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シューと優


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 私の名前は学、学習型クールとも呼ばれる。
 正確には「学習型クール」とは最近流行りの新ジャンルの一つなのだけれど、長くなるから割愛する。
 私はありとあらゆることを覚えること、つまり「学習」することに秀でている。特に他人になりきることなどが得意だ。
 言っておくけれど、これは趣味とかではなく特技なので自分が興味を持った相手、もしくは誰かに頼まれた場合などに限ってする行為だから妙な誤解はしないでいただきたい。

 さて、今回の標的は「素直シュール」
 新ジャンルキャラというのは、大抵そのジャンルの名前からキャラクターの性格が読み取れる。彼女の場合「素直」はまぁ、わざわざ説明する必要も無いでしょう、「シュール」については、こちらもまた長くなるので割愛。
 この「素直シュール」をあえて真似てみたいと思うのは、彼女があまりにも突飛なキャラだからだ。
 私は彼女の口調、立ち居振舞い、表情のパターンなどは普段の生活からほぼ完璧に把握している。
 ただ、行動パターンだけがどうしてもわからない。そんなのは初めてだった。
 とにかく先が読めない、突拍子が無い、意図がつかめない。そんな行動ばかり起こしている。
学「……と、言うことで、今日から彼女の観察を開始するわ」
鮫子「誰に言ってるの? ……まぁ、頑張ってね」

 1限目の授業は数学。
 教師が数式やグラフなどを黒板に書いているのを横目で見ながら、優と渡辺さんが「わかんないよぉ……」「むずかしいよねー」と喋っているのを聞くともなしに聞きながら、 私は素直シュール……シューを観察する。
学「……ん? 何か持ってる…………あれは」
 シューが手に持っている黒い物体、それはストップウォッチだった。
学「なんであんなものを……?」
 私が疑問符を頭に浮かべながら、それでも観察を続けていると、彼女は筆箱から消しゴムを取り出しおもむろにそれを床に落とした。
 ……と、同時に手に持っていたストップウォッチを押したのを私は見逃さなかった。
優「あ、消しゴムが落ちたよー、はい」
シュ「ありがとう……」
 ……相変わらず鮮やかな「消しゴム拾い」だわ。無駄の無い動き、音も無く、そして素早く消しゴムを拾って、笑顔で渡す。あの動きを体得するのに何日かかったことか。

 ―――しまった、シューが何をしていたのかうっかり見逃してしまった。私としたことが……。
 そして当のシューはというとストップウォッチを見ながら結果を何かの紙に書き込みつつ何かブツブツ呟いているようだった。
 私がめげずに観察を続けていると、なんとこのシュー、もう一度消しゴムを床に落としたではないか。そして同時にストップウォッチを押すことも忘れない。
優「また落ちたよー、はい」
 それにしてもこの優、素晴らしい笑顔である。世の男性はこの笑顔に思わずニヤリ。
シュ「すまない……」

 ……何をやっているのか、私は。また見逃してしまった。
学「悔しい……っ!!」ビクビクッ
俺「!?」
 ただ、なんとなく意図は掴めてきた。
 恐らく優が消しゴムを拾いあげるのにどのくらいかかるのかを計っているのだろう。
 確証は持てないけど、九分九厘間違いは無いでしょうね。二回やったのは平均値を取る為かしら。

 私がそんなことを考えていると、シューはまたもや消しゴムを落っことした。もちろん同時にストップウォッチを押しながら。
優「あれ? またまた落ちたよー、よく落とすねー」
シュ「うん……」
 …………見た。
 今度は確実に見た。
 優が消しゴムを拾い上げる瞬間にストップウォッチを押したのを私は確かに見た。
シュ「アヴェレージ……――秒――か……」
 そしてシューの呟きによって私は確信した。先ほどの推測は当っていた、と。

 結論、シューは「消しゴムを落としてから優が拾い上げるまでに何秒かかるかを計っていた」 バァーン!

学「…………何故だぁぁぁああ―――――!!!???」
 私は早くもめげそうになった……。