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タコけしマシーン(仮)

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匿名ユーザー

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内藤「ついにねんがんのタコけしマシーンをてにいれたぞ」

少年「・・・ですから、無闇に悪用は無しですよ」
内藤「おk、把握したお」

そう、適当に返事を返しつつ、僕は少年から未来のバイブレーションともとれるぼうっきれを受け取った。
実はこれ、“タコけしマシーンver.3”というハイテクなアイテムなのだ。

この少年の名前はチェリーボーイと言って、近所の小学4年にして発明家のたまごだ。最近、僕が発明費用
として3000円ぐらい投資したのだが、そのお礼としてこれを僕にくれるらしい。

少年「ver1は鉄であり、なおかつタコのものしか消せません。
    ver2はそれに加え、タコのような形全般を消せるようになりました。
    そしてver3は、“消す対象からタコ、もしくはタコぽかった情報を確認することができれば、それを消すことができる”。
    つまり、タコの刺身やら以前にタコっぽい姿を持ってれば消すことができます」

いまいち意味がわからないが、とにかくすごい発明品のようだ。今夜あたり、試してみよう・・・

―――その日の夜。
内藤「おっ、タコの入った肉団子があるお! これで試すお」

タコを細かくみじん切りにし、混ぜ込んだ肉団子。もし、少年から貰ったタコけしマシーンとやらが本物なら、
きれいにタコだけが消えるのだろう。
タコけしマシーンの先っぽから伸びている針の先を、タコの肉団子に定める。期待を指に込めて、スイッチを思い切り押した。
すると、液晶画面に川が流れる速さよりもずっと速く、白い文字列が流れていく。刹那、ピコッ、という音。
そして液晶画面は沈黙した。

内藤「・・・? あっけないお。毛虫を踏んでも気がつかないぐらいあっけないお」

そんなつまらない比喩を口にしながら、さきほど抱いていた期待なぞ捨てて、僕は肉団子を口に放ったのであった。

内藤「おっ?」

そんな感嘆を漏らしたのは、口に放った肉団子から感じる違和感のためだった。
この肉団子の特徴である、かみ締めるたびに弾ける、タコの肉片の存在が感じられない。

内藤「消えた・・・お?」

確かめようとして、口から肉団子であった肉を吐き出す。左手で受け止め、右手で探ってみたが、やはりタコは
どこにも無かった。タコの消失、やはりタコけしマシーンがもたらした作用なのだろうか。

内藤「タコけしマシーン・・・本物だお!」

が、こんな発明品を何に生かせばいいのだろうか。たこ焼きの屋台の前で使い、いたずらをするか。
はたまた、対マル・デ・タコに使うか。・・・まったくいい案が浮かばない。

と、そこへ、家の外から音が聞こえてくる。弾けるように、そして短い爆発音のようなもの。
僕は悟った。その音は銃声だったのだ。
強盗か、キチガイか。窓ごしの外を眺めた僕の目に入ってきたのは―――

内藤「どうみても銃撃戦だお。ありがとうございましたお」

しかも、自分の通っている学園の2人。1人は銃刀法違反なんて気にもしない軍事マニアこと㍉子。
もう1人は火星人こと・・・なんだっけ。確かエーテライトとか持ってそうな名前。ああ、シオンとか言うんだっけ。
それにしても身勝手な2人である。町行く人を盾にしたり踏み台にしたり。まさに外道。どうにかしてとめられないだろうか。

内藤「火星人・・・タコ・・・はっ!?」

なんという閃き。あの火星人は姿こそ人間だが、もとはタコのような生物だったはず。
つまり、タコけしマシーンが応用できるということだ。

内藤「侵略者め! ブーンが直々に成敗してくれるお! フヒヒヒヒ!」

このときの僕の脳内で、タコけしマシーンを悪用した悪巧みが計画されつつあったのは、言うまでも無い。

翌日、学園。
僕は例の発明品を制服の左ポケットに携帯している。今日の昼休憩、僕の悪巧み大作戦が開始される。
だからその時まで、平常を装い、作戦がバレないようにしなければ。

火星人「おい」
内藤「はっ、はひっ!?」
火星人「消しゴム、落ちてたぞ」
内藤「お? ありがとうだお」

内藤「・・・意外といい子だお。そんでもって美人だし・・・。今日の作戦はやっぱりやめに・・・・・・
   って、消しゴムが折れてるお! おまけに画鋲まで!!! やっぱり許さんお!」

落ちてた消しゴムを拾い、使ってみたところ見事に折れる、なんてことは学校ではよくあること。
消しゴム1つでこんなに怒るのも変かもしれないが、僕は作戦を決行する決心を固めたのであった。

―――昼休憩 体育館:倉庫
内藤「さて、B組の教室からこの倉庫までエビを等間隔で置いてきたし、きっと大丈夫だお」

実際に、今言ったように、100尾近くのエビを使った。かなり大きな出費だが、地球から侵略者を排除するためだ。
そう思えば安いものである。ウソです。

ギィ

火星人「ふむ、道端にこれほどエビが落ちているとはな。今日、さそり座の運勢は1位だったか」
内藤「おっ」

ノコノコとやってきた火星人と、目が合う。その澄んだ瞳はどう見ても人間のものであった。
が、興味が無い、と表情で答え、僕から目を離した。

火星人「・・・この倉庫にはエビは無いようだな・・・」
内藤「ストップザネイティブギャル、だお」
火星人「お前は確か・・・・・・ないぞうだったか?」
内藤「内藤だお。ちょっ、スタコラ出口に向かうんじゃないお!」
火星人「何故だ?」
内藤「この機械を見るお」

そういい、僕はポケットに忍ばせていたタコけしマシーンを取り出す。
もちろんこれが何なのか知らない火星人は、頭の上にクエスチョンマークを浮かべている。

火星人「なんだ、それは」
内藤「タコけしマシーンだお」
火星人「そうか。よかったな。では、わたしは帰るぞ」
内藤「ちょ、ストップ! いま証拠を見せるお!!」

明らかに僕を相手にしそうにない火星人を必死に引きとめた。このまま脅しても彼女に通用しないだろう。
そこで、僕はポケットからタコの刺身を取り出し、前にやったようにタコけしマシーンの針の先をそれに定める。

内藤「電源オンだお!」

そんな掛け声と共に、僕は機械のスイッチを押した。やはり液晶画面に白い文が流れ、程なくしてピコ、という電子音。
そして、思ったとおり、タコの刺身は跡形も無く消えた。

内藤「もちろん、タネも仕掛けもないお!」
火星人「・・・・・・」
内藤「おおっと、そこを動くんじゃないお。3mも距離があるお。ブーンがスイッチを押す速さと君がブーンの
    このタコけしマシーンを奪うのを、競争するかお?」

そう脅しかけると、火星人は僕に向けていた殺気を緩めた。これで下準備は完了だ。
このまま地球からこの侵略者を消し去ってもいいが、その前にちょっとをS気分に浸っても罰は当たらないだろう。

内藤「とは言うものの・・・ブーンは童貞だから何をすればいいかわからないお」

童貞なりに、頭を垂れてじっくり考えてみる。しかし、悲しいことにいい案は浮かんではこないのだった。
そして、僕よりも先に、火星人が行動を起こした。

火星人「おい」
内藤「なんだお。僕は僕なりにものを考え―――」

火星人の声に、つい僕は視線を上げた。
僕の目の中で結ばれた像は、自分で自分の制服のスカートをたくし上げる少女。
―――どう見ても乙女の花園です。ありがとごじまsくぁwせdrftfgyふじこlp

途端、僕の体すべての血液が鼻に終結し、穴狭しと放出されてゆく。アポロ11号もびっくりの噴射量だ。

火星人「隙あり」

反動で跳ねるバネのように跳躍し、火星人は僕との距離を一気に縮める。
その間に時を感じさせない速さで、彼女は掌で僕の頭を鷲づかみ、思い切り地面にたたきつけた。

内藤「アッー!!」

・・・致命傷のようだ。声も出ない。
鼻からの大量出血と、頭部の強打。人間が死ぬ条件を溢れる位に満たしている。

火星人「次にお前は“下着を身に着けない女子高生を初めてお目にかかったお”と言う」
内藤「下着を身に着けない女子高生を初めてお目にかかったお・・・ハッ!」
火星人「お前の敗因は・・・たった1つだ・・・ないぞう。たった1つの、シンプルな答えだ。
     “地球人<<(越えられない壁)<<火星人”」
内藤「ないぞうじゃなくて内藤だお。クーガー兄貴以外が人の名前を間違えちゃいけないんだお」


火星人「・・・さて、この対火星人兵器(タコけしマシーン)を破壊させてもらうとしよう」
内藤「そしたら・・・ブーンは見逃してくれるお?」
火星人「さあ。後はわたしの気分によるだろうな」

そう言うや否や、僕の手からタコけしマシーンを取り上げ、ブン、とそれを壁に放り投げた。
ガシャン、と派手な音を立て、タコけしマシーンは鉄くずの塊となった。

内藤「これで・・・ブーンは許し・・・」
火星人「10尾だ」
内藤「お?」
火星人「エビ10尾だ。明日から毎日、持って来い。伊勢海老で」
内藤「伊勢海老で!」

僕は気を失った。いや、昏睡に陥ったらしい。

目覚めを拒むような、深く永い眠りだったと、目覚めた僕に医者は言う。

2年間の昏睡の後、僕がモノの死を視れるようになったのは、また別の話。

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