センス/ネット(The Sense/Net)とは、インターネットを利用した電脳空間?ネットワーク、またそのサービスや機能といった関連事項の総称を指す。

概要

センス/ネット(The Sense/Net)とは、

1:電脳空間サーバ?機能を持ったコンピュータによって、電脳空間としての機能を持つネットワーク。電脳化した人間に対して、統一された感覚情報空間を提供する。情報密度問題(後述)を回避するため、ジャパン・サイバネティクス・テクノロジー社トウキョー・スプロール?上に構築したのが始まりで、のちに国際規格が制定されたことで世界中に広まった。
2:前述のセンス/ネット(The Sense/Net)に該当するもの同士を、旧来のインターネットを介して、非常に大きな規模で国際的に広く相互接続されている状態。またそれ全体をネットワークとみなしたときの呼称。現在のところ、インターネットと同じく唯一無二のため固有名詞として扱われる。一般に「センス/ネット」と呼ぶ場合はこちらを指す。

誕生の経緯

電脳?化技術の実用化後、脳からの情報が直接ネットワーク上を流れるようになると、世界中のネットワークトラフィック量は爆発的に増加した。とはいえ、各種ストレージが市場で極めて安価になっていたために、ハード面での対応は比較的早く、また超伝導ケーブル、高密度光ファイバーケーブルを利用したHDケーブル?の世界的増設によって転送量問題は、その問題の浮上から時を経ずして解決される。
しかしながら、このような大量情報伝達インフラの整備によって個人の電脳間で膨大な情報量の送受信が可能になると、今度は、各個人がその情報量を捌ききれない、という問題が発生した。(たとえば、電脳化したある人間に対して、別の電脳化した人間からの接続が複数存在する場合、感覚情報の混濁や欠損、また抽象概念情報の無秩序化といった問題が必ずといっていいほど発生する。最悪の場合、個の消失や精神汚染の危険もあった)
皮肉にも、電脳という、未だかつてないほどに大量の情報を送受信できるデバイスの登場が、情報密度に対しての個人の処理能力の不足という現象を生み出したのである。

そこで考え出されたのが、統一された感覚情報をやり取りできる擬似空間、すなわち電脳空間?である。電脳空間は、複数の人間が同時に接続できるようになっており、電脳空間を介することで、他者との情報競合を防ぎつつ、複数の人間との電脳通信を行うことを可能とした。

この電脳空間の考え方は古くから世界中に多く存在したのだが、具体的手法を示したのはジャパン・サイバネティクス・テクノロジー社トウキョー・スプロール?に構築したネットワークサービスであり、これは有機コンピュータと支援AIをベースに組織され、旧来の論理情報に加えて視覚と聴覚の抽象情報を交換するサービスであった。その利便性から、トウキョー・スプロール?には電脳アクセスが集中、ついには、アジア地域の全トラフィック量の70%を占めるにいたった。
その後、ジャパン・サイバネティクス・テクノロジー社はこの成功をうけ、これら一連の電脳空間技術をセンス/ネットと呼称して各種技術を無償で公開する一方で、国際標準規格の制定を呼びかけた。これに呼応して、世界中の電脳技術企業が集まり電脳空間の国際標準規格を決定するが、その内容のほとんどは、ジャパン・サイバネティクス・テクノロジー社のセンス/ネットのそのままであった。(これは、ジャパン・サイバネティクス・テクノロジー社が規格制定のさいに大きな力を持ったことが関係していたとも言われているが、実際は、センス/ネットの仕様が非常に優れたものだったからである)
その後、爆発的に普及したセンス/ネットは、インターネットを介してさらに複雑に相互接続していき、現在にいたっている。その名称も、ジャパン・サイバネティクス・テクノロジー社がその呼称を商標登録などしていなかったために、センス/ネットのまま落ち着いた。世界中への普及を目指し、関連技術を無償で紹介したジャパン・サイバネティクス・テクノロジー社の判断は、現代においても高く評価されている。また、その後、ジャパン・サイバネティクス・テクノロジー社はサイボーグ部門以上に、電脳技術部門に力を入れることになる。

管理

センス/ネットにおいて一般的に利用される各種の技術や管理制度は、インターネットと同様、その多くが一般に公開されている。これは、センス/ネットがインターネットを主体とし、インターネットの進化系とも言える立場に位置しているからである。
よって、インターネットと同じくセンス/ネット上においては、特定の集中した責任主体は存在せず、全体を1つの組織・ネットワークとして管理するのではなく、接続している組織が各ネットワークを管理することになっている。

電脳空間サーバ、CS構築支援AIシステム

電脳空間は、IPv6以上かつCB-IPv2の2つのプロトコルに準拠しているネットワーク上に構築することができる。とくにCB-IPは、必ずVer.2でなければならない。
ネットワークあたり最低一台の電脳空間サーバ?CS構築支援AIシステム?をインストールされた有機回路ベースのコンピュータ(処理能力を満たしているなら、有機回路である必要はないが、今現在も規定書にはそう銘記されている)が必要である。CS構築支援AIシステム?を走らせることで、電脳空間サーバ?機能がCB-IPの指定した隔壁カテゴリ内に具象化される。電脳空間サーバ?機能領域は、複数のネットワークを包括することもできるが、CS構築支援AIシステム?が必ず1領域に最低でも1システムなければならない。
それぞれの電脳空間サーバ?機能領域は、情報密度レベル、機能隔壁数、アクセス制御を設定することができる。

情報密度レベル

これは、CS構築支援AIシステム?が自らが存在しているコンピュータの性能、ネットワークのトラフィック耐久性の情報を元に設定する、情報密度の制限である。任意に変更もできるが、多くのCS構築支援AIシステム?では人的設定変更は避けるべきものとし、CS構築支援AIシステム?の設定を維持することを推奨している。
各レベルに対する一般的な抽象情報展開は以下のとおり。
Level 1:一般視聴覚情報まで。
Level 2:視聴覚に加え触角、嗅覚、味覚の五感の一般抽象情報まで。
Level 3:すべての外部神経感覚、高次感情・記憶まで。限定フリップを許可。
Level 4:全感覚フリップを許可。感覚マスクと防壁の使用を推奨。
(なお、上記には例外も存在するため、各電脳空間の管理者に問い合わせること)

機能隔壁数

電脳空間サーバ?機能を提供する領域が、CB-IPネットワーク上でどこまで有効にするかを示す。最大遠隔壁数は5つで、それ以上はインターブリッジ接続を介して、ほかの電脳空間サーバ?機能に接続することになる。世界中の電脳空間の大半は、インターブリッジによって接続されているため、機能隔壁数が3以上の領域は非常に少ない。

アクセス制御

CB-IPに基づいて制御するものから、感覚防壁による制御までさまざま存在する。
詳しくは防壁?の項を見よ。

関連

プロトコル
センス/ネットは、インターネットと同様、IPをベースにしたネットワークである。IPのほか、電脳空間は、各電脳固有のCB-IPを中間プロトコルとしてもち、通常のTCP/IPネットワーク内部に包括的なネットワークを形成している。外部の非電脳・AI型コンピュータからは、IPを指定してもアクセスできないか、できても論理情報に変換された限定的な接続しか確立することができない。
CB-IP上では、IP上のレイヤーとは異なる独自のネットワークレイヤーが使われる。さまざまな利用方法に伴うプロトコルが存在するが、これらのプロトコルの定義の多くは公開されている。
最終更新:2006年08月07日 22:38