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中国五千年。
その歴史の中で裏切り者として記憶され、後の世に語り継がれてきた男が居る。
紀元三世紀、後漢末~三国の時代。
男の名は魏延文長。
これはチート軍師の為に貧乏クジを引かされ続けた、荒ぶる勇者の逆襲の物語である。
''最凶武将伝 反骨演義!!''
~OP~
三国演義では 反骨といきなり言われ いつか裏切ると 伏線張られた
人は史実より 小説の話を信じ チート軍師が 大好きだった
戦に 負ければ 俺の所為 過労 死も 俺の所為
それでも 英雄 乱舞で 奴との 決着を つけられる
そこまで行ってやるから 首洗ってまっていろ
この俺を討てる者が いるならば 名乗り挙げてみせろよ
魏延「と言う訳で、英雄乱舞シナリオ魏延軍のプレイ日記を始める」
陳式「いや、何が『と言う訳で』なんだ?」
魏延「それぐらい空気読め!最近、ようやく英雄乱舞シナリオの認知度も上がってきたようだからな。
ここらで一つ、真打登場しておかねばなるまい」
陳式「真打?このシナリオは劉備様や関羽殿・張飛殿の義兄弟対決や、曹家や孫家の骨肉の争いが売りじゃ?」
魏延「フッ、それらはシナリオを盛り上げる為のアクセントに過ぎん。主役はあくまでこの俺よ。
このシナリオを初めて見た時に直感したのだ。『これは俺の為にあるシナリオだ!!』とな」
陳式「ま、まあ、動機はわかったが、それで設定や縛りはどうするんだ?」
魏延「縛り……?
一つ言っておくがな……俺は反骨かもしれんがMじゃねえ!!
すまんな。お前の事は友だと思っているが、さすがにソッチの趣味にまでは付き合えん」
陳式「(反骨は認めるのか……)俺もねえよ!そうじゃなくて、知将縛りだとか他の人は色々自己流のルール決めてやってるだろ?」
魏延「他人のプレイをどうこう言うつもりはないし、俺も禁止プレイをやった事がない訳ではない。
が、性分的に『やれる事をやらない』よりも『やれる事はフルにやり、より完璧を目指す』方が好きなのだ。
神算も鬼門も自重しないし、当然セーブ&ロードも使っていく。流石に編集はやらんがな」
陳式「特技の自重はともかく、プレイ日記でロードはやめた方がいいんじゃ……」
魏延「何を言う?小まめにセーブ&ロードをやらんと落雷も乱突ハメも失敗するかもしれんじゃないか!
てか、負ける可能性考えたら、一騎打ちなんてやれんだろ?」
陳式「いや、みんなそれこみでやってるっぽいぞ」
魏延「ステージシナリオ街亭とか、セーブ&ロード無しじゃ普通に無理だろ?」
陳式「あれはまた別の話じゃないか?通常プレイじゃあんな切羽詰った状況に陥らない様に立ち回れる訳だし。
自分に都合のいい結果ばっか選んでたら、日記にならんだろ?」
魏延「(くっ、知力25の分際で正論を……)よかろう。設定は超級戦死多い。セーブ&ロード禁止でやってやる」
陳式「他には?」
魏延「はぁ?初期武将数4 、技巧無し、知将縛りしたら全員アウトの我が軍で、これ以上何を縛れと?
……いや、わかった。ならばこうしよう。『我が軍のエース陳式の使用禁止』でどうだ?」
陳式「ええっ!?てか、俺エースだったの!?」
魏延「当然だ。俺は君主だから数には入らん。よって、我が軍のエースはお前だ!」
陳式「!!」
魏延「しかし、そういう事なら仕方あるまい。
惜しいな……お前の真の実力が広く知れ渡れば、無双6出演のオファーが来てもおかしくは無いと思っていたんだが……」
陳式「(む、無双出演!?)……べ、別に縛りなんて無くてもいいんじゃないかな?縛らなくても十分辛い訳だし」
魏延「だろ?その代りと言ってはなんだが、俺が最強である事を天下に示す為に『全技巧習得』と『統+武+知トップ&全適性S』をクリア条件としよう」
陳式「どうせなら、総合トップを目指せば?」
魏延「流石にそこまでやってられん。まあ、『奴』の総合数値くらいは超えてやるがな」
陳式「奴?」
魏延「奴は奴よ。いい加減、これで始めるぞ」
設定
超級戦死多い
クリア条件
全技巧習得
統率+武力+知力=271以上、能力総合値418以上&全適性S
第一話『いざ行かん!奴のもとへ!』
251年1月。天下統一への第一歩として、俺は早速うちのエースを呼んだ。
陳式「何だ?仕事か?」
魏延「俺とお前の友情は、あの『断金』と例えられた孫策と周瑜にも劣らん。違うか?」
陳式「な、何だよ急に?心配しなくても、滅多な事じゃあんたを裏切らんから安心してくれ」
魏延「そうか……それを聞いて安心した。
では、陳式。エースのお前にしか出来ない任務を与える」
陳式「おう!100日かけて何か建てろとか以外なら、何でも命じてくれ」
魏延「(さりげなく予防線張りやがった)いや、兵1の輸送隊で南の桟道から梓潼を攻めてくれ」
陳式「は……?兵1でどうしろと!?」
魏延「挑発してある程度敵を引き付けたら逃げろ。それを繰り返してくれればいい」
陳式「つまり嫌がらせか。だが、それのどこがエースの仕事なんだ!?」
魏延「我が軍の置かれている状況はわかるな?」
陳式「まあ、北には呂布と司馬懿、東に公孫度、南に孫峻に囲まれているな」
魏延「そうだ。各勢力の兵数は4万以上。呂布軍に至っては7万を超えている。それに対し、我が軍の兵力は陽平関の兵を加えても2万2千だ。
それらの軍が一斉に攻めてきたとしたら、凌げると思うか?」
陳式「流石に無理だろうな」
魏延「そうだ。では、周囲の敵の中で最も厄介な相手はどこだ?」
陳式「そりゃあ、呂布か司馬懿だろ」
魏延「違うな。陽平関がある限り、その二勢力の攻勢を凌ぐのはそう難しくは無い。守る上で最も厄介なのは、孫峻軍だ」
陳式「いや、それはないだろ?公孫度軍の方がまだマシじゃ?」
魏延「わかっておらんな……いいか?公孫度軍は騎兵適性がそれなりに高い者が多い。そうすると、編成は自然騎兵が多くなる。
それに対し孫峻軍は、それとなく弩が高いから、弩兵が来る確率が高いのだ」
陳式「確かにそうかもしれんが、それが大した違いか?」
魏延「大有りだ!騎兵なんざ軍楽台でも叩かせておけばいい!こちらはひたすら補修してれば、とりあえずは凌げる。
だが、弩兵相手だと施設越しに削られるではないか。
例え一撃一撃は脆弱であっても、撃退まで削られる事を考えると相当のダメージになる。
寡兵の我が軍にとっては、無視出来ない損失だ。雑魚の火矢でも着火すると痛いしな。
と言う訳で、あの険しい蜀の桟道を易々と行き来する『行軍の達人』陳式の出番だ!!」
陳式「(達人!?)フッ……それ程でも無いがな。……でも、さすがに兵1はないんじゃないか?」
魏延「安心しろ。金は持たせられんが、兵糧は10年分くらいやるから。メシ食い放題だ!!」
陳式「(聞いちゃいねえ)毎日毎日同じ物ばかり食えても、嬉しかねえよ!」
魏延「ああ、それと官職は不要だろうから、外しておくな」
陳式「断金て、そういう事かよ!?」
こうして、我が軍の大エース陳式は、ただ独り梓潼領へと旅立った。
2月。大事を成すには、まず人材の収集と育成が不可欠だ。
頭数4人、いや、実質3人では何をやるにも効率が悪い。行動力も40しかないしな。
陳寿に建てさせた人材府が完成したので、早速人材を探させる。
するとその陳寿から、見所が有る人物を発見したとの報告が。
陳寿「楊修殿を発見しましたが、如何なさいましょう?」
魏延「楊修か……」
いきなり待望の軍師資格者がみつかった訳だが、これには少し悩んだ。
楊修の性格が悪そうだからではない。相性の問題だ。
在野の人材を発見しても、直で登用しないのがセオリーである。
だが、魏系武将である奴と俺との相性は悪く、加えて我が軍の魅力トップは陳寿の51。正直、登用出来る自信が無い。
更に軍師も居らんので闇雲に勧誘し続けるしかなく、振られ続ければ当然無駄骨。その間内政も他の人材収集も出来なくなる。
その挙句に他国に逃げられれば、目も当てられないだろう。
魏延「セーブ&ロードが出来れば、悩む必要も無いんだがな……」
陳寿「それは禁止では?」
魏延「わかっている。そのまま勧誘してくれ」
陳寿「よろしいのですね?」
魏延「ああ。ダメなら半分諦めよう」
一人の人材の為に大事な行動力を浪費する訳にはいかない。苦渋の決断であった。
しかし、
陳寿「楊修殿を連れて参りました」
楊修「魏延殿の覇業のため、尽力いたそう」
魏延「おお!でかした!流石作者!!」
やはりこのシナリオは俺の為にあるようだ。楊修の一発登用に成功する。
その後、軍師に据えた楊修の(無いよりマシな)助言を聞きながら傅僉、呉蘭等を加え、4月を迎える頃には我が軍は10名になっていた。
全体的にやや小ぶりで頼りになりそうなのは傅僉くらいだが……まあ贅沢は言えん。
西の桟道と東の本道には陣を建て守りを固め、市場や鍛冶を作り始める。
ようやく我が軍も本格始動と言った所か。
だが、そんな気分がよくなっている所に、そいつは現れた。
楊修「楊儀を発見しました」
魏延「……捕らえて斬れ!」
楊修「そんなコマンドはありませんが……」
魏延「なら、とりあえず登用して連れてこい」
配下に出来たらいたぶってやろう思っていたが、当然登用に応じるはずも無く、棄て台詞を吐いて楊儀は早々に他国へと去っていった。
フン、望む所よ。次に会う時が貴様の命日だ。
5月。難度超級では、そろそろ各地で群雄達が動き始める頃合だ。
楊修「公孫度軍1万6千が、ここ漢中に向かってきております」
魏延「やはり来たか……敵の編成は?」
楊修「公孫度の騎兵1万、公孫淵の槍兵6千です」
魏延「そうか……なら放置で」
楊修「放置……ですか?」
魏延「ああ。念の為、お前と傅僉は長期行動をせず、いつでも出れるようにしておけ」
公孫度軍に対して我が軍がとった作戦は……放置プレイだった。
東の陣には北東に土塁、南東に火種を2つ設置し、直接叩けない様にしてある。
弩や兵器隊が来ると着火される事があるが、直接攻撃系の兵科はこれで無力化出来るのだ。
案の定、公孫度軍は火種の前でウロウロするだけで、それ以上進めなくなっていた。
更に、手薄になった上庸を、背後から宛の劉焉軍が攻め始める。
魏延「アホだな……奴等は自分達の本拠地が攻められている事を知らんのか……?」
楊修「偽報でもかけて、教えてやりましょうか?」
魏延「もはや『偽』じゃないがな……試しに、停戦でも持ちかけてみるか」
楊修「無駄だとは思いますが……」
親切心から停戦を持ちかけてやったが、「訳がわからん」とあっさり断りやがった。
それはこっちの台詞だろ……うろうろしてるだけなんだから帰れよ。
チッ……劉焉よりずっと組みし易いから、壁になっていて欲しかったんだがな。
少しでも金を節約する為に開始と同時に官位を全解任していたが、ただ一人にだけ文官枠を与えておいた。
楊修だ。
こいつの初期政治力は79。なので官位の効果で+1すれば、推挙イベントが起きる可能性がある。
8月。その細かい努力が、早くも実を結ぶ。
捕縛の衛瓘を推挙してきたのだ。
知力83小心で負けるはずもなく、我が軍は序盤にして最強特技持ちを得る。
人材探索中に弓や暗器も発見出来たし、やはり天運は俺にあるようだ。
対外的にも、呂布と司馬懿は安定をめぐり孫策もまじえた三つ巴の潰しあいを始め、放置プレイ中の公孫度は本拠地を攻められている。
フルボッコにあう事も覚悟していたが、拍子抜けする程漢中は平和だった。
この間に少しでも内政と備蓄に励むとしよう。
だが、10月。そうは問屋が卸さぬと、ついにあの男がやってきた。
楊修「陽平関を狙い、長安から呂布軍が出撃した模様です」
魏延「やはり来たか……待ちわびたぞ!」
最強を目指すからには、当然超えねばならぬ存在である呂布。
その到来に、俺は身震いしながら配下に命じた。
魏延「GH2作戦でいくぞ!呂布よ、陽平関が貴様の墓場となる……!」
第二話 『エース陳式の憂鬱』
呂布軍の襲来により、風雲急を告げた漢中。
どうやら、安定での戦いは孫策と司馬懿が西で潰しあった為に呂布が漁夫の利を得る形で早々と決着し、その為奴の目がこちらに向いたらしい。
楊修「物見の報告によりますと、敵の陣容は呂布自ら騎兵1万1千を率いて先陣を務め、副将には賈詡。後詰に同じく騎兵の呂玲綺隊7千が続いている模様です」
陳寿「呂布の副将に賈詡ですか……これは厄介ですな」
魏延「ふっ、むしろ好都合よ。俺自ら弩兵5千で出る!楊修、副将につけ」
楊修「5千……?敵の数に対し少なすぎませんか?敵はあの呂布ですぞ?」
魏延「俺があの張飛殿を差し置いて、劉備様に漢中を任される程の戦上手である事を忘れたか?」
楊修「はっ……ははっ!」
よりにもよって最強の武とトップクラスの知のタッグ来襲に、配下の動揺は大きい。
確かにデフォであれを止められるのは、張飛殿と“奴”くらいなものだ。
だが、ここ漢中には三国一堅牢な陽平関がある。
むしろこれは、俺の実力を内外に示す好機と言えよう。
高翔に関の物資を回収させ、俺は頃合をみて揚々と出撃し陽平関前に陣どった。
11月末。ほどなくして無人の陽平関は呂布隊によって落とされる。
呂布「フン!もぬけの殻か」
賈詡「金も兵糧もありませんな。始めから明け渡すつもりだったようです」
呂布「魏延め。大口叩きながら、この俺に恐れをなして戦う事も出来ぬか!腰抜けが!よし、このまま雑魚どもが籠もる漢中を落とすぞ!」
呂玲綺「父上。それが、魏延隊に陽平関前を固められていて、通過する事が出来ません」
呂布「何!?ならば俺が撃って出て蹴散らしてくれる!」
呂玲綺「いえ、ですから門を封鎖されていて、関からの出撃も出来ないのです」
呂布「かまわん!!俺と赤兎なら、関壁ぐらい余裕で飛び降りてくれるわ!!」
賈詡「過去のシリーズでは出来ましたが、今作では如何に呂布殿でも関の昇り降りは無理です」
呂布「何だと!?ちぃ、ならば関から矢を射掛けさせて、まずは奴等をどかせ!」
賈詡「それも先にあちらが攻撃してこないと反撃出来ませんな」
呂布「なっ……!?関に櫓の効果ぐらい無いのか!?ええい、魏延め!!小賢しい真似を!!賈詡!!どうにかしろ!!」
賈詡「騎兵ばかりの我が軍の現状では、関の裏から偽報をかける事ぐらいしか……」
呂布「なら、とっととやれ!!」
賈詡「ですが、それには玲綺殿に退いていただかないと……」
呂玲綺「父上!魏延の相手は私にお任せを!あの程度の者、軍師殿の手を煩わせるまでもありません!」
呂布「ぬう!?……よかろう。娘よ、ここはお前に任せる」
呂玲綺「はっ!」
賈詡「(あの娘じゃ無理だろ……と言っても、言って退くような方では無いが……)」
陽平関は構造上、関本体に取り付けるのは南北で一部隊づつのみ。
つまり、南の一箇所を塞げば敵はそれ以上進行出来ず、また射程3以上の攻撃が無ければ関を挟んで攻撃や計略を使えるのも一部隊のみ。
実質これで戦況は、我が軍弩兵5千対呂玲綺隊騎兵7千となった訳だ。
もっとも、ここまでは誰でも考え付く事だろう。
当然俺の真の狙い……GH2作戦の恐ろしさはこんな物では無い。
呂玲綺「臆したか魏延!貴様に武人としての誇りがあるなら、正々堂々と戦え!!」
魏延「フッ、いつから戦で弩を使う事が卑怯になった?地形も考えず、のこのこ騎兵で来た貴様らが悪い。火矢を放て!」
呂玲綺「クッ、卑怯な真似を!!」
魏延「ふっはっはっ、俺のもとまで来れたら、いつでも相手になってやるぞ」
呂玲綺はムキになって計略をかけてくるが、保険で楊修まで連れたこの俺に効くはずもなく、お返しにこちらは弩の雨を降らせてやる。
弩Bなので戦法不発も多く着火もほとんどしないが、連戦が地味に強い。
反撃も出来ない騎兵を一方的に削り、ついに兵数は千程度となった。
よしよし、次の攻撃で着火か連戦が発動すれば、呂玲綺隊は壊滅するな。
そこで俺は……。
高翔「射てー!」
呂玲綺「クソッ、このままでは……って、誰だお前は!?魏延はどうした!?」
高翔「魏延殿は帰られた。小娘ごときの相手は、この俺で十分よ!」
呂玲綺「なんですって!?おのれ、一体何処まで人を愚弄する気だ!?」
あえて兵を引き、高翔隊弩兵5百と交代した。
そしてそのまま高翔にちまちま削らせ、呂玲綺隊は6百程度に。
高翔「手筈通り、5百手前ギリギリまで削りました」
魏延「そうか……玲綺隊の兵糧は?」
高翔「7百日を超えてる模様です」
魏延「よしよし、これで二年は持つな……。では弩兵を引き上げさせ、輸送隊5百を置いておけ」
そう、寡兵になった呂玲綺隊をあえて倒さず、こちらも放置プレイ。
これにより、長安からいくら援軍が来ようとも、呂玲綺隊が邪魔でこちらに攻撃出来ない状態に。
数万の呂布軍を輸送隊5百が足止め。
現実ではとてもありえん。
だが、敵がエンドレスで攻めて来る超級では、無力化→放置プレイは特に有効な手段だ。
これで不測の事態でも起きない限り、呂布軍は暫く放置出来る。
司馬懿も陽平関が呂布の手にある以上、おいそれと手出しはしてこないだろう。
東の公孫度はダラダラと劉焉から攻められ続け、粘ってはいる物の虫の息だ。
頃合……だな。
魏延「至急陳式を呼び戻せ!奴が戻り次第、梓潼を攻める!!」
252年2月。梓潼攻めの軍備を急ぐ俺の前に、ふらりと怪しい風体の男が現れた。
ちりちりになって膨らんだ様なファンキーな髪型に褐色の肌。
明らかに漢人では無い。南方から来た蛮族だろうか?
アフロな謎の男「……帰ったぞ」
魏延「何だお前は?」
謎の男「はあ?俺だよ!俺!!」
魏延「ほう、この俺の面前で俺俺詐欺か。その度胸は褒めてやる。だが、どうせやるなら台所事情ぐらい調べてからやれ。我が軍の財布は火の車で、こっちが身包みはぎたいくらいだ」
謎の男「陳式だよ!断金の友をもう忘れたのか!?」
魏延「陳式……?おお!暫く見無い内に変わったな!何かのソウルにでも目覚めたのか?」
陳式「『自分で点けた火に飛び込んででも戻れ』つったのはお前だろうが!!」
ごしごしと布で拭った下からは、なんと我が軍のエース陳式が現れた。
どうやら炎によって髪がこげ、顔に煤が付いてただけらしい。
それにしても……その知力でよくターンまたぎで消えない火が点いたな……。
魏延「お、おお。よく帰ってきてくれた。たった一人で三万余の敵を屠るとは、呂布や張飛殿でも真似出来まい。さすがはエースよ」
陳式「いやあ、勝手に敵が(桟道を通って)谷底に落ちてっただけだけどな」
魏延「謙遜をするな。お前の働きのおかげで弱体した孫峻は、今張魯に攻められている事は知ってるな?」
陳式「えっ?あっ、ああ、当然だ(どうりで最近追手が来なかった訳だ)
魏延「そして、その張魯の本拠地成都は今、曹操と孫登に攻められている。これがどういう事かわかるな?」
陳式「え~と……張魯は間抜けだって話か?」
魏延「そうだ。その間抜けな張魯とその配下を、俺様がいただこうって話だ」
陳式「はぁ……」
魏延「梓潼を攻める!エースの出番だ!俺の副将を務めてくれるな?」
陳式「お、おう!!……って、まて!攻めるって漢中の兵は2万2千から増えてないじゃんか?守備は平気なのか?」
魏延「問題無い。いや、好機は今この時しか無いのだ!
作戦は、まずは井蘭で梓潼の二つの関を落とし、その間に張魯に梓潼を落としてもらう。
次にすかさず梓潼を包囲して兵の少ない内に削っておき、成都が落ちるのを待って我が軍がとどめを刺すって寸法だ」
陳式「おおっ、何て汚え!いや、見事な策だ!燃えてきたぜ!!」
俺は陳式を連れ、出来上がったばかりの井蘭1万で出撃した。
兵糧はここまで節約してきた甲斐あり5万近くある物の、多数の捕虜を養う事を考えると金が心許無い。
だが、この機を逃せば、漢中から出られるのは何時になるかわからん。
車軸研究が無いのでかなりの時間がかかった物の、5月中には剣閣を落とし一度入関する。
魏延「時間はかかったが、桟道での脱落者も無く無傷で関を落とせたな。陳式、お前のおかげだ」
陳式「フッ、もはや蜀の桟道は俺の庭の様な物よ」
魏延「頼もしい奴だ。では、エース。一度漢中に戻って兵と物資を輸送してくれ」
陳式「ええっ?それエースの仕事かよ?輸送は高翔の奴にでも……」
魏延「桟道を無傷で進めるのはお前だけだろ?どの道一度訓練をして立て直さんといかんし、城攻めではお前の井蘭を、俺が戟兵で護衛するつもりだ。だが、それには兵装が必要な事ぐらいわかるだろ?」
陳式「へいへい、わかりましたよ!」
こうして我が軍のエースは渋々漢中に戻り、輸送隊で出撃した。
7月。輸送隊を率いた陳式が剣閣に到着する。
曹豹「ご苦労でしたな。エース殿」
陳式「あんたは……呂布軍から寝返って、その功で剣閣太守に抜擢された曹豹殿か」
曹豹「説明台詞重ね重ねご苦労。では、ここからは私が次の関まで輸送しておきますので、エース殿は漢中に戻られていいそうです」
陳式「えっ……?梓潼攻めは?」
曹豹「ん?ご存知無い?梓潼なら、もう包囲を始めておりますぞ」
陳式「ええっ!?」
陳式が漢中を発ったそのターンに、張魯によって孫峻は滅んだ。
しかし、成都を攻められ援軍を出せなかった張魯軍の損害も激しく、梓潼の兵力は3千以下。
落城で兵舎も破壊され、直ぐに兵力が回復する事は無い。
それを確認して、すかさず俺は輸送隊で葭萌関を占拠し、囮の蒋舒の輸送隊兵1と共に井蘭で出撃。
観念したのか迎撃部隊は無く、難なく城を包囲したのだった。
8月。城の周囲で曹操と孫登が戦い始めた為に、なかなか落ちなかった成都がついに陥落。
城は孫登の物となったが、幸いにも龐徳、閻圃等目ぼしい武将は捕まる事は無かった。
そして9月。龐徳等の到着と月替わりを待って、ついに我が軍は梓潼を落とす。
魏延「予想以上に長引いたが、無傷の完全勝利だ!皆、よくやってくれた!陳式、功一等はお前だ」
陳式「ま、まあな……(それより城攻めしたかったな……)」
魏延「それでだ……これから梓潼は何かと物入りになる。すまんが漢中から金の輸送を頼む」
陳式「またかよ!」
輸送隊でもエースの陳式は、今日も蜀の桟道を征く。
第三話『お前はもう死んでいる!!恐怖のGH2作戦』
253年1月。
呂布と公孫度を放置プレイにし、電撃作戦によって張魯を無傷で攻略した我が軍だったが、最大の難敵の前に苦戦を強いられていた。
魏延「ふう……」
陳式「輸送してきたぞ~って、あれ?暫く見ない間に顔つきが変わってないか?何か理知的になったと言うか、表情が柔らかくなったと言うか……」
魏延「そうか?政治と魅力を+20したから、その所為かもしれんな」
陳式「おおっ、道理で蛮族っぽくなくなった訳だ!」
魏延「ワレ、バンゾク、チガウゥゥゥッ!!」
陳式「仮面をかぶるな仮面を!それよりどうした?張魯に完勝したってのに元気が無えな」
魏延「その張魯軍の降将共が頭痛の種よ。奴等は俺と相性が悪い所為で凄まじく金食い虫でな……おかげで梓潼の開発も、漢中の軍備も遅々として進まん」
陳式「ああ、忠誠上げか。季節替わりには漢中の収入が丸ごと飛ぶからな」
魏延「そもそも、何で手柄も上げてない新入りや降将に金をばらまかねばならんのだ?褒賞なんだから、本来功の有るお前とかにドンとボーナスをやるのが普通だろ?」
陳式「おほっ!マジで!?」
魏延「だから、やりたいのはやまやまだが忠誠100以上のお前には金はやれんのだ。残念な事にな」
陳式「顔が全然残念そうじゃねえ……まあ、そういうシステムだからな。それが煩わしいなら、もっと登用する数を絞れば良かったんじゃないか?16人は増やし過ぎだろ」
魏延「だが、有る程度の頭数も必要だ。2都市所有で武将30人前後は適量だろう。ばら蒔きも一段落ついたし、梓潼の開発が進めば収入も安定しよう。エースよ。開発費の運搬、期待してるぞ!」
陳式「輸送をかよ!」
魏延「俺とて出来ればお前を輸送には使いたくは無いのだ。成都が開発される前に囮で妨害しておきたいし、曹操に対しても牽制しておきたい。ああっ、お前が後二人居ればなあ……」
陳式「結局、俺は何人居ても輸送か囮役なのね……」
陳式は嫌がっているようだが、孫峻戦で証明した様に効果的な囮は万の兵にも相当する。
出来る事なら次の攻略目標である成都と、益州統一最大の障壁である曹操に対して早い内に手をうっておきたかった。
その2都市への囮部隊を出すにもやはり桟道を通る必要が有り、これも踏破持ちのエースにしか出来ない仕事である。
しかし、梓潼の開発が進まない事には、漢中からの輸送を優先せざるをえない。
やはり蜀の地では、難所行軍が無いと不便で仕方が無いな。
ちゃくちゃくと兵が増えていく成都や曹操軍を苦々しく思いながらも、我が軍は我慢の時をむかえていた。
一方その頃、呂布に占拠された陽平関ではある異変が起きつつあった。
漢中に向けて攻め寄せ陽平関前で渋滞していた部隊の一部が兵糧切れとなり、兵糧を求めて陽平関にゾロゾロと入関し始めたのだ。
そう、さながら餌のにおいに釣られ、紙で出来た家に入っていく害虫の様に……。
呂布「貂蝉!!」
貂蝉「奉先様。申し訳ございません。部隊の兵糧が切れてしまいました」
呂布「はっはっはっ、そんな事は気にする必要は無い。それよりも、お前が来てくれた事が何より嬉しいぞ!ここでは訓練くらいしかやる事が無いからな」
貂蝉「奉先様……」
賈詡「御取り込み中の所、申し訳有りませんが……」
呂布「何だ貴様!?いつもの失火とか下らん報告なら後にしろ!!」
賈詡「いえ、それどころでは無いのです。現在我が軍が置かれている状況は、非常に危険です」
呂布「危険……だと?この陽平関には4万、外にも2万の軍勢が控える俺の軍に対し、漢中の兵力は2万にも満たぬ。一体何が危険だと言うのだ?」
賈詡「その6万の兵が問題なのです。ここ陽平関は敵領ゆえ収入も得られず、我等が占拠時に運び入れた分の兵糧しかございません。しかし今、兵糧の切れた後続の部隊が関に入り始め、兵数が膨れ上がっております。出兵するより兵糧の減りは緩やかとは言え、6倍の兵を養うには限界が御座います」
呂布「だから何だと言うのだ?」
貂蝉「つまりこういう事ですね?このままでは私達の部隊だけでなく、この陽平関の兵糧も尽きてしまうと」
賈詡「その通りです。度重なる放火により関の耐久度は既に0になっておりますが、それでも奪回しようとしないのは我等を一網打尽にする狙いかと」
呂布「おのれ魏延!!武ではこの俺に敵わぬからと姑息な真似を!!」
???「ふっふっふっ、甘い!甘いですな軍師殿!!」
賈詡「むむ!?御主は……元軍師の陳宮殿!!」
陳宮「(元は余計だ!!)」
呂布「どうした元軍師の陳宮?お前の部隊も兵糧切れか?」
陳宮「(呂布殿まで……)いえ、我が隊は高順殿と援軍に来たばかりですので兵糧には余裕が御座いますが……それよりも、この陽平関の渋滞ぶりを見て、私は魏延の真の狙いに気付きました」
呂布「真の狙いだと?兵糧攻めでは無いのか?」
陳宮「いえ、それは奴の策の第二段階に過ぎません」
貂蝉「と言いますと、兵糧攻めの先があると?」
陳宮「はい。その兆しは既に現れております。呂布殿、この関の内外に集まる将を見て、何か気付きませんか?」
呂布「将?ここに居るのは貂蝉に賈詡、外にはお前と玲綺、それと高順と義父上(王允)。後は雑魚か」
陳宮「いえいえ、魏続殿や侯成殿等も居りますよ。すなわち、我が軍の官位を持つ将の大半がこの陽平関に集結している事になります。そしてそれこそが……」
賈詡「まさか魏延の狙いは、我が軍の主だった将をこの陽平関に集め封じ込める事で、勢力としての機能その物を麻痺させる事が狙いか!!」
陳宮「(オイシイとこもってかれたー!!)」
呂布「??どういう事だ?」
賈詡「先程申し上げました通り、兵糧の切れた部隊は食を求めこの関に入ってきます。ですが、この関の兵糧は長くは持ちません。そしてまた、関に敵軍が張り付いている為、我等は城に戻る事も出来ません。その結果……長安の守備に残る者をご確認下さい」
呂布「馬玩に王祥に郝萌……雑魚ばかりではないか!」
賈詡「はい。かろうじて兵だけは増やしているようですが、率いる将が居なければ、これ以上の出兵は難しいでしょう」
陳宮「私と高順殿が居た安定も、現在は似た様な状況です。このままでは、いくら兵が居ても守る将が不足していて、孫策や司馬懿の精兵から領地を維持する事すら困難かと」
呂布「何だとっ!?陳宮!貴様それをわかっていながら、のこのことここにやって来たのか!?」
陳宮「い、いえ、それは……!!」
賈詡「出兵された時には、流石の陳宮殿も看破出来ていなかったのでしょう。しかし、これは大変マズイ事になりましたな。魏延の狙いが本当に我等を封じる事にあるとすれば、兵糧が尽き兵が0になっても包囲が解かれない可能性も考えられます」
貂蝉「まあっ、何と恐ろしい……!!」
呂布「案ずるな貂蝉!例え何があろうと、お前だけは俺が必ず守ってやる!」
貂蝉「奉先様……!」
賈詡「(本当にわかっているのかこの方は……?)」
陳宮「(最早打つ手無し。勝敗は決したか……私が軍師として呂布殿の側に居れば、こんな事にはならなかった物を……!)」
天を仰いだ賈詡と陳宮の予想は、はたして現実の物となる。
ついに陽平関の兵糧が尽き、阿鼻叫喚の地獄絵図と化したのだ。
関内では餓死者や逃亡兵が続出し、見る間に兵が減っていく。
だが、例え漢中を狙う部隊が居なくなり、兵が0になろうと、高翔の輸送隊500の包囲は続いた。
呂布「馬鹿な……この俺が、一度も戦う事も出来ず敗れると言うのか……!?うおおおおおおおおおおっ!!」
兵・金・兵糧0。武将数14と言う文字通りの棺桶と化した関に呂布の雄叫びが虚しく木霊する。
呂布よ。貴様が騎兵で攻めてきたその瞬間に、貴様の敗北は決まっていたのだ。
まあ、勢力が滅びそうになったその直前には出してやろう。
その後は、俺の下で存分にその武を振るがいい。
こうして、天下無双の飛将軍呂布は既に詰んだ。
しかしその一方、今度は俺の懸念が的中する事となった。
9月。
楊修「成都より孫登の軍が梓潼に向かっている模様です」
魏延「ついに来たか……よし、皆を集めよ。軍議を開く」
第四話『捲土重来!解き放たれたエース!』
楊修「敵軍の将は諸葛恪。弩兵6千の模様です」
魏延「あのクソ生意気なガキが出て来たか……ならばこちらは、エース陳式!」
陳式「おう!」
魏延「輸送を頼む!」
陳式「期待もたせるような言い方すんなよ!」
魏延「蒋斌、騎兵5百で急ぎ涪水関前の森を封鎖せよ」
蒋斌「お任せ下さい!」
陳式「また5百か。一部隊で平気なのか?あそこは2部隊ないと完全にふさげないだろ」
魏延「涪水関は以前から孫登軍の物だが太守は不在だ。兵が多少居ても出てくる部隊は無い。更に一部隊でも張り付いておれば、関上にZOCが発生し素通りも出来ん訳だ。つまり、兵糧が切れて関に部隊が入るまでは、5百で十分よ」
陳式「でも、計略にかかったらZOCは消えるだろ?諸葛恪相手に蒋斌で平気なのか?」
魏延「だからこそ蒋斌なのだ。父親譲りの明鏡持ちのな」
蒋斌(ニヤリ)
陳式「能力研究で覚えたのか!」
魏延「つい先程な。曹操対策に築城の後は明鏡取得を急いだのが功を奏した。まあ、読み通りだがな。そういえば話は少し変わるが、能力研究で隠し技能の“鬼謀”が出たらしい」
陳式「鬼謀か……微妙じゃね?」
魏延「まあ、欲を言えば“火神”が欲しかったが、鬼謀も有ればかなり便利だからな。出てくれただけありがたいと言う物だ。さて、話を戻す。楊修、念の為関の前に軍楽台を建てておけ」
楊修「承知しました」
魏延「以上だ。各自持ち場に戻り、引き続き内政と軍備に励んでくれ」
俺は孫登軍に対しても寡兵での放置プレイを選択した。
別に諸葛恪を撃退する事は容易いが、4万の兵力を抱える成都の攻勢がこれで終わるはずもなかろう。 不毛な消耗戦に付き合う気は無い。
はたして俺の読み通り、続々と後続の部隊が出撃してくるが、涪水関で渋滞にはまっていく。
敵の兵糧が切れるまでの約半年間は、ほぼこのまま放置出来ると見ていいだろう。
しかし、これでこちらも成都攻めが当分出来なくなった。
未だ天機に非ずか……。
その時の為にも、今は物資の充実させるべきだろう。
254年。
呂布軍は残す所長安のみとなり、上庸の公孫度も滅んだ。
劉焉がちまちまやってる間に関羽殿に背後をつかれて先に滅び、何とか延命出来たのも束の間、今度は襄陽の羊祜から執拗に攻められ、ついに力尽きてしまった。
その際、公孫淵等数人が流れてきたので一応登用したのだが、ただの金食い虫だったので少し後悔している。
それより問題なのは、これで漢中も手薄にしておく訳にはいかなくなった事だ。
まあ、軍備増強の時間は十分有ったので、むしろここまでよく粘ってくれたと礼をいいたい。
7月。待ちに待っていたその時が、ついに到来した。
~剣閣~
曹豹「毎度の輸送任務、ご苦労でしたなエース殿」
陳式「まったくだ。あんたともすっかり顔馴染みだな」
曹豹「ですなあ。しかし、今後はエース殿も晴れてお役御免となるでしょうから、寂しくなりますな」
陳式「ん?何の事だ?」
曹豹「ご存知ありませんか?つい先日、技巧研究により我が軍は誰でも難所行軍が可能となりましたぞ」
陳式「何だってぇ!?じゃあ、成都攻めではついに俺の出番と言う事か!」
曹豹「いえ、成都攻めの部隊は既に出立したようですぞ。エース殿は切り札なので、とりあえず梓潼で待機との事です」
陳式「また留守番かよ!」
難所行軍を完成させたそのターンで、我が軍は成都に向け出陣した。
涪水関は数ヶ月前に閻圃を副将にした張衛を向かわせて蒋斌と共に完全に封鎖しており、関で敵を足止めしたまま、南東の桟道を通って北東の迂回路から成都を攻める作戦だ。
断続的に出兵を続けた成都の兵力は1万程度。迎撃の守備隊を龐徳の騎兵と俺の戟兵で軽く蹴散らし、兵器隊を城に取り付かせるつもりだったのだが……。
魏延「何だ?敵が出て来たと思ったら、北に向かってしまったぞ……?」
楊修「敵部隊の兵糧は百日分ですから、攻撃の部隊では無さそうですが……不可解ですな」
龐徳「何かの罠では……?」
魏延「普通ならそう勘繰りたくなる状況だが……かまわん。兵器隊と弩兵は城攻めを開始しろ。守備隊と北に向かった部隊への備えは俺がつく。龐徳は南に向かい、兵舎を破壊せよ」
龐徳「はっ!」
俺に恐れをなしたか、我が軍を阻む物は何も無く、ほぼ無抵抗のまま10月に成都は落ちた。
その一方、涪水関には温存していたエース陳式の井蘭隊を向かわせ、陥落と明け渡しを繰り返す事で渋滞していた部隊を一掃する。
こうして、弩の戦法失敗による反撃以外の損害0で、我が軍は大都市成都を手中に収めた。
楊修「念願の成都入城、おめでとうございます」
魏延「うむ……」
陳寿「これだけ見事な勝利をしながら、浮かない表情ですな。何か不満でも?」
魏延「セーブ&ロードさえ出来れば、弩の戦法失敗も無く大事な兵を失わずに済んだ物を……」
陳寿「そういう縛りですからな」
魏延「わかっている。敵兵を含め、散っていった者達の為にも必ず覇業を成し遂げねばな。その橋頭堡として、まずは成都を急ぎ復興させるとしよう」
楊修「むっ!魏延殿、たった今物見から急報が届きました。どうやら江州から曹操軍が、建寧からも孫登軍がここ成都に向けて出兵した模様です」
魏延「やはりそう来るか。内政の前に、まずは両軍を蹴散らすぞ!」
城を落とし一息つく間も無く、曹操と孫登が軍をさし向けてくる。
しかし、曹操の部隊の中に欲しかった人物が居た事で、俺はむしろその来襲を歓迎した。
李厳だ。
奴は曹操と相性が悪いので、捕獲出来れば直ぐにでも登用出来よう。
まずは龐徳隊を先行させて森の脇に軍楽台を建てると、それを餌に李厳が食いつくのを待つ。
龐徳「李厳、覚悟!」
李厳「ぬう!?怯むな!迎撃せよ!」
魏延「逃がさん!!森に引きずり込め!!」
李厳「げぇっ!!魏延!!」
龐徳の突進→俺の熊手で李厳を森に引き込み削っていく。
しかし、後続の井蘭の典満(副将に卞氏)隊が軍楽台を迂回し城に向かった為、急遽龐徳に追撃させ、楊任の弩兵&呉蘭の井蘭で挟撃にする事になり、結果李厳と一対一のガチに。
まあ、兵力でも勝っていた俺が負けるはずも無く、無事捕縛で捕虜に出来たのだが、通常攻撃や反撃のダメージも馬鹿にならず、典満から火矢も受けた為にトータル2千以上の損害を受けてしまった。
わずか1万2千を相手に成都よりはるかに多くの兵を失う事になるとは……。
これだからガチは嫌なのだ。
まあ、李厳を得る為と思えば仕方あるまい。
やや話は前後するが、成都防衛戦の最中、北ではある異変が起きていた。
11月中旬。天水の司馬懿が孫策に滅ぼされたのだ。
まさか死に体の呂布より早く滅ぶとは思っていなかったので、寝耳に水である。
まあ、何はともあれ、隣国の勢力が滅んだら、真っ先に確かめる事はただ一つだ。
期待と不安をこめて漢中を見ると……在野2。
……20人近く居たはずなんだがな……。
これは望み薄だと半分諦めつつ面子を確かめると、そこに待って居たのは……。
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