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【米】俺とシュールの奇妙な冒険【エクレア】


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気が付くと俺は電車に揺られていた。
俺「……あー、だりぃ」
誰も乗っていない無人の電車。
がたんごとんがたんごとん
規則正しい音だけが耳朶を打つ。
はて、此処は何処だろう、と考えたが、腹が減ったのでやめた。
俺「で、なんでシューだけがいるんだ?」
シュー「……Zzz」
謎超人のシューが座席で眠っている。
これ以上とないくらい快眠を貪ってやがる。
悪戯してやろうか?
シュー「……女装させるぞコノヤロウ」
俺「……」
起きてる?
ともかく俺はシューを放置して、何故電車なんかに乗っているのか、原因究明しようと行動した。

まず、動いているであろう事から運転手がいると思い、最前車両に行く。
だがなんとなくそんな気配はしていたが、無人であった。
運転手も居ないのに動く不思議。
フロント部から外を見てみると、不思議空間が広がっていた。
俺「どうなってんだかね……」
真っ白な空間が、空も大地も区別無く広がっていた。
その中に走る一本の線路。
幻想的と言えなくも無い。
これが我が事でなければ。
今度は逆に最後車両に。
途中でシューと擦れ違うが、まだ気持ち良さそうに寝てやがった。
米米クラブがなんたらと寝言を言っていた。
最後車両まで行ったが、やっぱり誰もいない。
ただ真っ白な世界の中を突っ切る線路だけが、その存在を確かにしている。
脱出しようにも、緊急用のレバーは作動しないし、強化プラスチックの窓は蹴りをくれても割れない。
お手上げ状態だ。
俺も寝るかなぁ、ととりあえずシューの居る車両に戻るとシューが起きていた。
シュー「……」
俺「……」
シューは一心不乱に床に米を並べていた。
正確に、全て縦にして。
俺「……何をやっとるんだねチミは」
シュー「俺氏か。君はヘンデルとグレーテルという話を知らないのか?」
それくらいは知ってる。
シュー「つまりだ。私は迷子にならないようにやっているのだ。邪魔しないでくれ」
しないよ。
そもそも一本道でしかない車両でどうやって迷子になるってんだ。
俺はその作業を見ながら、何時しか飽きてうとうととしていた。


シュー「起きろー起きろー」
俺「ぬわ!」
俺氏の頭に米をかけてやった。
頭から稲が生えてくるといいな♪
俺「何事だ!シュー氏……?って、起こすなら普通に起こせ!」
起こるとは心外だ。
私は優しいお米のぬくもりを感じながら目覚める事が出来るよう、配慮したのだが。
私の行為は俺氏には届かなかった様子。
残念だ。
米。
俺「……で、なんだよ」
俺氏は服の中に入ったお米様を取り除きながら、不機嫌そうな顔をしている。
シュー「此処は何処だ?」
俺「そういう疑問はもっと最初の方で聞け」
ぱらぱらと服の中から米が排出されていく。
美少年のエキス配合米の完成だ。
うふふふふ。
俺「此処が何処だかなんて、俺が知りてーよ」
シュー「ふむ?すると、此処には君が私を連れ込んだんじゃないのかね?」
俺「なんで俺がそんな事する必要がある」
シュー「御米神様の信者である私を亡き者にして、エクレアで世界を征服しようとか?」
俺「するか」
俺氏はそう言うと、だるそうに外を示した。
ほっぺたに残ってるお米粒が可愛いぞ。
外にはおかしな風景が広がっていたが、まあそんな日もあるだろう。
シュー「何故電車なんだ?」
俺「知らん。気が付いたら俺もここにいた」
シュー「他には誰もいないのか?」
俺「いなかった。運転手すらもだ」
シュー「この電車は何処に向かっているのだ?」
俺「知らん。見える限りの風景で見えるものなど何も無いからな」
シュー「……」
俺「……」
シュー「米」
俺「エクレア」
ふむ、何時も通りの俺氏だ。
至って冷静で、苦し紛れの妄言を吐いている様子は無い。
シュー「出られないのか?」
俺「思いつく限りの方法は試してみた。だがまあ結果はご覧の通り」
そうか。
米塗れになったという訳か。
俺「それはお前の所為だ」
私がそこそこと認めるほどの能力を持つ俺氏がやっても駄目だったのなら、普通の方法では駄目なのであろう。
ここで私の出番か。
ふふふ、見ているが良い。
凡人とお米の違いを思い知らせてやるわ。
シュー「はぁ!」
私は懐に隠し持つ米袋からお米を引っつかみ、それを窓に向かって投げ付けた。
ぱらぱらぱら。
俺「……」
シュー「……」
俺「……」
シュー「どうだ!」
俺「寝てろ!」


どうやらこの不思議空間にも、昼夜という概念は存在しているらしい。
真っ白だけの世界が黄昏色に染まり、やがては黒に侵蝕されて。
車内の蛍光灯の無機質な光に照らし出される俺とシュー氏。
俺「ふあぁぁ~」
シュー「でかい欠伸だな。おにぎりなら二つくらい入りそう」
どうしてこの子は全てを米単位で考えるかね。
あれから何時間経過しただろうか?
時計を持っていないので確認しようが無かった。
がたんごとんがたんごとん
線路は続くーよーどーこまーでーもー
そんな歌詞が頭に浮かんだ。
シュー「やーまで遭難、谷で落ちー、僕等の街で交通事故ー、服部君がー死んじゃったー」
俺「不謹慎すぎる」
シュー氏といると、退屈はしないが精神を削り取られる。
男も変な奴に目を付けられたものだ。
同情の余地あり。

シュー「箪笥に激突タラちゃん、鼻血ぶー」
俺「暇なのは判った。だから不謹慎なんだよ」
シュー「俺氏、あれはなんだ?」
俺「あれ?……あれって?」
シュー氏は真っ暗な窓の外を指差した。
だがそこに広がるのは、全てを飲み込む暗黒。
何があったとしても見える訳がない。
シュー「ほらまた」
俺「見間違いだろ。もしくは幻覚」
シュー「そうか。ならば一曲」
俺「だまらっしゃい」
ったく、変な替え歌に嵌りやがって。
……。
俺「?」
シュー「Fカップ好きは自分に素直思った事を隠せない、でも理想と現実大分違うから夢から醒めなさい」
何故おっぱい占い!
そうじゃなくって……。
俺「なあ、さっき何か聞こえなかったか?」
シュー「Eカップ好きは少しお利巧さんFカップ好きより少しはお利巧、それでもまだまだ夢見がちだから大人になりなさい」
こいつが聞いてねぇ。
……ッ。
まただ。
なんだこの、不安?
シュー「Dカップ好きは大分お利巧Fカップ好きよりいくらかCOOL、そこまで現実判っているならもう一頑張りです」
……ガッ。
シュー「Cカップ好きは正解に近い最も限りなく正解に近い、でもCに満たない女性も多いので油断は禁物でーす」
ああ、もう!
ガッ!
シュー「誰もぬるぽしてないぞ!」
俺「ガッ!」
つい反射してしまった。
そうじゃなくて。
俺「なんだ今の音は?」
シュー「Bカップ好きは……」
俺「もう歌はいい。おなかいっぱい」
シュー「残念だ。ちなみに私のバストは……」
俺「聞いてない」
シュー「君は何カップ好きかな?」
俺「C!」
しまった!つい本音が……。
だからそうじゃNEEEEEEEEEEE!
俺「さっきから何なんだ!この音は……」
ガッガッガッガッガッガッガ!
シュー「幻聴ではないかね?」
コノヤロウ、さっきの事根に持ってやがる?
すっ、とシュー氏が指差すその先。
窓には……。
俺「……はぁ!?」
シュー「幻覚だ。あれは幻覚だと俺氏が言ったんじゃないか」
俺「ちょ、っと、ま、てええええええぇぇぇ!」
シュー「ヒートの真似か」
そうじゃねぇ!
あんなモノ、幻覚で済ませられる訳ねーだろ!
そこにいたのは、外の闇よりも尚昏く、鮮血のような紅い目をしたナニかだった。
そいつががすがすと窓を叩いていた。
まさか、侵入してくる気か?
シュー「幻覚」
俺「ああもう!俺が悪かった!あれは幻覚じゃありません!」
シュー「……きゃー」
まるで棒読みの悲鳴だった。
見れば見るほど、それは奇妙なモノだった。
ガッガッガッガッガッガッガッガッ!
まるで獲物を見つけたかのような餓えた眼。
禍々しい爪。
凶暴な牙。
どれ一つとっても、人間外のバケモノだと判る。
俺「さて、どうしようか」
シュー「案外落ち着いてるのね」
俺「慌てても仕方ないし」
シュー「それもそうね」
俺「どうやっても壊せなかった窓だ。そうやすやすとは……」
びしっ!
その音に振り返ると、窓には蜘蛛の巣のような亀裂。
シュー「そうやすやすと?」
俺「……少しは慌てる?」
シュー「慌てても仕方ないし」
俺「それもそうね」
がしゃあぁん!

ソレは壮大な音と共に、車内にその姿を顕現させた。