課後 だけど暑さはまだ残留し、その余波は引く兆しを見せない 誰もいない教室 緋色に染まる机 部活に精を出す生徒の声 ……帰ろう 荷物を手に取り玄関へ 校門をくぐるのは、いつも苦痛だ ここは、あの人がいなくなってしまった場所だから それでも、嫌でも毎日通る どうしてなのか? それはきっと、後悔しているから 後悔? 何に? 生きている事? それともあの人に出会ってしまった事? あの人を失ってしまった事? わからない…… わからないよ…… その時である 不意に甲高いゴムが擦れる音と、焦げる臭い クラクションが発する機械の悲鳴 !! 逃げなくては なのに、身体は、言う事を聞いてくれない 怖い 轢かれる 轢かれる 轢かれる 轢かれ…… 私も、あの人と同じように…… どん! 運「馬鹿野郎!死にてぇのか!」 ?「うるせえ。てめぇが死ね」 遠ざかっていくエンジン音と罵声 近づいてくる足音 私は道路の隅に倒れこんでいた 轢かれた、と思った 衝撃が身体を貫いた なのに……無事? ?「おーい、だいじょぶか?」 どこかやる気の無い声 ?「怪我とかしてないか?」 その男は、口の周りにチョコとクリームを付けて、私の目を覗き込んでいた。 姉に命令されての買出しだった 嫌がらせでおつりの全てでエクレアを買って食ってやった 食い終わってから、「あれ?これってやばくね?」とか考えた あふたー ざ ふぇすてぃばる 後の、後の祭りである 買い物袋をがさがさと 家に帰るのが嫌で(小学生じゃあるまいし)遠回りをしながらの帰路だった 学園前 校門 そこに見慣れたクラスメイト 鮫子 澄ました面してるよな いかにも何も興味ありませんって感じで ……イラつく 向こうは気付いてないようなので、このまま通り過ぎようとした時だった 猛スピードで迫るトラック 気付いていないクラスメイト 気付いた時にはもう、走り出していた 俺「ったく、何ぼけっと歩いてたんだ?ほんとに死ぬ気だったのか?」 鮫「……」 答える声は無い 上体を起こしたまま、呆然と亡羊と、何処を見るとも無く視線は揺れていた 俺「……おーい?」 鮫「……」 完全に放心していた 俺の声に反応すらしない 鮫「……ぇ」 俺「?」 鮫「……う、えぇ……」 俺「はひ?」 突然、泣き出した 泣いている女を連れるというのは好奇の視線を集めるもので…… ましてやこの顔である ただでさえ注目されるってのに、これ以上とない注目を集めてしまっていた そんでもって保健室 突如泣き出してしまった鮫子を、とりあえず保健教諭に引き渡してしまえと しかし保健室には誰もいなかった 仕方が無いので鮫子を空いてるベッドに座らせて、俺は椅子に 鮫「……ぁうぅ……」 泣き止む気配がない そんなに轢かれそうだった事がショックだったのだろうか? そりゃそうか 轢かれかけて平然としてる人間は俺くらいなもんだな いやむしろわざと轢かれて(被害は最小限で)慰謝料でも請求しようかと考えるやもしれん 慰謝料でウハウハになってエクレア買い捲りだな うはwwww夢がひろがりんぐwwww などと魅力的であるがあほな考えは置いといて とりあえず保健教諭がくるか泣き止むまで待つ事にした 暇を持て余したので椅子でくるくる回っていた くるくる くるくる くるくる…… あかん、気持ち悪くなってきてもうた…… あ、おなかの中でエクレアが暴れてる…… 俺って一人遊びで自爆するタイプだよな、などと考えていた 鮫「……」 いつの間にか泣き止んでいた鮫子が、殺さんとする狩人の目で睨んでいた 俺「気分は?」 鮫「……最悪よ」 俺「俺もだ」 吐きそう 俺「で、なんでいきなり泣き出したんだ?よければ訳でも話してくれまいか?」 鮫「嫌」 俺「一蹴かよ」 別にそれほど興味があった訳じゃないし、まーいーか 俺「ま、俺は帰るよ」 鮫「……」 俺「……」 ふぅ、と溜息を二人同時に吐き出していた 俺は笑って 鮫子は睨んで 校庭 蜩が遠くの空で鳴いていた 俺「……しまった。買った物台無しにしちまった」 二日くらい飯を抜かれる ……覚悟完了 不覚だった どうしていきなり泣き出してしまったのか、自分でも判らない 迫ってくるトラック あの人も、私と同じような恐怖を感じたのだろうか? いや、あの人は私よりもっと先の恐怖を味わったに違いない 怖かった ただ怖かった 死ぬのが 私は、死ぬのが、怖い 死は終わりだ、と誰かが言った 誰だったか忘れた 何故なら興味が無いからだ 例えば、目の前で轢かれそうな子猫がいたら、子猫を助ける為に幾人がその身を犠牲に出来るであろうか? 自らの命の危険も顧みず、恐怖も顧みず 俺「……」 クラスメイトが轢かれかけていた だから助けた 俺の行動は、別に間違っちゃいないだろう 鮫子が自殺志願でもない限りは 怖くなかったのか?と自問自答してみる 俺「感じないな。何も」 俺は、死ぬのが、――― 「祭りの出し物決まった?」 朝一での挨拶 学園が提案してきた夏祭りの案で、皆頭がいっぱいになっている 出し物は各自自由 個人でやろうがクラスでやろうが有志を募ってやろうが制限が無い それ故に誰もが催し物に困惑していた 「祭りの出し物決まった?」 その日の空も、青く深く濁っていた 三年D組 男「出し物、ねぇ……」 ヒート「たこ焼き屋がいいと思うぞ!!」 クー「カキ氷が基本ではないか?」 俺「VIPエクレ屋」 友「半年ROMれ」 荒鷹「わ、綿アメ屋さんなんか……」 渡辺「綿アメ美味しいんだよねー」 日和「かれー」 ユウヤ「常識的に考えて無理だよ、日和」 日和「ずーん」 アホ「ピノ屋!ピノ屋!」 シュー「奥さん米屋です」 まとまりがないのはいつもの事である 三年D組はクラス単位での企画を考えていた だが個性が強すぎる面々が多過ぎる為、その意見はまとまらない そんなクラスメイト達を遠くから見守る視線もまた、あった 銀「楽しそうね」 鮫「そうね」 がし「なんだかんだ言って、皆お祭り騒ぎが好きなんさね」 冷めている、というよりも、個性の強い連中からしたら一歩引いたクラスメイト達 教室の隅ではプロセスが収入を効率よく上げるにはどうしたらいいかを計算し ㍉子が来る訳の無いテロリストに対抗するトラップを考案していた 誤解殺気は優と一緒に当日の衣装を考えていた こうしてみると、世界は暑いだけで平和であった 平穏で平安 誰も不安を感じない だけど事態は着々と進行しつつあった 負の感情というのは、えてして深く強く根付いているものなのである 例え些細な事であっても、相手を殺したいほど憎んでいたり ではその相手がいない場合は、負の感情は何処へ向けられるのか? 簡単である 身近な人物へ、である

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