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脱出


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  • 現在 PM:19:45 校舎屋上

鮫子 「嫌ああああ!!お願い!!彼を・・・彼を・・・」

ヴァル 「大丈夫だ・・・まだ時間はある・・・とりあえず彼を」

ばたん!

脇谷 「大丈夫!!何が・・・って・・・鮫子さんとヴァルねぇー・・・?」
ヴァル 「なんで・・・ここに・・・ってちょうど良い!脇谷!鮫子を抑えろ!!」
脇谷 「え、ちょっといきなり言われても・・・何が」

鮫子は苦しそうに悶える男にしがみつき泣き叫ぶ、始めてみる鮫子の感情的な姿だった

鮫子 「ねぇ・・・!ねえ!!お願い!!目を開けて!!ねぇえ!!」

脇谷 「えっと・・・とりあえず鮫子さん、落ち着いて!ね・・・」

ふと気が付くと周囲に薄暗い、何か嫌な予感すら感じさせる暗闇が広がる
その暗闇から幾つもの影で作られたかのような----------長い腕

そしてムンクの叫びのようなもやっとした物体が周囲を取り囲んだ


  • 現在 PM:19:50 校舎屋上

脇谷 「な・・・何これ・・・」

ヴァル 「触るな!!取り込まれるぞ!!・・・しかしここまで悪霊の動きが早いとは・・・どういうことだ!!」

鮫子 「な・・・なんなの?こいつら」

うぞり、うぞりとその闇は広がっていく

ヴァル 「さっき・・・話した、悪霊だ・・・しかし尋常な数じゃない」
鮫子 「つまり、こいつらが・・・彼の器を」
ヴァル 「そう、スキあらば我々も取り込む気だな」
鮫子 「どうすればいい?」
ヴァル 「・・・あの木の所まで彼だけでも行ければ・・・なんとか天に帰す事も可能・・・かもしれん」

脇谷 「えっと・・・何が何だか・・・」

ヴァル 「私が突破口を開ける・・・鮫子は、彼を背負ってあの木の所まで走れ!」
鮫子 「・・・大丈夫?」
ヴァル 「正直わからん・・・だが今はこれしかない、彼も既に体の崩壊も始まってる!そんなに重くはない筈だ!!」
鮫子 「迷惑かけるわね・・・でも」
ヴァル 「礼は・・・!後だっ!!!!!!!」

ドシュウウウウウウ!!!!!ヴァルの剣の一振りで暗闇に少しの隙間が開く


  • 現在 PM:19:55 校舎屋上

ヴァルの一振りにより、屋上出口への道が出来る

ヴァル 「行けぇぇぇぇ!!!鮫子ッッッ!!!振り返るなっ!!!彼を天に帰せば、この悪霊は消える!!」

鮫子 「判った・・・絶対にやられるんじゃないわ・・・・よっ!!!」

鮫子は屋上出口に向け走り出す
その後ろから脇谷を引きずるヴァル。そしてそのまま鮫子の出て行った屋上入り口前に陣取る

ヴァル 「さあ!ここは一匹たりとも貴様らゲス共は通さぬ!!かかってこい!!」
脇谷 「うわうわうわうわうわああああ・・・・」

ヴァルは脇谷に話し掛ける

ヴァル 「脇谷・・・お前はクラスの連中に連絡を取れ」
脇谷 「へ!?な・・・なんて!!?」

ヴァル 「鮫子一人ならまだしも、彼を背負っての鮫子では・・・確実に丘の上の木までたどり着けない・・・」
脇谷 「鮫子さん・・・でも?」
ヴァル 「だから、鮫子を・・・鮫子の背負う彼を守ってやって欲しいと」


  • 現在 PM:20:00 校舎屋上~三階廊下

何時も思う、なんて妙な設計だと。この高校は
二階に下りるのに反対側の校舎まで回らないと行けないなんて

屋上のドアを抜け、鮫子は階段を一気に飛び降りる

鮫子 「それにしても・・・軽い」

彼の体重は一般青年男子の十分の一くらいだろうか
元々魂だけの存在なのだろうが、妙に違和感がある

三階の廊下に着く
廊下の外側のガラスにも屋上で見た黒いどろどろが這いつくばってこちらを見ている

鮫子 「本当はこういうの心底苦手なんだけどね・・・」

ガシャーーーン!!!

鮫子が走り去る後ろの方からガラスが割れていく
そしてその隙間から黒い粘りのある墨汁のようなものが迫ってくる

彼 「鮫子・・・」
鮫子 「目・・・覚ましたの!?大丈b」
彼 「オレを置いて・・・逃げろ・・・」


  • 現在 PM:20:05 校舎屋上~三階廊下

鮫子 「嫌」
彼 「あいつらは・・・俺さえ取り込めば・・・消える・・・頼む」

走る鮫子の背中越しに、まるで搾り出すかのように喋る彼
鮫子 「・・・嫌よ」
彼 「さめ・・・こっ!ぐっ・・・うああああ!」

鮫子の背中で苦しむ彼、鮫子は悲しそうにそれでも走り続ける
鮫子 「確かにあんたはもうこの世の人間じゃない!!」

黒いねばりは既に鮫子の足元まで近づく
彼 「だからっ・・・オレの事は忘れて!!新しい人生をあy」



鮫子 「私の人生の中に貴方を捨てていった過去なんていらないの!!!」
彼 「さめ・・・こ」
黒い粘りが蛇のように鮫子の足元を狙う、そして飛び掛る瞬間



ダンダンダン!!!
? 「よく言った鮫子、ここは任せろ」


  • 現在 PM:20:10 三階廊下~屋上

鮫子 「ミリ・・・子!!」

ミリ子はすれ違いざま、彼の背中を思い切り叩く

ミリ子 「ここまで愛されてるんだ!!絶対に忘れずに天に帰れ!!」

彼 「あ・・・」
鮫子 「少しだけっ・・・お願い!!でも死ぬんじゃないわよっ!!」 たったったったった

闇はミリ子の前で一時止まり、また形を変えて襲いかかろうとする

ミリ子「我が・・・C・D組のサ・メイド連合を舐めないでもらいたいな・・・行くぞっ!!!」
脇谷 「メーリングストーム!!!C・D組全員に届けぇぇぇぇぇ!!!」 めるめるめるめるめるめるめる♪

ヴァル 「つか・・・物凄い速さで携帯触れるんだな」
脇谷 「話聞いて判ったよ」
ヴァル 「ん!?なんだ!?・・・・・はぁっ!!!」
脇谷 「鮫子さん、だから綺麗なんだよ、恋をしてるから。ずっと」


  • 現在 PM:20:12 三階廊下~二階廊下

鮫子 「はぁ・・・はぁ・・・」
彼 「大丈夫・・・か・・・鮫子」

ここまでずっと全力疾走の鮫子

鮫子 「舐めるんじゃ・・・ないわ・・・そっちこそ大丈夫?」

目の前に二階への階段が広がる
そこもまた一気に飛び降りるが。全力疾走を続けてきた足に負担は大きく、鮫子は転んでしまう

鮫子 「くっ・・あ・・・ぁ・・・」
彼 「さめ・・・こ・・・ぐああっ!!」
鮫子 「だ・・・大丈夫?」

飛び降りた時に痛めたのだろうか、足が痛い
ほんの一瞬、彼が鮫子を抱きしめる

彼 「ああ・・・でもまた・・・少し記憶が抜けていった、もうこの校舎がなんなのかも判らない」
鮫子 「え?」
彼 「でも自分の最後の場所はまだ覚えてる、行こう、あの木の下に」

しかし二階廊下から黒い闇が上がってくる


  • 現在 PM:20:13 二階廊下

うぞり・・・うぞり・・・
ぬめぬめと天井、二年の教室、外側の窓ガラス。至る所から黒い闇が上がってくる

鮫子 「ふふ、ここを抜ける体力も・・・あるもんかしらね」

靴のつま先を地面に叩きつける
彼も足首から下は既に消えていた、もう時間が無い

鮫子 「はっ!!!!」
その瞬間闇が鮫子の体に巻きついてくる、それを手でいなし足で蹴飛ばし手が使えない為、噛み付きながらも走る

その時、横の教室から矢のような黒い闇が鮫子のわき腹を強打する

どごん

鮫子 「くっ・・!あ・・・」
彼 「鮫子っ!!オレを下ろせ!!」
鮫子 「煩いっ!!!」

体勢が崩れた所に一気に黒いぬめりが襲い掛かる

その瞬間、視界は光に包まれた


  • 現在 PM:20:15 二階廊下

彼 「ん!?な・・・なんだぁ!!」

鮫子 「はぁ・・・彼女も来てたのね・・・ありがとう、荘厳さん」

その光が静まった時、周りの闇は消え普通の夜の廊下だった
荘厳が鮫子に手を差し伸べる

鮫子 「ありがと・・・んっしょと・・・」
荘厳 「彼氏さん?」
彼 「あ・・・ああ」


荘厳 「鮫子さん、この名前を胸に」


彼 「へ?」
荘厳 「行きなさい!!鮫子さん!!」

鮫子 「そうね、でも絶対死ぬんじゃないわよ」

鮫子はまた走り出す、ヒザは既に血だらけとなっている

彼 「彼女は・・・一体・・・」
鮫子 「ふふ、歩くニフラムよ」


  • 現在 PM:20:15 二階廊下~一階廊下

鮫子の走る速度が確実に落ちている

鮫子 「はぁ・・・はぁ・・・もう一階ね・・・」

彼 「鮫子・・・重く・・・ないか?」

ふと彼のほうを見ると既に太もも部分まで消えかかっている

鮫子 「私の事は、わかる?」
彼 「あ・・・ああ大丈夫だ」

その時一階の方から大きな長く黒い腕が鮫子のほうに襲い掛かる
彼 「あぶ・・・ねえぇ!!鮫子ぉ!!」

鮫子 「え?」

がずうううん!!!

やられたのか?ふと目を開けるとそこには

クー「遅くなってすまないな」
ヒー「うらっしゃあああ!!!恋する乙女を邪魔するんじゃねええええ!!!」


  • 現在 PM:20:15 一階廊下

鮫子 「ヒー子に・・・クーまで・・・」
彼 「ぐっ・・・ああ・・・ぐはあっ」

急に彼が苦しみ出す、自分のシャツを引きちぎるかのように胸を掻き毟る

鮫子 「ダメっ!!」

鮫子は彼の頭を優しく抱きしめる
彼は己の崩壊に苦しみ鮫子の背中を掻き毟る

彼 「ぐはあ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
鮫子 「お願い・・・もうちょっとだから」

彼 「ああ・・・ああ・・・鮫子・・・どこだ」
鮫子 「見えないの!?視界まで・・・」

ヒー「鮫子おおおお!!!早く行け!!!」
クー「脇谷から事情は聞いてる、早く!!」

そして二人はほぼ同時に同じ言葉を喋る

ヒク 「 「 さ め こ の こ と を わ す れ る な ! ! 彼 氏 ! 」 」


  • 現在 PM:20:20 一階玄関

二人はぼろぼろになりながら、一階玄関にたどり着く
玄関の外は既に黒い汚物みたいなどろどろで埋め尽くされている

鮫子 「ふふ・・・ダメかもね・・・これは」
既に後ろから闇も迫ってきている
玄関のノブに手をかける
鍵が閉まっているのか、開かない

鮫子 「いつもなら蹴飛ばしちゃうんだけど・・・もうキレる力も・・・無いの」
彼 「さ・・・めこ」
鮫子 「大丈夫・・・ここにいるから」
彼 「まだ、まに・・・あう・・・オレを捨てろ!」

焦点の合ってない目から涙が毀れている
もはや腰から下は消えている

鮫子 「嫌・・・」
彼 「さめ・・・こ」
鮫子 「ダメね、愛してるの」
彼 「こんな時に・・・笑いやがって・・・」

玄関のガラスは既にヒビが入っている
そして反対からは同じ闇が這いつくばるように迫ってくる

鮫子 「ふう・・・ごめんね、皆」

ふと横を見ると
鯱子 「へたれ・・・」 なぜか鯱子が立っていた


  • 現在 PM:20:25 一階玄関

鮫子 「しゃち・・・こ、なんでここに!!」
鯱子 「おねえちゃむとかれしのオタリアくんをたしゅけに」

既に周囲は囲まれている、黒き闇までもはや2m

鮫子 「な・・・何を言ってるのよ!!貴方は!!」
彼 「あ・・・しゃちこ・・・ちゃん」
鯱子 「よ」 ぴっ!
なぜか挙手
鮫子 「はやく・・・こっちに!!」

空を見つめながら鯱子は動かない
闇が迫るその瞬間

鯱子 「きた」




「どがーーーーーーーーーーーーん!!!!!」
どがべきぐしゃどあがっががががーーーーん

鮫子 「・・・嘘」

なぜか玄関の殆どが吹っ飛んでいた


  • 現在 PM:20:30 一階玄関

鯨 「ぬははははははは!!!迎えに来たぞおおおおお!!!さめこおおおおお!!!」

鮫子 「・・・おとう・・・さん」

鯨 「ふん」
そう鼻を鳴らすと
つかつかと闇を踏みつけながら鮫子のほうに歩いてくる、そして

げ ん こ つ !

彼 「うがががああああ!!よくわかんないけど!痛いぃぃぃぃ!!!」

鯨 「なーにをしておるか・・・このバカチンが・・・」

鮫子 「お父さん!!今の彼は!!」

鯨 「これはワシと母さんのぶんじゃ」

彼 「うう・・・くじら・・・おじさん」

鯨 「まーだ覚えてるのか・・・この馬鹿たれ・・・」

彼 「え?」

鯨 「鮫子や・・・鯱子の事を忘れるくらいなら・・・ワシと母さんの事を先に脳みそから出してしまえ!!」


  • 現在 PM:20:32 一階玄関

そういうと鯨は鮫子と鯱子と彼を担ぎ堂々と玄関をくぐって行く

鮫子 「ちょ!お父さん!こいつらは」
鯨 「ふん邪魔じゃ」

もう片腕で全てを掃って行く
鮫子「あ・・・あれ?」
鯱子「どんどん」
鯨 「それにしても多いのう・・・」
そう呟くと鯨は中庭の電灯を引っこ抜き、まるで蝿叩きのように周囲を掃っていく

鯨 「おい、小僧」
彼 「え・・・はい」
鯨 「ワシは・・・お前の事は息子のように思っとったよ・・・」
彼 「くじら・・・さん」
鯨 「もおおお!忘れたけどなあああああ!がっはっはっはっはっは!!!」
彼 「ちょ・・・」
鯨 「ワシら夫婦の事は忘れろ、じゃがその分・・・鮫子との思い出を・・・天に持っていってくれ」

彼 「あ・・・くj」
鯨 「おまえのよおおおなへたれのことなんてしらんわあああああ!があっはっはっはっは」
彼 「ぐうっ・・・く・・・うう・・・」

鯨の大きな手のひらが彼の頭を思い切り撫でる。丘の上の木が、うっすらと見えてくる