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23スレ目


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男「……なあアンタ」
女「ん、何?」
男「アンタ、何なんだ?神なのか?」
女「神?何それ、マジ笑えない」
男「違うのか」
女「違うわ、いい?少年。ここに全知全能の絶対神が居たとするわ。絶対神さまの思考は、人間には理解できないほどに深慮に満ちている。だからこそ、神性が強くなればなるほど、その性質は単純な理念そのものになる。例えば『愛』とかね」
男「…………」
女「それほど大きな存在になると、勝手な私欲では動いてはならないのよ」
男「…つまり、アンタは私欲で動いてるのか」
女「半分はね」
男「…………」

ヴァ「…………」
女「ねぇ。戦乙女様が聞いて呆れる」
ヴァ「………これから何が起きる?」
女「さあね、でも」
男「…………」
女「あの娘は、ちょっと人を殺しすぎた」
男「…………」
女「生きていく為には、数が大き過ぎた」
男「…………」
女「だから、きっと裁かれるわ」
男「誰にだ」
女「誰にでもないわ。誰にでもない」
男「……行き着く先は地獄の門」
女「この場所に、環境に、周囲に裁かれる」
男「…………」
女「正直、ここまで思惑外れになるとは思わなかったし………まあ、やらなきゃいけなかった事は全部片付けたからもういいのよ」
男「……よく分からないけど、狂に随分執着してる事は分かった」
女「ええ」
男「だけどあの俺女は何の関わりがある」
女「…きっかけね、強いていうなら。きっかけを作る力。無責任な魂を宿してる」
男「…………」
女「彼を殺すのは惜しいわ」
男「あいつも、今ホテルに居る。狂に得物を返してる」
女「だから何よ」
男「あいつ………狂に殺される」

友「…………」
男「あいつが狂に殺されたら、何もかも台無しになるな」
女「……?」
男「どうなんだ。アンタ」
女「……どういう事」
男「とぼけるな、アイツが死んだらアンタも困るんだろう?……助けに行かないのか」
女「………何を言ってんのアンタ?私が彼を助けるように仕向けてるワケ?何で?」
男「…………」
女「精一杯の抵抗?にしても、言ってる意味が分からないんだけど。久しぶりに意味不明……ねえアンタも、こんな物騒なもの向けてないで、説明しなさい」
ヴァ「…………」
男「……???」
友「…………あ」
男「どうした」
友「…………まさか」
女「……。あ、分かった。アンタ達は知らないのか」
男「?」
女「後ろの彼は気付いたみたいね」
友「……そういう事か」
男「え?」


女「だって、あの娘今、誰も殺せないもの」

ガキッ!

狂「………え?」
俺「………。お前は俺の髪を切りたかったのか?」
狂「えっ?」

ヴヴヴヴヴヴッ

狂「ひゃぁんっ!」

ドデッ

俺「よいしょ。……だから騎乗位はやめとけって言っただろ、胸ポケットの携帯がいつかかってくるか分からなかったから」
狂「………??」
俺「呆けた顔も可愛い」
狂「え?」
俺「お前が丁度股の下に携帯踏んづけてたからドキドキしてた。……パンツ見えてるぞ」
狂「あっ……?」

ピッ

俺「もしもし……。うん、時間に間に合って良かった。………愛してるよ。………。調子はどうだ?ん、ちょっと待て」
狂「………?」
俺「ああ、うん、お前は知らなくていい。ゆっくりしてろ……。ああ分かった。じゃ」
狂「…………」
俺「狂、お前に電話だ」
狂「え?」
俺「早く取れ」
狂「あっ、うん」

狂「……もしもし……」









優「―――――狂ちゃん?」
狂「………ゆう………ちゃん……?」

優『狂ちゃん?久しぶりー』
狂「えっ、な、ええっ……?」
優『狂ちゃん、学校さぼってたんだってー?』
狂「あっ、……うん」
優『狂ちゃんあんまりさぼってたら内申に響くよー?』
狂「うん……」
優『旅行ー?』
狂「まあ……うん」
優『何処に行ってたのー?』
狂「……なんか、知らない街を」
優『いいなー。私も放浪したいなー』
狂「…。」
優『今度会ったらお話聞かせてねー』
狂「えっ、あ、うん」
優『じゃあねーばいばーい』
狂「……バイバイ」

ピッ

狂「………」
俺「……今朝、意識が回復したんだ」
狂「………」
俺「お前、やっぱり、殺したと思い込んでたんだな」
狂「………」
俺「言っただろ、お前は殺せないって。正直賭けだったんだが」
狂「………」
俺「お前の気持ちは分からないでもない」
狂「………」
俺「俺が小学校の時の話。隣のクラスにめちゃくちゃ可愛い転校生が来た。小学生にして一目惚れした。初恋だった。毎日休み時間にその娘を見に来た。困った事に帰り道を付けたりもした。こっそり消ゴムをパクって使ったりもした。その他にも色々、言えない様な事をした」
狂「………」
俺「でも、その頃俺は今みたいな冒険野郎じゃなかったからな。話も出来なくて、悶々としていた。毎日夢に出てきた。ついには………叶わないなら、あの娘を殺して俺も死んでやろうかと思った」
狂「………」
俺「だけど卒業式前日になって……、思いきって俺は話しかけてみたんだ。そしたらその娘何て言ったと思う?」
狂「………」
俺「こう言ったんだ。『えっ、男だったの?』……そういうの昔からなんだ」

狂「………」
俺「結局お前も所有欲の話だろ、突き詰めれば。昔の俺と同じで」
狂「………」
俺「でもな、よく聞け」


俺「殺す必要は何処にも無いんだ」


狂「………」
俺「お前は殺したと思い込んでいた。殺して、自分の中にいると」
狂「………」
俺「でも優は生きてて、お前に話しかけただろう」
狂「………」
俺「他人を殺す必要は何処にもないんだ」
狂「………」

俺「話は変わるが」
狂「………」
俺「お前、結局その果物ナイフじゃ駄目なんだな。不能なんだ。俺が今持ってるこれじゃないと駄目なんだ」
狂「………」
俺「優も殺せなかったし、俺も殺せなかった。もしかしたら他のヤツもだ。何が、こっちのナイフにあるんだ?」
狂「………」
俺「このナイフじゃないと人を殺せないのか?人を……」
狂「………」
俺「……。……お前は狂ってる」
狂「……違う、わたしは……」
俺「いいや、人を殺さないと心が癒されないなんて、そんなのは病気だよ。考えてみろ。人を殺すんだぞ?」
狂「……人を……殺す」
俺「そんなの考えただけで、胸糞悪い。そんな必要無いのに」
狂「………」
俺「……。このホテル、何で潰れたか知ってるか?」
狂「………」
俺「七年前の事だ。ここで殺人事件が起きた。犯人は当時、十七歳の少年だった。少年は逮捕されて、事件は解決した。それ以上の事は詳しく知らない。もしかしたらもっと根は深いのかもしれない」
狂「………」

俺「……なあ狂よ」
狂「………」
俺「俺は一応、お前のクラスメイトだ。運命の繋がりがある。特に鬱陶しい類のな」
狂「………」
俺「俺はお前が苦しんでるなら、助けたい。こうなったからには。他の皆だってそう言うに決まってる。それが、お前を裁く事になっても」
狂「……言ってる意味が、分からない。私、苦しくなんかない」
俺「………。狂、ほら。返す」

カラカラ…

狂「………?」
俺「その柄の所を見てみろ」
狂「………」
俺「……このホテルのロゴだ」

狂「………!!」
俺「いいか、狂、聞け」
狂「………嫌」
俺「もうすぐ他の奴らもやってくる。皆お前の味方だ」
狂「………嫌、来ないで」
俺「教えてくれ」
狂「……来ないで、近寄らないで」
俺「……狂」
狂「来ないで!!近寄らないで!!来ないでええぇぇ!!」




俺「……狂!!待て!!お前もここに居たんだ!七年前に!お前もここに居たんだ!!」

友「一番最初の事件なんだけど」
男「……ああ」
友「何だ」
男「ウチの学校の、女子が殺された?」
友「違う」
男「え?」
友「それより前にあっただろ」
男「…………男子が二人殺された?」
友「それだ。何でお前が知ってる」
男「……新聞とかで見たから……狂がやったって……それでアイツが狂の得物を……」
友「そこ」
男「え」
友「何故、新聞で見ることができたんだ」
男「それは……得物を…………あっ」
友「そうだ、気付いたか。最初の二人の時は、狂はまだマイナイフを持っていた。なのに、マスコミにバレた」
男「………」
友「そしてマイナイフを奪われた後、優を殺そうとして、未遂に終わった」
男「どういう事?」
友「こういう事だと思う」


友「その時、ウチの学生二人を殺したのは、狂じゃなくてアンタだった」
女「ピンポン」

友「アンタ、ウチの美少女をけし掛けたみたいな事言ってたよな」
女「そうよ………」
友「アイツが人を殺せないってのは本当なのか」
女「殺せない。誤算だった」
友「何故」
女「ただの果物ナイフじゃ、あんだけ狂っていても結局、精神にブレーキがかかるみたいね」
友「…………」
女「自分の得物によっぽど思い入れがあるのね」
男「……って事は、アイツが居ない間に殺された奴らは」
女「そう、私が殺してたの。あの娘は虫一匹殺してない」
男「…………」
女「大変だったんだから。いちいち刺すギリギリまで待ってから、あの娘の意識を飛ばして、それから殺してくのは」
友「…………」
女「しかし………、あの変態親父はいただけなかったわ………本気出しちゃったじゃない………」