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第五話

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- 第五話 -


―――食堂

渡辺さん「もぐもぐ…はうぅ~、幸せだよ~」
佐藤さん「…(もぐもぐ)」

二人はパンを食べていた。購買部はいなかったがパンはあったのだ。
渡辺さんはにこにこしながら4つめのパンに手をのばす。
渡辺さん「いっつも売り切れてる『カスタードプリンパン』だよ~、えへへ」

この二人も放送を聞いていたが、焦るわけでもなくのんきにパンを食べ続けている。
渡辺さんは放送の内容よりもパンに気をとられていたのだが――

佐藤さんは考え事をしていた。

―――これからどうするか。

現状でゲームマスターと名乗る『奴』を捕えるのは無理に等しいだろう。
相手は化け物を手駒にしているのだ、私が捕えられるほど弱くはないはず。

つまりはこちらの戦力不足が問題である。
……やはり、学校の外に逃げてしまおうか?
佐藤さんは内心おびえていた。自分が死ぬのは怖くはない、しかし――
渡辺さんを死なせる訳にはいかない。

5つめのパンをかじっている渡辺さんを、じっと見つめる。
佐藤さん「……」
渡辺さん「もぐもぐ…ふえ?佐藤さんも『チョココロネ』食べたかったの?」

佐藤さん「ねえ渡辺さん、逃げちゃおっか」

「それは無理よ!」

突如、食堂の入り口から声が響いた。

魔少「外は悪のバリアー『ダークファントム』に覆われているわ。」
魔幼「そうなのです~、わたしもみたですよぉ?」
魔少「ま、私にかかれば鬼ごっこなんて楽勝だけどね♪」
魔幼「むう、モンスターはわたしが倒してるのに~…」

渡辺さん「あれれ~、魔幼ちゃんと魔少ちゃんだぁ!パン食べる?」
魔少「うん、食べる!」
魔幼「わたしも食べる!」

佐藤さんはしばらく頭を抱えていたが、食堂の冷蔵庫からジュースを取り出してみんなに配り始めた。

このメンバーの始動は、まだ後のことになるようだ。

ツンドロ「荒鷹さん…なんで…?」

ツンドロは困惑していた。荒鷹さんの加勢に来たはずだったのに…
荒鷹さんは私を見るなりナイフで斬りつけてきた。
とっさのことに反応できず右手に傷を負い、銃をとり落として――

その銃が今は私のひたいに押し当てられていた。
ツンドロ「荒鷹さん…」
荒鷹「ごめんなさい、ツンドロさん」
荒鷹さんは、さわやかに笑っていた。

荒鷹「死んでちょうだい」
……ダァン!
凶弾がツンドロを襲い、あっさりその命を奪った。

荒鷹は放送室の椅子に腰かけて櫛を取り出すと、髪型を整えはじめた。

―――ひとり地獄に落ちゆくトミノ、地獄くらやみ花も無し♪―――

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