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第十話


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―――暗い地獄へ案内をたのむ、金の羊に、鶯に♪―――

荒鷹は闇の中にいた。
何も見えない闇の中で歌が聴こえている。

―――皮の嚢にやいくらほど入れよ、無間地獄の旅支度♪―――

聴いたことのある声。これは…私の声。
荒鷹の目の前に荒鷹が現れた。哀しげに歌を歌っている。

―――春が来て候林に谿に、暗い地獄谷七曲り♪―――

「あなたは私?」
「ええ、私はあなた」
「じゃあ私は誰?」
「あなたは私」

―――籠にや鶯、車にや羊、可愛いトミノの眼にや涙♪―――

―――啼けよ、鶯、林の雨に妹恋しと声かぎり♪―――

「私はあなた」
「あなたは私」
「私の世界とあなたの世界は果てしなく遠い」
「あなたの世界と私の世界は限りなく近い」
「…そういう、ことだったの」

―――啼けば反響が地獄にひびき、狐牡丹の花がさく♪―――

「目を覚ましなさい。あなたを呼んでる人がいる」

「……荒鷹さん……!」
声が聴こえる。
聴いたことのある声。
……ランダエタ君?
「私、行かなくちゃ」
「そう。それが正しいわ」
「私は私の世界で、やるべき事があるから」
「…じゃあ、また」
「うん、また」


バシッ!
荒鷹のあごをランダエタの鉄拳が跳ね上げ、ついにダウンを奪った。

ランダエタ「荒鷹さん、荒鷹さん!」
……力を込めすぎたか?
ランダエタは一瞬焦ったが、荒鷹はすぐに目を開けた。
死人のようなさっきまでの眼ではなく、澄みきった眼。
…戻った。
ランダエタ「荒鷹さん、大丈夫か?!」
荒鷹「ランダ…エタ…君?」
目を覚ました荒鷹の顔の数センチ先に、覗きこむようにしていたランダエタの顔があった。
荒鷹「!!ラ、ランダエタ君、近いよ…」
ランダエタ「あ…ご、ごめん!」
ランダエタはすぐに飛び退いた。
ランダエタ「…あのさ、教えてくれないか?何があったのか」
荒鷹「…え?なにって…」

――ルルルルルゥ…!!


―――その頃、廊下

俺「はっ、はっ、はっ、はっ」
俺の口からは乱れた呼吸が漏れ続けている。
葬儀屋男…いや、悪魔から逃げ続けていたがついに追いつかれ―――
右足を爪でズタズタに裂かれた。
今は廊下の壁にもたれるように座り、ヒートと悪魔の死闘をただ見ることしかできない。
ヒート「…はあ…はあ…」
悪魔「ルルルルルゥ…!!」
ザシュ!
ヒート「ぐっ…!」
すでにヒートも疲れきっていた。
しかし反撃の手は休めない。
ヒート「ばぁくねつ…!ゴッドフィンガ―…!!」
力を振り絞り、大技で決着を狙う。さもなくば勝利はない。
ヒート「石破ッ!天驚拳!!」
ズドーン!!!
眩しい光が悪魔を包み込んだ。


悪魔「ガアアア…アア…!!」

ヒートの大技が悪魔をまともに捉えた。
いかに悪魔が素早く動けても、狭い廊下では避けられない。
いかに悪魔が硬くても、理ンデレが酸を浴びた部分は脆くなっていた。
悪魔「…アアアアア!!」
しかし。それでも悪魔は死んではいなかった。
ヒートと闘うのは分が悪いとみたのか、背中を見せて駆け出したのだ。
ヒート「ま、待て…っ」
ボロボロの状態でヒートは悪魔を追おうとしたが、体が動かなかった。
俺「やったな、ヒート」
ヒート「はあ、まだ、やっていないっ!…く…」
怪我人二名は壁にもたれて座り、つかの間の休息を手にした。


熱い痛い熱い痛い熱い…!
悪魔は怒り狂っていた。
まだ殺したりない。
まだ血を見たりない。
逃走していた悪魔は人間の気配を感じた。
弱っている、相当に疲れている人間が二人。
そして悪魔が突撃したのは――
放送室だった。

悪魔「ルルルルゥ…!!」

中に居たのはこちらに背を向けて座っている男と、茫然としている女―――
女から殺すことにするか。