上杉隆 wiki
『報道災害【原発編】』 番組を降ろされ、スポンサーは降りた
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このページはキラ☆キラ降板問題からの参照用であり、引用が長いため別ページに分けた。
以下は、『報道災害【原発編】』(幻冬舎新書 2011年7月28日発売)第一章『繰り返された悪夢 ― 70年目の大本営』第二節『3・11で露呈したこと』内の『番組を降ろされ、スポンサーは降りた』からの引用である。なお、この本は対談本であり、対談が行われたのは2011年4月27日、2011年4月28日、2011年5月27日と本書冒頭に書かれている。
以下は、『報道災害【原発編】』(幻冬舎新書 2011年7月28日発売)第一章『繰り返された悪夢 ― 70年目の大本営』第二節『3・11で露呈したこと』内の『番組を降ろされ、スポンサーは降りた』からの引用である。なお、この本は対談本であり、対談が行われたのは2011年4月27日、2011年4月28日、2011年5月27日と本書冒頭に書かれている。
烏賀陽 上杉さんはTBSラジオを降ろされましたね。あの話はスポンサーがらみなの?
上杉 あれは謎なんですよね。どうしてかっていうと、降ろされる2週間前に2011年度4月からの1年間の再契約をしたばかりだったんですよ。
烏賀陽 今年の2月ぐらいに上杉さんが「どうするんですか?」と聞いたら「ぜひ来期もお願いします」とプロデューサーに言われていたって聞いたけど。
上杉 いや、わざわざ呼ばれたんです。わざわざ呼ばれて11階の食堂で「何ですか? クビですか?」と聞いたら「いや、逆です。来期もぜひよろしくお願いします。お願いできますか?」と言われたんです。僕は「いいですよ。でも大丈夫ですか?」と言ったら「大丈夫です。ほんとにお願いします。ありがとうございます」と言われて。「じゃあ頑張りましょう」となったんですよ。
烏賀陽 自分からごていねいに「大丈夫ですか?」と聞いたんだ(笑)。
上杉 そう。そしたら2週間後に「すみません、お話があるんですけど」と呼ばれたんです。ちょうど東電批判をしたあたりです。そこで「何ですか?」と聞いたら「いや、上からTBS批判を上杉さんがしていると言われたので」。「いや、TBS批判なんて別に今に始まったことじゃないし、そんなのおかしいでしょう。しかもタイミング悪すぎますよ。僕、先週の番組で『東電批判とかすると降ろされちゃうんですよね』って言ったばかりだし、今日の番組でも言っちゃったじゃないですか」と。
烏賀陽 それはまたタイミングの悪い(笑)。
上杉 まさかそんなの知らないから。ただ、実は前の週にタレコミが2つあって「クビになりますよ」という話は耳に入っていたんです。「そうかもな」と少し不安が頭をよぎったんですけど、その前の週に再契約しているから「さすがにそれはないだろう」とも思っていたんです。もう、疑心暗鬼ですよね。でも呼ばれた席では「さすがに今日の今日はやめたほうがいいと思いますよ。1週間ずらしたほうがいいんじゃないですか」と逆に親切に言ってあげちゃいました。それなのに「いや」と言ったから、「書きますよ」と。「じゃあ録音しましょう」といって「契約しました、確かに」という話をしたんです。「2週間前に契約していたから、僕、向こう1年間の仕事を断っているんですよ。これって完全に業務妨害になっちゃいますよ」と。
烏賀陽 ホンマにわかりやすいことをする人たちですなあ。
上杉 こっちとしてはなんで降ろされるのか、意味がわからない。「ワンクール前に言われるんだったらまだわかるけど、2週間前はひどすぎる。他の仕事も断ってるんですよ。きちんと理由を言ってください。そうじゃないと別途、対応しますよ」と言ったら「わかりました」と言うんです。「ちゃんと紙で対応してくださいね」とお願いしたら、バイク便で送って来ましたよ。A4サイズの紙1枚。
烏賀陽 なんて書いてあったの?
上杉 「通常の番組改編に伴う交代。編成局長水野茂」と書いてありましたよ。「上杉隆が嫌いだから」とか何でもいいから理由をつければいいのにそれすらしない。契約した直後に番組改編って、これ賠償金取れますよね。震災後でまだ面倒くさいからやっていないけど。
烏賀陽 ははは。
上杉 そういう意味ではずいぶん下手くそなことをやったなぁと思います。他に考えられる理由としては平野博文官房長官の官房機密費の問題(*49)ぐらいしかない。平野官房長官が官房機密費を使ったということをTBSラジオで話したら、僕のポッドキャストだけが1週間だけの配信になった。平野さんの支持基盤は労組だからそれも関係しているのかもしれないけど。ちょっと刺激しすぎたかもしれない。あるいは記者クラブ問題か、その辺りなんですよね。もしくは東京電力批判。でも最終的にはどれかよくわかんないです、ハッキリ言って。だって「通常の」と書いてあったから。
烏賀陽 朝日ニュースターの『ニュースの深層』(*50)は電事連(電気事業連合会)が1社スポンサーだった。その電事連もスポンサーを降りたとか。
上杉 『ニュースの深層』では、震災の前に『ミツバチの羽音と地球の回転(*51』を撮った鎌仲ひとみ監督(*52)を番組に呼んだら電事連がスポンサーを降りちゃった。実はあれも事前に局長に電話して「上関原発反対運動の映画を撮った鎌仲監督をゲストに呼びますけどいいですか?」と聞いていたんです、電事連がワンスポンサーだったから。そうしたら局長が「OK。何とかする」と言って、監督をゲストに呼んだ。ただしはっきりさせておくと、僕は原発反対派じゃなくてずっと原発容認派なんです。ずっと以前から何年間も、広河隆一さん(*53)に言われようが誰に言われようが、原発反対の署名には一回もサインしなかった。そうは言っても賛成派でもない。だから中立な立場で論議をします、翌週は電事連の広報の矢野さんをゲストに呼びましょうと言って、矢野さんにメールまで送ってたんですよ。「今週はこれをやるから来週はぜひ反論してください」と。まさか震災が起こるなんてわかりませんでしたからね。そしたらいきなり鎌仲さんゲストの週に電事連がスポンサーを降りたんです。
烏賀陽 『ニュースの深層』って、月曜から金曜までやってる番組ですね。
上杉 僕の担当は火曜日なんですけど、電事連は火曜日だけスポンサーから降りたんです。だから鎌仲さんが出演した回は無広告放送。だけどそれはスポンサーの判断だし、1回きりだろうから別にいいんじゃないかということで、その回は無広告放送でやったんですね。次の週にはスポンサーに戻るかなと思っていたところに自身が起こって、そのままの勢いでスポンサーを降りてしまった(※編集部註:現在は、スイスの時計メーカー「オメガ」がスポンサーについている)。
烏賀陽 完全に降りちゃったんだ!
上杉 まぁ戻らないでしょうね(笑)。その翌週に『ニュースの深層』木曜日担当の葉千栄さん(*54)が広瀬隆さんを出したんですよ。そうしたら「番組の主旨とは合わないから、火曜日と木曜日の2人を変えてくれないか」という打診があったそうなんです。それを局側が拒否したら木曜日も電事連がスポンサーを降りたそうです。結局、葉さんは木曜日のレギュラーを降りてしまいました。相打ち。私は『ニュースの深層』には残ったんですけど、TBSでやられました。
烏賀陽 「彼ら」に歯向かうと、誰も無傷ではいられないんだなあ。
上杉 あれは謎なんですよね。どうしてかっていうと、降ろされる2週間前に2011年度4月からの1年間の再契約をしたばかりだったんですよ。
烏賀陽 今年の2月ぐらいに上杉さんが「どうするんですか?」と聞いたら「ぜひ来期もお願いします」とプロデューサーに言われていたって聞いたけど。
上杉 いや、わざわざ呼ばれたんです。わざわざ呼ばれて11階の食堂で「何ですか? クビですか?」と聞いたら「いや、逆です。来期もぜひよろしくお願いします。お願いできますか?」と言われたんです。僕は「いいですよ。でも大丈夫ですか?」と言ったら「大丈夫です。ほんとにお願いします。ありがとうございます」と言われて。「じゃあ頑張りましょう」となったんですよ。
烏賀陽 自分からごていねいに「大丈夫ですか?」と聞いたんだ(笑)。
上杉 そう。そしたら2週間後に「すみません、お話があるんですけど」と呼ばれたんです。ちょうど東電批判をしたあたりです。そこで「何ですか?」と聞いたら「いや、上からTBS批判を上杉さんがしていると言われたので」。「いや、TBS批判なんて別に今に始まったことじゃないし、そんなのおかしいでしょう。しかもタイミング悪すぎますよ。僕、先週の番組で『東電批判とかすると降ろされちゃうんですよね』って言ったばかりだし、今日の番組でも言っちゃったじゃないですか」と。
烏賀陽 それはまたタイミングの悪い(笑)。
上杉 まさかそんなの知らないから。ただ、実は前の週にタレコミが2つあって「クビになりますよ」という話は耳に入っていたんです。「そうかもな」と少し不安が頭をよぎったんですけど、その前の週に再契約しているから「さすがにそれはないだろう」とも思っていたんです。もう、疑心暗鬼ですよね。でも呼ばれた席では「さすがに今日の今日はやめたほうがいいと思いますよ。1週間ずらしたほうがいいんじゃないですか」と逆に親切に言ってあげちゃいました。それなのに「いや」と言ったから、「書きますよ」と。「じゃあ録音しましょう」といって「契約しました、確かに」という話をしたんです。「2週間前に契約していたから、僕、向こう1年間の仕事を断っているんですよ。これって完全に業務妨害になっちゃいますよ」と。
烏賀陽 ホンマにわかりやすいことをする人たちですなあ。
上杉 こっちとしてはなんで降ろされるのか、意味がわからない。「ワンクール前に言われるんだったらまだわかるけど、2週間前はひどすぎる。他の仕事も断ってるんですよ。きちんと理由を言ってください。そうじゃないと別途、対応しますよ」と言ったら「わかりました」と言うんです。「ちゃんと紙で対応してくださいね」とお願いしたら、バイク便で送って来ましたよ。A4サイズの紙1枚。
烏賀陽 なんて書いてあったの?
上杉 「通常の番組改編に伴う交代。編成局長水野茂」と書いてありましたよ。「上杉隆が嫌いだから」とか何でもいいから理由をつければいいのにそれすらしない。契約した直後に番組改編って、これ賠償金取れますよね。震災後でまだ面倒くさいからやっていないけど。
烏賀陽 ははは。
上杉 そういう意味ではずいぶん下手くそなことをやったなぁと思います。他に考えられる理由としては平野博文官房長官の官房機密費の問題(*49)ぐらいしかない。平野官房長官が官房機密費を使ったということをTBSラジオで話したら、僕のポッドキャストだけが1週間だけの配信になった。平野さんの支持基盤は労組だからそれも関係しているのかもしれないけど。ちょっと刺激しすぎたかもしれない。あるいは記者クラブ問題か、その辺りなんですよね。もしくは東京電力批判。でも最終的にはどれかよくわかんないです、ハッキリ言って。だって「通常の」と書いてあったから。
烏賀陽 朝日ニュースターの『ニュースの深層』(*50)は電事連(電気事業連合会)が1社スポンサーだった。その電事連もスポンサーを降りたとか。
上杉 『ニュースの深層』では、震災の前に『ミツバチの羽音と地球の回転(*51』を撮った鎌仲ひとみ監督(*52)を番組に呼んだら電事連がスポンサーを降りちゃった。実はあれも事前に局長に電話して「上関原発反対運動の映画を撮った鎌仲監督をゲストに呼びますけどいいですか?」と聞いていたんです、電事連がワンスポンサーだったから。そうしたら局長が「OK。何とかする」と言って、監督をゲストに呼んだ。ただしはっきりさせておくと、僕は原発反対派じゃなくてずっと原発容認派なんです。ずっと以前から何年間も、広河隆一さん(*53)に言われようが誰に言われようが、原発反対の署名には一回もサインしなかった。そうは言っても賛成派でもない。だから中立な立場で論議をします、翌週は電事連の広報の矢野さんをゲストに呼びましょうと言って、矢野さんにメールまで送ってたんですよ。「今週はこれをやるから来週はぜひ反論してください」と。まさか震災が起こるなんてわかりませんでしたからね。そしたらいきなり鎌仲さんゲストの週に電事連がスポンサーを降りたんです。
烏賀陽 『ニュースの深層』って、月曜から金曜までやってる番組ですね。
上杉 僕の担当は火曜日なんですけど、電事連は火曜日だけスポンサーから降りたんです。だから鎌仲さんが出演した回は無広告放送。だけどそれはスポンサーの判断だし、1回きりだろうから別にいいんじゃないかということで、その回は無広告放送でやったんですね。次の週にはスポンサーに戻るかなと思っていたところに自身が起こって、そのままの勢いでスポンサーを降りてしまった(※編集部註:現在は、スイスの時計メーカー「オメガ」がスポンサーについている)。
烏賀陽 完全に降りちゃったんだ!
上杉 まぁ戻らないでしょうね(笑)。その翌週に『ニュースの深層』木曜日担当の葉千栄さん(*54)が広瀬隆さんを出したんですよ。そうしたら「番組の主旨とは合わないから、火曜日と木曜日の2人を変えてくれないか」という打診があったそうなんです。それを局側が拒否したら木曜日も電事連がスポンサーを降りたそうです。結局、葉さんは木曜日のレギュラーを降りてしまいました。相打ち。私は『ニュースの深層』には残ったんですけど、TBSでやられました。
烏賀陽 「彼ら」に歯向かうと、誰も無傷ではいられないんだなあ。
*49―平野博文官房長官の官房機密費の問題……平野博文元官房長官が退任前の2010年4月から5月にかけて官房機密費3億円を引き出していたことについて、上杉が批判。
(以降の脚注は不要のため割愛)
(以降の脚注は不要のため割愛)
この記述の中で、「TBS批判」と「平野官房長官の官房機密費の問題」を別々の問題のように話しているが、これは一連の出来事である。詳しくはネコババ発言問題を参照。
また、
また、
先週の番組で『東電批判とかすると降ろされちゃうんですよね』って言ったばかりだし、今日の番組でも言っちゃったじゃないですか
という発言がある。この「先週の番組」とは降板が告げられたとされる2011年3月15日の前の週、つまり3月8日の放送であると考えられる。なお、2011年3月8日の放送では前原誠司の外務大臣辞任がテーマであり、『東電批判とかすると降ろされちゃうんですよね』などという発言はない。なお、3月1日は地方政治の話、2月22日は小島慶子が司会をした自由報道協会記者会見と小沢一郎の話をしており、いずれにも該当の発言はない。