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【これはちょっと】俺シュー【略しすぎ】


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side シュー

扉の隙間から様子を伺っている俺氏の姿はどう見ても怪しい。
カメラがあれば撮っておきたいくらいだ。
先ほどから幾度となく扉をくぐっている。
その度に、私達を嘲笑うかのように扉が閉まる音が聞こえてきた。
俺「ぜってー罠だよ」
シュー「そうね。次の扉辺りで上からタライが落ちてくるわ」
俺「地味に嫌だな」
私としては黒板けしの方がポイントが高いわ。
俺「なんかもうめんどくさい。こそこそするのは止めだ」
そういうと俺氏は普通にがちゃがちゃ扉を開けて進む。
私はそんな彼の背中に米粒をぶつけながら付いて行くだけ。
正面から見たときはそんなには思わなかったが、かなり広い建物のようだ。
かなりの数の部屋と廊下を渡っている、はずだ。
無駄に広いので迷子になりそうね。
私のお米が役に立てばいいけど。
ぴん、ぽと、ころころ。
お米がころころ。

俺氏の背中が不意に止まる。
俺「……」
シュー「どうしたの?」
俺「……別の道を探す。ここは通れない」
何事かと思って背後から覗き込むと……。
シュー「……あらあら、ホルモンね」
狭い廊下にぶち撒けられた人間?の残骸。
肉片や血が、まだ乾かずにそこら中に飛び散っている。
ぴちょん、と天井から粘着質な液体が糸を引いて零れ落ちる。
俺「一体何があるってんだ?」
俺氏が不快そうに表情を歪めながら、惨殺空間を観察していた。
…………ばたん。
その惨殺空間の奥から、扉が閉まる音。
シュー「変ね」
俺「そうだな」
この先の部屋に行ったというのなら、此処を通ったはずである。
なのに、廊下には足跡らしきものが付いていない。
シュー「あらあら、ゾンビが出る洋館かと思ったらお化け屋敷なのね」
俺「ともかく一旦戻って別のルートを……」
ルートを?
振り返って呆然としている俺氏。
また化物でも出たのかしら、と振り返る。
振り返ってみて、判った。
なるほど。あの音は初めから私達を嵌めるつもりだったのね。
複雑怪奇な作りの洋館。
慣れていない私達が元来た道を正確に戻れる訳が無い。
ふふふ、だが安心して。
こんな事もあろうかとお米を撒いてきたのよ。
俺「その米も見当たらないんだが」
シュー「なんですって!」
廊下をつぶさに観察しても、確かにお米は見つからなかった。
シュー「きっと、おなかを空かせた小鳥さん達が食べてしまったのね」
俺「ここ、めっちゃ室内」
いいのよ、いいのよ。
私のお米はおなかを空かせた皆の味方なの。
俺「現実逃避すんなよ……。まあ、片っ端から開けていけば何処かに出るだろ」
俺氏が手近の扉のノブに手を掛ける。
がちゃ。
俺「!」
静電気でも走ったかのように、俺氏はノブから手を放す。
私も見た。
ノブが、勝手に回ったのを。
つまり、誰かが反対側から開けようとしている。
本物の幽霊かしら?
だとしたら初めて生で見る事に……。
そういえばC組に幽霊ちゃんがいたわね。
ちぇ。



side other

ゆっくりと、扉が開かれる。
ごくり、とどちらかが唾を飲む音が聞こえた。
ぎぎぎぎぎ。
非常にゆっくりと開かれる扉。
開いた隙間から覗く闇は、冥府の底にも似て。
少年と少女は勝手に開く扉から距離をとる。
俺「……ふわぁ」
シュー「……Zzz」
二人とも眠いのか余裕をかましていた。
俺「誰だ?」
…………。
返事は在らず。
シュー「幽霊だったら壁を突き抜けて出てくるわよね」
何かに失望したように、少女。
俺「お誘い?」
シュー「かもんべいべー」
少年はおもむろに扉を蹴りつけ、一気に扉を開きに掛かる。
ばこん!
?「ぐぇ!」
その扉の影に誰かいたのか、勢いよく開いた扉にぶつかったようだ。
俺「なんだ、誰かいたんじゃねーか」
シュー「典型的なギャグで駄目ね。三点」
少女の評価は厳しかった。
?「ちょ!誰だよいきなり開けやがって」
少年と少女は、その聞き覚えのある声に。
シュー「此処はハズレね」
俺「違う部屋を探そう」
B「ちょ!ひでぇ!」
Bと呼ばれる少年だった。
俺「お前、こんなとこで何やってんだ?」
B「それは俺のセリフだよ。あんたらこそ何やってんだ?」
シュー「愛のランデブー」
俺「……」
B「……」
シュー「ランデブーとは、走るデブの事じゃないわ」
俺「しっとるわ」
B「ま、まさかあんたら……」
俺「信じるんじゃねぇ!」
シュー「米」
合流した二人と一人は、互いの状況を確認しあった。
先の二人は、以前説明したとおり。
館で出会った少年が言うには。
B「俺は気付いたらここに居たんだよ」
俺「気付いたら?」
B「ああ。普通に、普段目が覚めるような感覚で起きたら、ここに居たって訳」
嘘を吐いているようには見えないし、吐いて得があるとも思えない。
シュー「他には誰か居なかったのか?」
B「ん?あー、知らないなぁ。だって無駄に広い館なんだぜ?怖くて大人しくしてたよ」
俺「……」
B「?小声でなんだよ」
シュー「ヘタレって言ったぞ」
B「うわああああぁぁん!」
俺「ともかく動こう。他に誰か居るかもしれないし、そいつが何か知ってるかもしれない」
B「ま、まじで?だってあんたらの話だと、化物がいるってゆーじゃない?」
シュー「残りたければ勝手に残れ。米は置いていってやる」
B「ま、待ってくれよ!置いてかないでー」
三人が出て行った部屋は、再び闇に飲まれた。



side 俺

Bを加えて俺等三人は迷路のような洋館を進む。
鍵の掛かっている部屋は、とりあえず内部に誰か居ないかの確認だけをしていた。
B「疲れたー。休もうぜー」
俺「そこで寝てろ」
B「うう、鬼ぃ。友君の苦労が判るぜ」
友、か。
他の連中もこのおかしな世界にいるのだろうか?
シュー「俺氏」
俺「なんだシュー氏」
シュー「おなか減った」
俺「そういやいい加減何か喰いたいな」
俺達がこの世界に来てから、何時間経ったのだろう?
そもそも今はいつで何時なんだ?
そんなこんなで迷っていると、廊下奥の扉からかちこちと音が聞こえてきた。
その音には聞き覚えがある。
ホールから最初に入ってきた食堂に在った時計。その音だ。
俺は足早に扉に近づき、開け……そして閉めた。
シュー「どうした?」
B「なんかあった?」
俺「あー……」
まあ、見てみるがいい。
俺は無言で扉を開き、二人を食堂に招いた。
B「おお!」
シュー「これは……?」
食堂のテーブルの上に、色とりどりの豪華な料理が乗せられていた。
俺「喰えると思う?」
B「腹減ってたんじゃないの?」
それはある。だが……。
俺「こんな不気味な館にある料理だぜ?」
どんな材料を使ったか、ましてや毒が盛ってあるかもしれない。
それに、なんか部屋の雰囲気が最初に入った時と違う気がする。
料理が添えられている事じゃなくて、なんかもっと根本的な……。
シュー「俺氏、あれ」
あれ、とシューが指し示したのは時計。
これで時間が確認できる、と思ったが。
俺「……逆回転してやがる」
電池の入れ間違いかをい?
今がいつで、何時なのかの確認は出来そうに無い。
B「で、これどーすんの?」
Bがテーブルの上の料理を指す。
俺「喰いたきゃ喰え」
責任は取らん。


side シュー

先ほど食堂に入ってきた時から違和感があった。
なんだろうと、それは俺氏も感じているらしかったが、私は時計を見てその違和感がなんなのか理解した。
この部屋は、全てが逆なのだ。
最初見たあの部屋と、配置が。
だから違和感を感じている。
Bはテーブルの上の料理をおっかなびっくり眺めている。
私もおなかが空いているが、この料理には手を出さない。
何故なら、ほかほかご飯が無いから!
俺「あー、駄目だこりゃ」
B「どうしたん?」
俺「出られん。つか出口らしきものすらない」
どうやら俺氏は、まだここが最初に入ってきた部屋だと思っているらしい。
B「どうするんだよ……」
俺「こっちが聞きてぇよ」
男二人は椅子に座って。
だけど料理には手を付ける気はないようだ。
その時だった。
がちゃ、と扉のノブが回る音。
それに反応する私達。
?「あら、この部屋は開いてるわね」
なんと あらわれたのは ツンだった。
ツン「……なんであんた達が居るのよ?」
俺「それはこっちのセリフだ」
俺氏は、これから先、何度と無く繰り返されそうな返答に頭を抱えている。
そういった面倒ごとは全て任せてしまおう。
てへ☆
俺「『てへ☆』じゃねぇーよ……。ツン、お前一人か?」
ツン「ゆうやと日和、鮫子も一緒よ」
シュー「お前は一人で何を?」
ツン「別にー。じっとしてても退屈だったから探索」
おお、なかなかに度胸が据わっているな。
どこぞのヘタレのBとは大違いだ。
B「と、名指しっすか」
俺「案内してもらえるか?ちょっと今の状況を皆と話し合いたい」
ツン「別にいいわよ。付いて来て」
ツンはそのままくるりと背を向けて食堂から出て行ってしまう。
俺氏とBは慌てて椅子から下り、その後を追う。
……なんか変ではないだろうか。
シュー「……ああ、なるほど」
私はテーブルの上にある料理を見た。
B「シューさん何してるん?行くよー」
シュー「ああ。今行く」
どうしてツンは、料理に目もくれなかったのだろうか。