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男が記憶喪失になったようです(仮)47


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登場ジャンルより表記一例


※注意:多少ゆがんだ観点多いです



新ジャンル全般=男


新ジャンル「淡白」=淡白






 彼女の摘んだ花は奇麗だった。それだけは確かに覚えている


 忘れたくない、というご主人様へと。
 その生の最期を費やして。
 泥だらけになって供えたであろう花は、つまり、彼女という存在を端的に表象していた

 部外者の私では推測でしか語れないが、おそらく彼女は、男の登場を待たずして救われていたのだろう。
 その『ご主人様』と出会った時点で、彼女は手に入れていたのだと思う。
 例え泥にまみれるような苦難の中にあってさえ、決して見失わないような。
 彼女を、普遍的な『人工幼女』ではない、かけがえのない『彼女』たらしめる何かを。
 男への拒絶は、だから、彼女が確かに彼女であったことの証拠なのだろう。

 そしてそんな彼女が供えた花は、とても力強くて優しくて。
 雨で泥が流れ落ちる様は泥中の蓮が花開く姿にも似て。
 それが奇麗で、荘厳で、ひれ伏したくなるような気持ちになって…
 悲劇の果てに有っても、自分を示す事の出来た彼女が、私には
 ほんの少しだけ、羨ましかった。


 けれどそんな感情も結局は、過ぎ去った物でしかない。
 あの時私がそう思ったのは確かに覚えていても、もはや色あせてしまって、いくら思いだそうとも何も感じない。

 その事実が、ただ、かなしい


 ◇ ◇ ◇

男 「―――ん?ああ。ケータイ、繋がらないんだ」

淡白「?」

男 「いやな、さっきから約束してる相手と連絡とろうとしてるんだが、電話出ないんだ」

淡白「メールは?」

男 「うんにゃ。返ってこねえ」

淡白「そう」

男 「台風来てるっつうし、雲が出てきて暗くなってきたしよぅ…実際」

淡白「そうね。風も強くなってる」

 空 ゴゴゴ.....

男 「しゃーねっ。とりあえず、先に墓参りだけ済ましちまうか」

淡白「ええ。それがいいわ」


 ◇ ◇ ◇

  墓碑:『余命クール』享年十八歳

「………」

「おや、お墓参りの人かい?」

「………すみません」

「なにを謝る必要があるんだい。彼女もこうして参ってもらって嬉しいだろうに」

「いえ…たまたま墓碑が目に入って…その…ずいぶんお若くして亡くなられたようなので……つい」

「そうかそうか…それでも喜んでるだろうよ。あれから何十年と経つ。
 もう同じ年頃の人は来てくれんからのう……良かったら一緒に拝んでくれんか?……君が嫌でなければ、じゃが」

「喜んで」

「ああっ。ありがとう。ありがとう……少し待ってておくれ。今、線香をつけるから……」
  ・
  ・
  ・
  ・
  ・
「彼女が亡くなったのはね、わしらがまだ学生の頃だった……」

「………」

「余命一年と告げられ、春に逝ってしまった……それからこうして機会を見つけてはここに来ているんだ…」

「………」

「卒業して、就職して、結婚して、子供が産まれ、その子供がまた子供を産んで……
 何十年という間、途絶えることなくお参りして、彼女の法要も親族に混じって行ってきた。
 まったく…くっくっく。我ながら実に執心深い。妻子有る身だと言うのにね…」

「忘れたく…なかったのですね」

「ああ、忘れたくなかった。いや。より正確には、忘れるのが怖かったというべきか」

「………」

「その後の人生でも大切な物はいくらでも出来た。同時にいくつも失ってきた。
 けれど彼女だけは特別だったのだよ。彼女がいたから今の私がある…そう言っても過言ではないかもしれない
 万に一つでも忘れてしまえば、私が私でなくなってしまう。そんな気がしてね……
 結局、この歳になるまでお墓参りを続けてしまったんだ…」

「………」

「すまないね。老人の自分語りなど聞かせてしまって。何かお礼ができればいいのだが……」

「あの…人を探しています。この霊園内にいると思うのですが……」

「特徴はどんなだい?
 ……………
 ―――ああ。見たよ。見た見た。そのカップルなら隣の区画へ行ったよ。
 ん?もう行くかい?いやいや。こちらこそ。あまり力になれなくて悪かったが……
 最後に名前だけ聞かせてもらえんかのう?」


「通訳、と。
 こちらこそ、教えてくださってありがとうございます。お爺さん」ペコ





 ◇ ◇ ◇

淡白「………」

男 「なーーんも、変わってねえなあ…花もワンピースもジェネレーターもそのまんまだ」

淡白「………」

男 「って当たり前か。一昨日来たばっかだもんな。はは…」

淡白「そうね」

男 「………
    ………買ってきた花、供えるか。」

淡白「前の花はどうする?あなたが供えたのと…彼女が摘んだのと」

男 「ああ。俺のだけ捨てる。あの子には……もうちょっとだけご主人様のそばに居させてあげよう」

淡白「じゃあ私が捨ててくるわね」

男 「おう。その間に線香と花、供えとく」
   ・
   ・
   ・
   ・
   ・
   ・
男・淡白 合掌

男 「………」

淡白「………」

男 「忘れたく、無いんだとさ」

淡白「?」

男 「記憶。俺が忘れたものを、アイツは忘れたくないって言うんだ」

男 「こんなふうに、服とジェネレーターだけになってまで、忘れたくないものなのか?」

男 「今の俺にはわからない。けど、俺もメカ幼女の事は忘れたくないって思ってる。」

男 「この花は…あの子の主人とあの子に供える。行為にして、出来るだけ忘れないようにする…」

男 「それがアイツの最期に出くわした俺の…………」

淡白「………」

男 「………」

淡白「………」


 曇り空 ゴゴゴゴゴ、、、、

男 「………」

男 「記憶失う前の俺も…記憶失うって知ってたら、やっぱり忘れたくないって思ったんだろか…」

淡白「………そうかもしれないわね」

男 「なぁ」

淡白「なに?」

男 「………」

淡白「なによ?」

男 「お前、『別に記憶無くても俺はそのままで良い』って言ったよな?」

淡白「そうね」

男 「すまん」

淡白「なんで謝るの?」

男 「俺は…なんつうのか、今はまだ上手く説明できないんだが、やっぱり記憶、取り戻したい」

淡白「そう…」

男 「俺の周りにはいろんな奴らがいて、まあそれなりに毎日楽しく過ごせるみたいだ。
    最初は当たり前だと思ってた…
    でも、そういう当たり前のことって、本当は何よりも貴重なもんかも知れないってな
    メカ幼女の姿を見てから思うようになってったんだ…
    だっていうのに、それを作り上げてきた日々を俺は忘れちまった……だから、その………すまん」

淡白「謝る必要なんて………ないわ」

男 「でも、お前に悪い。そのままで良いって励ましてくれたのに」

淡白「……………………………………………………………………………………本当は」

男 「?」

淡白「なんでもないわ。それよりこれでお墓参りは終わり?」

男 「あ、ああ。そだな。一応これで。まっ、今度はもっと賑やかな感じで来てやるさ!淡白も一緒にな!?」

淡白「………そうね」

男 「――ってと…」pi

男 「………………」

男 「やーっぱ出ないのう……ツンの奴…ったくしょうがない奴め」

淡白「なにか事件に巻き込まれたりとか」

男 「え!?」

淡白「冗談よ」

男 「び、びっくりさせんなぃ!てか、いや、でも……電話繋がらないって…」

淡白「警察に連絡する?」

男 「つっても何でもないかもしれんしなぁ。だったら面倒だし…はあ…
    ―――今すぐ公園に行って、居なけりゃ、サクっと決められるんだが、場所わからんし…」

淡白「公園?」

男 「ああ。ツンから言われてるんだ。
    なんでも自分で思い出そうとすると記憶が戻るらしいから、どこかわからんが公園探せってな。
    ほれ」

携帯の画像:公園

淡白「………」

淡白「良かったら手伝いましょうか?」

男 「ん?」

淡白「もし事件に巻き込まれてるなら、警察に電話するかどうかの判断は早い方がいい
    今回の話は諦めることにして。連絡がとれないうえに台風も来てるんだから、彼女も納得してくれるわ」

男 「え、でも、そんな早くわかるのか?場所」

淡白「画像からでも結構わかる。っていうかここ、不鮮明だけど公園の名前が出てるじゃない」

男 「ぬぉっ。ホントだっ」

淡白「あとは人に聞くなり地図で調べるなりして。携帯でネットができるならそれでもいいわ。
    なんにせよ思い出さずに見つけるだけなら簡単にできるけど……どうする?」

男 「う~ぬ…」

男 「だなあ……まっ、俺が忘れてんのはこの公園だけじゃないからな
    ――――悪いな。ズルズルとつき合わせちまって……ってオレ何度もお前に謝ってるのう」

淡白「そうね。それより急いだ方がいいわよ」


  風 ゴオォォォォ......





  ....ォォォォオゴゴゴ

                                            携帯 ブーッブーッ

ツン「はあはあ…はあ……男、今度は…逃がさないっ…!」

                                            携帯 ブーッブーッ

ツン「絶対、、、捕まえるんだからっ」

                                            携帯 ブッ……


  ツンデレ=ツン(男のことが幼稚園のころから好きだが素直になれない。真実薬の効果は継続中)