新作SS『俺は恋愛がしたい』


登場人物

紀田:本作の主人公。有賀(あるが)高校3年生。普通の恋愛に憧れる青春男子・・・だったが、色々あってモテモテに。
ふきり:ヒロインA。いつもクマの着ぐるみを着ている。すごくハイテンションで、通学中の紀田に何かと絡みに行く。しかし、中の人は実は・・・
???:ヒロインB。
???:ヒロインC。
???:主人公の親友で同級生。真面目な性格で、融通が利かないタイプ。彼女は居るらしい。紀田の愚痴聞き相手。
猫風:紀田の飼い猫。喋れる。紀田が中学生の頃からの付き合いで、もと野良猫。年齢は不明。


+第0章 まえがき
第0章 まえがき

<猫風>

皆さん初めまして、にゃん
猫風ですにゃ

ん? 誰に話してるか・・・にゃ?
それは勿論、この物語を読んでる皆様に、にゃ

えっ、メタい話をするにゃって?
まぁ、細かいことを気にしちゃダメにゃ

そもそも、僕みたいな猫が人の言葉を話している時点で、色々普通じゃないのにゃ
あくまで『ふぃくしょん』として、楽しんでほしいのにゃ


さて、この話は、僕のご主人様の紀田正臣さんが主人公の話にゃ
ご主人様は有賀高校の3年生。思春期真っ盛りの青年にゃ

成績は上の下、運動神経は抜群、でも彼女は居ないにゃん
そんなご主人様がとあることに巻き込まれてから1か月後…が、今回の物語のスタート地点にゃん

ん? その事件のことを詳しく知りたいのにゃ?
にゃははは、まぁ、それは、時間があれば話すかもしれないにゃ

とりあえずそのことは置いておいて、にゃ
今回の登場人物は、僕を含めて6人にゃ


着ぐるみを常用している、謎の女子学生のふきりさん
真面目で頭の固い、同級生で親友の神山さん

紀田さんの後輩で、オープンエロな女子高生の神原さん
抱き付き魔で、所構わず甘えに来る時津風さん


そして、ご主人様と僕にゃ
他の人は? にゃはははは、物語に登場しないだけで、ちゃんと居るにゃ

でも、背景的な感じで描写はされても、セリフはほとんどないと思うにゃ

あとは…にゃ? 前書きが長すぎるにゃ?

まったく、皆せっかちなのにゃ
急がなくてもちゃんと物語は始まるのに、にゃん

ま、いいかにゃ
あんまり僕ばっかり話していても仕方にゃいからにゃん

それじゃ、皆さん、また本編で会いましょうにゃー



+第1章 憂鬱男子と着ぐるみ少女
第1章 憂鬱男子と着ぐるみ少女

<紀田>

眠い・・・果てしなく眠い・・・
この一か月、ずっとこんな感じだ

とりあえず、温かい味噌汁をロクに冷まさずにかき込み、
ほうれん草のおひたしをご飯にのせて、一気に食らう

時間は7:40、ちょっと早いけど、まぁいいだろう

ー5分くらい早くても、どうせ居るだろうしな・・・-

そう思いながら、いつも通り、学校に行く準備を進める


一通りの準備を終え、何時もの様に玄関に向かう
かれこれ2年以上続けていることだけれど、この1か月とそれ以前では、大分違っていた

思わずため息がでる
ホント、どうしてこうなったのか、今でも良く分からない

「忘れ物は無いかにゃ?」

何時もの様に声がかかる
声の主は、猫風 ウチの飼い猫で、親友みたいなやつ

「あぁ、何時もありがとうな」
「にゃはは、どういたしまして、にゃ」

この会話もいつも通り
ホント、毎回こんなことに協力してくれるコイツには頭が下がる

「にゃはは、それじゃ、いってらっしゃいにゃ!」
「うん、留守番よろしく頼むよ」

そういって家を出る


ここから学校はそう遠くはない そのうえ、脇道などが特にない
だから、必然と通る道は限られてるわけで・・・

「やっほー、少年! 今日も元気かーい?」

必然的にこいつと遭遇することになる・・・

「暑苦しいから近寄るな」
「えーっ、いいじゃんいいじゃん♪」

そういって近寄ってくるクマ・・・の着ぐるみを着た少女 俺はこいつが凄く苦手だ

どういうわけか、クマの着ぐるみを着て、いっつもここで俺を待ち伏せている
そして、校門まで付いてくる・・・そして、滅茶苦茶目立つ

以前は周りからの目線が痛かったが、今はもう皆も慣れてしまったらしく、
特段奇異の目で見られることもなくなった

ーだからといって、止めてほしいという思いには変わりないけどー

「なぁ、いつまでコレ続けるつもりなんだ?」
「・・・さぁ?」
「・・・おい」

自分で分からないってどういうことだよ全く・・・

「あー、でも・・・」
「ん? 何か条件でもあるのか?」
「紀田君がアタシと付き合ってくれるなら、止めてもいいかなーー」
「!!??」

思わず、バランスを崩してしまう
・・・コイツは何を言ってるんだ・・・

言葉の意図を探ろうと思い、顔を見る・・・が、顔まで隠れる着ぐるみのせいで、表情が分からない

「あーっ、顔赤くなってるーー」
「お、お前が変なこと言うからだろ!」

テンパってるせいで、思わず大きな声が出る
周りの人は一瞬ビクッと体を震わせたが、彼女は動じる様子もない

ー少しはビックリしてくれたら、可愛げがあるのに…-

そんな考えがふと頭に過ってしまう
って俺は何を考えてるんだ…

変な思考を吹き飛ばすために、首のストレッチをするふりをしながら、頭を頭をグルグル動かす

肩が凝っていたのもあるのか、首を回すたびにゴキゴキっと音が鳴る
折角なので、肩を揉みながらストレッチを続ける

「うっひゃー、凄いゴリゴリいうねぇ」
「色々疲れがたまってるんだよ…」
「ふむ、それはいけないなぁ。それじゃ、ふきりおねーさんが肩を揉んで差し上げよう」
「いらねえよ! てか、その着ぐるみ着たままで、どうやって揉むつもりなんだ」

クマの着ぐるみを着ているふきり(という名前らしい)の手には肉球付きの手袋が付いていて、
どう考えてもマッサージできそうにない

「うーーん、気合でなんとか?」
「出来るか!」

…気合でどうにかなるはずがないだろう
昨日、落し物を拾おうとして悪戦苦闘したのをもう忘れたのだろうか


半ば呆れながらふと顔を上げると、見慣れた光景が目に入ってくる
この先の行き止まりを左折したら、すぐそこが学校だ

そして、その行き止まりでコイツと別れる
…俺はもっと手前で分かれてほしいと思っているんだが、コイツは決して譲ろうとしなかった

「えへへー 今日も楽しかったよねー」

楽しかったのはお前だけじゃねぇか…という言葉を飲み込む
以前そう言った時、すごく悲しそうな声で泣き出したからだ

後から考えると、表情のないクマの着ぐるみが膝をついて泣き声を上げている…
というシュールな光景だったんだけど

その時は普通に俺が女の子を泣かしている気がして、
凄く申し訳ない気がした

ーあの後、神山に説教されたっけ…-

『女の子を泣かせるなんて、男として恥ずかしいぞ!』とか言われたっけ…

そんなわけで、コイツの機嫌取りも兼ねて、仕方なくここまで一緒に歩いている

「それじゃ、少年! 今日も元気にいってらっしゃい!」
「…はいはい、じゃぁな」

大仰に敬礼をしているクマの着ぐるみに背を向け、門に向かう
とりあえず、これで面倒事の三分の一は終了

ーせめて神原と時津風がおとなしかったらなぁ…ー

…まぁ、無茶な願いだろうけど

とりあえず、教室へ向かおう
何でもいいから、早く椅子に座って、脱力したい



+第2章 着ぐるみ少女と憂鬱男子
第2章 着ぐるみ少女と憂鬱男子

<ふきり>

「それじゃ、少年! 今日も元気にいってらっしゃい!」
「…はいはい、じゃぁな」

何時ものように、わざと大仰に敬礼のポーズをとってみる

そんな私の姿を見たのか見てないのかわからないけど、
彼はそのままこっちを振り返ることなく、学校へ向かって歩き出していく

そして、私はこれまた大仰に敬礼を解き、胸を張って彼とは反対の方向へ、胸を張って歩いていく
これが私の最近の日常