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都市若者の最先端は”非営利・非所有”

田中正治

1)バブルがはじけて15年。就職に対する考えは一変してしまった。終身雇用制、年功序列賃金が崩壊し、リストラの嵐がなお吹いている。従って、良い学校に入学し、よい会社に就職し、定年退職以後の悠々自適のライフスタイルの夢は、とっくに壊れてしまっている。バブリー君から就職氷河期をくぐってきた多くの若者にとって、大量生産、大量消費、物の溢れるお金万能は、むしろ息苦しい。叫びが聞こえるようだ。「なにもいらない。ただ生きがいがほしい!」と。

2)20世紀が工業化社会だとしたら、21世紀は情報化社会から生命情報化社会へ。知的所有権(特許権)が、その焦点になっている。工業製品やサービスのみならず、微生物、植物、動物、人間の細胞にまで特許をかけ、企業利益にしてしまう。例えば、マイクロソフト帝国のOS・ウインドウズが圧倒的な世界シェアーをとっているのも、特許権取得だ。秘密主義で固められた情報によって、富を独占している。だが、このモンスターを脅かしているのが、Open Souce運動のOS・LINUXに参加する若者達だ。フィンランドの一学生を中心にインタネットに結束した世界のボランタリーなプロ
グラマーによって、自立分散的に開発・進化されている。中身は全て公開され、原則的に無料、非営利・非所有である。資本主義ではにわかに信じがたいが、そうなのである。品質は極めてよい。熱意と誇りと互いへの尊敬と責任感が、知的所有権に叛旗をひるがえす人たちの自由な連帯を生み出しているといわれる。 http://www.linux.or.jp/general/linux.html

3)生産と労働に目を転じてみると、ワーカーズ・コレクティブ(Workers Collective)が注目される。株式会社は、資本(家)が労働(者)を雇い入れ、資本の歯車として働かせ、製品・サービスを生産し、市場で価値、利潤を実現するのが目的。資本が労働を支配し、その結果、資本が利潤を所有するシステムだ。これに対してワーカーズ・コレクティブは、起業しようとする人達がお金(資本)を出し合い、共に仕事をする(協同労働)。つまり、出資者各人が経営者であり、同時に労働者である。従って、各人は平等の関係にあり、支配する人や支配される人はいない。利潤は事業の展開のための留保か、労働の量と質に従って平等に分配される。仕事の内容について全員が協議・決定する。働き方の充足度を求める現代人にとって魅力的なシステムだ。福祉系、食べ物系、カフェ系、起業系などの領域で、互いに「顔と人柄の見える」関係、小規模が良い。価値観を共有した仲間で起業するには適したシステムだ。すでに国内で500以上のWorkers Collectiveが展開している。
http://www.wco-kanagawa.gr.jp/  http://homepage3.nifty.com/workers-tokyo/
http://www.arsvi.com/0so/s1500000.htm

4)いま流行のNPO(特定非営利団体)は、玉石混合だが、やりようによっては”宝石”になりうる。福祉、環境、教育、農業、健康・・・など社会的実現目的・目標を明確にして、その実現のために事業を起こすことが出来る。この事業体は利潤を出すことが認められている。ただ、利潤は事業展開のために投入できるが、構成員個人への分配は禁止される。金儲けではなく、社会的目的・目標の実現のための起業、従って生きがいと働き方の創造にマッチしたシステムだ。非営利・非所有で、かつ食べていけるシステムをつくることが出来る。
http://www.shaplaneer.org/  http://www.npo-sc.org/

5)現在の体制的価値を拒否する若者をひきつけるコミュニケーション的経済ツールの一つが、地域通貨だ。円やドルを用いない任意の「通貨」で財やサービスを交換する。会員間の通帳型と開かれた「紙幣型」がある。交換レートは自主的に決定出来る。利子はつかない。国家通貨とは交換できない。世界で3000ヶ所くらいで用いられている。途上国・アルゼンティンでは、一時、600万人が参加していた。経済システムが崩壊し、物質的飢餓状態が蔓延した場合のサバイバル交換システムなのである。先進国では物質的飢餓のサバイバルというよりは、精神的飢餓へのサバイバル経済システム・連帯のコミュニケーション経済システムという要素が強い。個性的な個人、NPO,NGO、Workers Collective、Coop、
個人事業体などの地域通貨への参加が増えると、アイテムが豊かになる。交換会のイベントが企画されれば、お互い盛り上がることも出来る。市場至上主義経済が、貧富の格差を拡大する中で、対抗策として、この連帯通貨・地域通貨で生活出来る部分を徐々に拡大しながら、人間の連帯と心の豊かさを充実させていきたいものだ。http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Cosmos/3702/ http://www.cc-pr.net/list/  

6)途上国の問題に関心を持つ人には、フェアートレード(公正貿易)だ。途上国は先進国とIMF/世界銀行の債務奴隷状態。11・9テロが起こったとしても不思議ではない構造が永続化しているように見える。この構造にちょっとした風穴を開けているのがフェアートレードだ。途上国の商品の再生産費を保証する価格で買い、労働者の状態を向上させ、南北の人間的連帯を作り上げるシステムだ。世界中を一人旅する若者が増えるのと比例して、フェアートレードショップ、第三世界ショップを起業する人が増えているように思われる。
http://www.windfarm.co.jp/  http://www.fairtradecenter.org/  http://www.ajf.gr.jp/old/working_group/africa_ngo/atj.htm

7)イラク戦争も”石油のための戦争”。資源争奪は直戦争につながっている。石油を主要エネルギーにする限り、石油ルートを軍事的に押さえているアメリカに首根っこを押さえられることになってしまう。戦争をストップさせるには、反戦直接行動だけでなく、エネルギー源を脱石油に転換すること。太陽光、風力、小型水力、バイオ水素エネルギーへの転換が急務だ。オランダは、すでに、脱原発・脱石油ー風力・自然エネルギーへの全面的転換を成し遂げている。石油企業が、一方で水素エネルギーへの転換を始めているのは皮肉だが、日本でも自治体の風力発電建設が盛んになっている。でも、私達が手が届くのは、太陽光・風力発電トラストや市民協同発電所だ。トラストとは、信託(信じて託す投資)。反原発、反戦の思いを込めて自然エネルギーにトラストする。トラストは、その目的に共鳴する会員を募集し運営する。単純なシステムなので、起業は社会的にインパクトのあるテーマとコンセプト作りがポイントだ。
http://page.freett.com/trustjp/  http://www.ex.biwa.ne.jp/~sunden/cityzenpowerplant.htm

8)非営利BANKが増えてきている。市中銀行や郵便局に預けた私達のお金は、廻りまわって環境破壊する企業の投資や戦争に使われていることに気がつき始めたからだ。環境、平和、福祉、途上国、農業の領域・・・などで、明確な未来の可能性をみせてくれるNPOや事業などへ融資している。明確なミッション・コンセプトと経営能力が非営利BANKによって評価されれば、低利で融資を受け取ることが可能だ。apBANKは1%の金利で融資する。例えば、未来BANKは、銀行マンや市民運動家などが起業した事業組合で、1994年7人で設立、400万円でスタートしたが、2005年には1億5000万円の出資金額を持ち、累計6億円以上を環境、福祉、市民事業などに融資をしている。貸し倒れゼロ。金利は3%。ただし、利子を取得することが目的ではない。未来への可能性を示す事業を成功させることで、この社会をかえることが目的なのだ。君も一口出資してみたら。http://www.apbank.jp/index2.html  http://www.jca.apc.org/npois/mirai/

これらの動きは、資本のグローバリゼーション(世界市場至上主義)に対する、若者達のオルタナティブでしなやかな対抗(運動)にもなっている。”希望の国のエグゾダス”は、すでに始まっている。