「ったく、なんで俺が買い出しなんか・・・」
顔を渋らせた青峰は、納得いかないといった様子で、黒子の上にのしかかっていた。
「仕方ないですよ、青峰くん。僕も一緒に行きますから」
だからはやく退いてください、
暑さと疲労で麻痺した身体にのしかかられてはたまらない。黒子は、青峰がどけたことを確認すると、だるそうに立ち上がった。
セミがうるさく鳴き喚く、そんな真夏日。
昼間の練習というだけでバテバテだったところに、あの赤い髪の彼は、またしてもやってくれたのだ。
―今からジャンケンして負けた奴は、六人分のアイス買い出しだ。
今思えば、あそこで軽々しく参加したのがいけなかったのだ。
もちろん、拒否権なんてものは存在すらしなかったが。
そのジャンケンで運悪く、まんまと負けた青峰は、アイスを買い出しに行くハメになったのだ。
・・・しかしまあ、そこまではまだ良しとしよう。
問題は、買い出し以前の問題だ。
・・・こいつら好み違いすぎる・・・!!!
見事にバラバラのアイスを注文してきたことである。
*
「テツは何が良いんだよ?」
そう聞けば、「うーん」と悩ましげに首を捻る。
そして数秒後、ゆっくりと空いた口から出た言葉は、
「バニラシェイクがいいです」
という、予想度通りのものだった。
考えが的中しすぎて、思わず呆れてしまう。
「テツ。それはアイスじゃないだろ、シェイクだろ」
そう言えば、あいも変わらぬ表情で、ポンッと手を打った。
「言われてみればそうですね。じゃあ、バニラシェイクで」
「さっきの納得は何だったんだよ」
はぁ、とため息一つ。
一つ目オーダー:バニラシェイク