|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|

幸福論


※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

不幸長編と言っておきながら、未だ不幸少女に会ってすらいない男

賑やかな一群を外れ、一人寂しそうな不幸少女。

放課後の図書室で、二人は出会う。

それは小さな、そして大きな出会い。


Are you happy?
――シアワセデスカ?


『幸福論』

放課後。

皆三々五々帰路につく。
男もまた、クーやらヒートやら引き連れて、某RPGなら馬車が必要な人数でゾロゾロと。
シュー「あ、そういえば図書室に返さなくてはならない本があるんだ。ちょっと寄ってもらえないだろうか」
男「え?シュー、本借りたのか?」
友「ジャンルが実に気になるんだぜ?」
シュー「ふむ、見るか?ホレ」
男「いいのか?えーと、なになに?」
『ビジュアル・お米図鑑』
男「はは、何というかシューらしいな」
シュー「学会の発表にちょっと必要でな。いやあ、うちの図書室は充実している」
男「ああ、確かにあそこはかなりの本の量だよな。」
学会という言葉に激しく違和感を覚えたが、男はあえて流した。
男「ん?もう一冊ある。なになに…?」
『熱力学における稲作の傾向とその美学――宇宙編』
男「……………」
ツッコミ所が多すぎて言葉が出ない。
まずタイトルからして飛ばしている。並べられた言葉が明らかに反発しあっている。
それ以前に、『傾向』なのにいきなり『美学』とはこれいかに。指南書なのか哲学書なのかも想像がつかない。
男(気になる…が、これを読んだら俺は確実にダメになる……気がする)
シュー「それに興味があるのか?それなら私が懇切丁寧に君に「だが断る(男)」そうか」
確かに非常に気になるが、男はまだノーマルな世界に未練があったのであった。

シュー「……閉館?」
男「ま、仕方ないさ。今日のところは帰ろう」
シュー「いや、返却期日が今日までなんだ。これを次に借りる人が迷惑する」
『そんな本、誰も借りないんじゃね?』という言葉を男はすんでの所で呑み込んだ。
ヒート「返すだけなら、ちょっと入っても大丈夫だろ!おーい!邪魔するぞ―――!!(ガラガラ)」
俺「あ…お、おいヒート…」
止める間もなく、部屋に入っていくヒート。相変わらずインパルスとアクションが一緒の奴だな。
シュー「ま、そうだな。返すだけなら人が居なくても…」
ヒートに続き、シューも図書室に入ろうとした、その時!
ヒート「ひゃあああああああああああああああああ!!!」
一同「!!!」
室内から響く、絹を裂くようなヒートの声。
友「い、今のは!?」
クー「ヒートの声…何事だ!?」
たかが学園の図書室で一体叫ぶほどの何が起きたのか。
もっとも、ここは只の学校ではない。『泣く子もカオス』新ジャンル高校である。何が起きても不思議ではない。
男「と、とにかく行ってみよう!」
ヒートの声のした方向に向かった一同、そこで彼らが見たものは
男「な!?」
ツン「ひっ…」
クー「…………」
本棚に押し潰されて死んでいる女学生の姿だった!!
ヒート「お…おとこぉ………」
男「し………………死んでる!」
まさかリアルでこのフレーズを使う時が来ようとは。

ありのまま、今、起こったことを話すぜ。
俺たちが図書室に入ったと思ったら、人が本棚の下敷きになって死んでいた。
何を言ってるのか、わからねーと思うが、俺も何がおこったかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった。

男「催眠術とか超スピードとか、そんなチャチなものじゃ……」
ツン「ちょ…何ブツブツ言ってんのよぉ!!どーすんのよこの状況をぉ!!」
ヒー「こなあああああああああああああゆきいいいいいいいい!!!」
クー「…ねえ」
一同もの凄い取り乱しっぷりである。
男(く…っ!!なんだってんだ!?ここで殺人事件編突入か!?)
と、そこで黙ってその光景を眺めていたシューが動いた。
シュー「…………友。ちょっとすまない」
友「ん?なんdゴフッ!」
おもむろに友の鳩尾に一発かましてダウンを奪う。
そして、友の背後にある柱の裏に回ってシュールは言った。
シュー『この殺人事件、俺には犯人がわかったんだぜ?』
俺「バーローwwwwwwwwwwwwww」
男「……………」
なんでこいつらはこんなに落ち着いているのかと。

男「お前ら…仮にも人が死んd…「安心しろ。その女の子は生きている(シュール)」へ…?」
ヒー「い、今…動いたあああああああ!死体があああああ!!」
ツン「生きてるの!?この状態で!?」
男「………ほんとだ、生きてる……」
…なら始めからそう言えと。
シュール「当然だ。そうでなければこんなネタやってられないだろう」
ネタのために気絶させられた友が不憫でならない。

男「…って!だったら早く助けろよ!」
数人がかりで棚を持ち上げ、女の子を救出。
男「おい!大丈夫か……あ」
ツン「あ…」
クー「ぬ…」
不幸「………あうう…」
本棚に挟まっていた女の子は、不幸少女だった。

不幸「………本当に、ごめんなさい…」
本棚の下にいたのは、不幸少女だった。
あんなものに押し潰されたにも関わらず外傷は額のコブだけである。何と頑丈な。
不幸「ここを片付けようと思って本を取ったら本棚がいきなり倒れてきてしまって、そのまま下敷きに…」
男「……………」
ツイてないな、と男は思う。
ツン「でも、何で不幸さんが閉館中の図書室に一人で?」
不幸「わ、わたし…今日ここを掃除するよう先生に言われてて…」
男「こんな広いとこ、一人でかよ…」
鬼だな、その先生。
不幸「う、ううん!ホントは8人がかりで行う予定だったんだけど……欠席とか補習とかで、結局私一人に…」
男「……………」
やっぱりツイてないな、と男は思う。
クー「ふむ…それは大変だな…。男、手伝ってあげようではないか」
男「ん、そだな」
不幸「…い、いいの!平気!私、一人でやれるから!」
ツン「一人って…こんなの何時間かかるかわからないわよ?」
不幸「で、でも…それじゃ、みんなの迷惑じゃ……」
妙に助けを拒む不幸少女。どこか無理してるような印象を感じる。
男「みんなでやった方がすぐ終わるだろ?」
不幸「でも……私は…う~…」
男「ほら友、いつまで寝てんだ。ホーキ取ってこい、ホーキ」
友「うう…何事なんだぜ…?」
不幸「え…あの…」
男「ここで見捨てて帰ったらそれこそ後味悪いだろ?いーから黙って手伝ってもらえよ、な?」
不幸「……うん。……本当にごめん……」

と、いうことで掃除を開始する一同。

ツン「まったく…広いわよね、ここ…(ガーガー)←掃除機の音」
人外やら変態やら、広く門戸が開かれたジャンル学園。その本の種類は多岐にわたる。
クー「全くだ。これを一人でやっていては今日中に終わらなかったかもしれないな(ふきふき)」
その本の量に比例して、かなりの広さを誇っている。
その規模はそこらの学校の図書室など問題ではなく、本の虫にはもってこいのスポットである。
シュー「(パッパッパッ)」
ツン「…って何ドサクサに紛れて米撒いてんのよ!」
シュー「悪霊退散だ。死人が出たからには避けられない」
ツン「結局死んでないでしょーが!ああぁ…折角掃除したのにぃ…」
シュー「米が床一面を覆う図書室。それもなかなかに素敵だと思わないか?」
ツン「心の底から思わないわね」
シュー「はは、君は本当にツンデレだなぁ」
ツン「………………」

そして、本の虫でなくても、ある層にとってもたまらない充実ぶりである。それは…

俺「ええと……この本はと……ここか。ったく…なんて広さだよ…」
友(俺!俺!ちょっと来るんだぜ!?)
俺「ん?どうした?小声で叫ぶなんて器用なことして…」
友(いいからほら、こいつを見てくれ。どう思うんだぜ?)
俺「…すごく、エロいです……ってオイ!!何でそんな本が図書室にある!」
友(バ…!声がデカイんだぜ!!…いやしかし…ここはすごいんだぜ…!
さすがは『泣く子もカオス』新ジャンル高校…質も量もパーフェクトなんだぜ!変態クラスがあるだけのことはあるんだぜ!)
俺「いや、掃除しろよ…」
友(まだまだ掘り出しものが出てきそうな気がするんだぜ!さあ、気合いを入れて探索を…)
俺「いや、だから掃除を…」
ジャーン、ジャーン、ジャーン!!
友「げえっ!ヒート!」
ヒー「あああああ――!!こら!お前たち何をサボっているか――!!」
俺「え?いや、俺は別に…」
ヒー「(////)し…しかもそんなえっちい本なんか持ってえええ!は、恥を知れえええ!!」
友「バ、バカ!声がでかいんだぜ!!」
俺「いや、だから俺は…」
クー「( ´_ゝ`)」
ツン「( ´_ゝ`)」
シュー「( ´_ゝ`)」
友「ああッ!女性陣の目が氷のように冷たいんだぜ!!」
俺「俺は真面目にやってたのに…orz」

横に並んで座り、本のジャンル分けをする男と不幸。
不幸「あ…あの……ほんと…ごめんなさい…」
男「いいのいいの。あ、不幸さん。それ取って」
不幸「え…これ………?」
男「どーも。さーて、気合い入れて終わらすぞ!」
不幸「………ごめん…」
男「はぁ…さっきから何回謝ってんだよ…」
不幸「でも…こんなに迷惑かけて…」
男「迷惑て…別に、なあ…」
男にはわからなかった。
どうして不幸はそんなにも他人に迷惑をかけることに過敏なのか。
どうしてそんなにも人に頼ることを拒むのか。
男「なあ…何があったのかは知らないけどさ…」
不幸「え…?」
男「そんなに『迷惑だから』とか言ってぜんぶ一人の力でやろうとするの、やめたほうがいいぜ?」
男「世の中、一人の力だけじゃ解決できないことなんていっぱいあるんだからさ」
男「迷惑とかそんなこと考えずに、人に頼ることも憶えたほうがいいぜ?俺達はそんなの気にしないからさ?」
不幸少女を見る。
いない。
代わりに不幸少女がいたところに本棚が倒れていた。
以上のことを総合すると…
=不幸少女が本棚に潰されている。
男(な~るへそ!!こいつぁ確かに不幸だぜぇ!!)
男「なんて言ってる場合じゃNEEEEEEEEEEEEEE!!」
シュー『触れちゃダメなんだぜ!!それは大切な証拠なんだぜ!!』
振り向くと、またもや気絶させられた友の姿。
男「…それはもういいから助けるの手伝え」


結局不幸少女は、今日だけで3回本棚に潰されることとなった。