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俺鮫希譚03


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俺「死とは」
友「心に反映して、まず感覚から朽ち果てるものらしい」

おかしんじゃね?と思いたくなるような斜陽から身を守るように、木々の緑
俺と友は木陰に隠れるように涼を取っていた
傍目に見る生徒の姿は忙しそうで
その一人一人の行動は、祭りを成功させるぞ、との意気込みが見える

遠くの空で、飛行機雲が青の中に吸い込まれ
残された尻尾は白く空を両断している

友「お前、最近鮫子と仲いいの?」
俺「なんでさ」
友「……別に。ただそう思っただけ」

……どいつもこいつも、男と女がそこにいるってだけで、どうして邪推するかね
そんなに欲求不満なのか?

友「夏いな」
俺「暑だからな」

戯言だ

あいつの行動は、常に誰かをヤキモキさせる
うちにクラスにもう一人そんな男がいるが、あいつとはまた別の感覚だ

危ない――

あいつは特にそう思わせる

エクレアを片手に教室をふらふらと彷徨っている
……ってか手伝えよお前

俺「ほら、俺……現場監督だから」

だったら隅っこで大人しくしてやがれ

ちらりと、俺は『あいつ』から任された奴の姿を見る
窓縁に座って空を眺めるその少女
何処か物憂げで切なくて

端的に言えば、厭んでいる
生きている事に
その目で、この世界はどう映って見えているのだろうか

愛する人を失った世界では、どんな色の花が咲くのだろうか

男「一通りの準備は終わった。と思う」
クー「お疲れ様」
ヒート「お疲れだあああぁぁ!」
B「お疲れsummer」
日和「さまー」
ツン「あとは当日を迎えるだけね」

飾り付けられた教室を見て、皆で苦労を分かち合う
教室だけではない
廊下も、校庭も、校舎も、その全てが夏祭りを演出している

開催まで二日ある

準備の終わった者は、他者の催し物を見物したり
終わらぬ者は最後のスパートを掛けている

会長「そうそう、伝え忘れてたが、明日の夜は前夜祭があるから」

全員『誰?』

会長「うわああああぁぁぁん!」

サブキャラにも愛を!もっともっと愛を!
ってかお前らぜってーわざとだろ

飾り付けの終わった教室で、ただ一人
校庭で皆がその苦労を分かち合い、喜ぶ姿を見ていた

楽しそうだ
本当に

それに比べ私はと言うと……

鮫「くだらないわ」

冷めていた

どうしてなのだろう
本当は皆と楽しくやりたいのに
笑っていたいのに

どこか――
どこか一線を引いてしまう

誰か、教えて
私はどうしたらいいの?

あなた、教えてよ……

優「あれー?どうしたの鮫子ちゃん」

教室の後ろのドアが開いて、そこに優が立っていた

優「皆校庭にいるよー?一緒に行こう?」

この子は優しい
優しすぎると思える程に
こんな私にも手を差し伸べ、声を掛けてくれる
でも、私は

鮫「別にいいわ。一人でいたいの」
優「……」

優の顔が、一瞬寂しそうに歪む
泣きそうな、だけど精一杯それを押し隠すような
その表情に心が痛む

鮫「……あとで行くわ」
優「うん。待ってるんだよー」

去っていくその姿

蜩が、寂しそうに遠くの空で鳴いていた

ばたん
音がして、掃除用具入れの蓋が開く
何故?

俺「およ?」

そこに現れた姿
女性の私から見ても、なお美しく可愛いと思える
だがそれでいて男の、『俺』だった

俺「なんでD組?……おーい、混線してるぞー」

掃除用具入れの中に声を掛けると、「了解した」と声が返ってくる
それは隣のクラスの軍師さんの声
だからなんで掃除用具入れ……

俺「いよお、何黄昏てるんだ?青春?」
鮫「そういうあんたこそ、何やってるのよ」
俺「企業秘密だ」

そう言って掃除用具入れの蓋を閉める
あの中がどうなっているのか、あとで確認する必要があるわね

俺「皆校庭に行ってるぞ。これから慰労会やるらしいぞ」
鮫「そう」

そういうあなたは行かないの?

俺「俺は代理を立てといたから」

校庭にいる皆、いや、複数の女に囲まれて困惑する男を指差しているようだ
薄暗くて見えにくいが、その肩にはちょこんとエクレアが置かれている

俺「な?」
鮫「…………」

ああ
こいつ、馬鹿なんだ……

蜩の、聞こえていた声はもう無い