起承転結

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起承転結」(2009/11/22 (日) 02:58:33) の最新版変更点

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1. ピンポーン 起子「初めてお目にかかります」 男 「うお」 承子「私達、四人で一つ、一心同体」 男 「は、はあ」 転子「でも好みのタイプは人それぞれ」 男 「えっ」 結子「なにとぞよろしゅうおねがいします」 男 「あ、あの……どちら様で?」 2. 男 「部屋間違えてないか?」 起子「お間違えではないのです」 承子「私達今日からここで暮らします」 転子「あなたは浴槽で寝てもらいます」 男 「えっ」 結子「どうぞよろしくおねがいします」 男 「は、はあ……」 男 「ってなんだいそりゃ」 3. 男 「宿を探しているのか?」 起子「宿を探していたのです」 男 「なら近くにホテルが──」 承子「お金が掛かります」 転子「だから寄生します」 結子「なにとぞ、よろしくおねがいします」 男 「何が何やら……」 起子「起子です」 承子「承子です」 転子「転子です」 結子「結子です」 男 「聞いてません」 4. 男 「なんで俺の家なんだ?」 起子「とてもお腹がすいて」 承子「フラフラと彷徨っていたら」 転子「青いキャンパスに描かれた一筋の綺麗な虹を」 結子「見かけたのです」 男 「は?」 5. 男 「で、どうするんだ。居座らせはしないが──」 男 (結構可愛い四人組だし) 男 「ファミレスで飯くらいなら奢ってやるぞ」 起子「それはそれは」 承子「私達、お腹ぺこぺこなので是非」 転子「遠慮させて」 結子「頂きます」 起子「……」 男 「……」 6. ◆ ファミレス「ジョニィ」 男 「腹減ってるなら素直に言えばいいのに」 起子「たまには私達も」 承子「意思の食い違いというものが」 転子「あるの」 結子「です」 男 「今のは普通だったな」 起子「たまには私達も」 承子「意思の疎通というものが」 転子「出来ないの」 結子「です」 男 「どっちなんだよ」 7. 男 「というか、お前達の意思決定、転子に委ねられてないか?」 起子「!」 男 「一番大事な所が転子に捻じ曲げられてるじゃないか」 承子「……確かに」 転子「そんなことはない」 結子「のです」 男 「……」 起子「承子が結論を」 承子「付けてしまえば」 転子「私の出る幕は」 結子「ないのです」 男 「ほう?」 起子「私達はお腹が空いたので」 承子「ご飯をご馳走になります」 転子「が、あなたに奢ってもらうのはイヤ」 結子「です」 男 「だめじゃねーか」 8. 男 「で、何頼む?」 起子「サラダ」 承子「スープ」 転子「ハンバーグ」 結子「フルーツパフェ」 男 「フルコースだな」 起子「……」 男 「本当にそれでいいのか?」 9. 起子「というのは冗談でですね」 承子「私達、皆で一緒に」 転子「おうどん」 結子「を食べたいと思います」 起子「……」 承子「……」 結子「……」 転子「?」 男 「すみませーん」 10. 起子「そして運ばれてくる」 承子「おうどん四つ」 転子「私やっぱりハンバーグにする」 結子「無理だと思います」 男 「あ、一応会話も出来るんだな」 11. 男 「四人は姉妹なのか?」 起子「そういうわけでもないんですが」 承子「あえて言うなら」 転子「穴姉妹」 結子「ではありません」 男 「そこは流石に否定するんだな」 起子「同じ施設で生まれ」 承子「同じ施設で育った」 転子「穴姉妹」 結子「ではありません」 男 「……」 12. 起子「お腹いっぱいです」 承子「起子、おつゆは飲まないの?」 転子「飲まないなら結子が飲みます」 結子「飲みません」 男 (仲はいいんだな……) 起子「あ、あの」 男 「うん?」 承子「見ず知らずの私達にご飯をご馳走してくれて」 男 「ああ、いいよいいよ」 転子「礼は言わないぜ」 男 「いや、言えよ」 結子「次会う時は敵同士だ」 男 「えっ?」 13. チュンチュン 男 (結局泊めてしまった……) 起子「おはようございます」 承子「おはようございます」 転子「おはようございません」 結子「おはようございます」 男 「ああ、おはよう」 起子「私、朝ごはんの材料を買いに行ってきます」 男 「金あるのか?」 承子「もちろん」 転子「ありません」 結子「ください」 男 「やれやれ……」 14. 男 「他の三人は付いてこなくて良かったのか?」 起子「ええ、大丈夫です」 男 「一人でも喋れるんだな」 起子「ええ、勿論です」 男 「仲、いいんだな」 起子「そうでもありません。たまには姉妹喧嘩とかもす」 男 「ん?」 起子「文字制限です」 男 「なんだそりゃ」 15. 男 「おーい、帰ったぞ」 起子「ただいま」 承子「おかえり」 男 「……あれ?後の二人は?」 起子「転子と結子は」 承子「散歩に行った」 男 「そうか」 起子「朝ご飯の準備をします」 男 「お、朝ご飯、作ってくれるのか!ってまあそのくらいはやってもらわんとな」 承子「気をつけたほうがいい」 男 「ん?」 起子「どういうことかな?」 承子「どうでもいいこと」 男 「うーん……?」 16. 男 「君も別に一人で喋れるよね」 承子「当たり前ですが」 男 「四人とも、趣味も同じなの?」 承子「同じだったり違ったりしますが」 男 「転子が好きな男のタイプは違うって言ってたけど」 承子「違ったり同じだったり」 男 「どっちつかずだなあ」 承子「受け渡す役ですから」 男 「ところで、俺の事がタイプな子は」 承子「いない」 男 「そこだけきっぱりかよ!」 17. 起子「おかえり」 承子「おかえり」 転子「おかえり」 男 「ただいま、だろ。結子は?」 起子「転子と結子が散歩に行くと」 承子「必ず転子が先に帰る」 転子「そして結子は水の底」 男 「んな馬鹿な。まあじきに帰ってくるかな」 起子「多分」 承子「恐らく」 転子「きっと」 起子「では朝食作りを続行しますので」 承子「くれぐれも転子を来させぬよう」 転子「なんてひどい」 男 (なんとなくわかる気がする……) 起子「だってあなたお味噌汁の中に」 承子「大福餅入れるじゃない」 男 「よし、俺が命に代えても抑えているから安心して作ってこい!」 転子「むぐぐぐ」 18. 男 「んで君が四人の意思決定役か」 転子「そうではない」 男 「ひねくれものだなぁ」 転子「そうでもない」 男 「他人と違うことを言わないと気がすまないとか?」 転子「それでもない」 男 「日本の首都は」 転子「名古屋」 男 「アメリカの大統領は」 転子「ワシントン」 男 「初めてのキスの味は」 転子「歯磨き粉」 男 「したことあるのか?」 転子「ない」 男 「胸のサイズは?」 転子「巨乳が好きなのか?」 男 「え?」 転子「巨乳が好きなのか?」 男 「いや、すまんかった」 転子「巨乳が好きなのか?」 男 「……まあ、どちらかというと」 転子「F65」 男 「うそをつけ」 19. 男 「そういえばさ」 転子「なんだ」 男 「誰が一番年上なの?」 転子「私」 男 「え、そうなのか」 転子「起子は承子より年が低い。私と結子は同い年だ」 男 「ふむふむ」 転子「結子は起子より年が低い」 男 「つまりみんな同い年なんだね」 転子「そういうこと」 男 「ひねくれものだなぁ」 20. 男 「帰ってこないな」 起子「結子は」 承子「いつも」 転子「帰ってこない」 男 「んな馬鹿な。探しに行ってくる」 起子「ご飯」 承子「までには」 転子「戻らなくていい」 男 (三人だと何か調子狂うな) 21. 男 「おーい……いたいた。何やってんだ?」 結子「……」 男 「花を眺めているのか?」 結子「ではありません」 男 「ああ、蝶々か」 結子「です」 男 「なんで延々と蝶を眺めてるんだ」 結子「飛び立ったら行こうと思ったのです」 男 「……で、いつまで経っても飛び立たないと」 結子「そういうことです」 22. 男 「いい天気だな」 結子「そう思います」 男 「散歩は日課なのか?」 結子「でもないです」 男 「天気がいいからか」 結子「です」 男 「四人はどこから来たんだ?」 結子「西の方からです」 男 「西の方っていうと……関西か?」 結子「そうでもありません」 男 「名古屋あたり?」 結子「そうかもしれません」 男 「何で来たんだ?」 結子「電車です」 男 「はるばる東京まで?」 結子「そうです」 男 「……」 結子「……」 男 (話題が続かねえ……) 23. 男 「いただきます」 起子「いただきます」 承子「いただきます」 転子「いただいてます」 結子「いただきます」 男 「やはり四人だな」 起子「何がですか?」 男 「いや、なんでも……ぐふっ」 承子「当たりましたね」 転子「起子の料理は必ず一人分罠がある」 男 「な、なぜそんなことを……」 結子「知りません」 男 「知らないのかよ!」 起子「だって聞こうとしても」 承子「四人で一セットですから」 転子「前の人に質問するまもなく」 結子「話題が終わるのです」 男 「めんどくさい奴らだな」 男 「それで、何で爆弾作るんだよ」 起子「何となく」 男 「なんだそりゃ」 24. 男 「ご馳走様でした」 起子「ごちそう」 承子「さま」 転子「ぢぇし」 結子「た」 男 「……今噛んだだろ」 転子「……」 起子「今」 承子「噛んだでしょ」 転子「噛んでない」 結子「だそうです」 男 「へえ」 起子「じゃあ、片付けは」 男 「俺がやれってか?」 承子「他に誰がやる」 男 「誰がってお前達四人も」 転子「手伝わない」 結子「です」 男 「あっそう」 25. ── 男 「かれこれ三日も経ってしまったがいつまで居座るつもりだ」 起子「そりゃ永遠に」 承子「あなたが死ぬまで」 転子「あなたが死んでも」 結子「私達は居座ります」 男 「いや、そうしたいのは山々なんだけど……俺も金ないし」 起子「金ならある」 男 「は?」 承子「ほら」 男 「うお、どこに隠してたんだ。ってか何で持ってるんだ」 転子「昨日施設から送られてきた」 男 「マジで?」 結子「マジで」 男 「アテがあるなら最初に言ってくれればよかったのに……」 起子「だって言わなかったじゃない」 承子「お金のことなんて」 転子「エロ本のこともね」 男 「そりゃ言わなかったけど……って何勝手に引き出し開けてるんだ! やめろ!」 結子「けがらわしい」 男 「ん? なんで金あるのに居候されてんだ? 俺」 26. 明くる日 起子「……」 男 「どうしたんだ? 塞ぎ込んで」 起子「……」 男 「他の三人は?」 起子「……散歩」 男 「置いてかれて拗ねてんのか?」 起子「ちがう」 男 「三日連続で爆弾当てられた事は別に恨んじゃいないぞ」 起子「ちがう」 男 「まったく。どうしたってんだ」 起子「ちなみにそれわざと」 男 「あ?」 27. 男 「ただいま。起子は?」 承子「あのまま部屋に引きこもっている」 転子「でも食事は食べてる」 結子「食いしん坊ですから」 男 「参ったな。何かあったのか?喧嘩とか?」 承子「してない」 転子「媚びない」 結子「顧みない」 男 「何を言ってるんだ何を」 男 「っていうか俺の部屋なんだが……」 28. 男 「こういうの、よくあることなのか?」 承子「めったに」 転子「ないね」 結子「おまえのせいだ」 男 「お、俺のせいか?」 承子「うん」 転子「まあ、違うけど」 男 「え?」 結子「おまえのせいだ」 男 「はあ」 29. 男 「おーい、入るぞ」 起子「駄目」 男 「着替えてんのか?」 起子「そうじゃない」 男 「俺の部屋なんだが」 起子「扉の所にドミノがある」 男 「うそをつけ」 ガチャ バララララララララララララララ 男 「……」 起子「……」 男 「い、いや、すまんかった」 起子「……」 30. 男 「で、どうしたんだ」 起子「……」 男 「話さないと何もわからんぞ」 起子「話したくない」 男 「何か深刻な悩みなのか?」 起子「そう」 男 「うーん……」 起子「でてってよ」 男 「話してくれたらアイスパフェおごってやる」 起子「いらない」 男 「じゃあこの携帯に付いてるゲコ太ストラップでどうだ」 起子「話す」 男 「えっ」 31. 起子「……喋りたいんです」 男 「ん?」 起子「私だって! 最初以外の台詞を喋りたいんです!」 男 「……はあ?」 起子「いつも私は冒頭の台詞ばっかり」 男 「うん」 起子「みんな後ろに続くだけ」 男 「まあそうだが」 起子「自分の始めた話がどこか知らない結論に達す」 男 「それもかなり変な場所に」 起子「その不安、あなたに分かりますか?」 男 「すまないとは思うが、まったく分からん」 起子「私だって話の腰を曲げたい。結論を話したい」 男 「承子は?」 起子「別にいいです」 男 「あ、そう」 32. 男 「別に、話せばいいんじゃないか?」 起子「だめです、秩序だから」 男 「そんな堅く考える必要もないと思うがなあ。さっきだって三人でやってたし」 起子「それでも順番は守るものです」 男 「別に年功序列ってわけじゃないんだろ」 起子「それはそうですけど」 男 「しかし、そういうこと考えるんだな」 起子「きっとツンデレだって普通にデレたい時もあるし、    クーデレだって熱血漢になりたい時があるし、    ロリ校長だって校長やめたい時があるんです」 男 「怒られるぞお前」 起子「そういうものなんです」 男 「お前文字制限は?」 起子「そういうものなんです」 男 (いいのかよ) 33. 承子「どうだった」 男 「お前達に言えないような悩みがあるんだとさ」 転子「珍しい」 結子「ですね」 男 「珍しいのか?」 承子「私達、秘密なんて無いですもの」 転子「好みのタイプ、性癖、体重、へそくりの在り処まで」 結子「えっ」 男 「えっ」 34. 男 「ところでお前達、本当はなんで家に来たんだ?」 承子「実はこの世界、悪魔の力に蝕まれつつあり」 転子「今こそ魔道をもう一度目覚めさせなければならない」 結子「私達と貴方は、前世で共に戦った五人の勇者なのです」 男 「はいはい。で、なんで家に来たんだ?」 承子「なんとなく」 男 「なんとなくなのか?」 転子「なんとなく」 男 「んな馬鹿な」 結子「小説は事実より偶なり」 男 「え?」 35. 男 「おーい、晩御飯だぞ。ここに置いとくか?」 起子「……」 男 「ったく、置いとくぞ。風呂入る時言えよ」 起子「ちょっとまって」 男 「ん?」 ガチャ 起子「入って」 男 「ん、ああ」 バタッ 起子「やっぱり、話そうと思うんです。三人に」 男 「おお、そうか。そいつはよかった」 起子「それで、もし良かったらあなたに付いていてほ」 男 「ん」 起子「しいと思って」 男 「別に構わないが」 起子「良かった」 男 「うん」 起子「じゃあ出てって」 男 「マイペースだなおい」 36. 起子「ねえ、みんな。聞いて」 承子「あら起子、久しぶり」 転子「五年と四ヶ月ぶり」 結子「随分と痩せ細ったね」 男 「朝会ったばかりだろうが。んで、起子が話したいことあるってさ」 起子「あのね……わ、私も、最後に話してみたいの!」 男 (別に俺いなくていいんじゃないか……?) 承子「最後?」 転子「私や」 結子「私みたいに?」 起子「そう!」 37. 承子「なんだ」 転子「そんなことで」 結子「悩んでたのね」 男 「おいおい、そんなことはないだろう」 起子「そ、そうだよ! 私、どんなに悩んだか」 男 「それもどうかと思うが」 承子「別に」 転子「話したければ」 結子「話せばいいじゃない」 38. 起子「だって私達話す時は」 承子「『順番』が必要だと思っているようだが」 転子「別になくても話せる」 起子「!」 男 「!」 結子「そしてお前の両親はやせてきたので最寄りの町へ解放しておいた」 男 「何の話だ」 起子「順番、いらないの?」 承子「そもそも私達」 結子「誰か欠けてても」 転子「問題なく話せるじゃない」 起子「そっか……」 男 「いや気付けよ」 39. 承子「全くそんなことで悩むだなんてかわいいこね」 転子「食べちゃいたいくらい」 起子「うう」 結子「あ、今のは比喩よ」 男 「いや誰も本当とは思わねえよ」 起子「ってことは私も」 承子「結子みたいに」 転子「最後を締められる?」 結子「それは駄目よ」 起子「えっ」 男 「えっ」 40. 承子「だってあなたが最後を締めたら」 転子「結子は職を失い橋の下で夜露を過ごすことになる」 男 「起子の代わりに最初を話せばいいんじゃないか?」 結子「私が最初に話し始めることなんてないと思うけど」 男 「確かにずっと沈黙が続くだけだな」 起子「え、じゃあ永遠に私は」 承子「最後の台詞を」 転子「喋ることなんて」 起子&結子「で──」 起子「……」 結子「……きないのよ」 男 「……」 41. 起子「つまり転子が二番目に話したり」 承子「結子が三番目に話したり」 転子「あるいは承子が最後を締めることが出来ても」 結子「起子が最初の台詞を喋ることは出来ないということ」 起子「そんな……」 承子「だから多分私達は」 転子「結局いつも同じ順番で」 結子「話してきたのね」 男 「なんか分かった気になってきたが実際なんだこれ」 42. 起子「でも……なんだか、それでいい気がしてきた」 男 「ん? 最後を締めたいんじゃなかったのか」 承子「ずっと慣れ親しんできたものだもの」 転子「嫌なはずはないし」 結子「心地いいものだもの」 起子「人は誰しも役割を与えられている」 承子「私達はただそれが」 転子「昨日のレールガン予約し忘れた」 結子「人より顕著に現れているだけなのね」 男 (ん…?) 43. 起子「わかった。私、これからも『最初』を喋り続ける」 承子「私は次を」 転子「私はその次を」 結子「そして私が締めるのです」 男 「めでたしめでたし」 起子「そしたらなんだか」 承子「お腹が空いたね」 男 「いや、さっき食べたばかりだろう」 転子「お腹が」 結子「空いたね?」 男 「……分かったよ、何か作ってやるから」 起子「でもたまには」 承子「やってもいいかも」 転子「気が向いたら」 結子「風が向いたら」 44. 結子「そんなこんなで、この話は一旦おしまい」 転子「けれど、まだまだ受難は続く」 承子「問題山積み、苦労は尽きず」 起子「私達の物語は、今始まったばかりなのです!」 起子「……あれ?」 ~完~
1. ピンポーン 起子「初めてお目にかかります」 男 「うお」 承子「私達、四人で一つ、一心同体」 男 「は、はあ」 転子「でも好みのタイプは人それぞれ」 男 「えっ」 結子「なにとぞよろしゅうおねがいします」 男 「あ、あの……どちら様で?」 2. 男 「部屋間違えてないか?」 起子「お間違えではないのです」 承子「私達今日からここで暮らします」 転子「あなたは浴槽で寝てもらいます」 男 「えっ」 結子「どうぞよろしくおねがいします」 男 「は、はあ……」 男 「ってなんだいそりゃ」 3. 男 「宿を探しているのか?」 起子「宿を探していたのです」 男 「なら近くにホテルが──」 承子「お金が掛かります」 転子「だから寄生します」 結子「なにとぞ、よろしくおねがいします」 男 「何が何やら……」 起子「起子です」 承子「承子です」 転子「転子です」 結子「結子です」 男 「聞いてません」 4. 男 「なんで俺の家なんだ?」 起子「とてもお腹がすいて」 承子「フラフラと彷徨っていたら」 転子「青いキャンパスに描かれた一筋の綺麗な虹を」 結子「見かけたのです」 男 「は?」 5. 男 「で、どうするんだ。居座らせはしないが──」 男 (結構可愛い四人組だし) 男 「ファミレスで飯くらいなら奢ってやるぞ」 起子「それはそれは」 承子「私達、お腹ぺこぺこなので是非」 転子「遠慮させて」 結子「頂きます」 起子「……」 男 「……」 6. ◆ ファミレス「ジョニィ」 男 「腹減ってるなら素直に言えばいいのに」 起子「たまには私達も」 承子「意思の食い違いというものが」 転子「あるの」 結子「です」 男 「今のは普通だったな」 起子「たまには私達も」 承子「意思の疎通というものが」 転子「出来ないの」 結子「です」 男 「どっちなんだよ」 7. 男 「というか、お前達の意思決定、転子に委ねられてないか?」 起子「!」 男 「一番大事な所が転子に捻じ曲げられてるじゃないか」 承子「……確かに」 転子「そんなことはない」 結子「のです」 男 「……」 起子「承子が結論を」 承子「付けてしまえば」 転子「私の出る幕は」 結子「ないのです」 男 「ほう?」 起子「私達はお腹が空いたので」 承子「ご飯をご馳走になります」 転子「が、あなたに奢ってもらうのはイヤ」 結子「です」 男 「だめじゃねーか」 8. 男 「で、何頼む?」 起子「サラダ」 承子「スープ」 転子「ハンバーグ」 結子「フルーツパフェ」 男 「フルコースだな」 起子「……」 男 「本当にそれでいいのか?」 9. 起子「というのは冗談でですね」 承子「私達、皆で一緒に」 転子「おうどん」 結子「を食べたいと思います」 起子「……」 承子「……」 結子「……」 転子「?」 男 「すみませーん」 10. 起子「そして運ばれてくる」 承子「おうどん四つ」 転子「私やっぱりハンバーグにする」 結子「無理だと思います」 男 「あ、一応会話も出来るんだな」 11. 男 「四人は姉妹なのか?」 起子「そういうわけでもないんですが」 承子「あえて言うなら」 転子「穴姉妹」 結子「ではありません」 男 「そこは流石に否定するんだな」 起子「同じ施設で生まれ」 承子「同じ施設で育った」 転子「穴姉妹」 結子「ではありません」 男 「……」 12. 起子「お腹いっぱいです」 承子「起子、おつゆは飲まないの?」 転子「飲まないなら結子が飲みます」 結子「飲みません」 男 (仲はいいんだな……) 起子「あ、あの」 男 「うん?」 承子「見ず知らずの私達にご飯をご馳走してくれて」 男 「ああ、いいよいいよ」 転子「礼は言わないぜ」 男 「いや、言えよ」 結子「次会う時は敵同士だ」 男 「えっ?」 13. チュンチュン 男 (結局泊めてしまった……) 起子「おはようございます」 承子「おはようございます」 転子「おはようございません」 結子「おはようございます」 男 「ああ、おはよう」 起子「私、朝ごはんの材料を買いに行ってきます」 男 「金あるのか?」 承子「もちろん」 転子「ありません」 結子「ください」 男 「やれやれ……」 14. 男 「他の三人は付いてこなくて良かったのか?」 起子「ええ、大丈夫です」 男 「一人でも喋れるんだな」 起子「ええ、勿論です」 男 「仲、いいんだな」 起子「そうでもありません。たまには姉妹喧嘩とかもす」 男 「ん?」 起子「文字制限です」 男 「なんだそりゃ」 15. 男 「おーい、帰ったぞ」 起子「ただいま」 承子「おかえり」 男 「……あれ?後の二人は?」 起子「転子と結子は」 承子「散歩に行った」 男 「そうか」 起子「朝ご飯の準備をします」 男 「お、朝ご飯、作ってくれるのか!ってまあそのくらいはやってもらわんとな」 承子「気をつけたほうがいい」 男 「ん?」 起子「どういうことかな?」 承子「どうでもいいこと」 男 「うーん……?」 16. 男 「君も別に一人で喋れるよね」 承子「当たり前ですが」 男 「四人とも、趣味も同じなの?」 承子「同じだったり違ったりしますが」 男 「転子が好きな男のタイプは違うって言ってたけど」 承子「違ったり同じだったり」 男 「どっちつかずだなあ」 承子「受け渡す役ですから」 男 「ところで、俺の事がタイプな子は」 承子「いない」 男 「そこだけきっぱりかよ!」 17. 起子「おかえり」 承子「おかえり」 転子「おかえり」 男 「ただいま、だろ。結子は?」 起子「転子と結子が散歩に行くと」 承子「必ず転子が先に帰る」 転子「そして結子は水の底」 男 「んな馬鹿な。まあじきに帰ってくるかな」 起子「多分」 承子「恐らく」 転子「きっと」 起子「では朝食作りを続行しますので」 承子「くれぐれも転子を来させぬよう」 転子「なんてひどい」 男 (なんとなくわかる気がする……) 起子「だってあなたお味噌汁の中に」 承子「大福餅入れるじゃない」 男 「よし、俺が命に代えても抑えているから安心して作ってこい!」 転子「むぐぐぐ」 18. 男 「んで君が四人の意思決定役か」 転子「そうではない」 男 「ひねくれものだなぁ」 転子「そうでもない」 男 「他人と違うことを言わないと気がすまないとか?」 転子「それでもない」 男 「日本の首都は」 転子「名古屋」 男 「アメリカの大統領は」 転子「ワシントン」 男 「初めてのキスの味は」 転子「歯磨き粉」 男 「したことあるのか?」 転子「ない」 男 「胸のサイズは?」 転子「巨乳が好きなのか?」 男 「え?」 転子「巨乳が好きなのか?」 男 「いや、すまんかった」 転子「巨乳が好きなのか?」 男 「……まあ、どちらかというと」 転子「F65」 男 「うそをつけ」 19. 男 「そういえばさ」 転子「なんだ」 男 「誰が一番年上なの?」 転子「私」 男 「え、そうなのか」 転子「起子は承子より年が低い。私と結子は同い年だ」 男 「ふむふむ」 転子「結子は起子より年が低い」 男 「つまりみんな同い年なんだね」 転子「そういうこと」 男 「ひねくれものだなぁ」 20. 男 「帰ってこないな」 起子「結子は」 承子「いつも」 転子「帰ってこない」 男 「んな馬鹿な。探しに行ってくる」 起子「ご飯」 承子「までには」 転子「戻らなくていい」 男 (三人だと何か調子狂うな) 21. 男 「おーい……いたいた。何やってんだ?」 結子「……」 男 「花を眺めているのか?」 結子「ではありません」 男 「ああ、蝶々か」 結子「です」 男 「なんで延々と蝶を眺めてるんだ」 結子「飛び立ったら行こうと思ったのです」 男 「……で、いつまで経っても飛び立たないと」 結子「そういうことです」 22. 男 「いい天気だな」 結子「そう思います」 男 「散歩は日課なのか?」 結子「でもないです」 男 「天気がいいからか」 結子「です」 男 「四人はどこから来たんだ?」 結子「西の方からです」 男 「西の方っていうと……関西か?」 結子「そうでもありません」 男 「名古屋あたり?」 結子「そうかもしれません」 男 「何で来たんだ?」 結子「電車です」 男 「はるばる東京まで?」 結子「そうです」 男 「……」 結子「……」 男 (話題が続かねえ……) 23. 男 「いただきます」 起子「いただきます」 承子「いただきます」 転子「いただいてます」 結子「いただきます」 男 「やはり四人だな」 起子「何がですか?」 男 「いや、なんでも……ぐふっ」 承子「当たりましたね」 転子「起子の料理は必ず一人分罠がある」 男 「な、なぜそんなことを……」 結子「知りません」 男 「知らないのかよ!」 起子「だって聞こうとしても」 承子「四人で一セットですから」 転子「前の人に質問するまもなく」 結子「話題が終わるのです」 男 「めんどくさい奴らだな」 男 「それで、何で爆弾作るんだよ」 起子「何となく」 男 「なんだそりゃ」 24. 男 「ご馳走様でした」 起子「ごちそう」 承子「さま」 転子「ぢぇし」 結子「た」 男 「……今噛んだだろ」 転子「……」 起子「今」 承子「噛んだでしょ」 転子「噛んでない」 結子「だそうです」 男 「へえ」 起子「じゃあ、片付けは」 男 「俺がやれってか?」 承子「他に誰がやる」 男 「誰がってお前達四人も」 転子「手伝わない」 結子「です」 男 「あっそう」 25. ── 男 「かれこれ三日も経ってしまったがいつまで居座るつもりだ」 起子「そりゃ永遠に」 承子「あなたが死ぬまで」 転子「あなたが死んでも」 結子「私達は居座ります」 男 「いや、そうしたいのは山々なんだけど……俺も金ないし」 起子「金ならある」 男 「は?」 承子「ほら」 男 「うお、どこに隠してたんだ。ってか何で持ってるんだ」 転子「昨日施設から送られてきた」 男 「マジで?」 結子「マジで」 男 「アテがあるなら最初に言ってくれればよかったのに……」 起子「だって言わなかったじゃない」 承子「お金のことなんて」 転子「エロ本のこともね」 男 「そりゃ言わなかったけど……って何勝手に引き出し開けてるんだ! やめろ!」 結子「けがらわしい」 男 「ん? なんで金あるのに居候されてんだ? 俺」 26. 明くる日 起子「……」 男 「どうしたんだ? 塞ぎ込んで」 起子「……」 男 「他の三人は?」 起子「……散歩」 男 「置いてかれて拗ねてんのか?」 起子「ちがう」 男 「三日連続で爆弾当てられた事は別に恨んじゃいないぞ」 起子「ちがう」 男 「まったく。どうしたってんだ」 起子「ちなみにそれわざと」 男 「あ?」 27. 男 「ただいま。起子は?」 承子「あのまま部屋に引きこもっている」 転子「でも食事は食べてる」 結子「食いしん坊ですから」 男 「参ったな。何かあったのか?喧嘩とか?」 承子「してない」 転子「媚びない」 結子「顧みない」 男 「何を言ってるんだ何を」 男 「っていうか俺の部屋なんだが……」 28. 男 「こういうの、よくあることなのか?」 承子「めったに」 転子「ないね」 結子「おまえのせいだ」 男 「お、俺のせいか?」 承子「うん」 転子「まあ、違うけど」 男 「え?」 結子「おまえのせいだ」 男 「はあ」 29. 男 「おーい、入るぞ」 起子「駄目」 男 「着替えてんのか?」 起子「そうじゃない」 男 「俺の部屋なんだが」 起子「扉の所にドミノがある」 男 「うそをつけ」 ガチャ バララララララララララララララ 男 「……」 起子「……」 男 「い、いや、すまんかった」 起子「……」 30. 男 「で、どうしたんだ」 起子「……」 男 「話さないと何もわからんぞ」 起子「話したくない」 男 「何か深刻な悩みなのか?」 起子「そう」 男 「うーん……」 起子「でてってよ」 男 「話してくれたらアイスパフェおごってやる」 起子「いらない」 男 「じゃあこの携帯に付いてるゲコ太ストラップでどうだ」 起子「話す」 男 「えっ」 31. 起子「……喋りたいんです」 男 「ん?」 起子「私だって! 最初以外の台詞を喋りたいんです!」 男 「……はあ?」 起子「いつも私は冒頭の台詞ばっかり」 男 「うん」 起子「みんな後ろに続くだけ」 男 「まあそうだが」 起子「自分の始めた話がどこか知らない結論に達す」 男 「それもかなり変な場所に」 起子「その不安、あなたに分かりますか?」 男 「すまないとは思うが、まったく分からん」 起子「私だって話の腰を曲げたい。結論を話したい」 男 「承子は?」 起子「別にいいです」 男 「あ、そう」 32. 男 「別に、話せばいいんじゃないか?」 起子「だめです、秩序だから」 男 「そんな堅く考える必要もないと思うがなあ。さっきだって三人でやってたし」 起子「それでも順番は守るものです」 男 「別に年功序列ってわけじゃないんだろ」 起子「それはそうですけど」 男 「しかし、そういうこと考えるんだな」 起子「きっとツンデレだって普通にデレたい時もあるし、    クーデレだって熱血漢になりたい時があるし、    ロリ校長だって校長やめたい時があるんです」 男 「怒られるぞお前」 起子「そういうものなんです」 男 「お前文字制限は?」 起子「そういうものなんです」 男 (いいのかよ) 33. 承子「どうだった」 男 「お前達に言えないような悩みがあるんだとさ」 転子「珍しい」 結子「ですね」 男 「珍しいのか?」 承子「私達、秘密なんて無いですもの」 転子「好みのタイプ、性癖、体重、へそくりの在り処まで」 結子「えっ」 男 「えっ」 34. 男 「ところでお前達、本当はなんで家に来たんだ?」 承子「実はこの世界、悪魔の力に蝕まれつつあり」 転子「今こそ魔道をもう一度目覚めさせなければならない」 結子「私達と貴方は、前世で共に戦った五人の勇者なのです」 男 「はいはい。で、なんで家に来たんだ?」 承子「なんとなく」 男 「なんとなくなのか?」 転子「なんとなく」 男 「んな馬鹿な」 結子「小説は事実より偶なり」 男 「え?」 35. 男 「おーい、晩御飯だぞ。ここに置いとくか?」 起子「……」 男 「ったく、置いとくぞ。風呂入る時言えよ」 起子「ちょっとまって」 男 「ん?」 ガチャ 起子「入って」 男 「ん、ああ」 バタッ 起子「やっぱり、話そうと思うんです。三人に」 男 「おお、そうか。そいつはよかった」 起子「それで、もし良かったらあなたに付いていてほ」 男 「ん」 起子「しいと思って」 男 「別に構わないが」 起子「良かった」 男 「うん」 起子「じゃあ出てって」 男 「マイペースだなおい」 36. 起子「ねえ、みんな。聞いて」 承子「あら起子、久しぶり」 転子「五年と四ヶ月ぶり」 結子「随分と痩せ細ったね」 男 「朝会ったばかりだろうが。んで、起子が話したいことあるってさ」 起子「あのね……わ、私も、最後に話してみたいの!」 男 (別に俺いなくていいんじゃないか……?) 承子「最後?」 転子「私や」 結子「私みたいに?」 起子「そう!」 37. 承子「なんだ」 転子「そんなことで」 結子「悩んでたのね」 男 「おいおい、そんなことはないだろう」 起子「そ、そうだよ! 私、どんなに悩んだか」 男 「それもどうかと思うが」 承子「別に」 転子「話したければ」 結子「話せばいいじゃない」 38. 起子「だって私達話す時は」 承子「『順番』が必要だと思っているようだが」 転子「別になくても話せる」 起子「!」 男 「!」 結子「そしてお前の両親はやせてきたので最寄りの町へ解放しておいた」 男 「何の話だ」 起子「順番、いらないの?」 承子「そもそも私達」 結子「誰か欠けてても」 転子「問題なく話せるじゃない」 起子「そっか……」 男 「いや気付けよ」 39. 承子「全くそんなことで悩むだなんてかわいいこね」 転子「食べちゃいたいくらい」 起子「うう」 結子「あ、今のは比喩よ」 男 「いや誰も本当とは思わねえよ」 起子「ってことは私も」 承子「結子みたいに」 転子「最後を締められる?」 結子「それは駄目よ」 起子「えっ」 男 「えっ」 40. 承子「だってあなたが最後を締めたら」 転子「結子は職を失い橋の下で夜露を過ごすことになる」 男 「起子の代わりに最初を話せばいいんじゃないか?」 結子「私が最初に話し始めることなんてないと思うけど」 男 「確かにずっと沈黙が続くだけだな」 起子「え、じゃあ永遠に私は」 承子「最後の台詞を」 転子「喋ることなんて」 起子&結子「で──」 起子「……」 結子「……きないのよ」 男 「……」 41. 起子「つまり転子が二番目に話したり」 承子「結子が三番目に話したり」 転子「あるいは承子が最後を締めることが出来ても」 結子「起子以外が最初の台詞を喋ることは出来ないということ」 起子「そんな……」 承子「だから多分私達は」 転子「結局いつも同じ順番で」 結子「話してきたのね」 男 「なんか分かった気になってきたが実際なんだこれ」 42. 起子「でも……なんだか、それでいい気がしてきた」 男 「ん? 最後を締めたいんじゃなかったのか」 承子「ずっと慣れ親しんできたものだもの」 転子「嫌なはずはないし」 結子「心地いいものだもの」 起子「人は誰しも役割を与えられている」 承子「私達はただそれが」 転子「昨日のレールガン予約し忘れた」 結子「人より顕著に現れているだけなのね」 男 (ん…?) 43. 起子「わかった。私、これからも『最初』を喋り続ける」 承子「私は次を」 転子「私はその次を」 結子「そして私が締めるのです」 男 「めでたしめでたし」 起子「そしたらなんだか」 承子「お腹が空いたね」 男 「いや、さっき食べたばかりだろう」 転子「お腹が」 結子「空いたね?」 男 「……分かったよ、何か作ってやるから」 起子「でもたまには」 承子「やってもいいかも」 転子「気が向いたら」 結子「風が向いたら」 44. 結子「そんなこんなで、この話は一旦おしまい」 転子「けれど、まだまだ受難は続く」 承子「問題山積み、苦労は尽きず」 起子「私達の物語は、今始まったばかりなのです!」 起子「……あれ?」 ~完~

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