【高齢者骨折の特徴を説明しなさい】
高齢者に多い骨折…上腕骨外科頸骨折(外転型)、橈骨遠位端部骨折(特にコーレス骨折)
         大腿骨頭部骨折、胸腰椎圧迫骨折(移行部)
高齢者に骨折が多い理由…骨粗鬆症、運動機能の低下
治療上の特徴…固定を強固・長期にすると関節拘縮などの機能障害を起こしやすく、又
       軽い固定で短期だと変形治癒や偽関節になる可能性が高くなるので、受
       傷前の活動度に一日も早く戻ることを念頭に加療しなければならない。
       高齢者は長期臥床による後遺症を引き起こしやすい。


【グルトの骨癒合日数を説明しなさい】
指骨(2w)、肋骨・中手骨(3w)、鎖骨(4w)、前腕骨・腓骨(5w)、上腕骨(6w)、
脛骨(7w)、下腿両骨(8w)、大腿骨(10w)、大腿骨頸部(12w)
この骨癒合日数は骨癒合(仮骨硬化期)までのおおよその日数であり、他の条件(年齢、骨
折線の状態、骨折の程度、骨折の部位、治療法等)により一定していない。また、固定除
去までに発生した機能障害の回復には固定期間の2~3倍の期間が必要といわれている。


【骨折の治癒経過を4段階に分けて説明しなさい】
①炎症期
  骨折部やその周囲の損傷した軟部組織からの出血がおこり血腫を作る(骨折時~24H)。
 この血腫が繊維素網の増加により凝血し、凝塊を作り両骨折端を満たす。そして(1~2日後)
 より凝血部に損傷されないHavers管より血管芽細胞が形成される。
②仮骨形成期
  骨折後1週より骨折部の骨芽細胞が有糸分裂し骨細管を形成栄養供給する。そして骨折後
 3週より血管芽細胞、破骨細胞、白血球、リンパ球の編成により骨髄腔ができる。その後、
 凝血部の結合組織性仮骨に石灰塩が沈着し類骨組織を作り仮骨を形成する(X線では確認できない)。
③仮骨硬化期
  仮骨に石灰塩が添加されて骨硬化し、成熟した骨梁も形成され骨形成が急速に行われる。
④リモデリング期
   硬化した仮骨は吸収と添加が行われ、日常生活に都合のよい形態へ自家矯正される。
 この変化を調応能、応変率、応変則、改変機序などという。


【骨折の予後判定を説明しなさい】
①生命に関する予後
生命維持に必要な器官の合併損傷の有無、患者の全身状態に著しい変化はないか、
種々の合併症によって全身が脅かされていないかを判定する。
②患肢の保存に関する予後
患肢を保存しうるかどうかは、たいてい患肢の一時的損傷の程度に関係する。開放
した粉砕骨折や大血管の損傷がある骨折の予後判定は慎重でなければならない。
③患肢の形態および機能に関する予後
骨折の程度、軟部組織、特に神経損傷などを考慮し、特に治療中にもしくは治療操作
により発生した二次的合併症によって異常経過をたどることのないよう十分に注意し
個々の患者の日常生活を考慮した判定が必要である。
④治療経過期間の判定
骨癒合に対する種々の影響、条件、平均癒合日数などを参照しつつ異常経過をとる
可能性のある二次的合併症を考慮して慎重に判断しなければならない。


【骨折の骨癒合に好適な条件を挙げなさい】
①軟部組織の損傷が少なく、両骨折端が血腫内にある場合
②両骨片への血行が良好な場合
③骨折部にかかる力がすべて圧迫力となり、剪力が働いていない場合
④細菌感染のない場合
⑤海綿骨の骨折の場合
⑥噛合した骨折の場合
⑦骨折面の密着した骨折線の長い螺旋状、または斜骨折の場合
⑧年齢が若い場合
⑨栄養状態が良好な場合
⑩骨疾患や全身疾患のない場合


【骨折の骨癒合に不適な条件を挙げなさい】
①骨折部に高度な軟部組織の損傷や欠損がある場合
②骨折部の血腫が消失している場合
③骨片の一方、または両端の血流が悪い場合
④骨折端が広く離開している場合
⑤骨折部に絶えず屈折運動、牽引力、回転力、あるいは剪力が作用している場合
⑥高度の粉砕骨折の場合
⑦関節包内骨折(骨膜性仮骨が期待できない)の場合
⑧開放性骨折や細菌感染のある場合
⑨高齢者および栄養状態が不良な場合
⑩骨疾患や全身疾患などのある場合
最終更新:2006年10月18日 12:14