「ったく、なんで俺が買い出しなんか・・・」

顔を渋らせた青峰は、納得いかないといった様子で、黒子の上にのしかかっていた。

「仕方ないですよ、青峰くん。僕も一緒に行きますから」

だからはやく退いてください、
暑さと疲労で麻痺した身体にのしかかられてはたまらない。黒子は、青峰がどけたことを確認すると、だるそうに立ち上がった。

セミがうるさく鳴き喚く、そんな真夏日。
昼間の練習というだけでバテバテだったところに、あの赤い髪の彼は、またしてもやってくれたのだ。

―今からジャンケンして負けた奴は、六人分のアイス買い出しだ。

今思えば、あそこで軽々しく参加したのがいけなかったのだ。
もちろん、拒否権なんてものは存在すらしなかったが。
そのジャンケンで運悪く、まんまと負けた青峰は、アイスを買い出しに行くハメになったのだ。

・・・しかしまあ、そこまではまだ良しとしよう。

問題は、買い出し以前の問題だ。

・・・こいつら好み違いすぎる・・・!!!

見事にバラバラのアイスを注文してきたことである。



「テツは何が良いんだよ?」

そう聞けば、「うーん」と悩ましげに首を捻る。
そして数秒後、ゆっくりと空いた口から出た言葉は、

「バニラシェイクがいいです」

という、予想度通りのものだった。
考えが的中しすぎて、思わず呆れてしまう。

「テツ。それはアイスじゃないだろ、シェイクだろ」

そう言えば、あいも変わらぬ表情で、ポンッと手を打った。

「言われてみればそうですね。じゃあ、バニラシェイクで」
「さっきの納得は何だったんだよ」

はぁ、とため息一つ。

一つ目オーダー:バニラシェイク

最終更新:2012年07月23日 18:33