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サウンドデモ


私は以前、一度サウンドデモについて報告したことがあるが(こちら)、もう一度簡潔に説明したい。

2003年10月13日に東京新聞に掲載された記事のなかで、酒井隆史が次のように述べている。

大阪女子大の酒井隆史講師(社会思想)によると、サウンドデモの起源は八〇年代の米国のゲイ(同性愛者)解放運動にさかのぼるという。これが「沈黙は死」を掲げた反グローバリズム運動に継承され、九〇年代にはロンドンなど欧州各地に飛び火。「レクレイム・ザ・ストリート(路上を取り戻せ)」を合言葉に燃え上がった。英国政府は「反復したリズムの下で、三人以上が路上に集まってはいけない」という新たな規制を敷いたという。

酒井講師は「非暴力直接行動の新しい形で、踊るという身体レベルで抵抗を示す点が従来と違う。サウンドデモは訴える手段だけではなく、生み出す空間自体に意義がある。有事法制などで生活が丸ごと権力に規制される中、路上という公共圏を単なる交通手段ではなく、人々の接点の場として取り戻そうという狙いが新しい」と説明する。

「沈黙=死」(SILENCE=DEATH)は、確かにLGBTsなど少数者運動の合言葉だった。例えば、ゲイフロント関西のホームページを見ていただきたい。また、このサイトの記述によると、以下のようである。

ベンジャミン・シェパードとロナルド・ヘイダックが編集した『ACT UPから WTOへ:グローバリゼーションの時代の都市の抵抗とコミュニティの形成』 (Shepard and Hayduk(2002) From Act Up To the WTO: Urban Protest and Community Building in the age of Globalization)というアンソロジーは、最近の「新しい社会運動」あるいはティム・ジョーダンの書籍のタイトルを借りれば、「アクティヴィズム!」とでも呼ぶべき最近の若者の政治運動の形成をたどったものであるが、それによれば、こうしたカーニバル的な動向は八〇年代の終わりのACT UP(AIDS Coalition to Unleash Power=パワー解放のためのエイズ連合)あたりに始まったとされる。このアンソロジーのWTOとは、一九九九年のシアトルWTO会 議の際の大規模な反グローバリズム運動のことを指している。

ACT UPは当初からエイズによる深刻な打撃を受けていた多くのアメリカの アーティストや批判的ポストモダン美術の理論的指導者であったダグラス・クリンプ などが参加していたこともあり、当初からパフォーマンス的な視覚要素を多く持っていた。 特に、その最初に成功したキャンペーン「沈黙=死(Silence=Death)」は、第二次 世界大戦中にナチスが同性愛者を弾圧するのに用いた三角形をピンク色でデザインしたロゴを使って、ポスター、ちらし、ステッカー、Tシャツ、バナーなど広告的なメディア・ミックスを行い、伝統的な左派的社会運動からも周縁化され、しばしば差別の対象になり、不可視にされてきたエイズ患者やゲイ・レズビアン・ムーヴメントをいわばファッショナブルなものへと転用したのだった。また、この時代世界中で広がりつつあった公的空間のレイブ・パーティやスクォッティングなど文化動向ともリンクしていたことも考えるべきだろう。ここで見られる、空間の一時的占拠による自律性の獲得、広範な政治的アジェンダではなくイッシュー主導の運動の形成と党派的ヒエラルキーの否定、メディアの活用、そしてある種の享楽主義とパフォーマンス性をはらんだ「文化」的な側面の強調といった特徴は、階級を特権視し、しばしばドグマ的で党派的ヒエラルキーと過剰な道徳主義のために身動きが取れなくなりつつあった旧来の左派運動とははっきりと一線 を画していた。そして、まさにその特徴によってこれまで政治とは関わりのなかった多くの若者をひきつけたのである。


2003年以後、イラク反戦やプレカリアート問題をはじめとする様々な課題に関して、日本各地でサウンドデモが取り組まれてきた。一番最近のものは、プレカリアート問題を訴えた秋葉原でのサウンドデモ(こちら)である。これは、2006年4月30日のサウンドデモが警察・公安によって暴力的に弾圧され潰されたことへの「やり返し」を主旨とするものであり、約200名の参加者を集め、弾圧も跳ね除け、基本的には成功したといえる。

デモそのものが、憲法でも保障された表現の自由の行使であるが、その中でもサウンドデモは最も「表現」という性格が強いと言える。街路という公共圏を民衆の手に取り戻し、音楽を鳴らし、声を挙げるという、最大限の表現行為である。

最近は、サウンドデモというよりは、フラッシュモブというハプニング的な新たなかたちのパフォーマンスが注目されている。

Linda