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少女は屋上で寝転がっていた。 そろそろ開会式が始まるが、そんなことお構いなしに屋上で寝転がっていた。 俺「お、いたいた」 殺「……」 先日と同じ調子で少年がやってきた。 殺「怪我…治ったのね」 俺「ん?あぁ、大体ね」 殺「あなたもサボり?」 俺「違う違う。さつきちゃんを迎えに来たんだよ」 殺「その呼び方はやめて」 俺「やーだ」 女みたいな少年は、意地悪っぽく目を細めて笑った。 俺「運動会出ようぜ」 殺「面倒だから、パス」 俺「そんなことないって。きっと楽しいぜ?」 殺「人を殺すこと以外に興味はないの。諦めて」 俺「やーだ」 少女は寝る体勢を少し変えて、少年に背を向ける。 殺「さっさと消えて。私なんかに構っててもいいことないよ」 俺「んなことねぇーって」 ガシッ 殺「え、あ、ちょっと!?お、下ろしてよ!!」 俺「違法駐車につき、レッカー移動でーす」 横になっていた彼女をそのまま持ち上げ、いわゆるお姫さま抱っこのまま少年が歩きだす。 殺「や、やめないと、あなたを殺すわよ!?」 俺「ほーう。こんな情けない姿の人に言われても、全然怖くありませんなぁ」 殺「く、この……////」 顔を赤らめながらも、精一杯抜け出そうとする少女。 だが、肩をしっかりと掴まれているため、思ったように動くことができない。 殺「はーなーせーっ!!」 俺「やーだ」 可愛らしい少年は、満面の笑みでそう答えた。 開会式 狂「さつきちゃんは参加しないと思ってた~♪」 殺「……私も思ってた」 アイツ、後で絶対殺す。 狂「でも、さつきちゃんがいた方が私は嬉しいな」 殺「え?」 狂「さぁ、今日は張り切っちゃうよ~♪」 私がいて嬉しい?なんで? 狂うは、その答えを出さずに一人でテンションを上げていた。 殺「狂う。私って、何に出たらいいの?」 狂「え~と、リレーと綱引きと騎馬戦とフォークダンス?」 殺「……結構多いな」 狂「だね~♪」 狂うは、まるで他人事のように相槌を打つ。 狂「あ、開会式終わったよ。移動しよ~♪」 殺「あぁ……」 今日は大変になりそうだ。 運動会本番 少女のクラスが属している赤組の勢いは凄まじかった。 徒競走では、クー・ヒートらの爆走。 障害物競走では、荘厳さんの通った道に新たな障害物が出現。 長距離走では、シューが米を食い続けながら最後まで全力疾走。 借り物競走では、ツンドロの鮮やかな手並みが炸裂(当然借りてない)。 そして、殺人鬼・狂う・誤解殺気・㍉子の騎馬による騎馬戦単独勝利(狂うが上であったため敵味方まとめて壊滅状態。誤殺の迫力に負けて崩れた騎馬も多数)。 明らかな実力差を見せつけていた。 実力的に渡り合えるハズの人外クラスは、同じ赤組だったため、もはや白組は諦め状態だった。 殺「私が参加する必要はなかったんじゃないか?」 狂「だね~。楽勝過ぎて、なんかつまんな~い」 クー「何言ってるんだ?クラス対抗リレーがある限り、勝負はわからないぞ?」 狂「なんで?もうかなりの点差だよ?」 殺「1630対750だから、赤の勝ちは決定的に思えるけど………」 クー「リレーの点数は1位が10000点だ」 殺&狂「(゚д゚)」 クー「こ、こっちを見ないでくれ」 狂「でも、燃えてきた~♪」 ヒート「燃えてきたぁぁぁあ!!!!」 鮫「うるさい………」 殺「10000……」 俺「それなんて定番?」 殺「失せろ」 俺「(;д;)」 殺「泣くな」 クラス対抗リレー(男女混合・人数は14人) 第一走者・クー 予想どおりの独走で現在一位 第二走者・男 二位に追い付かれつつも現在一位 第三走者・鮫子 陸ではあまり早くないので現在二位 第四走者・バカ バトンを放り投げて現在四位 第五走者・シュー いつのまにか現在一位 第六走者・内藤 こけて、踏まれて、蹴られて、殴られて、刺されて、埋められて現在四位 第七走者・狂う 前のランナーが必死に逃げたため差が縮まらず現在四位 第八走者・誤解殺気 上記と同じで現在四位 第九走者・㍉子 高速ほふく前進により現在三位 第十走者・友 現在三位 第十一走者・俺 わりと速く現在二位 第十二走者・ツンにバトンが渡り、一気に一位との差が縮まっていく。 私まで残り十メートル。 ツン「えっ―――きゃあっ――!?」 彼女が私の目の前で転倒する。 ツン「ご、ごめん……」 申し訳なさそうに呟きながら、ヨロヨロと立ち上がり、私へとバトンを渡してくる。 彼女の膝からは、赤い血が流れている。 殺「……大丈夫。後は任せて」 バトンを受け取ると、彼女に聞こえないように呟き、私は走り始めた。 前を走るのは、ランダエタ。 曲がりなりにもスポーツ選手なため、そこそこ速い。 殺「…………」 私は、ランダエタに狙いを絞り、獲物を追い掛ける時の体勢を作った。 スピードは筋力ではなく、美しいフォームから生まれる。 獲物との距離は徐々に狭まっていく。 そして、ギリギリのところで私の狙いは最終走者へと替わり、バトンをしっかりと渡した。 ヒート「うぉぉぉぉおお!!!!」 変ヒート「負けるかぁぁぁぁああ!!!!」 全員(うるさいっ!!) ヒート・赤組勝利 全員(速っ!!) 残るはフォークダンスのみ…… 殺「……(サボろう)」 さすがに、これだけは参加したくなかった。 私は、皆にバレないようにその場を離れ、学校の屋上へと行った。 殺&俺「「あ」」 意外な奴と遭遇してしまった。 殺「サボり……」 俺「オマエモナー」 朝と言ってることが違うぞ美少女。 殺「……フォークダンスとか苦手なのよ」 俺「禿同」 変な所で意見が合う。 俺「でもさぁ……」 殺「何?」 俺「……」 グラウンドの生徒達を見つめながら、美少女が黙り込む。 殺「……?」 ゆっくりと美少女が私の方を向き、右手を差し出した。 俺「踊るのは嫌いじゃないんだよね」 曲が流れ出したのが聞こえた。 それはフォークダンスではなかった。 しかし、その流れるような動きと曲は、絶妙なまでに噛み合っていた。 私は、彼に手を引かれているだけだったにも関わらず、自然と彼の踊りに添うような動きをしているようだった。 それほどまでに、彼のリードは巧かった。 他人に自分の体を預けているという感覚が、私の中の自尊心を刺激した。 暗い声が聞こえた。 【今スグソイツヲ殺セ】 (黙れ) 【内臓ヲ引キ出セ】 (黙れ) 【眼球ヲ抉レ】 (黙れ) 【ソレナラオ前ガ死ネ】 殺「ああ、あああああ、ああああああ、あああ、あああああ、ああああ、ああああ!!!!」 俺「――!!」 殺「あああぁぁ…ぁ……ぁ…」 俺「さつき……ちゃん?」 殺「……はぁ…はぁ………はぁ……」 俺「大丈夫……?」 殺「……うるさい」 俺「え………」 殺「今後一切、私に話し掛けないで」 俺「どうし 殺「話し掛けるなぁっ!!」 俺「……」 殺「お願いだから……」 私はその場から立ち去った。 彼を殺さないために立ち去った。 私には普通の生き方はできないんだ。 私の目に、失ったはずの涙が溢れた。

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