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告白


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放課後、私は屋上にいた。
6時間目の終わるちょっとだけ前に保健室から抜けだして、男君の下駄箱に手がみを入れておいた。
「話したいことがありますから、放課後、屋上に来てください。荒鷹」
名前を書いたのは、自分なりのけじめ。
もう、逃げない。そう決めたから。
私には、2人からもらった力がある。
なぜか迷いはなくて、きれいな青空を楽しむ余裕すらあった。
ガチャリ
ドアが開いた。
そこにいたのは---
男「や、やあ、こんにち荒鷹さん」
私の、好きな人だった。
「こんにちは、男君」
うわ私、なんか冷静じゃない?
まるで他人事のように、自分自身が変わったことを自覚した。
男「か、体はもう大丈夫?」
「大丈夫。優しいね」
男「いや、優しいというか、普通のことだろ、これは」
それが普通と思えるから、やっぱり男君は素敵な人。
男「で、さ」
「うん」
男「話って、なに?」

---きた。
この瞬間は、きっと、私の人生の転機点になる。
そして、どんな結果になろうとも、私は変われたというこの記念日を生涯忘れることはないだろう。
「私は」
………日和ちゃん
「私は」
………ぎぜんしゃさん
「私はぁっ!」
スーッと、唐突に涙が流れてきた。
この涙は、うれし涙。
ここまで来れた事の、自分自身への賞状みたいなもの。
でもまだ、賞品を手に入れてない。
こんなところで泣いてる暇は
男「ど、どうしたんだ荒鷹さん?体、本当に大丈夫なのか?」
ねえ、男君、どうしてそんなに優しいの?
本当に優しすぎて、今にもあなたの胸の飛び込みたいよ。
でも、1つだけ、
優しくないところがあるよ?
「さんって、つけないでよ」
男「え?」
涙を流したまま---
「もう見てるだけのは、嫌だから」
あふれ出た想いが、言葉になっていく---
「私も、側にいたい」
ねえ、受け取ったかな---
「あなたが、好きです」
私の想い---

時が、止まったような気がした。

と、思ったのは本当に一瞬だった。
ヒート「男ォォォ!!!もう我慢できないィィィィィ!!!!!!」
ツン「こらぁ!でちゃいけないって言われてたでしょ!」
クール「いや、もはやここまできたら開き直るしかないだろう」
狂う「今日のイライラは、惨殺何人分かしらねぇ………(クスクス」
シュール「ピシッ!パシッ!(男に米を投げつけている。)」
男「うわ何をするやめ(ry」
と、いつもそろっている5人組がドアから男に向かって突進してきた。
そしてまた、大騒ぎが始まった。
私も近くにいるのに、なぜか取り残されている気がしてポツンとしていると、ドアのところにゆうや君と日和ちゃんがいるのを発見した。
そして日和ちゃんは笑いながら、あのパンツの見えてしまう不器用な「あらぶるたかのぽ~ず~」をした。
また少しゆうや君が赤面していたけど、視線はしっかりと私に向いていた。
ああ、そうか。今、やっとわかった。
私はもう、男君の周りの輪の中に入っていいんだ。
ここにいる6人は、みんな想いは伝えた。
あとは、男君が誰を選ぶかだけなんだ。
もしかしたら誰も選ばれないかもしれないけど、男君のまんざらでもなさそうな顔から見ると、それはないと思う。
やっと、同じ舞台で戦えるんだ。
これからは、今回とはまた違うような大変なことがたくさんあるだろう。
でも、もう大丈夫。
だって男君のことに関しては、もう誰にも遠慮はしないし、自分を偽ることもない。
幸せ、掴むために。
ただ、その前に、
ありったけの感謝や気持ちをこめて、

ヘ○ヘ
  |∧   
  /

日和ちゃんに、「あらぶるたかのぽ~ず~」そっくりの、不器用な、でもこれからの私を表すような、「荒ぶる鷹のポーズ」を返した。

「おめでとう」
彼女はみんなの死角になるような柱の陰に隠れていた。
荒鷹さんの幸せそうな笑顔。
それを見ているだけで、彼女は、ああ、良かった、と心から祝福していた。
しかし、すぐにはっと何かに気づいたような顔をして、
「うん、これは偽善。偽善」
そう、誰かに伝えることのない言葉をつむぎだした。
そして胸ポケットから小さなノートを取り出して、器用にすらすらと文章を書いた。
「○月×日、荒鷹さんが幸せになった。できるなら、これからもずっと」
書き終えると、一番後ろにはさんである写真を見る。
そこには、小さな彼女と、同じく小さな男の子。
互いの手はしっかりつながれていて、女の子の左手の薬指には、おもちゃの指輪が。
それを見る彼女の目はとてもやさしくて---
「うん、そうだ。これでよかったんだ」
何かを吹っ切るように少し勢いをつけてノートを閉じて、胸ポケットに戻した。
「少し、眠ろうかな………」
また誰にも伝わることない言葉をつむいで、彼女は眠りはじめた。
子守唄は、男と、その周りのいつもの5人と、今日入った1人、計7人の、当分終わらないであろう大騒ぎをチョイスして。
胸ポケットから少し出てしまったノートの表紙に書かれている文字は「偽善」
けれどなぜか「偽」の文字には、まだ新しい修正液のあとがあった。
そして、新しく書かれたであろう「偽」と言う文字は、なぜか人べんと為の部分が少し離れていて、
人によってはそれを

「人」の「為」の「善」

と読めてしまうのは、偶然ではないだろう---



FIN